【レビュー】大神

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太陽は昇る

筆者が大神という作品に出合ったのはPS2時代だ。
当時から狼という動物が好きだった筆者は、狼が主役のゲームに手を出さないハズが無かった。
今では名実共に史上に残る名作となっている。

それから約10年経った今、筆者も久しぶりにプレイをしたので今回は「大神 絶景版」のレビューをしていこう。

 

大神 絶景版【Nintendo Switch用ソフト】

 

大神 絶景版【PlayStation 4用ゲームソフト】

 

 

 

ストーリー

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日本神話や伝承をベースにしたストーリー

大神のストーリーは日本の神話や伝承をベースにしたストーリーとなっている。
そのため、日本人であれば聴いたことのある登場人物もとても多く、親しみやすい事だろう。
とは言え、使用されているのはあくまでもベースのみであり、実際の神話や伝承とは描かれ方は異なる点に注意だ。

ストーリーの大筋は妖怪達によって災いや呪いの蔓延する世界を主人公である大神アマテラスと相棒イッスンのコンビが浄化し、人間を含む動植物に幸福をもたらす事だ。
アマテラスとイッスンは様々な冒険をして多くの人と関わり、多くの生命を救っていく事になる。
本作ではストーリーが主体となりプレイヤーをグイグイ引っ張っていくストーリードリブンなタイプのゲームとなっている。
そのため、プレイ重視で文章を読まずに進めてしまうタイプのユーザーは注意した方が良いかも知れない。

ややネタバレになってしまうが、物語の終盤になるとSF的な要素も出てくる。
しかし、この展開はプレイヤー目線としてはここはやや唐突・突飛な話に思える。
物語の後半でタカマガハラと言われる土地の存在が語られ、アマテラスは最後にタカマガハラへと向かう。タカマガハラはアマテラスの故郷とも言える土地ではあるのだが、プレイヤーからすれば未開の土地でしかない。
操作するアマテラスの知識≒プレイヤーの知識であるため、プレイヤーが理解・納得しないままにアマテラスがタカマガハラへと向かう行為はプレイヤーとアマテラスを引き剥がすような行為に他ならないように感じるのだ。
もっと端的に表現すれば”打ち切りENDのようなモヤモヤ感”である。
本来は本作の本編に続く"タカマガハラ編"なども存在したと言われるが、その影響である可能性は否めない。

とは言え、ストーリーは全体的には非常に素晴らしい。
特にラスボス戦の演出は傑作と言えるだろう。
ストーリー上で多くの者たちと関わって来たからこそ感じる事ができる感動がそこにある。

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メタ表現も交えたチュートリアル

本作では操作や機能に関してメタ表現を交えて説明される。
これらの説明は単純な説明によってプレイヤーを白けさせる事を防ごうとしている節があり、可能な限りチュートリアルの説明も面白くしようとしており丁寧で好印象だ。

 

システム

本項ではシステムに関して記載する。

初めに大まかな欠点を記載しておこう。
まずはカメラワーク関連だ。
大神のカメラワークは全体的に鈍く、向きを変える際に少々時間がかかりアクションが行いにくいケースがある。ここは若干のストレスに感じる事もあるだろう。
また、エリアが切り替わった際にカメラ位置が記録されない事による問題も気になるポイントだ。
例えば、下方向に入力した状態でエリアを出たとしよう。しかし、次のエリアに遷移した際に下方向にトリガーを入れっぱなしにしていると、元のエリアに戻ってしまうのだ。
この状況の問題点がわかるように記載すると、
ユーザーはアマテラスがカメラに正面を向いた状態でエリア遷移しているが、エリア遷移後はカメラはアマテラスの後方に戻っているのだ。
これはカメラの表示位置がエリア切り替えによってリセットされてしまうために発生する問題でもあるし、それを見越した調整をしていないために発生している問題でもある。
このカメラ位置がリセットされてしまうのはもっと単純な問題として見やすいポジションに移動をさせてもリセットされてしまう事を意味しており不親切だ。

大きな欠点では無いながら、大神アマテラスの走行スピードの遅さも気になるポイントだ。
アマテラスは最大3段階のダッシュ速度の変化があるが、最大速度であってもエフェクトにより速く見えるものの実際のスピードはそれほど向上しておらず行きたい場所まで走るのに結構な時間を必要としてしまう事も多い。
ファストトラベルのような機能も存在しているが、使用するには使用可能なポイントに赴く必要もあり不便だ。

これらのカメラワークやダッシュ速度、ファストトラベルの仕様はいずれも10年以上前の過去の作品であるが故のものとも言え、傑作と言えども時代を感じさせる要素だ。

 

筆しらべ

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インタラクションが世界に影響を与える

大神と言う作品において最も特筆すべきシステムは「筆しらべ」だ。
筆しらべはユーザーが特定の図を画面内に描くことによって発動するギミックだ。墨瓢箪(MPのようなもの)がある限りはいつでもどこでも使用する事が可能だ。
発動するものは太陽を出現させたり、枯れ木に花を咲かせたり、炎や雷を出現させるものまである。
これらを駆使して敵やダンジョンを攻略していく事になる。

敵やダンジョンなどで活用する事はもちろん嬉しいの所なのだが、筆者が特に嬉しく感じるのは村人などに対してもこれらのインタラクションが”ある程度”有効である点だ。
村人に対して筆しらべを活用すれば、その超常現象に驚くリアクションを見せる。炎や雷を当てる事さえでき、炎で燃やせば黒焦げに、雷が当たれば痺れるようなリアクションになる(死んだりする事は無い)。

一見何気ない要素なのだが、ユーザーの操作に応じてリアクションが変化するというインタラクションはユーザーが「ゲーム内の世界に影響を与えている(介入している)」ことを強く印象付けてくれる。
もしもこれが炎や雷を出しても何もリアクションが無い、反応が全て共通のリアクションとなっていれば「ユーザーが世界に与える影響」は非常に薄く感じてしまった事だろう。

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敵が筆しらべを使う事もある

驚くポイントとしては、本作の筆しらべは(極一部ではあるが)敵も仕掛けてくるという点だ(上図の赤線は敵が使用してくる筆しらべ)。
それまでユーザーのみが使う事ができると思い込んでいた「筆しらべ」と言うシステムを敵側が使用してくる。
これはゲーム側からユーザーに対してインタラクションを行おうとしているようにも感じられるものとなり、バトルのバリエーションとしてだけで無く、ユーザーの予想超えるようなストーリーテリング的な演出としても非常に面白いものとなっている。

 

バトル

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軽快なバトル

大神のバトルシステムはアクション要素が強い。
武器を駆使した攻撃や前述の筆しらべを使用するスピーディーな戦闘だ。
操作の手応えは非常に良く、爽快で軽快なアクションは現代でも全く問題無く楽しめる。

大神アマテラスは神器である鏡・勾玉・剣を駆使して戦う事となる。
これらの神器はそれぞれ特徴が全く異なり、また表と裏にそれぞれセットする事となり、表でセットするか裏でセットするかでも性質が変化する。
戦闘中であっても変更できるため、敵との相性を考えて臨機応変に戦うのも良いし、自分好みの設定でプレイする事も可能だ。

バトルシーケンスはシンボルエンカウントとなっており、バトルフィールドはエンカウントしたエリアを範囲で区切るようになっている。
この辺りも10年以上前の作品であるが故の少々古いものに感じるだろう。

 

ミニゲーム

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気分転換に最適なミニゲーム

「釣り」や「モグラ叩き」と言ったミニゲームもある。

奥深いものでは無いのだが、わかりやすく1プレイが比較的短い(リワードを貰えるまでの所要時間が短い)ため熱中しやすく気分転換にも非常に良い。
釣りに関しては収集要素もあるためコンプリートを目指すのもオススメだ。

 

グラフィック

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輝きを失う事のないアート

大神のアートスタイルは唯一無二だ。
水墨画のようなタッチにより表現されるその世界観は非常に美しく、時を経てもなお、その世界の美麗さは輝きを全く失っていない傑作だ。

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”大神降ろし”は必見だ

大神では邪悪な妖気によって汚された大地を”大神降ろし” によって浄化するシーンが存在する。
このシーンはグラフィックと音楽も相まって必見のシーンだ。
ネガティブな暗い気持ちや存在が、ポジティブなものへと瞬く間に変わり生命や大地の喜びを感じさせるその姿は非常に感動的だ。
このシーンを見るだけで感動で泣けてくるような気持ちになるが、そう感じるのは決して筆者だけでは無いのではないだろうか。

 

サウンド

大神はサウンド面も非常に素晴らしい名曲揃いだ。
日本的な音を残しつつ、バトルでは激しいテンポも取り入れている。

ポジティブで感動的な「大神降ろし」

激しいチャンバラのようなボス戦曲「ウシワカ演舞~ウシワカと遊ぶ」「赤カブト退治」「妖魔王キュウビ退治」

カッコよさと頼もしさを感じさせる「真スサノオ

爽やかで壮大な「両島原」

最終章の厳しい戦いを思わせる「極北の國」

最終決戦の傑作「「Reset」~「ありがとう」バージョン~」「太陽は昇る」

どれも史上に残る傑作と言える楽曲だ。

 

総評

大神はPS2で発売された作品であり、確かに時代を感じる古い手法は見て取れるのだが、それでも全く輝きが失われていない傑作だ。

プレイヤーを強く引っ張っていくストーリー。
感動的な美しいグラフィック。
印象的な日本風な音楽。
総合的に考えても素晴らしい完成度となっている。
人生において必ずプレイしておきたい作品だ。

 

外部記事

CAPCOM:大神 絶景版 公式サイト インタビュー 

「大神」はアートじゃない。すごく間口の広い、質の高いアクションアドベンチャーなんです。 - ITmedia Gamez 

インタビュー『大神(OKAMI)』 - 電撃オンライン

【レビュー】ゼノブレイド2

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オレは君と行きたいんだ。楽園に。君と二人で。

今回のレビューは非常に長文となる。その点だけは注意して読んで欲しい。

筆者はゼノシリーズが大好きだ。
特にゼノブレイドでは、当時のJRPGに辟易していた筆者を心の底から驚かせた。
筆者が小さい頃にプレイしていたようなRPG(それこそゼノギアスクロノトリガーなど)の熱量はもうやってくる事は無いのだと。
「自分自身がそう変わってしまった」のだと、そう思い込んでいたからだ。

筆者はゼノブレイドをプレイした時は幸せだった。
「まさかこの年齢になってもこれほどRPGに没頭できるなんて…」と。
RPGに対しての希望が生まれたような瞬間だった。
それから5年後(N3DSへのゼノブレイドの移植という驚きもあったのだが)、新作となる「ゼノブレイドクロス」も登場した。

そしてゼノブレイドクロスから”わずか”2年後の2017年。
Nintendo Switchプレゼンテーションにおいて「ゼノブレイド2」が2017年内に発売される事が発表されたのだ。その後もE3やGamescomなどでもゼノブレイド2の説明やゲームプレイが公開されていった。
当時の筆者はというと、自分自身から込み上げてくる期待感…ハードルを何とか下げたかった。自身の中のハードルを上げ過ぎたせいで、それがガッカリ感に繋がってしまうのではないかと言う不安があったのだ。
不安になる要素はいくつかあった。
真っ先に挙げるのはリリース間隔だ。ゼノブレイドクロスから2年間しか経ていない。そしてその2年間のモノリスソフトと言えば、ゼルダの伝説 Breath of the Wildやスプラトゥーンと言った任天堂フランチャイズタイトルの一部を受託開発しているのは知られていたし、プロジェクトXゾーンの開発も行っていた。
そんな状況下において大規模とはお世辞にも言えないモノリスソフトというメーカーがゼノブレイド/ゼノブレイドクロスのよう巨大なゲームを開発する余裕があると思えるだろうか。普通に考えれば無理な話である。
筆者はそんな状況は脳内では理解できつつも、ハードルを下げるという事は感情が許してくれなった。

そして2017/12/01…ゼノブレイ2は発売してしまったのである。

 

Xenoblade2

 

 

ストーリー

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ジュブナイル&ボーイミーツガール

ゼノブレイド2のストーリーコンセプトは”ジュブナイル&ボーイミーツガール”だ。
主人公である少年レックスはとある仕事により特別なブレイド…「天の聖杯」と呼ばれている”ホムラ”という少女と出会い、そして彼女が望む”楽園”を目指す冒険を始める。

ゼノブレイド2においてはレックスは最初から最後まで一貫して”楽園”を目指し続ける。
常に皆の先頭を走り、時に挫折しながらも、それでも前に進んでいく主人公だ。
主人公が世界の状況や真実を知る事により最初に抱いていた夢が後回しにされるケースは少なくない。しかし、レックスはどんな状況に置かれても決して惑わずに夢に向かって走り続ける姿はボーイミーツガールと言う設定もあいまって昔見ていたアニメなどを思い出さずにはいられない。

ゼノブレイド2は、ストーリードリブン(物語主導)なゲーム展開となるのだが、そのボリュームは相当なものであるため、ストーリー含めてじっくりとプレイしたい人にオススメだ。
メインシナリオを進める事で発生するカットシーンは非常にクオリティが高い。
キャラクターの表情 / 演技、カメラワーク、音楽の使い方…どれも素晴らしく、濃密な3Dアニメ映画でも観ているようだ。 
シナリオ自体も時に熱くさせられ、時に切なくなる。
また、本編では直接語られていない要素やサブストーリーでわかる世界設定なども多いため、濃い設定が好きな人は考察を含めて更に楽しめるだろう。

そんな本作にはストーリー面で欠点がないわけではない。
それはカットシーンによる映像演出において表現不足と言わざるを得ない箇所がある点だ。特に重要なカットシーン演出は疑いようもなく満点と言えるのだが、それ以外の…特に中盤頃のカットシーンではやや表現が甘く、映像による説得力が落ちているのは非常に勿体無い。

また一長一短な要素として、本作は日本アニメらしい表現(特に序盤~中盤)が使用されている事もあるため、アニメ的表現が好きか否かで受け止め方も異なってくるだろう。

なお、本作は前作ゼノブレイドおよびゼノブレイドクロスをプレイせずとも楽しむ事が出来るようなストーリーとなっているが、可能であれば過去作(特に初代であるゼノブレイド。出来ればゼノギアスゼノサーガも。)をプレイする事で更に面白いものとなる。
ゼノシリーズファンにとっても嬉しい要素が満載の重要な作品だ。

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ドライバーブレイドの絆

ゼノブレイド2を”ジュブナイル&ボーイミーツガール”という表現をしたが、
ストーリーは「ドライバーブレイドの絆」が非常に大切に描かれている点も決して見逃してはならないポイントだ。
彼らはその絆ゆえにお互いを大切に想い、
同様にその絆ゆえに深淵の闇へと堕ちていく者達もいるのだ。
それは表裏一体であり、
レックスを始めとしたパーティーも一歩間違えれば闇へと堕ちてしまったのでは無いかと思えてならない。
ここでいう”絆”はユーザーの感受性による所は大きいかも知れないが、筆者はこれが親愛や性愛などと言ったものでは語れないもののように感じた。
それはブレイドの設定から感じられるものでもあるし、カットシーンなどでのドライバーブレイドのやり取りから感じられるものだ。

この辺りの表現はいわゆる「家族もの」などにすっかり弱くなってしまった筆者には非常に心に刺さるものが多かったように思う。

 

キャラクター

本項では、ゼノブレイド2のキャラクターについて記載していこう。
なお、一部ゲームシステムに関する内容も記載している。

 

レックス

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レックス

主人公であるレックスは非常にまっすぐで熱血だ。
レックスは常に前を向き、誰よりも先頭を走り続けパーティーの皆を引っ張て行く姿はまだ子供とは言え非常に頼もしい。

レックスの主人公像は近年の傾向も鑑みて設定されているようだ。
言い過ぎかもしれないが、近年の主人公に対してのアンチテーゼのようにも感じる。
主人公像としては古風なのかもしれないが、近年では確かに見なくなってしまった主人公のタイプでもあるのでは無いだろうか。

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ピンチでも女の子の前で余裕ぶって見せる表情は作り込みを感じさせる

レックスは下野紘さんが声を担当している。
下野さんの演じるレックスは非常に素晴らしかった。
特に力強くシャウト系のセリフには感情がこもっており思わず涙してしまった…。
他にもニアとのふざけ合ってる感じの仲の良さが伝わってくる演技なども印象的だ。
筆者としては下野紘さんと言えば「神のみぞ知るセカイ」の主人公・桂木桂馬を演じていた事が最も印象深い。
初めて名前をちゃんと知ったのはPS2にて発売された「ARIA The NATURAL 〜遠い記憶のミラージュ〜」では無いかと思う。

ホムラ

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ホムラ

ホムラは本作のヒロインの1人だ。
ホムラは”天の聖杯”と呼ばれる非常に特殊なブレイドである。

ホムラは基本的におとなしく、誰に対しても優しく少々頼りない印象はあるが芯の部分は強く非常にしっかりしている印象だ。
彼女は母性を体現したような存在であり、他者に対して常に優しく接する。
筆者の受け取り方は…という前置きは入れておくが、ホムラはレックスの事を「年下の男の子」として接しているように感じた。
主人公レックスを「恋愛対象として意識しすぎていない感」がむしろ筆者には好感が持てたポイントだ。

彼女には後述するもう1つの人格”ヒカリ”が存在する。
ゼノシリーズにおいて”母性”や”複数の人格”というキーワードとなるとゼノギアスにおける”エレハイムとミャン”(複数の人格であれば他にも”臆病者とイドとフェイ”)を思い出す人も多いかも知れない。
だが安心して欲しい。本作におけるホムラとヒカリは非常に仲が良いのだ。

ホムラの戦闘時の能力的には火力特化型で、その瞬間火力はヒカリを上回る。
ヒカリからホムラへとスイッチした際に「ここは加減が必要です」などと言う割に彼女自身は加減を知らないのである。
キズナが育てばブレイドコンボでカンストダメージを叩き出すなど恐ろしい女の子になるのだが、逆に火力が上がりすぎてヘイトを奪ってしまう事も多いため注意した方が良いだろう。

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ホムラは少し頼りない優しいお姉ちゃんだ

ホムラは下地紫野さんが声を担当している。
筆者が下地紫野さんという声優を知ったのはアイドルマスターシンデレラガールズにおける中野有香だ。非常に透明感のある王道ヒロインの声質が印象的であった。
また、中野有香のシングル曲(いわゆるキャラソン)も好きだったので筆者はCDまで購入したほどだ。
ファミ通のインタビューやサウンドトラック付属のブックレットによると、ゼノブレイド2においては当初はカットシーンのセリフの時間を計るために起用されており、そのまま製品においてもホムラ・ヒカリを演じる事となったようだ。

ちなみにグッドスマイルカンパニーよりフィギュアが発売される。
(筆者は既に予約済みだ)

 

ヒカリ

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ヒカリ

ヒカリは本作におけるもう一人のヒロインだ。前述のとおりホムラの別人格である。

筆者は任天堂公式のゼノブレイド2 Directにてヒカリを見たときに「きっとホムラとは正反対のキャラクターなのだろうな」と予想していた。
つまり「優しいが少々頼りないホムラ」の反対「厳しくバリバリと仕事をこなす事ができるキャリアウーマン的な存在」がヒカリになるのだと思っていたのだ(予想していたのはゼノブレイド2内のベンケイのような性格が最も近い)。
だが、実際にプレイしてみると…なんと可愛らしいキャラクターであることか。
端的な表現をしてしまえば”ツンデレ”に相当する性格をしており、キリッっとカッコよく登場したかと思えば、すぐにポンコツな一面や少々ガサツな一面が判明したりと非常に可愛らしい事がよくわかる。

能力的にはアーツリキャスト関連の能力が揃っており、終盤頃までの心強い存在になってくれる事だろう。
しかし、各国の発展度が向上して上質なポーチアイテムが登場し始めると、ポーチアイテムだけでアーツのリキャストに困らなくなってしまうため、数少ない光属性のブレイドとして起用する側面が強くなるだろう。

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ヒカリはツンデレでややポンコツな所があり可愛らしい

ヒカリはホムラ同様に下地紫野さんが声を担当している。
こちらは演じ分けが非常に丁寧だ。
ホムラがとくかく人当たりが優しい喋り方であるのに対して、ヒカリはかなり自信家な喋り方である事が演技からも良く表現されている。

ちなみにグッドスマイルカンパニーよりフィギュアが発売される。
(筆者はこちらも既に予約済みだ)

 

ニア

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ニア

ニアは本作における更にもう一人のヒロインと言っても良いだろう。
彼女の存在なくしてゼノブレイド2は語る事はできない。

ニアはパーティーメンバー内において基本的にはツッコミをする役回りであり、少々生意気で口は悪いのだが、言葉のチョイスやコロコロ変わる表情、良く動く可愛らしいケモノ耳など非常に可愛らしい面も多い。

ニアも他のキャラクター同様にレックス達に隠している事があるのだが、それを知る時には彼女の事が心から愛しい存在になっているだろう。

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ニアは生意気な所もあるが根は素直で良い子だ

ニアは大和田仁美さんが声を担当している。
大和田仁美さんの演じるニアは実に生き生きとしている。
コミカルなシーンでみせる切れ味鋭いツッコミ。
シリアスなシーンの落ち着いたトーン。
どれも印象深いのだが、それはやはり大和田さんの演技あってこそであったと思う。
ファミ通のインタビューやサウンドトラック付属のブックレットによるとホムラを演じる下地さん同様にカットシーンの時間を計るために起用されており、そのまま製品においてもニアを演じる事となったようだ。

 

トラ / ハナ

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トラとハナ

トラはゼノブレイドシリーズではお馴染みのノポン族の少年だ。
トラと言う名前のノポンはゼノブレイドクロスにおいても登場しているのだが恐らくは全くの別人だ。
彼は少々(いや、かなり?)変態的な趣向はあるものの、ノポン族らしくマイペースでワガママだが、メンバーのムードメーカーと言うのが最も適切では無いだろうか。

トラの声は野中藍さんが担当している。
ノポン族特有の憎めないキャラクターになっているのは、野中さんの声質のおかげである事も影響しているのでは無いだろうか。
筆者もゼノブレイド公式Twitterにてトラの声優が野中さんだと公表された際にはピッタリだと思ったものだ。

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ハナ

人口ブレイドであるハナは、トラ(とその父と祖父)がドライバーに憧れた結果に誕生した機械仕掛けのブレイドだ。
仲間達に対しては非常に優しく接するのだが、トラの事を「ご主人」とは呼ぶものの基本的に扱いはぞんざいである。
また、そんな扱いに対してツッコミを入れるトラとのやり取りは微笑ましい。

ハナの声は久野美咲さんが担当している。
物語後半でレックスに対して発した優しく叱咤するセリフやエンディングのやりとりには思わず涙が出てしまった。
久野さんと言うと舌足らずなロリ系を演じる事が多いかと思うが、あの舌足らずな感じがあるからこそトラの事をぞんざいに扱っても悪い子では無いと感じるのでは無いかと思う。

 

メレフ / カグツチ

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メレフとカグツチ

メレフはスペルビア帝国の特別執権官と言う肩書を持つと同時に帝国最強のドライバーだ。

筆者は当初、メレフは中盤に立ちはだかるハードルとしての存在なのでは無いかと思っていたため、想像よりも早く仲間なった印象だ。
メンバーの中では最も常識的な人物だ。

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カグツチ

カグツチはメレフのブレイドであり、メレフ同様に非常に常識的な人物である。…料理の知識は皆無のようだが。
カグツチはこの物語において多くのブレイドがどのような事を考えて生きているのかを示してくれる(代弁してくれる)存在でもある。

 

ジーク / サイカ

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ジークとサイカ

ジークは基本的にコミカルなキャラクターだが、シリアスなシーンで見せるギャップはズルいほどにカッコいい。
ふざけているように見えて、本当は強くて頼りになる兄ちゃん的な存在だ。
そんなのカッコよくない訳がない。

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イカ

イカジークのブレイドであり、基本的にはジークに対してツコッミを入れる役回りが多い。
とは言え、サイカジークに対してかなりの好意を持っているのがわかる。
そうであるが故に彼女も一歩間違えればイーラのような存在になってしまったのでは無いかと筆者はつい想像してしまう(これは他のキャラクターにも同様に言える事だ)。

筆者がジークとサイカの二人の関係性で最もグッとくるのは一見ジークがふざけておりサイカがしっかりしているように見えるが、本質的にはジークの方がどっしりと構えて頼りになる存在である点だ。

 

セイリュウ 
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セイリュウ

セイリュウの立場も非常に懐かしいものを感じた。
筆者が小学生の頃に見ていたアニメなどでは、セイリュウのようなアドバイスや諭す年長者タイプのキャラクターがいた気がするのだ(作品など具体的に出てこなくて恐縮だが)。

セイリュウ千葉繁さんが声を担当している。
千葉繁さんは本作品の音響監督も務めた

 

システム

本項ではゼノブレイド2のシステムに関して記載していこう。

 

バトル

ゼノブレイド2のバトルシステムは筆者がプレイしたゲームの中でも間違いなくトップクラスのシステムであると断言して良い。

詳細は後述するとして、ゼノブレイド2のバトルの欠点について最初に書いておこう。
それは”難解(万人向けではない)”という点だ。
これは野球と言うスポーツが世界で流行しにくい現象と似ていると筆者は思っている。
野球は得点できるまでのシーケンスがサッカーなどと比べて明らかに難解だ。
「なぜ1塁に向かうのか」「なぜゴロを処理してアウトにできるのか」など楽しむのに必要不可欠となるルール自体を理解するのに一定の教養・知性あるいは知識を要求される。これは理解できるから凄い/偉いといった類いの話ではなく、「遊びの楽しさを理解できる領域(奥深さ)に到達しにくい」という事なのだ。

ではなぜ難解に感じるのかであるが、単純な要素の多さ以外にもチュートリアルにいささか問題があったように思う。
具体的には「戦力が整っていないのに戦術・戦略を教えすぎ」なのだ。
筆者も同様だったのだが、ブレイドコンボやドライバーコンボのチュートリアルが登場したタイミングではパーティーメンバーの戦力が全く整っていなかったため、それらを狙って発動させる事が難しい。
チュートリアルで説明された内容が通常バトルで簡単に再現できない状態では「バトルシステムが難しい」と感じてしまっても仕方ないように思う。
一応、レベルデザインとして「序盤はアーツや必殺技」「中盤以降は必殺技やブレイドコンボ」で倒す事が想定された体力設定になっているようには感じるが、チュートリアルの仕組み、あるいはタイミングはもう少し検討した方が良かったのでは無いだろうか。

なお、チュートリアルに関してはゼノブレイド2の公式から一覧が公開されている。
使いこなせていないと感じた場合には再確認してみると良いだろう。
・チュートリアル1(バトル関連)

・チュートリアル2(装備やキャラクター強化など)

・チュートリアル3(探索など)

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美しくデザインされたバトル

ゼノブレイド2のバトルを端的に表現すれば「ぷよぷよ式」だ。
ぷよぷよ”は相手を倒すために連鎖を仕込む。そしてその連鎖が多ければ多いほど強力だ。ゼノブレイド2のバトルシステムに関してもコレと共通項が多い。
"ぷよぷよ"の連鎖させるための事前準備(積み上げ)がゼノブレイド2における「ブレイドコンボ」と呼ばれるシステムによって属性玉を作り上げる工程と同様と言える。
また、積み上げた連鎖を発火させる方法はゼノブレイド2においては「チェインアタック」に相当するのだ。

では、”ぷよぷよ”のような「積み上げていく事へのリスク」は存在するのかという点だが、それも存在している。
リスクの1つ目は発火の役割を担うチェインアタックがパーティゲージを全消費してしまう事だ。
パーティゲージはHPが0になったキャラクターを復帰させる際にも使用するのだが、このゲージをMAXまで溜めた状態から全て消費する事で発動させる必要がある。つまり、チェインアタックで仕留め切れない状況にでもなれば途端に大ピンチになるのだ。
リスクの2つ目は敵へのダメージ量だ。
強力なユニークモンスターなどは体力が減る事で強力な攻撃を放つようになったりするのだが、連鎖の仕込みを行うためには威力の高いブレイドコンボを決めていかなければならない。
つまり、連鎖を仕込めば仕込むほどに敵が強力な攻撃を発動してくるリスクがあるのだ。
いかに迅速に仕込み、敵の強力な一撃を受けずに発火させるかも重要な要素となっている。

一般的にJRPGと呼ばれるゲームで多い「レベルを上げて(装備を整えて)殴る」構図はシンプルかつ確実性の高い楽しさを生み出す一方で、バトルが予定調和の単純作業と化し飽きが生まれやすい。
本作のバトルが飽きにくい所以はこの”ぷよぷよ”のようなパズルゲームとの類似性があるであるからでは無いかと思う。

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バトルデザインは美しく、隙を生じぬ四段構えだ

本作のバトルシステムの要素の関係性を簡潔に図にすると上図のようになる。
オートアタックはアーツを。
同様にアーツは必殺技を。
必殺技はブレイドコンボを。
ブレイドコンボはチェインアタックを。
…と全ての要素が1つのラインで美しく繋がっている。
これについても説明していこう。

過去作のゼノブレイドシリーズのバトルシステムにおいてはオートアタックとアーツによって戦術を組み立てるものとなっていた。
本作、ゼノブレイド2においてはこの部分においても非常に良く改良が行われているのだ。

オートアタックとはいわゆる通常攻撃であり、戦闘中に何もしていない時に発生する威力が低めの攻撃の事だ。
対してアーツは技のようなもので、発動させる事でオートアタックよりも大きなダメージやバフ・デバフ、回復を行うものとなっている。
アーツは連続で使用する事はできず、リキャストと呼称される再チャージ完了まで再発動はできない。

ゼノブレイドゼノブレイドクロスにおけるアーツのリキャストは時間経過により発動可能となっていた(過去作を既プレイの方にはモヤモヤする表現になって申し訳ないのだが文字数の関係から詳細は割愛する)。
これは捉え方を変えるとオートアタックとアーツがそれぞれ独立あるいは競合した機能となっている事を意味している。

しかし、本作ではオートアタックとアーツの関係性の変更が行われ、非常にエレガントなバトルデザインへと昇華している。
まず、本作においてのアーツが時間経過ではなく「オートアタックを当てる事でアーツを使用できる」ように変更されている。
これにより独立・競合した機能となっていたオートアタックとアーツの関係性が直列的な共生関係を持ったシステムになったのは大きいポイントだろう。
更に、アーツを使用する事で「必殺技が使用できる」ようになっている二段構え。
更に更に、必殺技を繋げる事で強力なコンボとなる「ブレイドコンボ」というシステムによる三段構え…。
更に更に更に、ブレイドコンボを積み上げた所で前述した”ぷよぷよ式”の連鎖発火を行う「チェインアタック」の隙を生じぬ四段構えなのだ。

その他の紹介していないドライバーコンボやブレイドスイッチ、キャンセルなどのシステムも全て独立・乖離・競合する事はなく非常に綺麗にバトルシステムと言うテーブルの上に並べられている。

一見、要素が多いため理解しがたいゴチャゴチャしたものに見えるかも知れないが、これほどの美しいバトルデザインとなっている事には驚くほかない。

 

必殺技
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必殺技を発動させると「ボタンチャレンジ」が発生する

前述のとおり、必殺技はアーツを発動させる事によって溜めたゲージを消費する事で発動する。必殺技は最大で4レベルまでチャージする事が可能だ。チャージしたレベルに応じて必殺技も変化する。

必殺技を発動させると「ボタンチャレンジ」と呼ばれるQTEライクなボタン操作を要求される。
ゼノブレイドシリーズ…特にゼノブレイド2においては地味ではあるが欠かせない要素の1つとなっている。

ではなぜそう感じたのかについて説明しよう。
この必殺技の発動中はドライバーブレイドに武器を渡している。そのため、攻撃が行えない状態だ。
そんな中で本作におけるQTEライクなボタンチャレンジと言う要素が無かった時の事を想像してみて欲しい。
ボタンチャレンジが無いと必殺技発動中はユーザーは手持ち無沙汰となりやるべき事が何もなくなってしまうのだ。つまり、戦闘中にも関わらずただただ映像を観るのみとなり、必殺技の時間が終わるのを待つしかないのだ。
かつてPS時代などのファイナルファンタジーでは召喚獣カットシーンが余りにも長く、ただ観るだけの戦闘となりプレイのテンポを著しく落としてしまっていた時期があった。
時間換算からすればゼノブレイド2においてはそこまでのテンポの悪さにならないにしろ、必殺技の発動中にボタンチャレンジ(QTE)が無ければゲームのテンポが削がれていた事は疑いようのない事実だろう。

また、本作のボタンチャレンジは「成功する事でメリットを得るタイプ」のシステムである事も上手に活用できていると感じられるポイントだ。
使用方法で最も批判が多いと思われる「QTEの失敗が即ゲームオーバー」が代表的なように「失敗する事でデメリットが発生するタイプ」はハッキリ言って余り良い使用例では無いだろう。

必殺技にて押す事になるボタンもBボタン固定となっているのも非常に良い選択であると感じる。
戦闘中のような集中しているタイミングでQTEの指定ボタンが可変(押すボタンが毎回違う)となるようなデザインはよろしく無いと思うのだ。
ユーザーは、戦闘中であれば戦闘に、カットシーンであればカットシーンに集中したいハズだ(ゼノブレイドシリーズにはカットシーン中のQTEは無いが)。
そこに押すボタンが毎回違うような過度なQTEを導入してしまうと、戦闘やカットシーンではなくQTEに注意が向いてしまう。これでは本末転倒だ。

QTEと言えば近年では一般的に”悪しき遺産”として語られる事が多いように思うが、それは使い方の問題だと筆者は考えている。
ゼノブレイド2におけるQTEの使用方法は参考になる所が多いのでは無いだろうか。

 

ブレイドコンボ
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ブレイドコンボ

ブレイドコンボはブレイドの必殺技を属性によって繋げていき、3回繋げられるとブレイドコンボのフィニッシュとなる。
フィニッシュ時にはブレイドのカットインがカッコよく入り、またそれによって達成感を感じさせてくれる。しかも、チェインアタックで大活躍してくれる属性玉のおまけ付きだ。
カットイン中は味方が無敵となるため、緊急防御としても使用するケースが出てくるだろう。また、前述同様にボタンチャレンジもあるため、カットインの必殺技シーンとは言え観てるだけにならないものテンポが崩れない。

ブレイドコンボは一番最初に発動させた必殺技の属性によって繋がる属性が異なるため、戦力の整っていない序盤~中盤までは安定して出せるブレイドコンボのトリガー属性を覚えておくと良いだろう。

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ブレイドコンボの仕組みは単純だが、GUIからはシステムを理解しにくい

ブレイドコンボを3回繋げると敵に対して追加のデバフ効果を与える事ができる。
例えば上図にあるような「ブレイド封鎖封印」や「キズナダウン封印」、他にも「悪臭封印」「ブロー封印」などなど。
厄介な特殊攻撃を使用する相手にはブレイドコンボによって抑え込むと良いだろう。

しかし、ここには問題点があるように感じる。
なぜならばGUIから次に何をすればブレイドコンボが繋がるのかがわかりにくいのだ。
攻略記事では無いためブレイドコンボの決め方はここでは説明しないが、GUIではアニメーション(最低限で矢印表記や点滅)などで次に何をすればブレイドコンボが成立するのかわかるように表記するべきではないだろうか。
※黄金の国イーラ編では、システム自体に変更があるがアニメーションによってわかりやすく再構築されている。

システムを理解してしまえば、このGUIも機能として十分に満足いくようにデザインされている事はわかる。
しかし、逆の視点として「システムを理解するためのGUI」として見た場合は少々混乱を招くようなデザインになっているように感じるのだ。

ゼノブレイド2に限った話ではないが、情報量の多いシステムにおいては画面がゴチャゴチャしやすく、またそれを解消しようとシンプルにすると直感性が薄れるというダブルバインドが発生しやすい。
一度理解してしまえば不便に感じる事は無くプレイフィールに大きな影響を及ぼすものでは無いとは言え、もう少し工夫が欲しかった所だ。

 

チェインアタック

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チェインアタック

連鎖を発火させるチェインアタックでは、ブレイドコンボによって積み上げた属性玉を割っていく事になる。
属性玉は通常3回攻撃をヒットさせると割れるのだが、弱点属性(炎の属性玉なら水属性)で攻撃させると2回分ヒット相当のダメージとなり簡単に割る事が可能となる。
また属性玉が複数存在した場合、通常ではランダムにヒットするためどの属性玉に当たるかわからない。しかし、属性玉の弱点属性で攻撃した場合には必ず弱点の属性玉にヒットする。こうした仕組みを知っておくと大量の属性玉があっても効率的にチェインアタックで連鎖を行えるだろう。

バトルにおいてはこのチェインアタックが最も重要だ。
特に高レベルな格上の相手と対峙する場合には必須とも言える。
高レベルの相手の場合には体力の低下に応じて非常に強力な攻撃を放ってくるケースが多くなる。そうなるとこちらの回復ペースが崩され戦力がジリ貧になりやすくなるのだ。そのため、敵の体力が大きく下がりきる前に多くの属性玉を仕込み、そしてチェインアタックにより発火させ、強力な攻撃が放たれる前に敵を始末するのだ。
大量の属性玉を仕込みチェインアタックも成功すれば自分よりも格上の相手であっても勝つ事が十分に可能だ。
画像のように表示上のカンストまでダメージを与える事だってできる。

ブレイドコンボで仕込んだものが絶大な威力になって表れるため非常に爽快でハイな気分にさせてくれる最高の攻撃方法となるのだが、戦力の整っていない序盤のうちは属性玉を割るだけでも苦労するため発動したは良いが削りきれずに逆に返り討ちにあう事も多い。
戦力が整ってきた段階で積極的に使用する事をオススメする。

前述しているが、パーティゲージを全消費してしまうリスク、連鎖の仕込みによって敵が強力な攻撃を放つようになるリスクがあるため、リスクとリターン(味方と敵の状況)を考えて使用しよう。

 

ドライバーコンボ

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敵の物理的な状態を変化させるドライバーコンボ

ドライバーコンボはブレイドの能力(属性)ではなく、ドライバー自身の技によって繋げるコンボだ。
ゼノブレイドシリーズの過去作をプレイしているのであれば「崩し⇒転倒」などと表現すればピンと来るだろう。
本作では「ブレイク(崩し)⇒ダウン(転倒)⇒ライジング(打ち上げ)⇒スマッシュ(叩きつけ)」の順番に行う事が出来るようになっている。
ドライバーコンボはブレイドコンボとは異なり、最終であるスマッシュまで無理に繋げる必要はない。戦況に応じて使用するのが良いだろう。
特にドライバーコンボはブレイクがトリガーとなるため、ブレイクを使えるメンバーを複数名用意したり、ブレイク抵抗を下げる装備をしたりすると安定しやすい。
また、ブレイクが通用する敵であればメンバー構成次第でブレイクとダウンを繰り返し発動させ、敵に何もさせないと言う戦術も可能である。
しかし注意点として、ブレイクが無効となる敵やブレイク抵抗が高い敵も多いため万能と言う訳ではない。
ドライバーコンボは基本的にプレイヤー1人だけでは狙って発動させるのは無理がある事が多い。
しかし、味方AIも賢いため状況に応じてドライバーコンボなどなど決めてくれるため仲間を信じて・息を合わせて戦う事が多くなる。
これによってプレイヤーはより仲間との一体感を得る事ができる。

なお、ドライバーコンボとは少々異なるが「ノックバック」「ブロー」と言ったリアクション攻撃も存在する。
敵を高所から落とす事にも使用できるが、これらの攻撃はブレイドコンボと比較すると、よりアドリブ性の高い瞬発力を求められる使い方もできるのが特徴だ。
例えば敵が強力な攻撃の表示・予備動作をした際がわかりやすい。
「ブレイク」や「ダウン」、「ノックバック」と言った攻撃を行うことで敵の攻撃をキャンセルさせる事ができるのだ。
必ず成功するとは限らないが「ヤバい!!」と感じた際に防御行動として行う場合も多いだろう。

 

フュージョンコンボ

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ブレイドコンボxドライバーコンボがフュージョンコンボだ

フュージョンコンボは前述したブレイドコンボとドライバーコンボの両方を発生させた際に発動するものとなる。
発生した・させた際の効果としては「威力アップ」や「ブレイドコンボの時間延長」などがある。
一見、難しいのだがブレイドコンボやドライバーコンボの仕組みがわかってくれば、問題なく発動できる。

筆者がゼノブレイド2 Directを観た際、フュージョンコンボを決めた際に差し込まれる専用のカットインがゲームプレイのテンポの妨げにならないかと少々心配であった。
しかし、実際にプレイしてみるとこのカットインが戦闘のメリハリとなり心地良い達成感があり非常に爽快であった。

 

ロール

ゼノブレイド2のブレイドにはロール(役割)が存在する。
ロールは攻撃、回復、盾の3パターンだ。
ドライバーブレイドのロールによって能力補正を受けたり、戦闘の役割を変更する事が可能だ。
また、同じロールのブレイドであっても、ブレイド毎に属性や特殊スキルが異なるため、自分好みの戦法や戦術・戦略を見つけ出す工程も非常に楽しい。
様々なビルドを考えているだけでも筆者は楽しむ事ができた。

 

ブレイド

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コアクリスタルから同調して誕生するブレイド

本作ではブレイドと言う存在とコアクリスタルと同調する事によって仲間にする事ができる。言ってみれば「ガチャ」のようなものなのだが。
コアクリスタルは宝箱であったり、敵がドロップしたり…あるいはイベントで入手できるものもある。

ブレイドにはコモンと呼ばれるものと、著名なイラストレーターによって書き下ろされたデザインを3Dモデル化したレアと呼ばれるものが存在する。
コモンブレイドは見た目は少々地味ではあるのだが、属性や能力値、キズナリング(スキルと思って良い)などはランダムで設定されるので、場合によっては大化けするコモンも出てくる。
レアブレイドモデリングは非常に丁寧であり、各イラストレーターの特徴がそのまま3Dモデルになっている。
また、大きな特徴として専用のサブイベントが設けられているのも重要なポイントだ。
ただでさえ常軌を逸したような物量を誇る作品であるのだが、こう言ったサブイベントが用意されている事も驚くばかりだ。
サブイベントは主にそのレアブレイドの一面を知る事ができる内容となっており、序盤から簡単にクリアできるようなものは無い。ゆっくりと進める事となるだろう。

少々脱線してしまうのだが、ここからは筆者のお気に入りのレアブレイドの一部ではあるが紹介させて欲しい。

KOS-MOS Re: / T-elos Re:
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KOS-MOS Re: / T-elos Re:

これは最早言わずもがなだろう。
ゼノサーガシリーズのKOS-MOST-elosだ。
キャラデザはKOS-MOS Re:を田中久仁彦さん、T-elos Re:をCHOCOさんが担当している。このチョイスだけでもファンにはたまらないだろう。
声は(当然かも知れないが)鈴木麻里子さんが担当している。

性能は非常に高く、また扱いやすい。
KOS-MOSはリキャストアップによるアーツ発動効率の上昇に加え、必殺技レベル2では範囲攻撃しつつパーティー全体回復の効力もあるため万能だ。
T-elosは火力に特化しており、敵を倒したり味方が倒されたりすると火力がどんどん上がっていく。ヘイト管理は大変だが非常に強力だ。

単純に考えればファンサービスではあるのだが、本作で明かされる事実から考察すると決してファンサービスと言うだけでは無いのではないかと感じてしまう所もある。

なお、両者を仲間にした状態でとあるクエストを行う事で両者のちょっとした掛け合いを観る事ができる。

 

カサネ

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カサネ

カサネは非常に前向きで明るい女の子ブレイドだ。
キャラデザは”しらび”さんが担当している。
声は水瀬いのりさんが担当している。

詳細はカサネのブレイドエストでわかるが、彼女は簡単に書けば「コナン体質」だ。
彼女がいる事で周囲に災いが発生するのだが、彼女がそれを解決していこうとする。
そのどこまでもポジティブな性格は魅力的だ。

能力的には防御ロールのお手本のようなヘイトを強力に奪うものや正面特効などがある。
また、クリティカル発生時に与ダメージの一定量がHP回復になる非常に有用な特性もあるのだが、武器のハンマーはクリティカル率が低く恩恵が若干薄い点は注意が必要だ。

 

ヴァサラ

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ヴァサラ

ヴァサラは和風な雰囲気を持つ、弱きを助け強きを挫く信念を持ったブレイドだ。
キャラデザは鈴木康士さんが担当している。
声はKENNさんが担当している。

能力としては少々扱いにくく、ヒト型(亜人含む)の敵への即死効果や戦闘中に敵を倒す事で与ダメージがアップするなどはあるものの、どれも汎用性は余り高くない。
状況に応じて、あるいはメンバーブレイドの属性やアーツを考慮して選出する事になるだろう。

ヴァサラが何よりもカッコいいポイントはそのセリフだ。
自分が刀を使用する事とかけた「我が道を切り開く!!」や防御(ヘイトを奪う)ロールである事とかけた「全ての悪意は我が頂く!!」といったセリフが聴いていて実に頼もしくカッコいい。

 

ヤエギリ

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ヤエギリ

ヤエギリは戦う事しか頭に無い戦闘狂だ。
キャラデザは岩本稔さんが担当している。
声は竹達彩奈さんが担当している。

ヤエギリの能力は戦闘狂だけあり非常に高く、また扱いやすいものがそろっている。
リキャストアップによりアーツの回転率を高め、会心アップも斧との相性が良い。
また、対格上・対ボス/ユニークでダメージが上がるなど強敵キラーだが、火力の出過ぎでヘイト管理が難しくなる危険はあるので注意したい。

彼女もセリフがカッコいい。
ボスやネームド相手時にヤエギリへとブレイドスイッチを行うと「楽しい!!楽しいぞぉ!!!」と言ったり、ブレイドコンボ時には「これを耐えたら誉めてあげる!」と自信満々なセリフを言う。
その能力も相まって頼もしさは随一だ。

シュルク / フィオルン

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シュルクとフィオルン

ご存知の方も多いだろうがシュルクとフィオルンは前作の主人公とヒロインだ。
キャラデザは田中久仁彦さんが担当している。
シュルクの声は浅沼晋太郎さん、フィオルンは中尾衣里さんが担当している。

KOS-MOS Re:とT-elos Re:はブレイドとして参戦しているが、シュルクとフィオルンは本人としての登場となる。

シュルクの戦闘能力はチーム全体へのバフが主体となっており非常に強力だ。
また、代名詞とも言える「未来視」も専用にシステムに組み込まれているため必見だ。
必殺技のレベル1はチャレンジバトルでお世話になる事が多いだろう。

フィオルンは基本的に回復タイプなのだが、原作同様の脳筋気質でアタッカーとしても結構な性能を持っている。
しかし、強豪ブレイドひしめく風属性であるためパーティーのバランスを考えて入れる事になるだろう。

考え過ぎの可能性は否めないが、シュルクのスキル「未来視」ではゼノブレイドゼノブレイド2の世界の違いについても感じさせる。
ゼノブレイドの場合、シュルクが未来視で観た未来は確定された未来だった。
これは例えば、未来視で見た敵の攻撃は防ぐなり、避けるなりするしか無いのが基本であったのだ。つまり、必ず来る攻撃に対して対処する形だ。
しかし、ゼノブレイド2の世界で見るシュルクの未来視はケースによっては発生することすら無い不確定な未来となる。
こちらは、ノックバックやブレイクによって比較的簡単に攻撃の発生そのものを防ぐ事ができるのだ。つまり、そもそもそんな未来が起こさない事もできるのだ。
このような要素からも前作ゼノブレイドの世界が「可能性の閉じた(収束した)世界」であると改めて感じる事もできるのでは無いだろうか。

 

エルマ

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エルマ

ゼノブレイドクロスの実質的な主人公であるエルマさんも参戦している。
キャラデザは田中久仁彦さんが担当している。
声は桑島法子さんが担当している。

このエルマに関してもシュルク達同様に本人としての登場となる。
キャラが濃いメンバーの中にあって、エルマのような非常に頼りになる大人のお姉さんタイプの存在は貴重だ。

エルマの能力において最も特筆すべきなのは「オーバークロックギア」だ。
オーバークロックギアはゼノブレイドクロスにおいて最もお世話になったバトルのシステムなのだが、エルマが戦闘に参加していれば発動可能となる。
オーバークロックギアを発動すると本家ライクなGUIが表示され、本家と同様に攻撃のヒット数に応じて総合的な攻撃力(威力や回転率など)がグングン上昇していく。
更にここで最も嬉しいのは原作同様にBGMが「Wir fliegen」に切り替わる点だ。
処刑用BGMとも言えるこのBGMがゼノブレイド2でも聴けるのは最高に楽しい。
しかし、時間によるリキャストでないため本家ほどアーツを高速に放ち続ける事はできず、またアーツの役割もゼノブレイド2とゼノブレイドクロスでは異なるため、特有の爽快感までは若干再現できていないのは惜しい所だ。

また、エルマとはゼノブレイド2世界で戦闘を行う事になるのだが、対エルマ戦ではゼノブレイドクロスのユニーク(オーバード)戦BGMである「Uncontrollable」が流れる点も忘れてはならない。

 

キズナトーク

ゼノブレイドシリーズ恒例の要素だ。
パーティメンバーによるキズナトークはもちろん、全レアブレイドでも専用に用意されている。
更に今作ではキズナトークはフルボイスとなっておりボリューム感は恐ろしい。

今作のキズナトークでは登場する選択肢に正解と不正解は無く、会話の内容に変化が生まれるのみとなっている。
イベントやブレイドエストなどとは異なり、後から見返す事が出来ないのは少々不便な仕様にも思える。どちらも正解であるなら後から見返せない事が不便に感じるのは尚更だ。

また、ボイスを付けるようにしたのであれば是非とも会話のオート送り機能も実装して欲しかった所だ。

 

マップ

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フィールドデザインとマッチしないマップ

本作においてマップは最も残念な仕様だ。

例えば上図はグーラのマップの右半身だ。
グーラには右半身から左半身へと繋がる道が存在しているのだが、このマップを見ただけでは右半身のどこが左半身へと繋がっているのか読み解けない。
実際のプレイでもこのマップと同様にセパレートされたフィールドなのであれば話は違うがゼノブレイド2においては1フィールドは全てシームレスだ。
こうなると自分がいるポイントが右半身で、行きたいポイントが左半身であった場合に(左半身マップに自分の位置は表示されないため)位置関係が適切に参照しにくく、土地勘が無い状態では迷子になる事は避けられない。

また、ゼノブレイドシリーズは総じて縦横だけでなく高低差や上下に重なったフィールドが特徴となっている。しかし、本作のマップの仕様ではそれらが繋がりをもって理解しにくい。
一般的な3Dゲームであれば同様のマップ構成であっても気にならないのではと感じるのだが、ゼノブレイド2ほど高低差や上下に重なった入り組んだ地形の密度が濃い場合には航空写真ベースのような見下ろし型のマップではどこの道がどこの道の下をくぐっているのかなど詳細な座標関係がわからないため痒い所に手が届かないのだ。

アップデートによってマップの利便性は向上したものの、マップそのものの機能性自体が向上した訳では無いため、土地勘を得るまでは少々大変だ。
マップは本作にマッチした表現方法を設計してもらいたい限りだ。

しかしながら、本作はオープンワールドと謳ったゲームではないとは言え、この規模でもファストトラベルが5秒程度となっており、この規模のゲームで考えれば圧倒的な速度を誇っている点は素晴らしい事だろう。
とは言え、フィールドのテクスチャーの描画が読み込み切っていない状態で開始されるため、描画が全て完了するのは10秒程度だろうか。
これは映像面よりも操作の待ち時間が発生しないようにしたトレードオフと思われる。

なお、DLC「黄金の国イーラ」においてはマップの仕様が変更されており、マップ間の繋がりが把握しやすいように改善されている。
しかし、上下の重なりまでは把握できないままだ。

 

アドバンスドニューゲーム

アドバンストニューゲームは無料のアップデートにより追加されたモードで、いわゆる”2週目”だ。

アドバンスドニューゲームで遊ぶためにはラスボス戦をクリアした状態のデータが必要となる。
アドバンスドニューゲームでは仲間にならなかったブレイドが仲間になるほか、とあるブレイドのレベル4必殺技が解禁される。アイテムも一部のイベントアイテムを除けば全て持ち越し可能だ。

その他にも宿屋にてレベルダウンを行えるようになるなど面白い要素もある。
ただ、筆者としてはレベルダウンは十分に嬉しいのだが、それと並行して敵の強化(特に体力強化)も実施して欲しかった所だ。
キズナリングのキズナギフト(スキル)が十分に解放されてしまっていると、レベルダウンをしても火力が出てしまうためやはり少々物足りない。
そのように感じる筆者のようなプレイヤーには「難易度調整機能」も存在している。
単純に高難度である"極"を選択する事も可能であるし、難易度を”カスタム”にすれば自分好みの戦闘バランスにする事も可能であったりと痒い所に手が届いている。

なお、これからアドバンスドニューゲームを始める方で新たに仲間になるブレイドを早々に出現させたい場合にはアドバンスドニューゲームを始める前にコアクリスタル(特にエピックやレア)を十分な数を揃えておくと良いだろう。

 

チャレンジバトル

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チャレンジバトルは濃密でやり応え抜群だ

チャレンジバトルはDLCの追加要素として配信された新モードだ。
遊ぶためにはストーリーをある程度は進めておく必要がある。

本作でもっとエクストリームなバトルをご所望の筆者のようなプレイヤーには待望の追加要素の1つだ。
実際にプレイしてみると、その難易度バランスは絶妙だ。
決してゴリ押しでは勝てないようになっており、きちんと味方と敵のマネージメントや特徴を把握しなくてはならないようになっている。
高難易度では戦闘のバランスをパーティーゲージ減少技や即死技に頼りがちに感じなくも無いが、敵が放つ即死級の危険な技をブレイドコンボフィニッシュやレベル4必殺技、チェインアタック、リアクション攻撃などで凌いでいくアドリブ性は非常にやりがいを感じる。
敵の体力もかなり多く設定されており、簡単には死なないようになっているのも非常に嬉しい限りだ。

そして何よりもリワードとしてゼノブレイドシュルクとフィオルン、そしてゼノブレイドクロスのエルマがブレイド的な役割で仲間になってくれるのは最高のご褒美だろう。
筆者が何より驚いたのがシュルクやフィオルン、エルマ的なブレイドなのでは無く、ゼノブレイドシュルクとフィオルン、ゼノブレイドクロスのエルマとして登場している点だ。
ただのファンサービスかも知れないが、考察してみても面白い要素だ。

 

黄金の国イーラ

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黄金の国イーラ

黄金の国イーラはゼノブレイド2のDLCまたは単独で動作するパッケージとしても購入可能だ。
ボリュームはDLCとしては相当なもので、システム面の変更もあるためほとんど新作と言っても過言ではない程の内容となっている。

ゼノブレイド2 黄金の国イーラ

 

 

ストーリー

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大ボリュームだが、それでも足りていない

ストーリーは本編の500年前をラウラとシンを主人公に置いて描いており、本編では断片的であった部分を補完する役割を持っている。

登場するキャラクター達は非常に魅力的だ。
元気で芯の強いラウラ、優しく見守るシン、おっとりとして天然でお化けが怖いカスミなどなど。
メインシナリオやサブクエストで見せる意外な一面や設定もある。
本編だけでは知りえなかった内容は嬉しい限りだろう。
また、(システムとも言えるのだが)黄金の国イーラにおける最終戦における豪快な演出を用いた戦闘システムは必見だ。

しかし、ストーリー面では少々勿体ないと感じさせる。
ストーリーのボリュームは濃密であるのは間違いないのだが、描こうとしている内容から考えた場合、それでも物語の展開が駆け足に感じる部分が多い。

また、ストーリーはゼノブレイド2の世界観をある程度は知っている前提で話が進んでいくため、世界観に関する説明が全く無い。
そのため、本作の世界観を全く知らない状態でパッケージ版を購入してプレイした際にはストーリー面において良くわからないまま進んでしまう恐れがある。
最低限「ゼノブレイド2 Direct」を視聴してからプレイする事を推奨する。

これらの欠点はどれもDLCと言う立ち位置でこの作品が製作されている事に起因しているように思える。
もしも可能であるならば「ゼノブレイド3」くらいの立ち位置でガッツリと製作する事で「駆け足感」や「世界観の説明」を解消できたのではないだろか。

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サブクエストも優秀だ

黄金の国イーラではサブクエストも優秀だ。

本編をプレイしていれば「あ!」と思える人物が何人か登場する点も面白く、また本編の500年前である黄金の国イーラ編の世界情勢を知る術としても機能しており非常に充実している。
これはメインシナリオを担当した1人でもある竹田さんがサブクエストに関しても関わっているためと思われる。

 

システム

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新作と言っても過言ではないシステム

黄金の国イーラではバトルシステムが本編をベースとしつつも一新されている。

詳細には書ききれないため省略するが、バトル面においては「スイッチアーツ」と「タレントアーツ」が追加されている。

黄金の国イーラでは本編と異なり、スイッチするのがブレイドだけでは無く、戦闘する人物をドライバーブレイドかに切り替える事ができる。
その切り替え時に発動する攻撃がスイッチアーツとなる。
スイッチアーツにはドライバーコンボ系のブレイクやダウンと言った効果が付与されているため、これを使用して敵を状態を切り崩す事が可能だ。
また、被ダメージにはリザーブが存在しており、リザーブされたダメージは赤く表示されている。この赤い領域が表示された状態でドライバーブレイドをスイッチさせる事で、その分のダメージを回復できる。
これによってキャラクターのダメージコントロールを行うようになっている。

タレントアーツは初代ゼノブレイドから久しぶりの復活となる。
これは各キャラクター固有のアーツでそれぞれ特徴が異なる。
HPを消費して全てのアーツをリキャスト完了させたり、全てのアーツのリキャストを消費して敵の行動を止めたりなどキャラクター毎の個性を表現できる非常にユニークな要素だ。

黄金の国イーラでは本編とは異なりパーティーメンバーが実質的に固定となっている。
そのため、シナリオにおけるレベルデザインや本編で至らなかったチュートリアルが洗練されており、より適切なタイミング・方法で表現できている。
その他に本編におけるブレイドコンボやチェインアタックまでの過程が簡略化されており、戦術性や戦略性が低くなったもののこちらも初心者には親切だ。
これらの観点から(本編とはシステムに差異はあるものの)ゲームシステムを理解するには本編よりも黄金の国イーラをプレイする方が良いのでは無いかと思われる。

また、特筆するべき点としてこれらの変更された要素は世界観準拠であるため、ストーリーテリングとしての役割も果たしている。
黄金の国イーラで行われるドライバーブレイドが入り乱れて戦うと言う戦法は500年後を描いている本編では廃れた戦術とされており、ドライバーブレイドの戦い方が確立されていない時代のものだ。
そして、本編と比較しても到達できるダメージ量が明らかに抑えられている(レベルデザインはダメージ量が低い事を想定したものになっているため安心して良い)。
つまり、戦い方も500年前を再現しているし、数値的なダメージ量を抑える事で不完全な戦い方である事も表現しているのだ。
こういった表現がストーリーテリングとしても機能しておりファンならばニヤリとできるポイントだ。

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キズナグラムのようなヒトノワ

また、過去作に登場しているキズナグラムのようなヒトノワというシステムも採用されている。
サブクエストなどをクリアしていく事で増えていくヒトノワはシナリオを更に補完する役割もあるため、是非ともMAXまで到達してみて貰いたい。

 

グラフィック

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ハイファンタジーとも言える世界観は常に美しい

本作のフィールドデザインは過去作同様に神が宿ったように美しい。
フィールドの広さは過去作ほどでは無く、名前しか登場しない村などが存在する事は残念に感じるものの、その表現力のリッチさは格段に向上しているのがわかる。

グラフィックの表現面に関しては前作ゼノブレイドクロスと比較した場合、ライティング・シェーディング関連が大きく強化されている事がはっきりとわかるだろう。
また、キャラクターの激しい動きにはブラーを使用して、より躍動感が出るように演出されている。

欲を言えば近年増えているフォトモードのような機能が欲しかったと言えるし、それが無理だとしても画面のGUIを全てOFFに出来る機能は欲しかった所だ。

また、本作では可変解像度が採用されている。
リソースの少ないNintendo Switchでは珍しくは無いものだが、ゼノブレイド2においては可変解像度がかなり極端に採用されており、密集した敵と戦う場合などは明らかに解像度が落ちているのがわかる。
グラフィックレベルは高水準なだけに解像度が落ちすぎるケースがあるのは少々勿体なさを感じる。

DLC「黄金の国イーラ」では、追加フィールドであるイーラに関してグラフィックエンジンに修正が加えられている事が公表されている。

 

サウンド

ゼノブレイド2の音楽はどれも傑作だ。
また、DLC「黄金の国イーラ」では専用にBGMが追加されている。
共にフィールド曲、イベント曲、バトル曲はどれも印象的なメロディであり史上でも最高峰では無いだろうか。

幻想的な「Xenoblade II - Where It All Beg」「Elysium, in the Blue Sky」は2曲で1曲とも言える曲だ

神秘的でどこか悲しみのある「古代船」

ノリノリの戦闘曲「Exploration」

テンションが上がらざるを得ないイントロから始まる「Incoming!」

暖かみのある牧歌的な雰囲気を持つ「グーラ領 - 森林」

非常に爽やかでコーラス部分が最高にクールな「グーラ領」

タイトル画面で流れる美しい旋律の「在りし日のふたり」

メロディの起伏をしっかりと作りつつも幻想的で美しい「インヴィディア烈王国」

感動的なメロディと歌詞の「Drifting Soul」

本作の象徴とも言える負ける気がしない曲「Counterattack」

最高にノリノリでカッコいいフィールド曲「スペルビア帝国 ~赤土を駆け抜けて~」

色々な意味でヤバい「最強サクラの歌」

Counterattackと並び本作において象徴的な「罪深き懇望の果てに」

悲しくも落ち着く「Shadow of the Lowlands」

神秘的な魅力を持った「エルピス霊洞」

圧迫感のある最終盤の戦闘曲「Battle in the Skies Above」

感動的なエンディングへと繋がる「君との未来」

そして欠かす事は出来ない「One Last You」

ジャジーで最もカッコいいと言っても過言ではない戦闘曲「戦闘!! / イーラ」

ここではとても書ききれないのだがサウンドトラックに収録されている楽曲はどれもが記憶に残る傑作だ。
ゼノブレイド2においてルクスリア王国で流れるBGM「Shadow of the Lowlands」 を歌ったANUNAは"Annual Game Music Awards 2017–Artists of the Year"を受賞している。

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2000個と言う限定生産のUSB版

サウンドトラックは2000個限定の生産のUSB版が存在する。
(画像は筆者が購入したもの)

ブックレット(限定版CDにも付属)には曲に関する説明などが1曲1曲書かれており読み応え抜群だ。

 

ボイス

ゼノブレイドシリーズはボイス関連の物量もとにかく多い。
ゼノブレイド2では特にキャラクター同士の掛け合いが強化されており、仲間との一体感・協力感がより強くなっているポイントも筆者としては評価が高い。

戦闘中の行動や掛け合い、特定の行動に対してのリアクションなど、バトルをより良いものへと感じさせてくれる。
例えば戦闘中に回復ポッドを取れば「良いじゃん!」⇒「だよね!」と掛け合いをしてくれる。
戦闘システム自体には直接の影響は無い要素であるし些細な事だと思われるかも知れないが、NPC側からの自発的な行動・掛け合いは「仲間と一緒に戦っている」と言う感情が強くなり、とても居心地が良い。

また、レアブレイド同士でも掛け合いが存在する。
筆者はこれには流石に驚いた。
あれば良いなぁ…とは思っていたもののレアブレイドの総数を考えれば組み合わせは膨大であり、無くても仕方がない。まさかここまでの物量を用意していると思わなかったのだ。
レアブレイドブレイドスイッチと戦闘終了時に特定の組み合わせで専用のボイスや掛け合いが発生する。
ドライバーとレアブレイドやレアブレイド同士の関係性がまた違った角度で知る事ができるので嬉しい限りだ。

日本では全く関係のない事なのだが、海外においてはローカライズ(特に海外の声優の演技)が賛否が強いなようだ。
ローカライズされるだけマシ」という意見もあるだろう。しかし、それは0 or 1の極論だ。ローカライズに失敗してしまうと、それだけで本来存在した面白さや感動が奪われかねない(現に日本向けローカライズでもストーリーやストーリーテリングが意味不明となった作品も数多い)。それはユーザーにとっても開発側にとっても不幸な事だ。
ローカライズやカルチャライズは非常に難しいのは承知だ。
だが、NOAおよびNOEには是非とも丁寧なローカライズをお願いしたいところだ。

 

総評

世の中には「出会えて良かった」「これをプレイしないまま死ななくて良かった」と思える作品がある。
ゼノブレイド2は筆者にとって正にそのような作品の1つだ。

クラシックで熱い展開の王道なストーリー。
シーンを盛り上げる印象的な音楽。
戦略性とアドリブ性、共闘感を感じさせるバトル。
壮大で神懸ったフィールドデザイン。
新作と言っても過言ではないDLC黄金の国イーラ。
本作には欠点も存在している事は確かだが、そんな事は些細な事だ。
ゼノブレイド2は疑いようのない傑作だ。

ただし、黄金の国イーラに関してはDLCとしては品質が高いと言えるものの、パッケージとして考えた場合にはシステム面は初心者に親切であるにも関わらず、世界観の説明が無く初心者殺しであるなど、「黄金の国イーラからゼノブレイド2に入るユーザー」の事を受け入れているようで受け入れていない仕様だ。
この中途半端さは気になる所だ。

 

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【レビュー】ゼノブレイドクロス

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神のようなミラの大地

筆者のゼノブレイドとの衝撃的な出会いから3年経った2013年…その時は遂にやってきた。
待望のゼノシリーズ…ゼノブレイドシリーズの新作が発表されたのだ。
発表当初はお馴染みとも言える「X」の文字が画面に映し出されるPVであり、それがゼノシリーズであること、そして人とロボットを操作できる事くらいしかわからない。
とは言え、筆者は小さい頃にアニメ「ゾイド」を観た影響から広大なフィールドをロボットに乗って走ったりしつつ、人を操作したインタラクションもしたいと言う願望があった。そのため、「人とロボットをシームレスに乗り降りが可能なオープンワールド型のゲーム」は小さい頃から熱望していた要素であり、ワクワクした気持ちが抑えられなかった。
今回は2015年に発売し、筆者の小さい頃からの夢に一歩近づいたゼノブレイドクロスについてレビューしていこう。

 

XenobladeX ゼノブレイドクロス

 

 

ストーリー

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終盤になるまで薄味なストーリー

ゼノブレイドクロスのストーリーはSFが最初から前面に押し出されている。
地球は謎の宇宙生命体の戦闘に巻き込まれ崩壊し、新たに居住可能な新天地を求め大型宇宙船で辛うじて脱出に成功した「白鯨」と言う宇宙船に乗る人類の生き残りが主人公達となる。そこからなんやかんやあり謎の未開惑星ミラに白鯨が墜落してしまう。
ストーリーの冒頭は過去作のゼノシリーズを彷彿とさせるような始まりをするなどシリーズファンには興味深いポイントだ。
また、ゼノブレイドクロスのストーリーは全体的に暗い話が多く、サブクエストなどで展開されるクエストでは選択肢によってはNPCが死亡するケースも少なくないのは特徴的だ。
なお、サブクエストでは有名な映画などをモチーフにしたものも存在する。

ゼノシリーズと言えば濃密な設定や演出のストーリーに期待している人も多い事だろう。
しかし、本作ではストーリーに期待をしていると少し肩透かしを喰らう事になる。
前半はチュートリアルが長く、中盤頃までは比較的アッサリとした内容が続く。終盤になり本作のストーリーの全体像がハッキリと見えてくるとストーリーが大きく転がっていく。また、演出面でも良くなっていき、哲学的なアポリアも提示されるのだが、逆に言えば終盤に到達するまで味気ないストーリーとストーリーテリングになっているのは勿体ない。
これらは主人公がアバターとなっているが故に発生している問題もいくつかあるように思われる。

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ゲーム中では未使用の設定なども記載された資料集

ストーリーでは最終的に回収されていない設定・伏線が多いのは意見が分かれる点だろう。設定資料集を参照してもやはり謎が多く、世界観の全容が掴めない。
考察のしがいはあるものの、考察しようにも余りにも点(ユーザーが知る事が出来る事実)が少なく、線を繋ぎようがない。そのため、どこまで行っても憶測どころか妄想の域を出ない考察になってしまう。

また、ストーリーテリング面として惑星ミラの各所にブレイド(地球軍)の友軍(NPC)がミラの各所に点在しているのも少々残念だ。
人類の存亡の危機であるシチュエーションから考えれば、これほど広域にわたってNPCが既に各所に展開していると「未開の惑星ミラ」と言う印象は薄れてしまう。

ここからはあくまでも推測だが、本作には元々はアバターでは無い明確な主人公がいたのでは無いかと思うのだ。
初報のPVに登場する金髪の青年あるいは設定資料集に登場する主人公と記載される人物などが当初の構想であり、リリースされたゼノブレイドクロスは何らかの軌道修正により現在のアバターおよびオンライン対応と言う形になったのでは無いかと思える。
そのため、ストーリーやストーリーテリングにおける作り込みが甘くなっているのでは無いだろうか。

 

システム

ここではシステム全般を記載していく。

 

バトル

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バトルはオートアタックとアーツが基本だ

ゼノブレイドクロスの戦闘は前作ゼノブレイドと同様にオートアタックとアーツが基本となる。
オートアタックは戦闘中にプレイヤーが何もしていない時に自動で発生する攻撃の事で威力が弱めの攻撃だ。
アーツは必殺技のようなもので威力が高かったり、味方にバフ、敵にデバフを与えたりと多様な技が存在している。アーツは連続で使用する事はできず、再発動までは”リキャスト”と呼ばれるチャージ時間が必要になる。

本作の新たな要素としては「ダブルリキャスト」が登場している。
発動可能(リキャスト完了)となったアーツを放置する事で更にチャージが行われ、二重チャージが完了した状態がダブルリキャストとなる。
ダブルリキャストしたアーツは威力や効果時間が飛躍的に向上する。

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クラスによって能力に補正が発生する

ゼノブレイドクロスでは「クラス」と言われる概念が存在し、そのキャラクターのクラスによって異なる。
技となるアーツは武器に依存しており、クラスをマスターする事で別のクラスであってもマスターしたクラスの武器が選択可能となる。

しかし、プレイヤーの分身でもあるアバター以外のキャラクターはクラスの変更や装備可能な武器種別を変更できないため注意が必要となる。

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バトルは膨大な要素が入り乱れる

本作のバトルには膨大とも言える要素が関係する。

まずは装備だ。
装備はインナー(人)用のものと、ドール(大型ロボット)用のものの二種類が存在する。
これらも非常に種類が多く、また敵がドロップする装備に付与されるスキルはランダムで設定されるため良いスキルを考えながら装備を決める必要もある。良い装備を求めてマラソンをするのもありだ。
なお、クリア後あるいはDLC購入時にはファッション装備と言われる外見にだけ反映される装備枠が解禁される。そのため、「装備は強力にしたいが、見た目は別が良い」なんて時に使用できる。自分の好みオシャレ装備をすると良いだろう。
更に装備にはデバイスと言われるものを装着でき、これによってスキルを更に追加できるためキャラクターを大きく強化できる。
バイスはモンスターからドロップした素材で製作できるが、大量に必要になる事が多く需要に追い付かない事が大半だろう。
これらを組み合わせてキャラクターのビルドを考えるのはキャラクタービルド好きな筆者のような人にはオススメできる。

次は天候だ。
本作では豪雨や雷雨はもちろん、熱波やオーロラなどとにかく天候の種類が多い。
これらの天気には基本的に全てバフやデバフの効果がある(そもそもバフ・デバフの種類も多い)。更に天候によってはスリップダメージが発生するものも存在するため美しい景観に惑わされないように注意が必要だ。もちろん、非常に有益な天候も存在しているため、そのような天気となった際には天の恵みに感謝しよう。

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総合的にはプラスだが、勿体ない箇所も多い

本作のバトルは総合的に見れば間違いなく面白いのだが、勿体ないと感じる要素も多く目につく。

1つ目はオートアタックの意味だ。
本作では前作ゼノブレイドのようなタレントアーツが廃止された影響によりオートアタックの戦術的価値が全く無くなってしまっている点はプレイにおいて支障は無いものの活かしきれていない勿体ない要素になっている。
また、キャラクター固有のアーツが無いために個性が薄くなっている点も気になるだろう。
(次作ゼノブレイド2ではオートアタックの関係性が大きく見直されている。)

2点目は共闘感だ。
本作の全体的なバランスは「最強装備を作れば最強」と言う思想に近い。
また、前作ゼノブレイド(および次作ゼノブレイド2)と比較すると、キャラクター毎の攻撃役や防御役のようなロール(役割)的な概念が薄くなっている。
そのため、戦闘においての完成形が存在してしまっており、それが「各個人で最強になること」である。そこに更に各仲間のロール(役割)の薄さが合わさり、前作(および次作)のような共闘感も薄くなってしまっているのは残念だ。
別の表現をすれば、前作および次作では「メンバー全員が自分の役割に沿って連携して助け合いながら戦っている」と感じるが、本作では「各メンバーが敵を全力で殴ればいいじゃん」的なマッチョな思想になっているのだ。
そのため、仲間同士で戦っているにも関わらず共闘感どころか1人で戦っているように感じるような事も多かった。
同様にロールの概念が薄い事と、前述の通りアバター以外のキャラクターはクラスが変更不可である事が影響し、キャラクターによっては性能に格差が発生してしまうのもバランスの検討不足と言えるポイントとなってしまっている。

 

ソウルボイス

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”声があること”に意味を見出したシステム

本作のバトルにおけるユニークな要素としてソウルボイスが存在する。
ソウルボイスは各キャラクターが発動できるもので、特定の条件がそろった場合に発生する。
上図の場合にはヒメリが射撃アーツの発動を要求している。
このサインが出ている最中に実際に射撃アーツを発動する事で味方にバフが発生したりと状況を有利にする事ができるのだ。
ソウルボイスはクラスと同様にアバターは比較的自由な設定が可能なのだが、その他の仲間キャラクターはデフォルトで設定されているソウルボイスを変更する事はできないが、その物量は大変な量だ。

前述の通り、共闘感の薄い本作のバトルバランスおよびデザインであるのだが、この要素に関しては仲間同士の共闘感において非常に良いエッセンスとなっている。
ゼノブレイドシリーズは戦闘中であってもかなり喋る事が特徴となっている。
過去作でも喋る事は共闘感と言う意味合いの他にも、機能面としてアーツや状況の把握に役に立つ側面があった。
本作は更にその要素を強化し「喋ること」にシステム的に明確な価値を持たせているのだ。
ただボイスがあるだけ、もしくはボイスが多いだけでは無いのだ。
ボイスを明確なシステムとして組み込んでいるのはゼノブレイドシリーズ自身の長所を更に活かした要素となっている素晴らしいシステムだ。

 

オーバークロックギア

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高速の戦闘に変貌するオーバークロックギア

ゼノブレイドクロスにおいて戦闘を最も楽しくさせるのがこのオーバークロックギアだ。

オーバークロックギアを発動させるにはTP(テンションポイント)を消費する必要があるのだが、これを消費するにはお釣りが来るくらいの恩恵がある。

まずはバフ面だ。
オーバークロックギアを発動させてからアーツをヒットさせるとヒット数に応じて与ダメージ、リキャスト速度、攻撃耐性に大きな補正が発生する(ヒット数を稼ぐには方法があるがここでは割愛)。

次に特徴的なのはトリプルリキャストだ。
前述ではダブルリキャストを紹介したが、オーバークロックギア発動中はダブルリキャスト状態から更にチャージが可能となる。
これがトリプルリキャストだ。
トリプルリキャストは本来ならばチャージに時間がかかりそうだが、オーバークロックギア発動中であるためリキャスト速度も飛躍的に上昇している。
ここに更に与ダメージ倍率アップの効果も合わさるため通常では有り得ないレベルのダメージを、しかも連続で叩き込めるようになるのは非常に爽快だ。

そしてテンションを最も高めてくれるのはBGMだ。
オーバークロックギアを発動するとBGMが専用の「Wir fliegen」に切り替わる。
ノリノリでカッコいいBGMで高速に強力なアーツを放ち続けるのは脳汁が湧き出る感覚だ。

バトルではこのオーバークロックギアを使いこなす事で格段に有利に、そして面白くなるため、装備やデバイス、アーツなどはオーバークロックギアを発動する事を前提とした構成にするのが基本となるだろう。

このオーバークロックギアはドールでも可能であるが、インナー時とは性質が異なる。
ドールのオーバークロックギアは機体の種類によって性質に違うため、その点にだけ注意した方が良いだろう。

 

ドール 

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ロボットであるドールに乗り込んでのバトル

ゼノブレイドクロスの大きな魅力の1つであるロボットであるドールについて記載しよう。

本作ではインナーと呼ばれる人状態とドールと呼ばれるロボット搭乗状態をシームレスに変更できる。この切り替えは例え戦闘中であっても可能だ。 
また、ドールでの戦闘中には確率で機体内部からの視点に切り替わる。
この状態には全ての技(アーツ)のチャージ状態(リキャスト)が無くなり発動可能状態へと切り替わるため演出だけでなく機能面でも嬉しい要素となっている。

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ドールは変形や飛行が可能だ

プレイヤーが搭乗できるドールは人型形態から車両形態に変形が可能だ。
人型形態は戦闘用の形態であり、車両形態は移動用の形態だと思って貰うと良いだろう。そして、ドールでは条件を満たす事で飛行も可能となる。
これらを駆使して広大なミラの大地を余すところなく探索するのは非常に有意義だ。

問題点を挙げるとするならば飛行可能となるとジャンプが行えなくなり、BGMも専用のものに切り替わる点だ。
ちょっとした段差でも飛行状態に移行してしまうのは微妙に不便に感じるし、フィールド曲を聴きたい時にも飛行状態は不便だ。

なお、ドールの「フォーミュラ」はプラモデルが発売されている。

 

オンライン

ゼノブレイドクロスではオンラインでの薄い繋がりが存在する。
最も手軽な要素としてはフィールド上で課題となるモンスターの討伐やアイテムの入手を行うものだ。
また、最も協力性の高いものでは他のプレイヤーと協力して攻略する専用クエストやレイドボスのようなモードも存在している。

しかし、どれもオマケと言ったレベルでありガッツリと楽しめるものとは言えない。
また、リワードでは好きな素材と交換できるポイントを入手でき、これ自体はありがたいのだが、入手できるポイントはそう多くないためニーズには追い付かない事が大半だ。

 

グラフィック

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神懸ったフィールドデザイン

ゼノブレイドクロスのフィールドは神のようなセンスだ。
神秘的で雄大なランドマークに、フィールドごとに全く異なる特色。
どこを見渡しても美しいミラの大地は史上に残る傑作と言って良いだろう。

また、フレームレートなども基本的に安定しており、リソースの少ないWiiUであってもこれだけのフィールドの映像出力が安定しているのは驚異的だ。

グラフィック面ではモブキャラクターの造形が余り良くないのは少しだけ気になるポイントかも知れない。
また、アニメーションではキャラクターの歩行モーション、遊泳モーション、待機モーションなどが全てのキャラクターで共通したもの(性別でのみ差異のある汎用モーション)になっており、各キャラクターの個性を感じられないのは残念に感じるポイントだ。
画面上のテキストが全体的に小さい事も明らかな欠点だ。
本作の要素の多さが災いし画面上の情報量が多く、テキストやアイコンが小さくなっている。
人によっては読みにくいと感じる事もあるだろう。

 

サウンド

ゼノブレイドクロスのBGMは澤野弘之氏が手掛けている。
澤野氏のBGMはゲームとマッチしているとは言えない面もある。
しかし、澤野氏特有のその壮大なBGMは間違いなくゼノブレイドクロスでしか使用する事はできないものだろう。

非常にカッコいい澤野節抜群の「no9=MONOX (0rCH-SUITE"X")」

神秘的な「NEMOUSU秘OUS」

カッコいいSF感が漂う「Black tar」

圧倒的な強敵「Uncontrollable」

処刑用BGM「Wir fliegen」

壮大なフィールド曲「N周L辺A」

未開のミラを探索するような「z5m20i12r04a28」

静と動のメリハリのある荒野の曲「亡KEI却KOKU心」

神秘的であり幻想的な「46-:ri9」

終わりを呼ぶ者の曲でもある「z15f20i12e09l14d」

楽曲自体は素晴らしいものの、サントラは昼用曲と夜用曲が前後半の1曲扱いで収録されているなど痒い所に手が届かない。この仕様はゲーム音楽ファンとしても不満の残る構成だろう。

その他、サウンド関連では相変わらずボイスの量は多い。
戦闘中には前述しているソウルボイスがあり、戦闘終了後には特定の仲間の組み合わせで専用の掛け合いが発生する。

 

総評

ゼノブレイドクロスは総合的にはプラスだが、粗と言える部分も多い。

薄味な期間が長いストーリーとストーリーテリングや共闘感が薄くむしろ孤独感すらある戦闘、そして個性が無いキャラクターアニメーションは特に勿体ない部分だ。
しかし、それでも他の追随を許さない圧倒的なフィールドデザインや澤野節が光る壮大なBGM、そしてオーバークロックギアを使用した脳汁溢れる高速の戦闘は間違いなく体験しておくべき内容だ。

 

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【レビュー】スターオーシャン ブルースフィア

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星のように輝くGBソフトの傑作

スターオーシャン ブルースフィア(以下、ブルースフィア)はゲームボーイ(以下、GB)にて発売されたスターオーシャン セカンドストーリーの続編に当たる作品だ。

ブルースフィアは、セカンドストーリーを主軸としたアニメ(2001年1月放送)とほぼ同時期に発売された。
筆者はアニメからスターオーシャンシリーズを知ったため、そのタイミングで発売されることを知った本作に非常に強い興味を持ち購入に至った。
そして実際にプレイしてみれば…およそGBとは思えないほどの高い完成度の作品であったのだ。

なお、本作のレビューのスクリーンショットゲームキューブゲームボーイプレーヤーを使用して撮影を行っている。

 

スターオーシャン ブルースフィア

スターオーシャン ブルースフィア

 

 

 

ストーリー

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謎の惑星に墜落した仲間を救出に来たのだが…。

ブルースフィアのストーリーはSFが主軸となり、時系列としてはセカンドストーリーの後の話である。

当時の仲間(オペラとエルネスト)が宇宙船にて航行中に謎の惑星エディフィスに墜落。
その救難信号を受けたプリシス達が彼らを助けに行くのだが、なんとプリシス達も謎の惑星に墜落してしまう…。

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高度な技術の古代文明跡地に住む原生の人々

プリシス達は謎の未開惑星エディフィスの調査と先に墜落した仲間の救出を行っていくわけだが、徐々に明かされるエディフィスの実態はSF色が満載だ。
エディフィスに住んでいる人達も存在するのだが、彼らは”ギフト”と呼ばれる高度な謎の技術を使用した古代文明跡地に住んでいる。
なぜ高度な技術を保有したかつての文明は滅んだのか、なぜプリシス達は墜落したのか…それはストーリーを知ることによって明かされていく。

ゲームボーイであるにも関わらず、ストーリーにおけるテキストなどは比較的しっかり作られている。
また、イベントではキャラクターに応じてテキストの内容がしっかりと変化するため、その違いを楽しむ事もできるのはキャラクターが好きな人にとっても魅力がある。

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オープニング画面放置でキャラクター説明をしてもらえる

ブルースフィアではオープニング画面にて何も操作せずに放置する事で、前作未プレイでもなんとなく過去の事がわかるようにキャラクターの説明も用意されている。
また、前作セカンドストーリーとブルースフィアの間にどのような事があったのかも記載されているため非常に丁寧だ。

なお、ゲーム内のフィールド上では特定のキャラクターの組み合わせなどで発生するプライベートアクションも搭載されている。
容量的な制約からセカンドストーリーほどの物量は無いものの、キャラクターの関係性やパーソナリティがわかるイベントとなっているため必見だ。

 

システム

ブルースフィアの特徴的なシステムについて記載しよう。

 

バトル

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濃密なバトルアクション

ブルースフィアの戦闘はシンボルエンカウントにより行われ、敵に触れると戦闘用の画面へとシフトする。
戦闘はサイドビューのアクション形式で行われる。
戦闘では敵の間合いによりキャラクターが発動するアクションが異なり、また攻撃のヒットしたタイミングで攻撃ボタンを押せばコンボになっていく。コンボ数に応じて技が最大で3段階(レベル3)まで変化する。
コンボは無限にできるという訳では無く、キャラクターの隠しパラメーターとして「気力」というものがあり攻撃や技を使い続けると気力が減っていき、最後にはスタミナ切れを起こしてしまう。

攻撃の間合い、コンボによる攻撃範囲・タイミングなどを考慮して攻撃を組み立てる本格的なアクションとなっている。

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スキル習得は近年のパークに近い

キャラクターには経験値で上昇するような一般的なレベルの概念が無く、スキルの習得・強化によって能力を向上させていく事になる。
スキルの中には戦闘にて特殊な効果が設定されているものも存在する。
ただしスキルは全てを覚えられる訳では無いため、どの分野を伸ばすのかはロールなども考慮して慎重にキャラクタービルドをしよう。

最も注意したいのはキャラクターが覚える必殺技・呪文だ。
キャラクターの必殺技・呪文は特定のスキルを覚えている事が条件になっている事があるため、スキル習得を誤ると覚えられられない必殺技・呪文が発生してしまう。
また、必殺技・呪文は戦闘中に特定の行動(攻撃や呪文)を行う事で閃く。
特に必殺技は前述のコンボの「〇レベルの中距離通常攻撃」など指定が細かいため閃かせるには少しばかりのコツが必要だ。

クリエイト

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クリエイトはミニゲーム的で質・量ともに充実している

前述の戦闘の項にて説明したのだが、スキルの習得ではクリエイトと総称される要素をキャラクターが習得することがある。

例えば「調理」や「鍛冶屋」「錬金」…他にも「調合」や「複製」など全部で15種類(キャラクターが覚えるもの以外も含めると17種類)だ。
クリエイトはミニゲーム形式であり、全てでルールが異なり、入手可能なリワードも当然異なる。
また、プレイしてから結果がわかるまで(リワードの獲得まで)も短時間であるため、つい繰り返しプレイして楽しんでしまう事も多いだろう。
これらのミニゲームだけでも満足できてしまうほどのボリュームだ。

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クリエイトを駆使すれば序盤から強力な武器が作れるのは魅力的だ

ここではこれからプレイすると言う人向けに少しだけアドバイスとなる。

クリエイトの「鍛冶屋」では所有している武器と鉱物を使用して新たな武器を作るものとなっているのだが、序盤では非常に重宝する重要なクリエイトだ。
上図はラルフ遺跡1Fにあるフィールドアクションのジャンプで入れる比較的簡単かつ遺跡の入り口からも近いエリアだ。
重要なのは画像に写っている敵シンボル。この敵からは鉱物「ミスリル」がドロップするケースがある。
ミスリルは序盤では破格の鉱物であるため、これを使用して武器をクリエイトする事で中盤頃まで利用可能な有益な武器を製作可能だ。
しかも、画像中央のハシゴを昇り降りする事でリスポーンするため効率良くミスリルを狙えるのもオイシイ。
ただし、クリエイト「鍛冶屋」のミニゲームで安定して高得点が狙えるように練習は事前にしておく事はオススメする。

 

グラフィック

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ゲームボーイの中ではグラフィックは高水準だ

本作がゲームボーイであると言う事を考えれば、比較的高水準なグラフィックだ。
アニメーションなども細かく、強いこだわりが感じられる。

 

サウンド

BGMはブルースフィアのエディフィスと言う惑星の世界設定からか退廃的な曲調も多い。こういった怖い・物悲しいと言ったような曲調はゲームボーイで出力可能な電子音とも相性が良いように感じる。

しかしながら、それとは逆に戦闘BGMはゲームボーイが奏でられる範囲では限界があり少々物足りなさは感じるかも知れない。

 

総評

スターオーシャン ブルースフィアゲームボーイ作品とは思えないほどの品質と物量を詰め込んだ傑作だ。

しっかりとしたSFストーリー、キャラクター毎に変化するテキスト、濃密なバトルシステム、飽きる事のないミニゲーム的な多種多様のクリエイトなどなど…どこを見ても特筆に値する。
もしも、これを見ているアナタが本作をプレイしていないのであれば「ゲームボーイかよ…」などと侮らずに是非とも体験してみて欲しい一作だ。 

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ストーリーの設定や開発時の話も掲載されている攻略本

なお、「ファミ通」発行の本作の攻略本では開発者インタビューが掲載されており、開発の経緯や裏話、ストーリーの設定についても解説されている。
気になった方はこちらもチェックしてはいかがだろうか。

スターオーシャン ブルースフィア ファイナルガイド
 

【レビュー】OCTOPATH TRAVELER

 

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ルネサンスJRPG

OCTOPATH TRAVELERNintendo Switch プレゼンテーション 2017(※動画はNintendo UK)にて初めて公開された独特のビジュアルを採用したJRPGだ。
筆者はリアルタイムでNintendo Switch プレゼンテーションを視聴していたのだが、その中でも特に興味を持った作品の中の1つであった事は間違いない。
”HD-2D”と表現した2Dと3Dポリゴンを組み合わせたその映像は懐かしさと新しさを両立した私が求めていた作品のように感じたのだ。
そこから開発チームの基盤が同様であるためかブレイブリーシリーズのように体験版からユーザーフィードバックを行ったりと精力的にユーザーとのコミュニケーションを行っていたことも印象深い。
今回は2018年を象徴するタイトルと言っても過言ではないOCTOPATH TRAVELERをレビューする。

 

オクトパストラベラー

 

 

ストーリー

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1話完結の短編集のようなストーリー

本作のストーリーは生まれも育ちも全く異なる8人の人物達によって展開されていく。
ストーリーは各キャラクター毎の章形式となっており、例えば主人公であるオフィーリアやプリムロゼでそれぞれ1章が存在する訳だ。
各章のストーリーは1話完結の短編集を読んでいるような内容で、導入⇒聴き込み⇒ダンジョン⇒ボス⇒完結と言った流れで構成されている。
良くも悪くもではあるが、各章は30分~1時間もあればアッサリと終ってしまうため、読みやすくはあるが物足りなさも感じるかも知れない。

少々残念なポイントとして、各章はそれぞれ同じような役割を持っているため、冗長に感じられる部分が多く、プレイのテンポの妨げになっている。
これは例えば各主人公の第一章がチュートリアル的な側面を持っている訳なのだが、全ての8人いる主人公のストーリーを見ようと思うとチュートリアルが8回繰り返されるのとほとんど同義なのだ。

また、各章のストーリーは全て1つの街で完結するようになっているため内容によっては違和感が強いのも少々気になるポイントだ。

更に本作では主人公が8人存在しているのだが、この8人のシステム的な扱いから生まれている欠点がストーリーに如実に浮き出ているのも気になる。
8人の主人公達はレベルデザイン的には8人揃えてストーリー全体を進行させるように設計されているのだが、極端に言えば最初に選んだ主人公以外の7人は仲間にしなくても進行可能だ。
そのため、ストーリーは全て1人だけのストーリーとして展開してしまい、例え全員を仲間にしても全く関りが無いのだ。

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痒い所に手が届ききらないパーティーチャット

仲間同士の接点が無い事を補うようにパーティーチャットが存在しているのだが、こちらも痒い所には手が届かない。
パーティーチャットでは各章のストーリーの途中や特定のメンバーで会話が繰り広げられるのだが、こちらは後付け感が強く「おまけ」の域を出ない要素となっており、点にも線にもなりきれていない。

ストーリーおよびパーティーチャットを見せられるだけでは到底「仲間達が旅をしている」と言う雰囲気は味わえないのは設定上から言って残念と言わざるを得ないポイントだ。

本作のストーリーは8人それぞれの物語であり、それが実は1つの点に収束しているという構成ではあるものの、流石にこの手法で8人を描くのは無理があったように思う。
人数を減らし、仲間同士のインタラクションや協力・共闘感の演出を増やすような量よりも質を重視して「一緒に旅をしている」ことをもっと表現して欲しかった所だ。

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矛盾したストーリーテリング

これらのストーリーテリングは矛盾を内包している。

IGN Japanの記事にある通り、3Dの緻密なレンダリングによる表現はフォトリアルである一方で、そこにはユーザーの想像の余地を生み出しにくくなっていった。
誤解の無いように念のために記載するが必ずしも3Dでは想像の余地が無くなる訳では無い。例えばDark Soulsのように表現を様々に省略して点(事実)だけをテキストに残す事で、それを繋ぐ線をユーザーの想像の余地とする事もできる。
話をOCTOPATH TRAVELERに戻そう。
本作のドット調の表現手法は省略の表現となるため点だけを残す。
点と点を繋ぐ線は「プレイヤーに想像に委ねられる」のだ。
例えば上図では吹き出し上のセリフが点(事実)に相当する。しかし、これだけでは喋っているキャラクターの表情は詳細にはわからない。真剣な表情なのか、穏やかな表情なのか。それはユーザーの受け取り方によるだろう。そこが点を繋ぐ線になるのだ。
しかし、それは”表現がテキストだけであった場合”だ。
本作にはボイスが実装されている。ボイスは(ドット調のキャラクター表現と比較すれば)より詳細な感情表現を伝える手段となる。
ボイスがついてしまえば、その人物が明るいトーンなのか神妙なトーンなのかが伝わってしまう。ディティールを明確に伝えてしまうのだ。
そのため省略の表現であるドット調と詳細な表現となるボイスは相反していると言える。
ユーザーに想像の余地を与えるドット表現を採用しつつ、想像の余地を与えないボイスと言う矛盾を採用しているのだ。

パーティーチャットでも同様の事が言える。
ストーリー上には仲間の関係性は全く描かれない一方で、パーティーチャットはパーティー間の関係性を表現しようとしている。
正直、パーティーチャットは後付け感がある。それを採用するくらいであればストーリー上でキッチリと仲間同士の関係性を描くべきだったと思うのだ。

前述のレベルデザインもまた同様だ。
レベルデザインとしては全員を仲間にすることを推奨しているが、ストーリーは各個人のものしか描かれていない。
仲間にすることを推奨していないレベルデザインとなっているのであれば、このようなストーリー構成には頷けるのだが。

本作はストーリーを描きたかったのか、委ねたかったのかが不明瞭だ。

 

黒呪帝ガルデラ

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物語は1つの方向に収束する

ここでは少々ネタバレ的な内容になってしまう。ご了承願いたい。

各キャラクターのストーリーは世界設定が前提に立っている所があり、その上に主人公達以外も含む各キャラクターのストーリーが乗っかっている。
その世界設定と表現したものの中心に存在しているのが黒呪帝ガルデラだ。
既プレイの方には少々大雑把な表現でやきもきするかも知れないが、ストーリーを進めていると8人の主人公達に共通するような存在が出てくる。
それがこの黒呪帝ガルデラなのだ。立ち位置的にはクリア後の裏ボスだと言うのがわかりやすいだろう。

しかし、この存在によって本編のストーリーに影を落としているのは少々勿体ない。
ガルデラを中心として世界設定と言う土台(歴史・説得力)を強固に作ろうとした事は好感は持てるものの、各章のストーリーでは逆にその世界設定の辻褄を合わせるため(あるいはそこに目を向けさせるため)に、展開が強引であったり、逆に引っ張りが弱く感じるところもあるなど、上手に使いこなせていない部分が多少なりともある(言い方を変えれば4コママンガの4コマ目だけを先に8パターン作っている)ように感じる。
やはりここでも8人と言う人数は多すぎたのでは無いかと思わざるを得ない。

 

システム

この項ではシステムに関して記載していこう。

バトル

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BreakとBoostの駆け引きは単純だが面白い

本作のバトルシステムはJRPGに多い「ターンベース」のバトルが採用されている。

本作のバトルのユニークなポイントは何といっても「BreakとBoost」だろう。
敵には弱点が設定されており、弱点属性を指定回数分当てるとBreak状態となる。
Break状態となった敵への与ダメージは上昇し、また次のターンが終了するまで行動不能となる。Breakは敵にのみ設定されており、味方キャラクターには無い。
Boostはブーストポイント(BP)を消費して強力な攻撃を叩き込むものだ。
通常攻撃にBPを使用すると攻撃回数が増え、技に使用すると威力や成功率、持続ターン数が上昇する。
これらを駆使してバトルを有利に進める事となる。

文章ではイマイチわからないかも知れないが、このシステムのバトルはJRPGに少しでも触れた事のある人であればすぐにでも理解できるだろう。
理解しやすく、なおかつ強力な攻撃・魔法を放つだけと言ったボタン連打するだけのバトルにならないのは評価できるポイントだ。
また、レベル上げを余り行っていないキャラクターであってもダメージソースにはならずともBreakの役には立つ事は多いため腐りきる事は無いシステムとなっているのも良いポイントだ。

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BreakやBoostのバランスはいびつだ。

しかし、バトルシステムにおいても至らない点は多い。

1点目に挙げるのは「Boostの使用用途」だ。
Boostは前述の通り、威力や攻撃回数を増加させるのだが、これの用途がシステムとイマイチ噛み合っていないように感じる。
Boostの本来の使い方は「Breakさせるために使用するか、Break状態の敵に大ダメージを与えるために使用するか」と言う「駆け引き」だったのでは無いかと思うのだが、実際には後者で使用されるが大半であり、Boostを使用する上での駆け引きが全くと言って良いほどに無い。
これは物理攻撃はBoostによる回数の増加が可能だが、属性攻撃はBoostによる回数増加は無い(威力が上がるだけになっている)ことが大きな要因だ。
こうなってしまうと属性攻撃メインのキャラクターはBreakしてから大ダメージを与えるためにBPを溜めるという選択肢しかない。
更に、「千本槍」や「どしゃぶり矢」と言ったBPを使用しないで容易に連続攻撃ができる手段が存在してしまう点もこのバランスを大きく崩してしまっている。
BPの消費による攻撃は一律で攻撃回数(Hit数)が変動するようにし、BP消費無しに連続攻撃をする手段は廃止するべきだったように思う。

2点目は「敵の硬さ」だ。
本作の敵は全てBreak前提の難易度となっており、例えワンランク下の敵であっても倒すのに時間がかかるのは難点だ。筆者は多くのJRPGにおいて「(単調な)バトルが面倒になる」ことによって通常戦闘を逃げるようになる事が多いのだが、このように格下相手であっても時間がかかるのはそれに拍車をかけてしまう。
ここには、BPの初期値をレベル差に応じて可変にする事でも少しは緩和できたのでは無いだろうか。

3点目は「敵の弱点」だ。
前述の通り本作では敵に弱点が設定されており、その弱点属性で攻撃する事でBreak状態になる。しかし、初見の敵の場合には弱点属性は伏せられているのだ。
これによってバトルにおいて「敵の弱点を調べる」と言う冗長な作業が発生してしまうのはマイナスだ。
「敵の弱点がわからない事が面白さ(緊張感)に繋がっている」と言う意見もあるかと思う。その意見は非常に理解できるのだが、それが通用するのは「本当に初見の敵」だけなのだ。
既知の敵であればGUI上で弱点が開示されているし、一度全滅してからの再戦であってもGUI上で表示されていないだけで開示されているのと同義である。
そのため、初見の時とそれ以降で敵に対しての緊張感が一気に無くなってしまうのだ。
であるならば、最初から弱点属性を開示している前提でゲームバランスを考えて構成した方が多くの戦闘でバランスを保つ事ができたはずだ。

 

フィールドコマンド

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住人とインタラクションが行えるフィールドコマンド

フィールドコマンドは本作が持つ個性的な要素の1つだ。
各キャラクターには住人に対して固有のインタラクションを行う事ができる。
例えば商人トレサであれば住人が所持しているアイテムを購入する事が出来るし、神官オフィーリアであれば住人を導いて一時的に仲間とすることが出来るなどだ。
フィールドコマンドは世界観としての冒険には説得力は欠けるものの、ゲームプレイとしての冒険を強力にサポートしてくれる。
単純に強力な武器・防具を序盤で購入・盗むのは良い気分であるし、リワードはイマイチかも知れないがオルベリクで全ての住人に決闘を仕掛ける事ができるものユニークだ。
また、本当に数多くの村人に設定を用意しており、その人物がどのような人物なのかを表現している。のどかな村の老婆が実は昔は悪逆非道の限りをつくした極悪人だった…なんて事もあるのだ。
これらもやはりストーリー同様に世界設定を重視し「そこに存在している」ことを感じさせてくれる演出だ。
これらの膨大なテキスト量を揃える事が大変だったであろう事は想像に難くない。

とは言え、後半になると形骸化してくるコマンドが出てくるのは少し寂しい所だ。
後半になれば資金が潤沢になりテリオンが「盗む」と言う意味はほとんど無くなるし、レベルも高くなっているならばサイラスが「探る」のもアーフェンが「聞き出す」のも違いが無くなってしまう。
何度も言うようだが、8人と言うのは多すぎだったのではないだろうか。

 

グラフィック

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『HD-2D』と表現したスタイルは息を吞む美しさがある

本作において最も注目するべきは”HD-2D”と表現したそのビジュアル面であると思う。
過度とも思える光源処理は2Dドットの世界を神秘的に魅せ、フィールドでは遠方がぼやけた被写界深度表現が行われ世界に厚みを持たせている。
2Dドット調の絵の中に揺らめくリアルな水は非常に親和性があり、全く違和感無く表現されている。
是非とも幻想的で神秘的なフィールドをその眼で体験して欲しい所だ。

このような2Dドット調のグラフィックスタイルは既に一度確立された様式であるため、多くの人々に特定の共通した印象を与える事に非常に適している。
例えば、オリジナル作品と派生作品・二次創作作品の関係性を考えていただければわかりやすいだろう。
前者は世に出た際には世界観やキャラクターなど誰も知らないため、それを知ってもらうための時間が必要になる。
しかし、後者は原作を知っていれば世界観もキャラクターも説明が不要になるのだ。
本作においても同様にどのようなゲームを目指しているのかが説明しなくても2Dドットベースのグラフィックスタイルだけで伝わるのでは無いかと思う。

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ボス戦のドットグラフィックも美しい

ボス戦で現れるドットも非常に美しく描かれている。
特に人型のボスでは通常シーンでは自キャラと同程度のサイズであるが、戦闘になると何倍も大きく表現される。
このような表現は言わば心象の描写だ。実際の大きさ(身長)は関係なく、キャラクター(主人公)が相手に対して感じている威圧感や恐怖感から何倍にも大きく見えている…それを絵によって表現しているのだ。これはドット絵だからこそできる表現では無いだろうか。

 

サウンド

本作のサウンドも非常に素晴らしい。
BGMは全体的にメロディが強く、耳に残る覚えやすいフレーズだ。

メリハリがあり壮大な「OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ-」

可愛らしく郷愁的な「商人トレサのテーマ」

雄大な「剣士オルベリクのテーマ」

孤独な旅を思わせる「踊子プリムロゼのテーマ」

日本や中国的な雰囲気を思わせる「クリフランド地方」

神聖で安らぎを覚える「聖火の都フレイムグレース」

戦い緊張感が伝わる「緊迫」

通常戦闘とは思えない疾走感がカッコいい「バトル1」

暗いながらも本人の強い意志が感じられる「決意」

追い立てられるようなイントロから始まる「ボスバトル1」

優しい曲調で泣けそうな「優しさに包まれて」

激しいイントロとあえて穏やかなメロディが強大な敵を感じさせる「ボスバトル2」

本作の中でも非常に暗い「奪われた街、失った光」

感情のこもった戦闘の雰囲気を感じさせる「旅路の果てに立ちはだかる者」

その演出と共にFF6のラスボスを彷彿とさせる最も迫力のある「魔女と呼ばれる者」「魔神の血を継ぐ者」

本編聴き馴染みのある曲がメドレー&アレンジされる「エンディングテーマ」

その他の注目ポイントとしては、前述の通り本作はキャラクターにボイスが実装されている。
表現としては矛盾しているが、それほど気になる事もない。
特に戦闘中のボイスは迫力がありとても良く感じる。
強いて上げればやはり戦闘中に少しだけでも仲間同士の掛け合いがあれば嬉しい所だ。
例えば、Break発生時に「よくやった!」「ナイス!」などを攻撃者以外のメンバーが喋ってくれるだけでパーティーの雰囲気やキャラクター性が伝わるのだ。何気ない要素ではあるのだが、これによって感じる雰囲気は何倍も違う事だろう。

また、洞窟内のボイスにはリバーブがかかっていたり、ボス戦突入時の戦闘BGMのシームレスな導入などの表現も地味ながらこだわっているのが伝わるだろう。

 

総評

OCTOPATH TRAVELERはHD-2Dと言う独特のグラフィックスタイルとロマンシング サ・ガなどクラシックJRPGの潮流、そして最新のゲームデザインを取り入れた野心的な作品だ。
グラフィックは幻想的で美しく、また音楽はどれも印象的で心に残る。

これまでもJRPGを近代的に昇華させた作品、革新性を持たせた作品、精神性を受け継いだ作品などなどあるが、本作はJRPGにおいてのルネサンス的作品なのだ。
しかし、本作においてはストーリーやバトルにおいて明らかな粗があるのも事実だ。
しかしながら、本作を評価する上では些細な問題であるようにも思う。
それらの問題は本作の続編…あるいは本作の意思を受け継いだ次の作品に期待すれば良いのだ。本作はルネサンスJRPGの第一歩なのだから。
JRPGファンであるならば本作はプレイしておくべき作品だろう。

 

外部記事

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『project OCTOPATH TRAVELER(プロジェクト オクトパストラベラー)』楽曲収録紹介映像 - YouTube

A note from the developers of Octopath Traveler - Nintendo Official Site

オクトパストラベラーサントラ楽曲解説まとめ|西木康智|note

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[E3 2018]「OCTOPATH TRAVELER」開発陣へのインタビュー。スーパーファミコン世代の開発陣が“あの頃のゲーム”を目指した作品 - 4Gamer.net

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『OCTOPATH TRAVELER』のビジュアル表現とストーリーテリングに通じるひとつのビジョン

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【レビュー】ゼルダの伝説 Breath of the Wild

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野生の息吹が目覚める

ゼルダの伝説 Breath of the Wild(以下、ゼルダBotW)は任天堂が開発した最初のオープンワールド(公式にはオープンエアだが便宜上記事内ではオープンワールドと呼称する)型のゲームだ(任天堂IPという意味ではゼノブレイドクロスが最初だが)。

ゼルダの伝説オープンワールド化はファンの間では特に要望の多かった要素だったのでは無いだろうか。しかし、オープンワールドと言う概念をシリーズ作品に取り入れて成功するか(楽しいものとなるか)は全くの別問題だ。
また、「アタリマエを見直す」と表現された設計アプローチも果たしてどう機能するのか全く予想ができなかった。
この2つの未知のポイントが発売前のゼルダBotWにおいて大きな期待であり、同時に大きな不安でもあった事は確かだ。

 

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド Nintendo Switch版

 

 

ストーリー

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本作は非暴力ポストアポカリプスだ

本作のストーリーは簡単な書き方をしてしまえば「ポストアポカリプスもの」だ。
ゲームにおいてはオーソドックスなものの1つなのだが、活用の仕方が一般的なものとは少々異なる。
一般にポストアポカリプスが採用されるケースと言うのは「プレイヤーが暴力(犯罪)を行使する事を肯定しやすい環境」であるためだ(有名なタイトルで言えばFalloutThe Last of Usなど)。
しかし、本作においては魔物を斬り倒すという暴力(?)は存在するものの、人命を奪うなどの犯罪とは全くの無縁だ。
筆者はポストアポカリプスの設定は好きだが、犯罪性を肯定するために導入されるのは(見飽きたと言う意味も含めて)余り好きでは無い。
ゼルダBotWのようなポストアポカリプスの設定がもう少し増えて欲しい所である。

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ストーリーは失われた記憶を取り戻す形で表現される

本作のストーリーテリングは「失った過去の記憶を取り戻す」という形式だ。
リンクは長い眠りの中で過去の記憶を忘却し、思い出の地などに訪れる事で記憶を取り戻す。この記憶を取り戻すか否かもユーザーに委ねられており、もしもストーリーに興味のない人がいれば無視して遊んでも問題ないように設計されている。

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登場回数が少ないのは悲しいがキャラクターは魅力的だ

ストーリーの内容はメインシナリオとしてはガノンを倒す事が最終目標であり、また100年前に何があったのかを知る事がシナリオとなっている。
ゼルダシリーズと言えば本編では大きく扱われないものの、過去作との繋がりや時系列を見つけ出すのもシリーズファンとしては恒例だろう。本作においても考察しがいのある作品だ。

また、筆者がプレイしている所感としてはプレイヤーに対しての動機付けが素晴らしい…いや、嬉しいと感じさせられた。
それはストーリーに絡むミファーやダルケル、ウルボザ、リーバル、ルージュ、インパ、パーヤ、シド…そしてゼルダ。これらの人物がリンク(プレイヤー)に対して絶対の信頼を置いてくれているためだ。
リンクを信じて、全てを託してくれるのだ。
彼らとの出会いによって「ガノンを倒そう」と言う意思はプレイ開始時点よりも遥かに強くなる事だろう。
特に上記の重要人物1人辺りの登場回数(あるいはカットシーン)で言えば片手で数えられる回数であるが、その中でも「その人物がどういう性格なのか」「その人物とリンクの関係性」が無駄なく・わかりやすく表現されているため、逆に「これだけの登場でも、これほど記憶に残るのか」と驚くばかりだ。

しかし、全体的にみると本作のストーリー自体に関しては過去のゼルダシリーズ(特に3Dゼルダ)からすれば少々薄味になっている事は否めない。
また、全てのカットシーンがいつでも見返せるようになっていない事も少々物足りない点だ。

 

キャラクター

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キャラクター達は本作でも変わらず魅力的だ

キャラクターの魅力に関してもう少しだけ記載させて欲しい。

本作のゼルダは非常に共感しやすい女の子として描かれているのでは無いだろうか。
自分の非力さと周囲からのプレッシャーから心が少し折れかけているようだ。
しかし、仲良くなった相手に見せる活発な一面は彼女の本質的な部分なのだろう。

ゴロン族の英傑ダルケルは歴代のゴロン族通り頼れるアニキ的な人物だ。
ヴァ・ルーダニアのイベント最後にダルケルとユン坊のシーンがあるのだが、筆者はこのシーンで胸が熱くなった。

ゾーラ族の英傑ミファーも歴代ゾーラ族と同様に少し切ない物語となっている。リンクに対しての想いや里のゾーラ達、父への想いなどとても切ない。
家族ものに弱くなった事もあり筆者には致命傷だ。

シドはミファーの弟であり、その性格は非常に明るく熱血だ。プレイヤーを調子に乗せてくれるようなキャラクターで大好きなキャラクターだ。

ゲルド族の英傑ウルボザは支えてくれる姉御肌の女性だ。ゲルドと言えばガノンドロフと同族であり、そこに対しても思うところはあるようだ。

100年後のゲルド族をまとめ上げている族長ルージュは周囲の助けもあるが幼いながらもゲルド族をまとめ上げている。しかし、表に見せる事の無い彼女の本当の姿は年相応の可愛らしい女の子なのだ。

リト族のリーバルはリンクを一方的にライバル視しており、セリフなどは鼻につくのだが、それはリンクの実力を認めている裏返しでもある。ヴァ・メドーのイベント最後では少年マンガのライバルが仲間になった時の展開のようなこそばゆい嬉しい感情になる。

他にもリンクに片思いしているシーカー族のパーヤ、長期的なイベントやDLCでも活躍し演奏している曲が印象的なカッシーワなど記憶に残るキャラクターはたくさんだ。

 

システム

本項ではゲームプレイにおけるシステム全般について記載しよう。

 

バトル

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バトルアクションはオープンワールド型のゲームとしては多彩だ

バトルにおいては単純に剣や槍と言った武器を振るだけでなく、お馴染みの横っ飛びやバック宙返り、中遠距離からの弓矢、新アクションとしてはジャストガード(パリィ)と言った非常に多彩なアクションが行える。
ここまでのバトルアクションが行えるオープンワールド型のゲームはそう多くないだろう。
任天堂らしくボタン割り当てなどの操作性は抜群でストレスフリーだ。
アクションゲームにおいては例え操作に慣れたとしても、1つのボタンに複数の機能が割り当てられると、ふとした瞬間に誤操作をしてしまう経験のある人もいるだろう(例えば、アイテム取得と攻撃ボタンが共用の場合、アイテムを取ろうとして攻撃してしまうなど)。
本作においてはそのようなボタンの割り当てを行っていないため、誤操作により思った事と違うアクションをする事は稀だ。
しかし、ハード的な特性上としてJoy-Conのマイナスボタンが押しにくいのは少々難点だ。特にゼルダBotWはマイナスボタンも使う頻度は高いためハード側の配置はもう少し検討して欲しかった所だ。
プロコントローラーであれば問題ないのだが、こちらは別売であるためフェアとは言えないだろう。

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戦闘においては地形や天候も活用できる

様々な武器や環境を利用して戦いを有利に進められるのは楽しく。
特に序盤は操作も覚えきれておらず、自分も数値的に弱いため、敵が強く感じられ「ヤバい!!」と思うケースが多いだろう。
そんな中で機転を利かせた敵の攻略方法が出来た時の達成感は他のゲームではなかなか体験できないものがほとんどだ。
簡単に使える爆弾を利用するのはもちろん、火を使って燃やしたり、上昇気流を発生させて工夫するなんてのも良い。宝箱を敵の頭上に落とすのもアリだ。風だって使える。崖や落石と言った地形利用も良いだろう。時には落雷に頼るなんて事も可能だ。
単純な操作の上手さだけでなく、環境や物理法則(化学含む)でアドリブ性をもって敵と対処できるのはゼルダBotWの凄みだ。
着火させてフィールドを燃やし敵に影響を与えるゲーム、物理法則(物理エンジン)を利用して敵を排除するゲーム自体は個々に存在はしていたが、それらが全て行える事は珍しいだろう。また、プレイヤーが思ったようにそれらが使える品質である事は驚愕だ。
本作においては「こういう事もできるのでは…」と思い付いたことは大半が行える。それほど本作はオープンなのだ。
利用できるもの全てを利用して敵を倒す。卑怯と言われようとも勝てば官軍なのだ。

 

探索

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広大なフィールドは美しい数式によって楽しさを生み出す

大自然の広大なハイラルCEDEC2017において説明がなされた通り、非常に理論的に地形が構築され、またオブジェクトが配置されている。

時にはランドマークをユーザーに見せ、時には隠して別のオブジェクトに注意を向けさせて寄り道を誘う。また、遮られた地形の先に何があるのか興味を惹かせる。
これによってユーザーはまるで自分の意志によってハイラル世界の気になった場所を探索している気持ちにさせてくれるのだが、実際には開発側が意図している設計通りにユーザーが動かされているのだ。これはゲームの設計思想、そしてそれが機能していると言う点において100点とも言えるものだ。
これを言葉にするのは容易いが、これほどの広大なフィールドでそれを行うのは骨が折れる事であるとも容易に想像できるだろう。

「隠す / (徐々に)現れる」と言った配置方法自体は他のゲームにおいても全く無かった訳ではない。しかし、ゼルダBotW以前においてはおよそ感覚・印象・勘の世界の話であり、明文化して数式のような形で表現された事は少なかったのでは無いだろうか。
そしてその数式が正しい事はプレイした人であれば理解できるだろう。

 

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祠の謎解きのバリエーションの豊富さは歴代最高だ

祠は1つ辺りに何かしらのコンセプトを持って制作されているため、過去作の謎解きと比べると圧倒的にバリエーション豊かだ。
歴代の3Dゼルダシリーズでこれ程のバリエーションが出せなかったのは1ダンジョン辺りの構成が巨大であり、またその巨大なダンジョン全体で整合性のとれたデザインにする必要があったためだ(例えば「エリアAの仕掛けでエリアBの状態が変化する」など)。
本作では1祠1コンセプトにまとめ上げているため「他の祠とネタが被らなければ良い」くらいの制限で作れるのがこのバリエーションに繋がっているのでは無いだろうか。もちろん開発者の努力は言うまでもない。

また、1つクリアするのにかかる時間もそう長くないため、気軽に挑戦できる点も嬉しい。
歴代のダンジョンでは初見なら短くても1時間程度はかかる事がほとんどだ。そうなると気軽にはプレイできない(一長一短ではあるが)。
Nintendo Switchと言うハードの特性を考えればパッと挑戦できてサクッとクリアできる構成は親和性が高い。

 

四神獣

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四神獣のギミックは男心を鷲掴みだ

本作で最もやりごたえのあるダンジョン形式のステージと言えば四神獣だ。

これら四神獣の謎解きは非常にダイナミックなものとなっている。
まず、四神獣の前哨戦として各部族の筆頭やリーダーと協力して神獣を弱らせる所から始まる。
神獣からの攻撃をかわしつつ、仲間と協力して攻撃を当てていく。
これが非常に楽しかった。
前哨戦が終わると神獣内部に入っての謎解きパートとなる。
神獣内部はシーカーストーンのマップから実際に神獣を動かす事で発動するギミックが実装されている。
マップ操作でリアルタイムに駆動する神獣を色々な場所から見ているだけで男心が鷲掴みにされる感覚だ。
例えばヴァ・ルーダニアの背中に乗った状態からヴァ・ルーダニアを操作すると姿勢が変更される。これがリアルタイムに動いているのを観ているだけでも感動ものだ(ぼーっとしているとマグマダイブしてしまうが)。
そして謎解きが終わるとボス戦へと遷移する。
ボス戦は少々簡単でボタン配置などの操作系を覚えてしまえば特別苦労する事はないだろう。

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神獣内のボス戦よりも前哨戦の方が盛り上がる

全体的には神獣攻略は非常に楽しめるのだが不満点が無い訳ではない。
まず、神獣と戦う前哨戦だ。
筆者としてはこの前哨戦が一番熱い展開の戦闘に感じた。
そのため、神獣攻略の構成を「侵入・謎解き⇒内部ボス戦⇒神獣戦」の順序にした方が盛り上がったように感じるのだ。
筆者が盛り上がると感じた理由は複数ある。
1つは単純にスケール感だ。
圧倒的に巨大な神獣を相手にして戦っているのは非常に楽しい。
ゼルダBotWにおいては通常これ程のスケール感で戦う事が無いため、特別な雰囲気が段違いだ。
2つ目はシチュエーションだ。
神獣戦では仲間と共に戦う。シドやルージュ、ユン坊、テバなどと一緒に戦うのだが、一人で戦っているよりも仲間のリアクションがある戦闘の方がプレイしていて励みになるし、モチベーションが高くなる。
特にシドの「上がれぇー!!」という叫び声は一緒に戦っている雰囲気が感じられ非常に頼もしく、また楽しかった。
これらの要素が前哨戦で終わってしまうのは少々もったいない。

次に上げる不満点としては神獣内部で戦う事になるボス戦だ。
前述しているが、このボス戦がなんとも難易度が低めだ。
これは「どこから攻略するのも自由」としたための難易度なのだろうが、少々あっけなく倒せてしまうため英傑がやられてしまった説得力に欠ける。
ここには進行度合いに応じて攻撃パターンが増えるなどの要素があると歯ごたえがあったように感じる。

また、ギミックはダイナミックで凝っているとは言えボリュームとしては余り無いため、歴代3Dゼルダのような長大なダンジョンも欲しい所だ。

 

ウルフリンクamiibo

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ウルフリンク

ウルフリンクamiiboをかざすとゼルダBotWの世界にウルフリンクが召喚される。
このウルフリンクは「ゼルダの伝説トワイライトプリンセスHD(WiiU)」と連動しておくといくらか強い状態で召喚できる。

このウルフリンクは本作のamiiboとの連動機能において最も豪華な内容であると思うが、使い勝手は少々悪い。
ウルフリンク自体の性能は悪くは無いのだが、召喚するためには毎回amiiboをかざす必要があり何度も召喚しようと言う気持ちにはなれない。
欲を言えば「ウルフリンクを召喚」ではなく「ウルフリンクに変身」したかった気持ちの方が強い。
広大なフィールドをウルフリンクに変身した状態で駆け回るのは正に野生の息吹を感じる事だろう。
例えそれが叶わぬ夢であったとしても、せめてウルフリンクamiiboでは「ウルフリンクを召喚するアイテム」が入手できる形であって欲しかった。
それがあるだけでも召喚のやりやすさは数段上がった事だろう。

 

剣の試練

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剣の試練

剣の試練はDLCの第一弾として登場したやり込み用の要素と言えるだろう。

試練に挑戦するとリンクは全ての装備がはがされる。
武器も防具も無いスタート直後のような状態だ。
そこから徐々に困難になっていく試練を突破する事となる。
難易度はやや高く、マスターモードでプレイしているならばより難易度は上がるだろう。
通常モードでプレイをしているのであれば時間をかけて慎重に攻略していけば問題は無いだろう。

とは言え、この要素はやり込みの”おまけ”的な側面が強いため、剣の試練自体もリワードもゲームプレイの幅が広がるようなものとはなっていないのは少々残念だ。

 

英傑たちの詩

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英雄たちの詩

有料DLCとして登場した「英傑たちの詩」についても触れておこう。
DLCの追加要素は3段階に分かれてる。

まずDLCにて最初に挑む事になる新たな祠では「一撃の剣」と言われる特殊な剣を使用するパートから開始される。
この剣を装備すると「敵を一撃で倒し、また自分も一撃でやられる」というシステムになるのだが、正直このシステムは余り上手であるとは言えない。
戦いが大味となるし、また(今作は最も死にやすい3Dゼルダではあるが)死にゲーとして設計されている訳ではないためプレイフィールも中途半端だ。

次に各地の神獣近辺に足を運び祠をクリアしていく。
こちらは祠を出現させる工程においてもちょっとした謎解きのような要素が存在し、祠の内部でも謎解きがある。
その地域の祠を全て攻略すると神獣で登場したボスと再び戦う事になる。
装備は決められたものを使用する事になり、戦う前には「警告(以前と同じだと思うな…と言った内容)」までされるのだが、既に戦った相手であるため余り苦戦する事もないだろう。
なお、これをクリアするとボス戦を何度もやり直す事ができるようになる。

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新しく追加される神獣の内部

最後に待ち構えているのは神獣だ。
四神獣同様にダンジョン全体を駆動させるダイナミックな謎解きが楽しめる。
英雄たちの詩においてはコレが最も楽しい要素では無いだろうか。
とは言うものの謎解きのボリュームとしては四神獣の1体分と同程度であるため少々物足りない。
謎解きが終わればボス戦となるののだが、こちらもまた本編の神獣同様に大して強くは無い。そこまで苦戦する事も無いだろう。

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マスターバイク零式

英雄たちの詩をクリアするとリワードとしてマスターバイク零式が手に入る。
性能は申し分なく、いつでも簡単に呼び出しできるためハイラルを駆け巡るのにはピッタリだ。
しかし、このリワードも少々中途半端と言わざるを得ない。理由は単純で馬と役割が大きく被っているためだ。
せっかくDLCのリワードであるのだから新しい拡張要素であって欲しかった訳だ。
開発初期に存在したと言うスカイウォードソードのような上空からダイブする要素などちょうど良いと思うのだが(完全な新要素では調整が必要となり開発工数が大きく異なってしまうが)。

このDLCゼルダBotWをやりこみたいユーザー向けの内容が中心ではあるのだが、本当にやりこんだユーザーからすれば物足りない感は否めない内容・ボリュームだ。
本編の内容が素晴らしかったために期待値が高くなりすぎた事も影響しているだろうが、やはり新エリアなどは欲しかったところだ。

 

グラフィック

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フィールドのグラフィックスタイルはフォトリアル寄りだ

ゼルダBotWのフィールドはディテールこそスタイライズド(デフォルメ、記号化)されているが、そこで使用されている映像技術のほとんどがフォトリアルに感じられる。
草木の揺れ、光の散乱や反射、フォグによる遠近表現はフォトリアル指向な表現ではないだろうか。オブジェクトはスタイライズドが強いが、映像演出はリアルと言う聴いただけではチグハグだが、全く違和感がない…どころか「野生の息吹」を感じさせる生きた世界が広がっている。
また、テクスチャーの使い方には任天堂の完全子会社であり本作においても部分受託制作を行っているモノリスソフトの影響を少なからず感じる。

フォトリアルとスタイライズドの表現手法はそれぞれ長所と短所が異なると考えている。
フォトリアルでは、精細なグラフィックとなり説得力を持たせる事ができるが、逆にその情報量が多さが表現や地形のわかりにくさに繋がったり、精細であるが故に表現方法にウソがつけなくなってしまう場合が多い。
例えば、フォトリアルな人間がマリオ並みのジャンプをしていたら違和感になるだろう。それを実現する場合、説得力ある設定や表現・エフェクトが不可欠だ。
他にも「見えない壁」の類もフォトリアルな表現では違和感が強くなるだろう。
一方スタイライズドな表現では、無駄な情報を省略して表現する手法であるため表現や地形などを視覚的にわかりやすく見せる事が可能だ。また、フォトリアルよりはウソをついても違和感を感じにくいため柔軟な表現方法が実現可能だ。しかし、その情報量の少なさは重厚感には欠け、やりすぎれば”子供向け”と言う第一印象へとなってしまう(子供向けが悪いと言う事ではないが)。
ゼルダBotWにおいてはフォトリアル過ぎず、またスタイライズド過ぎてもいないと言うバランスが非常に良いと筆者は感じた。

余談だが、リリース当初は雨や雷雨といったエフェクトの激しい天候の際にはフレームレートが落ちる事も多かった。
しかし、後のアップデートによって最適化されフレームレートが落ちる事はほとんど無くなっている。

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二重虹まで確認できた時には余りの作り込みに驚いた

ゼルダBotWにおいては天候に関してもこだわりがある。
雨の前触れ、雨が上がった後に残る湿気による光のぼやけ…特に驚愕したのは上図にある「二重虹」を見つけた時だ。
二重虹は2つの虹が現れる現象で、片方の色のグラデーションが逆転しているのが特徴だ。本作ではその現象まで再現されているのだ。
これを発見した筆者はその余りの作り込み驚愕した。

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水の表現もまた美しい

静止画では少々わかりにくいかも知れないが、ゼルダBotWは水の表現も美しい。
池や湖の水を見て「飲めそう…絶対うまい…」と感じたのは筆者だけでは無いだろう。

 

サウンド

本作のBGMは近年のオープンワールド型のゲームで一般的となりつつあるプレイヤーの操作や環境に応じて変化する「インタラクティブミュージック」と表現されるものが採用されており、世界観の邪魔にならないように作られている。
この手法は古くはゼルダシリーズであれば「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の時代から既に採用されているものだ。
とは言え、それを余りにも前面に出した結果として自然さは生み出されるものの、かつてのような名曲で無くなったのは残念な限りだ。
技術的にはCEDEC2017採用情報などで公表されている様々なものが使用されているのはわかるのだが、何度も聞くため記憶には残るのだが1つの音楽として考えた場合はメロディラインが非常に弱く良い曲とは言えないものが多い。

とは言うものの名曲が全く無くなった訳ではない。

最も最初に聞く神秘的で”もののけ姫”を彷彿とさせる「メインテーマ」

神秘性と不気味さ(なんとなくクロノトリガー感のある)「祠」

追い立てられるような圧迫感のあるトラウマ曲「ガーディアン戦」

カッシーワがいるとエポナの歌のオマージュと気が付く牧歌的な「馬宿」

作中でも屈指の印象に残る曲であろう「カッシーワのテーマ」

時のオカリナ版のアレンジとなっている「ゾーラの里」

あのシーンが脳裏に甦る「リンクの記憶「英傑 ミファー」」

カッシーワの奏でる感動的な構成の「英雄たちのバラッド」

砂漠の決戦が見事に表現された「神獣 ヴァ・ナボリス戦」

どこか東洋的な神秘性の伝わる「聖なる泉の使い」

懐かしい旋律が威圧感によって最終決戦を表現する「ハイラル城」

ゲーム本編では使用されていないようだがNintendo Switch Presentation 2017にて登場したPVにて流れた「Nintendo Switch Presentation 2017 Trailer BGM」も素晴らしい

 

【先着特典】ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド オリジナルサウンドトラック (初回数量限定生産盤 CD+プレイボタン)(特典内容未定) [ 任天堂 ]

 

ボイス

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本作はシリーズで初めてボイスが付いた

ゼルダBotWではシリーズにおいて初めてキャラクターに明確なボイスによるセリフが付いた作品だ。

セリフで喋るのはカットシーンのみではあるがゼルダシリーズとしてはこれも大きな挑戦と言えるだろう。
しかし、違和感やデメリットにこそなっていはいないものの、ボイスありのセリフとなった事が明確なメリットとなっていたかは疑問だ。
過去作のゼルダシリーズのストーリー上にボイスが付与されただけに近く、余り活かし切れていないように感じる。
せっかくボイスが付いたのであれば、ボイスが付いた事に意味のあるストーリーテリングやゲームシステムまで設計して欲しかった所だ。

 

総評

ゼルダの伝説シリーズはゲーム史において何度もスタンダードを築いた偉大なタイトルだ。そして本作もまたスタンダードとなる1作かも知れない。
物理と科学が融合した洗練されたシステム、美しい大自然のグラフィック、計算された広大なフィールド構成…全てが見事に融合して化学反応を起こしている。
また、バグの少なさも特筆すべき点と言って良いだろう。
任天堂と言うメーカーがビデオゲームに対してどれほど真摯に向き合っているか、妥協を許していないかが伝わってくる傑作だ。

しかし、BGMのメロディの弱さや意味があったのか不明なボイスなどのサウンド面には若干の疑問が残る。ここは今後の作品に期待したいポイントだろう。

また、残念ながらDLCに関してはニーズとの乖離が激しく、素晴らしいとはお世辞にも言い難い。
ボリュームとしてもオマケ程度でありガッツリ遊びが増えるものでは無い。

 

外部記事

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【レビュー】絢爛舞踏祭

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その答えは、YESである

筆者が絢爛舞踏祭と言う作品を知ったのはアニメがきっかけだ。
絢爛舞踏祭はゲームに先駆けて「絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク(2004年)」と言うアニメが放送されていた。そのアニメのキャラクターや潜水艦、ラウンドバックラー(以降、RB)と言われる機体、なによりシチュエーションに興味を惹かれゲームを買おうと決心したのだった。
しかし、ゲームが発売されたのはアニメから約1年後の2005年7月7日。筆者はその間やきもきしながら待っていた事を覚えている。

※本作のスクリーンショットには本来は右上にプレイヤー名が表示されているのだが、画像編集して塗りつぶしを行っている点にご容赦願いたい。

 

【中古】絢爛舞踏祭

 

 

ストーリー

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ストーリーテリングと呼べるものは皆無だが、その設定は細かい

本作の大まかなストーリーを説明すると「太陽系の100年の平和を実現させる」ことが主題となっている。
主人公であるプレイヤーは海洋惑星となった火星を地球の従属体制から独立を目論む集団の一員だ。活動は「夜明けの船」と呼ばれる未来的な大型潜水艦を中心に政治的活動を含め行われる。

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動的なドラマを生み出す構造

キャラクターや政治体制、物流などの設定は非常に細かいのだが、本作においてはストーリーテリングと呼べるような演出などはほとんど無い。
どちらかと言えばプレイヤーの行うインタラクションや選択自体をストーリーテリングとして扱い、プレイヤー毎あるいはプレイ毎に異なる展開を重視する作りとなっている。
例えば、戦闘によって母艦である夜明けの船が被弾すると、その損傷レベルによっては上図のように艦内に浸水が発生する場合もある(火災となるケースもある)。
これが更に悪化すると隔壁が強制的に閉鎖され、場合によっては浸水エリア内に自分やNPCが取り残されるケースもある(取り残される=死亡確定では無い)。
その際には隔壁外のキャラクターに対して遺言を残す者もいれば、ただただ絶望するようなキャラクターもいる。必死に浸水を食い止めようとするキャラクターもいるのだ(もちろん、その行動をするのは自分になるかも知れない)。
その時に繰り広げられる動的なドラマはプレイヤーにとって正に一生の思い出となるだろう。

とは言え、このような逆境と言えるシチュエーションでも来ない限りは全体的には地味な進行となりがちである点は否めない。
また、ストーリーには時間制限がありゲーム内時間において3年以内に100年の平和を達成しなくてはならない点も賛否あるだろう。
筆者としても「もっと長く、ゆったりとした気持ちで潜水艦内の生活シムを体験したい」と言う想いもあれば、「時間制限が無くてはドラマにならない」と言う想いもある。

 

余談

余談であるが、前述のとおり本作はアニメが先行して放映されている。
しかし、ゲームとアニメでは設定など異なる点は多いため名前など以外は基本的に別作品と捉えるのが良いだろう。
本作はガンパレード・マーチ(以降、ガンパレ)や刀剣乱舞で知られる芝村裕吏氏の作品だ。
そしてガンパレの続編とも言えるのがこの絢爛舞踏祭である。
ストーリーにおいてもガンパレに縁のあるキャラクターが登場するのはファンであれば嬉しいポイントと言っても良いかも知れない。また、その他の芝村氏の関連作品からも登場しているキャラクターも存在している。
芝村氏の作品は設定・裏設定などが非常に多く、また未だに解明されていない設定なども多い。本作においてもそれは同様であるのだが、その辺りは深く知っていなくてもプレイに支障をきたす事は無い。
その辺りはあくまでも世界観をより楽しむものとして捉えると良いだろう。

 

システム

前述のとおり、本作は「ガンパレ」の続編とも言えるタイトルであり、それはシステム面においても同様の事が言える。
当時の水準から考えればオーパーツとも言えるほどにこだわり抜いたNPCのAI設計や世界観構築とそれに対するインタラクションは絢爛舞踏祭と言うゲーム内世界の説得力と厚みを持たせる事に成功している。

しかしながら、全体的に単調で地味な面が多く「シム」的なゲームとしてロールを楽しむ事が好きな人でないとついていけないだろう。
また、俯瞰視点時のY座標カメラ位置がやや独特で慣れるまでは「見えにくい」と感じるかも知れない。
ユーザーによるカメラ制御はパン(横回転)のみであるため、チルト(縦回転)方向に変更できないのは地味ながら不便だ。

キャラクターインタラクション

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記憶と感情と欲求によって行動する多種多様なキャラクター達

絢爛舞踏祭NPCのAIは非常に手が込んだ作りをしている。
NPC達は「記憶」「感情」「欲求」を基にして行動する。

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プレイヤーに話かけてくる、NPC同士で会話する

インタラクションと言う観点から考えたときNPCからプレイヤーに対して話かけてくれるのも筆者としては凄く嬉しいポイントだ。
プレイヤー側から話しかけるゲームは数え切れないほどあるが、NPC側から話しかけてくれる事のなんと嬉しい事か。
世界の中の自己認識には他者の存在が欠かせない。
そのためNPC側から話しかけられると言う要素は「自分(あるいは自分が操作しているキャラクター)が世界に存在している」と強く感じさせてくれるのだ。これはプレイヤー側からのインタラクションしかないものと比較すれば明確に感じるポイントだろう。
ただ、緊急のタイミングでNPCが話しかけてくる事もあり「空気を読め!!」と思う事があるのも少々リアルな点だろう。
また、見えるところ・見てないところでNPC同士の会話も行われており、それによってNPC間の好感度の状態も変化していく点も面白い。

 

記憶

「記憶」は”いつ”、”どこで”、”誰と”、”何をした”と言ったものを記憶しているという事だ。
ゲーム内では例えば「○○(NPC名)から伝言を頼まれた。」「昨日、○○(NPC名)からこんな話をされた」などが実際にNPCとの会話の中で繰り広げられる。

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NPCの記憶構造

記憶は会話だけで無く、その他にもNPCの人物評価においても利用される。こちらは「過去に行われた行動から、そのキャラクターに対しての印象が決定される」ものとなっている。
記憶は3層のキュー構造となっており、上図を用いれば最近の出来事を記憶する記憶領域Aから固定観念となるような過去の出来事が記憶される記憶領域Cまである。
これらの記憶領域はエンキュー可能数が最大値を超えると古いものから消えていくそうだ。そしてこららの記憶領域のエンキューできる合計数は全キャラクターで共通であるが、記憶領域毎の割合は年齢によって違うとの事である(若いキャラクターはAの割合が多く、年齢の高いキャラクターはCが増えていくそうである)。

感情

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現在の感情を表すアイコンが表示される

キャラクターには現在の感情を表すアイコンが表示されており、上図であれば”ご機嫌(爽快)”である事がわかるようになっている。
ご機嫌(爽快)な状態のキャラクターに対しては「何か良い事でもあったのかい?」と聞いたりする事ができる。
感情は前述の記憶と結びついており、「少し前にこんな事があって…」と話をされる事もある。

感情にはニュートラルの普通を始め、爽快や悲哀、羞恥など全部で8つのカテゴリーに分かれている。
実際にはもっと細かなパラメーター(感想)が設定されているようだが、表面上には8つカテゴリーによって判断する事となる。
感情の状態によって行えるインタラクション・行えなくなるインタラクションがあるため相手の雰囲気を確認して話しかけるのがベターだろう。

 

欲求

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空腹・睡眠などの欲求により行動するケースもある

各キャラクターには欲求が設定されており、空腹になれば食堂に行ったり、尿意に襲われトイレを目指すキャラクターもいる。
これらの欲求はキャラクター毎にサイクルが設定されている。

ただし、飲まず食わず、睡眠を取らない(取れない)プレイをしても特に問題は発生しない(体力の回復が遅くなる、士気が落ちるなどのデメリットはある)。
特にプレイヤーキャラクターは欲求を意識する事はほとんど無い点は少々残念だ。プレイヤーとしてはこれらの欲求は設定されていないため、食事も睡眠も実際に行ったとしても「やっているフリ」でしかないのだ(体力回復が遅くなるデメリットは同様に発生するが問題になる程のデメリットにはならない)。
少々難易度がハードコアになるかも知れないが、食事・睡眠をしないと倒れる、死亡するようなサバイバル的プレイスタイルを出来るようになるモードがあるともっと良かったかも知れない。

 

ロール

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役職により異なる行動

ゲーム開始直後のプレイヤーはRB(ガンダム的な立ち位置と考えて貰っていい)パイロット部隊である「飛行隊」に配属されている。
配属は自由に変更可能であり、変更したい人物よりも威信点と呼ばれるポイントが上回っていれば解任・就任などを行う事ができるようになる。
また、就任する場合には一定の技能レベルが必要となる部署もあるため、その場合には技能レベルを訓練して上げるか、アイテムによって上げるなどすると良い。

役職は複数あり、前述の飛行隊、飛行隊に指示を出す飛行長、飛行長に指示を出すのは艦長だ。艦長の下には、操舵長、水測長、航海長、水雷長、機関長、軍医 …これらには更に副官も存在する。
これらは平時では特にプレイを気にする事は無いが、戦闘中には行う事に(当たり前だが)違いがある。そのロール(役割)に浸ってプレイするのも悪くは無いだろう。
とは言え、どの役職も地味な作業でありゲームとしての華やかさには欠けるのは少々物足りない。

 

戦闘

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戦闘は地味だ

本作の戦闘はレーダーチャートのようなトポロジーによって行われる。
これは水中戦闘と言う事もあり説得力こそあるものの、ゲームとしてはダイナミズムが欠けており非常に地味を言わざるを得ない。
また、RBや母艦は場合によっては一瞬で撃沈されるケースもあるため注意が必要だ。
特にRBは耐久値が低いため1発の被弾が命取りになるケースも多い。

RB操作の戦闘と母艦操作の戦闘は基本的には違いは無いのだが、母艦操作の場合には各部署への指示出しによって母艦が操作されるため、RBと比べると攻撃も移動もタイムラグが発生する。これによって仲間(NPC)と一体になって艦を運用していると言う手応えと、指揮している手応えの両方を感じられる点は非常に良い。
RB操作は気楽ではあるのだが、筆者としては母艦操作の方が(見た目は変わらず地味なのだが)断然面白いと感じる。

 

政治と物流

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本作の世界には政治と物流が存在する

本作の世界は主に火星を舞台にするが、火星での活躍に応じて、その他の惑星や異星人との関係に変化も生まれてくる。

火星の海域では敵対勢力が航行しているが、その他にも物流が存在している(上図、一番右の緑のラインが物流ライン。緑の円が物流船を表す)。
物流船を拿捕すると資金を含めた多様な資源を確保できたり、物流船の所属する都市の政治的民意に変化を与える事ができるが、やりすぎれば火星内の都市間の機能低下が発生して都市の人口が減ってしまう事もある。物流船を襲うべきか否かは慎重になった方が良いだろう。

また、各都市の政党や、各惑星の政権の状況によっても敵対勢力に変化が生まれる。ただ基本的には敵対勢力を潰して戦力を削ぐプレイ方針でも構わないため、この辺りは深く考えなくても問題は無い。

 

グラフィック

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会話時に使用されるモデリングは優秀だ

本作のキャラクターモデリングはフォトリアルとスタイライズドの中間的な表現を採用している。
また、PS2のリアルタイムレンダリングの標準レベルから考えれば非常に高水準なモデリングとアニメーションも特徴的だ。

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艦内には様々な施設がある

自由に歩き回れるフィールドは母艦である夜明けの船の内部しか存在しない。
また、施設のインタラクションも非常に地味だ。

ゲームとしては余り楽しめるインタラクションは無いのだが、潜水艦と言う狭い共同生活空間においてストレスを出来る限り溜めないように施設を配置可能な限り作りました…と言う雰囲気が感じられる構成になっている点は実にリアルで評価できる。
インタラクションの地味さは「近未来潜水艦生活シム」だと思えばまぁ我慢できるだろう。

 

サウンド

サウンドは全体的に単調で短い周期でループする曲が採用されている。
決して優れたメロディでは無いが、同じフレーズを何度も聞くため結果として記憶には残りやすい音楽だ。

 

総評

本作は時代が早すぎたタイトルでは無いかと思える。
今でこそShadow of Warのネメシスシステムなど動的ドラマを生み出す仕組みが見受けられるが、絢爛舞踏祭のシステムは今なお かなり尖ったシステムである事は疑いようもない。
また、NPCとのインタラクションがゲームの根幹となってはいるが、(設定の説得力こそあるものの)全体的に華やかさに欠け、地味な作業が多い点はゲームとして勿体ない。

筆者は大好きだと声を大にして言う事はできるが、万人にオススメできる一作になっているとは言い難い。
「近未来潜水艦生活シム」と言うシチュエーションを満喫してみたいと言う方は是非ともプレイしてみると良いだろう。

 

外部記事

開発者インタビュー-絢爛舞踏祭