巡遊者たちと共に果てなき冒険の旅へ
ステラソラは日本のサブカルチャーに造詣の深い日本に本社を置く中国系企業Yostarよりリリースされたゲームだ。
筆者は本作のCBTに運良く当選し先行プレイに参加 させて頂き、その際にはスマートフォンでプレイしたのだが手触り自体は良くできていた。 正式リリースにあたってPC版でプレイしており、本レビューもPC版での操作感などがベースとなっている事には留意されたい。
stellasora.jp
ストーリー
目覚めた魔王との物語
ステラソラの世界観、そして物語の導入は以下の通りだ。 星ノ塔では神器と言われる非常に価値の高い遺物が存在するのだが、それを入手するためには記憶を代価とする必要がある。 しかし、巡遊者と言われる人々はその代価も特に気にすることなく探索して発掘しているような世界観である。 記憶喪失である主人公はかつて魔王と言われた存在であり、ほとんど忘れ去られた伝承によれば星ノ塔を壊して回る事を目的としていたようであるが勇者により討伐されたとされているが、巡遊者達によって星の塔の内部で眠りについていた所を発見される。 しかし、助けてくれた巡遊者達が問題に巻き込まれてしまい、主人公である魔王もそれに手を貸す形になるのが導入となっている。
ストーリーは基本的には紙芝居形式で進行し、重要な場面の一部で3Dモデルによるカットシーンが挿入される形となっている。 また、ストーリー中では特定のキャラクターや勢力がピックアップされ、その人物を中心に1つの章が進んでいくように作られている。 これはストーリー中で発生する戦闘で新規実装されたキャラクターのお試しができるようにもデザインしているが故だろう。
ストーリーで気になるのはなかなか物語の本筋に近付いている感が薄い点になる。 物語の描き方が上述した通り特定のキャラクターや陣営に寄り過ぎており、星ノ塔・神器・魔王と言った世界観に繋がる各設定の掘り下げがなかなか進まない。 そのため、「ステラソラの物語を読んでいる」というよりも「新規実装キャラクターの紹介をされている」という側面が強い。 もちろん、キャラクターにフォーカスをあてたストーリーも物語構成の基本に忠実な構造になっているため楽しめはするものの、ステラソラという世界の物語としての満足感がなかなか上がらないのは難点だ。
この手のストーリーとしては珍しくルートが複数存在するケースも
本作のストーリーで少し特徴的なのはストーリーはルート分岐が用意されているという点である。 この分岐は「一方そのころ…」のような別視点のストーリーなのではなく、本当に選択肢によって異なるルートの話になる。 中にはそこでストーリーが終わってしまうようなバッドエンド的なルートもある。 バッドエンドルートを辿っても進行には問題ないので、分岐元のストーリーで選択肢を選びなおせば別ルートも確認できる事から興味があるなら全ルートでどのように話が展開されるのか確認しても良いだろう。 ストーリー再度確認した際にスキップする事で分岐選択肢まで飛ばすことが出来るので確認もやりやすいハズである。
とはいえ、ルート分岐自体はあるものの特定の場面でルートが1つに収束するようになっており最終的な話の整合性や結末は変わらない。 これはサービス型のゲームであるため、継続的に物語が増えていく際にルート分岐先の物語まで増えていってしまうと収拾がつかない事がこの着地になったのだろうと考えられる。 そのため、結末自体が変わらない理由は理解できるものの、そもそも物語としてのルート分岐という要素を使いあぐねてしまっている感は否めない。
キャラクター毎のストーリーもちゃんと用意されている
キャラクター毎のストーリーである「巡遊者ストーリー」や「ココチャ」というものも存在している。 マネタイズとしていわゆるキャラクターガチャが軸となるため、キャラクターの魅力を伝えるために大きくフォーカスした要素があるのは頷ける。
キャラクターストーリーではLive2Dによるアニメーションを含んだイラストがご褒美で貰えるため、気に入ったキャラクターがいれば読んでおくと良いだろう。
システム
ローグライトARPG
ステラソラは2020年代にインディーシーンを中心に隆盛しているローグライト要素を取り入れたARPGとなっている。 アクションとしては移動しながら攻撃スキルや回避といったコマンドを実行して敵を倒していく方式だ。 攻撃スキルや回避にはリキャスト(クールタイム)があるため、無駄打ちするのは推奨されないように作られている。 また、通常攻撃に関してはキャラクター毎に設定された一定範囲に入った敵を自動で攻撃してくれるようになっており、立ち回りとしては移動や回避、攻撃スキルの回し方が軸になるようになっている。 そのため、比較的画面の小さなスマートフォン向けアプリとしても十分に遊べるように操作および画面が忙しくなり過ぎないようにバランスが取られている。 そうはいってもPC版の大きな画面でキーボードやパッドで操作した方がストレスなくプレイしやすいことは事実だろう。 もしもPCでもプレイ可能な環境を用意できるのであれば、筆者としてはそちらでのプレイを推奨したいところである。
RPG要素としてはキャラクター強化やロスレコと言われる要素が該当する。 戦闘をするにあたってキャラクターを3名編成する事になるが、キャラクター毎に設定されているスキルを強化したり、ランダムで能力値などが強化できるような要素が存在するため、それらを駆使してキャラクターを強くしたうえで編成する事になる。 ロスレコはいわば装備品のようなもので特定属性を強化するようなパッシブ効果が付与されている。 攻略コンテンツには基本的に有効となる属性が設定されている事も相まって、キャラクター編成の理想的には属性を統一していく事になるだろう。
ローグライトを活用したゲームサイクル
編成したメンバーで攻略する事になるコンテンツはいくらかあるが、それらは概ねサイクルとして機能するようにデザインされている。 そのサイクルは星ノ塔とエンドコンテンツで構成されている。
星ノ塔ではローグライトとしての側面が強いメインコンテンツとなっている。 攻略は階層になっており、階層には敵などが出現して倒していく事になる。 攻略の途上でいくらかの手段によってランダムに3つのキャラクター強化要素が排出される。 そうやってチームメンバーを強化していって最上層まで到達する事を目指すのだ。 強化要素はランダムに排出されるが、どういった強化要素が存在するのかはキャラクターによって固定である。 また、キャラクターによって攻撃に秀でていたり、バフやデバフが優秀だったりするため、これらの特性を考慮すればチーム内での強化要素のシナジーを生み出していく事もできるのが楽しさに繋がるだろう。
星ノ塔を攻略すると攻略時点のチームメンバーの育成状況を保存することができる。 この保存したチームを用いて育成素材やエンドコンテンツなどを攻略できるように作られている。 そのため、星ノ塔を攻略し、エンドコンテンツなどに挑戦、キャラクターの基礎ステータスを上げたら再度星ノ塔を攻略して更に強いチームを作る…これが基本のゲームサイクルになるようにデザインされているようである。
パーティー編成は受動的で、完成までの道のりがやや長い
ステラソラでボトルネックとなるのは攻略において「属性を統一して編成を行う必要性が高い」という点を重要な要素に置いていることになるだろう。 理由としてわかりやすいのは編成時に設定するロスレコだ。 ロスレコには何らかの条件で発動する強力なバフが用意されているのだが、そのバフは特定の属性のキャラクターが対象になっている作りとなっている。 そのため、例えば炎と風のような複合属性で編成してしまうと、ロスレコの恩恵がほとんどないキャラクターが編成されてしまう事に繋がるのだ。 つまり、編成時には属性を統一する事が強く推奨され、そうなると最終的には各属性分のパーティー編成が行えるようにする必要がある。 これはあくまでも長い目で見てパーティー編成をするようなデザインではあるし、マネタイズとしても非常にシンプルな作りにはなるものの、余りにも統一属性編成推奨の色が強いためユーザーにとっては窮屈さを感じる事に繋がりやすいのだ。 この辺りは入手しやすい低レアキャラクターが充実するなど、分母自体が増えて各属性のキャラクターが揃えやすくなることで幾分かマシになる部分もあるだろうが、本質的な窮屈さには変化はないだろう。
また、長い目で見た際にはゲームサイクルが機能しきれない事も気がかりだ。 本作ではローグライトなコンテンツ「星ノ塔」でパーティーを育成し、育成したキャラクターで各種コンテンツを攻略し、その成果で更にキャラクターを育成していくサイクルとなる。 しかし、ある程度のラインまで強くできてしまうと育成ラインを更新できなくなるため星ノ塔を攻略する必要性が必然的に薄まってしまう。 「星ノ塔を攻略する」という行為に育成しきった後でももっと本質的に意義のあるサイクルを用意した方が良いように思える。
グラフィック
現代水準で見ても遜色ない3Dモデル
3Dモデルはデフォルメされているが現代水準でも見れる水準にはなっている。 攻撃モーションを始めとした各種アニメーションもキャラクター毎に個性が感じられるように丁寧に作られており、キャラクターを前面に押し出している作品として恥じない品質といって良いだろう。
ストーリー上では各種スチルも用意されているほか、「ストーリー」の項でも記載したキャラクター別ストーリーではLive2Dによるイラストもあるなどユーザーが期待しているであろう要素はしっかりと用意されている。
サウンド
BGMは全体的にADVで使用されていそうなゆったりと暖かみのあるBGMが心地いい。 また、作中ではショパンの「別れの歌」「夜想曲」やシューマンの「トロイメライ」、ドビュッシーの「月の光」といったクラシック楽曲も挿入されるのも良いアクセントとなっている。
本作の楽曲関連の作りで驚きなのは「システム」の項で紹介したロスレコの1つ1つに楽曲が設定されているという点である。 ロスレコはロストレコードという名前であり、それが音楽と紐づくのは不思議ではないが、そうはいっても将来的にも数多く実装されていく事になるロスレコ1つ1つに専用BGMが設定されているのは大変な仕事量だ。 筆者は「朝靄」「魔女の秘薬」はゲーム内でも比較的多く聴くことになるため特に好きな楽曲だ。 また、タイトル画面で流れるメインテーマもキラキラしながらも力強く非常に印象的である。
ボイス関連でいう事があるとすると、ガチャでキャラクターが加入した際のボイスだ。 初回時と2回目以降では異なるボイスが流れるようになっているのはこだわりが感じられる。
総評
ステラソラは手応えがしっかりとあるローグライトARPGだ。
RPGとしての編成の窮屈さは気になるものの、戦闘では攻撃や回避などでは操作の気持ちよさに繋がる部分はおさえつつも、難し過ぎない・忙し過ぎない操作感が意識されているため楽しいARPGとして間口は広いハズだ。
しかし、ストーリーでは本質的な世界観になかなか触れないままに進行していってしまうため素材が活かされていない感が強い。 また、戦闘にしてもゲーム側から要求される編成縛りが強いため、各種コンテンツを遊ぶ上での窮屈さを感じてしまうのはいただけない。