レビュー一覧

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アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ

アイドルマスター ポップリンクス

Assassin's Creed Origins

Assassin's Creed Valhalla

ASTRAL CHAIN

嘘つき姫と盲目王子

ウマ娘 プリティーダービー

SDガンダム Gジェネレーション クロスレイズ

大神

OCTOPATH TRAVELER

 

絢爛舞踏祭

幻影異聞録♯FE

Ghost of Tsushima

 

三國志13

三國志14

実況パワフルメジャーリーグ2009

真・三国無双8

じんるいのみなさまへ

スターオーシャン ブルースフィア

Starlink : Battle for Atlas

聖剣伝説2

聖剣伝説3

聖剣伝説3 Trials of Mana

SEKIRO : SHADOWS DIE TWICE

ゼノブレイド

ゼノブレイド2

ゼノブレイドクロス

ゼルダの伝説 Breath of the Wild

ゼルダ無双 厄災の黙示録

戦場のヴァルキュリア4

ZOIDS VS.Ⅲ

 

Dark Souls

テイルズ オブ ヴェスペリア

Death Stranding

DAEMON X MACHINA

 

 

ファイアーエムブレム ヒーローズ

ファイアーエムブレム 封印の剣

ファイアーエムブレム 風花雪月

ファイナルファンタジー クリスタルクロニクル

ペルソナ5 スクランブル ザ ファントムストライカーズ

ポケットモンスター ソード/シールド

星のカービィ スターアライズ

 

MAGLAM LOAD

マリオテニスACE

Metal Gear Solid V : The Phantom Pain

 

妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている

よるのないくに2

 

ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~

ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~

ラストストーリー

Red Dead Redemption 2

 

 

【レビュー】MAGLAM LOAD

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魔王、コンカツす

MAGLAM LOADはサモンナイトシリーズを手掛けた経験のあるメーカーであるフェリステラが開発した新規タイトルだ。
そのような事情から筆者は応援の意味も込めて本作を購入した形となる。

では、MAGLAM LOADのレビューをしていこう。

 

MAGLAM LORD/マグラムロード – Switch

MAGLAM LORD/マグラムロード – Switch

  • 発売日: 2021/03/18
  • メディア: Video Game
 
【PS4】MAGLAM LORD / マグラムロード

【PS4】MAGLAM LORD / マグラムロード

  • 発売日: 2021/03/18
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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魔王も勇者も絶滅危惧種

まずはストーリーを大まかに説明しておこう。
神々と魔族との争いがなくなり、故あって封印された「魔剣(マグラム)を生み出す魔王」はかつての魔力を失い、更には人間が築き上げたという「政府」によって絶滅危惧種に指定されてしまう。
全盛期のパワーを取り戻すため様々なキャラクター達と協力関係となるコンカツをする事になるのだが、その魔王こそが主人公となるキルリザークだ。
ストーリーは上図のような一般的なADVの紙芝居形式で展開されていき、魔王や勇者がなぜ人間が治める政府の手によって絶滅危惧種となって存在しているのか、なぜ復活のための魔力が乏しい世界なのかなどのストーリーの謎がメインストーリー(メインクエスト)で明かされていく。
本作のストーリーには大掛かりな伏線や緻密な歴史が用意されている訳では無いのだが、魔王を倒す役目を持っていた勇者など様々なキャラクター達と出会い、各キャラクター達が自身の個性を活かして協力しながら物語が進んでいき、メインストーリーを読み解いていけばキャラクターの関係性は良く考えられている事がわかるだろう。
本作は濃厚なストーリーを楽しめるというよりも、キャラクターの会話を楽しむような側面が強いものになっていると認識しておくのが正しいと思った方が良い。

ストーリーの質は悪いという程のものではないのだが、序盤のペーシングは上手くいっていないように感じられる。
序盤にはストーリーで世界設定を多く説明してしまうため、ゲームプレイ部分が触れない時間が多くなってしまうのだ。
ゲームプレイ部分が用意されている以上、ゲームプレイ部分を触ってみたい気持ちが強い序盤には展開の遅さが噛み合っていない。
ストーリー進行がADV形式であるため、どうしてもテキスト頼りの進行になってしまうのも影響として大きいのかも知れない。
そのような意味で本作はADVを主体としたかったのか、ゲームプレイ部分を主体としたかったのかは曖昧になってしまっている。

本作はボイス付きのセリフが大半であり、そのような構造の場合において筆者としては地味に嬉しいポイントとして会話の自動送りが実装されている点は見逃せない。
ただし、自動送り設定は継続されないため、次の会話のたびに自動送りを再設定をする必要がある点は少々残念だ。

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各キャラクターには好感度が設定されている

ストーリーの会話中にはキャラクターの好感度を上げる選択肢などが用意されている。
キャラクターの好感度は一定のラインに達すると、そのキャラクターとのデートをすることが出来る。
デートはキャラクターにフォーカスを当てたサブストーリーのようなものだと言えば想像しやすいだろう。
その内容はキャラクター性を掘り下げるというような内容ではなく、シチュエーションを楽しむようなものになっており、前述した”キャラクター同士の会話を楽しむ”という路線と同様だ。
なお、キャラクターの好感度に応じてエンディングに変化が発生する形式となっているので、お気に入りのキャラクターがいれば重点的に好感度を上げていくと良いだろう。

 

システム

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チープさはあるが軽快なARPG

本作のゲームプレイは3Dマップのシンボルエンカウント形式で、戦闘ではサイドビュータイプのアクションRPGとなっている。
昔のテイルズオブシリーズに近いものを想像すると理解しやすい人が増えるかも知れない。
操作としてはボタン入力で攻撃していくシンプルなもので、その操作感はかなり軽快だ。駆け引きのバランスなどが奥深いものではないが、1戦闘辺りのテンポが良くサクサクと進められるのは良いポイントと言えるだろう。
敵には剣、槍、斧の3種の魔剣(マグラム)といわれる武器のどれかが弱点として設定されており、戦闘中にシームレスに武器をコロコロと切り替えて戦うのが基本となる。弱点属性の武器でないとダメージがかなりカットされてしまうため、相手の弱点に合わせて切り替えるのがセオリーだ。
武器に関しては倒した敵の素材を使って生成していく事が出来る。
生成に必要な素材のドロップ自体はそこまで厳しいものでは無いため、ある程度の敵を倒していれば生成可能になっている事だろう。

詳細なゲーム中のストーリー的設定は省略するが戦闘中は仲間キャラクターを操作するのが基本形となり、戦闘中にダメージを与えるなどする事で「GD」というゲージを溜めると魔王自身を操作して戦う強化モードのような状態となる。
基本的にはボス戦で使う事でスムーズに攻略できるが、この強化モードは少々強すぎる所があり、ただでさえ駆け引きのデザインが甘い本作の戦闘を更に大味にしてしまっているため好みがわかれる事は予想される。

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昇華しきれていないポイントの数々

ゲームプレイ部分に関してもストーリーと同様に悪いという程のものではないのだが、プレイしていて気になるポイントは多々あると感じてしまうだろう。
そのポイントについて以下に列挙していく。

まず、本作には複雑なシステムはないのだが、チュートリアルがテキストで済まされてしまうのは少々不親切だ。
その上、チュートリアル一覧からはまだ行う事ができないような行動も閲覧できてしまい困惑してしまう可能性がある。
もう少し丁寧な対応になっていると好感が持てたハズだ。

プレイアブルとなる仲間キャラクターは何名か存在するのだが、得意な武器や属性が異なるだけでモーションなどは共通であるのは残念だ。
使用感はほとんど…というか全くと言っても良い程には同じであるため、使い分けるような事はなく、個性を感じにくいのは寂しい仕様と感じざるを得ない。
プレイアブルなキャラクターを登場させているからには、それに相応しいプレイ体験が伴っていないと逆にチープな印象を与えてしまう。

ヒットストップが意図とは逆のプレイフィールになっている点も勿体ないポイントだ。
本作の敵は自分が攻撃する場面、敵が攻撃する場面と疑似的なターン制となるようにしっかりとデザインされているようには見受けられる。
しかし、怯まない敵の場合にはヒットストップ中に敵が行動し始めてしまい、疑似的なターン制のようにデザインされたゲームテンポが崩れてしまっているのだ。
せっかくヒットストップで攻撃の手応えや爽快感を与えようとしているにも関わらず、そのヒットストップのせいでダメージを受けてしまい、結果としてネガティブな印象の方が強くなってしまうという本末転倒になっているのだ。
本作はプレイヤーの攻撃時の後隙が小さく連続で攻撃しやすく作られている。その連続攻撃を中断させ、簡単には倒されないようにするためにこのような構造にした可能性はあるのだが、対処療法的でありポジティブな影響を与えられているとは言い難い。
プレイヤーの攻撃の後隙もしっかりと作り、その上で疑似的なターン制が成立するようなヒットストップ時間を設ける事で爽快感とゲームとしての駆け引きが両立できたのではないかと思える。

サブクエストも問題がある。
大半のサブクエストにはストーリーが付随していないうえに、特定の敵を倒したりアイテムを入手するだけという同じ事の繰り返しであるためどうしても飽きが来てしまうのだ。
その上、サブクエストをクリアしていく事でメインクエストの推奨レベル相当の水準になるため、「サブクエストはあくまでもやり込み要素としてデザインされている」とは少し考え難い。
メインクエストに関してもストーリーがあるだけでゲームプレイ部分はサブクエストと同様の構造であるため、メインクエストのモチベーションにも水を差してしまう。
水増しのようなサブクエストのプレイを推奨してしまっては、自らゲーム体験の寿命を早めてしまうような選択になっている。

ラスボスのデザインにもフラストレーションは溜まるかも知れない。
本作のラスボスは無駄に多い体力設定、攻撃を当てにくい、同じことの繰り返しという三重苦で、中々のストレスがある事を覚悟する必要がある。
また、それまでに登場したボスとはシーケンスが全く異なり、ギミック的な要素がいきなり登場する事もストレスに拍車をかける。
段階的にラスボスのデザインに近いボスが登場していればまた異なった印象だったかも知れないのだが、本作ではラスボスになって突如として面倒な仕様の戦闘が登場するため困惑してしまう事だろう。
最後は手強いボスを用意したかったのかも知れないが完全にやり方を誤っている印象だ。
なお、ラスボスの体力設定に関してはアップデートにて下方修正されている。

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少しだけだが探索要素もあるフィールド

3Dマップでは前述の通り敵シンボルが徘徊しているほか、素材などが落ちていたりと少しだけ探索要素がある。
セーフエリアと言う休息ポイントも用意されており、そこで回復なども行えるため、レベリングをしたい時などには重宝する事だろう。

ただし、本作の3Dマップは固定の俯瞰視点であるため、画面手前の索敵がしにくいのが少しストレスに感じるかも知れない。

 

グラフィック

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ADVらしい要素

ADVパートでは立ち絵やイラストがメインとなっている。
ゲームパートでは3Dモデルになるが、かなり簡素であり高品質なものだとは言えないが、そもそも本作をAAAタイトルなどと比較するのもお門違いだろう。

少ないがスチルもあり、ギャラリーでは見返す事が出来るほか、キャラクターのイラストも確認できる。
ただし、スチルは本当に少ないためADV要素をメインに考えている場合には肩透かしを喰らってしまう可能性は頭に残しておこう。

 

サウンド

楽曲はそこまで多い訳では無いのだが、ギャラリーで作中の楽曲をいつでも聴けるのはありがたい仕様だ。
特に筆者が気に入った楽曲は「狂奔ノ宴」で、思わず"進撃の巨人"が始まったかと思ってしまった。

 

総評

MAGLAM LOADはADVとARPGの両方を楽しめる一作だが、裏を返せば二兎を追ってしまった感は否めない。
全体的な駆け引きの調整不足や設計やペーシングのミスマッチが見受けられ勿体ないポイントが多いのだ。
もちろん、二兎を追わずして二兎を得る事は出来ない訳なのだが、それが可能なだけの開発リソースがあったようには感じられない。

決して悪くはない作品ではあるがADV面でもARPG面でも物足りなさを感じてしまう。
本作のフィードバックによって次に繋がる事に期待したい。

 

外部記事

アクションRPG『マグラムロード』発表、PS4/Nintendo Switch向けに今冬発売へ。『サモンナイト』スタッフ新作は、魔王が勇者とコンカツする物語 | AUTOMATON

『マグラムロード』キャッチーなコンセプトはシナリオ・都月景さん発案! プロデューサーインタビュー掲載 - 電撃オンライン

【レビュー】三國志14

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中華全土を染め上げろ

三國志14は歴史シミュレーションタイトルで君主プレイ型の国盗り合戦を主体とした作品だ。
本作は今までのような作風とは異なる「色を塗ること」で領土拡大をするようなものとなると発表され、より戦略的な国盗り合戦が行えるように感じて興味を持っていた。
そしてその後、パワーアップキット版が発売されると聞いてとうとう我慢が出来なくなってしまい購入したのだ。

なお、今回は三國志14 with パワーアップキット(以下、PK)版をベースにレビューを行っていく。

 

三國志14 with パワーアップキット

三國志14 with パワーアップキット

  • 発売日: 2020/12/10
  • メディア: Video Game
 
三國志14 with パワーアップキット

三國志14 with パワーアップキット

  • 発売日: 2020/12/10
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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史実と演義の二兎を追った三國志

三國志14では中国の三国時代の要所を演技ベースで体験できる内容となっている。
ストーリーはシリーズ恒例だが、三國志における特定のタイミングのシナリオに準拠した勢力配置で開始される形となっており、三国時代の契機となる「黄巾の乱」や様々な英雄が乱立した「群雄割拠」などの時代を選択してゲームがスタートする。

あくまでも三国志演義ベースのシナリオではあるが、登場する人物などは史実にしか登場しない人物もおり、史実ファンも演義ファンも嬉しい良いとこ取りをしている印象だ。
特に近年の三國志シリーズは徐々にその傾向が強くなっている。

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各種イベントは任意に発生させられる

特定の条件で三國志および三國志演義で有名なイベントが発生する。
イベントは自動で発生するものも存在するが、条件を満たした状態であれば手動でプレイヤーが任意に発生させる事ができるものが大半だ。
そのため、「○○が死亡する」「△△の勢力が強くなる」といったようなイベントをあえて発生させないようなプレイも可能になっている。
エンディングも任意のものが用意されており、大半の都市を支配する事でエンディングになる事も可能で、全ての敵勢力を潰し切る必要は無い。
ただし、全土統一した場合をグッドエンディングとした場合には、それよりは良くないエンディングになってしまうのは注意が必要だ。

 

システム

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面を塗る事が大切な国盗り合戦

三國志14はシリーズ初となるヘックス形式の戦争シミュレーションで、勢力の君主として古代中国全土を統一する事が目的となる。
本作のシステムの大きな特徴として「面を自軍の色で塗る」ことを重視したシステムになっている点が挙げられる。
大雑把に説明すると塗りは各拠点の周囲が拠点を確保している勢力の色に塗られていくほか、部隊が通った道のりもその部隊の勢力の色で塗られる。
この面に塗られている色が意味するのは単純な”勢力圏”というものに留まらず、補給線(兵站)をも意味しており、例えば部隊が自身の色から孤立した領域にいると行動不能に陥ったり、士気がどんどん下降したりしてしまう。
そのため、強力な武将に大量の軍勢を率いさせても、補給線を断たれてしまえば赤子も同然の戦力となってしまうリスクが付きまとうのだ。
どうやって敵の補給線を断ち、自分の補給線を途切れさせないかを意識するのが根幹のゲームプレイとなっている。

筆者のプレイフィールとしては防衛が非常に有利な印象で、なぜなら敵が自領内に入った際に搦手を利用して補給線を断つように動く事で多くの敵を無力化して一方的に叩くことがしやすいためだ。
当然ながら逆に攻めに行くハードルは高めで、敵の色で塗られた領内に入り込む必要があるため、どのように補給線を維持しながら安全に攻めるかを考える必要がある。
また、本作の攻城戦は専用の攻城戦に有利な部隊を用意しなくてはまず落とす事は不可能になっており、その点も注意が必要だ。
迎撃に来た敵部隊に対しての露払いを行う部隊と、敵の城に取り付いて攻め落とす部隊をそれぞれ用意するのが定石となるだろう。
このように戦闘と言う局所的な部分だけのフィーチャーではなく、「どのようなルートを通って拠点に攻め込むか」「どこに待機して敵の補給線を断つか」といった戦闘における過程すらも大切になっている構造のゲームプレイはプレイヤーの創意工夫が試されるため非常に楽しいものとなっている。
また、本作はRTSのような形式ではなく、1ターンが一ヶ月を上旬/中旬/下旬で分割して時間が流れるようなものとなっており、簡潔に書くと1ターン辺りに10日分の指示を事前にまとめて出すようなイメージだ。
そのため、敵の行動や進行ルートに関しても「相手はここを通るだろう」といったような予測を立てて相手の先を読むように指示を出す必要があるため、単純な数字の暴力だけではない戦闘になる点も面白い。

前述の通りだが、本作では一ヶ月を上旬、中旬、下旬の10日単位で時間が流れるため、ゲームのペーシングは歴代でも比較的遅めの印象だ。
しかし、1つ1つの作業がサクサクと進められるため、ついつい次の作業に手が伸びてしまいプレイをやめるタイミングを失ってしまう中毒性がある。
かくいう筆者も「もう少しだけ…」と思いながら、ついつい10時間以上もプレイしてしまっていた。
その中毒性が生み出される要因の1つとして考えられるのは、領土拡大の”戦闘”と自領の拡充を行う”内政”を全て古代中国を表現した1枚マップ上でシームレスに行っている事が挙げられる。
本作のような国盗り主体の君主プレイの場合には「天下統一」というのが最終目標であり、戦闘も内政もその手段でしかない。
つまり、方法が異なるだけで目的が同じ作業を行っているのだ。
もしもそこに「戦闘は専用の別マップで行われる」などのシーンの切れ目を作ってしまったとしたらどうだろうか。
こうなってしまうと戦闘用マップに切り替わったとたんに内政に関する作業をいったん頭の中から忘れなくてはならなくなる。
つまり、「戦闘」と「内政」が隔絶されたものとなってしまい、プレイヤーの熱中度にどこか水を差してしまう。シーンの切れ目が熱中の切れ目にも繋がってしまうのだ。
もちろん、前作のような全武将プレイであれば目標は様々であるためシーンの切れ目があっても良いとは思うのだが、本作のような天下統一という単一の目標の君主プレイのみの体験の場合には1枚マップによるシームレスな体験は非常に相性が良いもののように感じられる。

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シリーズ恒例の問題点は問題点のままだ

時間を忘れて熱中してしまう楽しさがある本作だが、改善して欲しいと思ってしまう点もいくつかある。
しかも、その問題点の多くはシリーズお馴染みのものである点は勿体ない。

まずシリーズお馴染みだが、GUIのわかりにくさは相変わらずで初見ユーザーは困惑する事だろう。
本作に関してはGUIの主張を低くして画面の邪魔にならないような配慮をしているように見受けられるのだが、その方針の影響により各種GUIのアイコンの主張が薄く、最初に何をすれば良いのか、現在どうなっているのかがわかりにくくなっている。
また、全体的にPC版ベースのGUI構成になっているためにコンソール版ではスキルの任意発動などに煩雑な手順が必要で非常に面倒になってしまっており最適化不足感は否めない。
そのためプレイヤーは「習うより慣れろ」の精神でプレイする必要がある。

次もシリーズ恒例の問題点だ。
国盗りゲームとしては十分過ぎるほどの面白さを有した本作であるが、大勢が決まってしまうとやりがいのあることが極端に減ってしまうという従来の問題を引きずったままになっているのは勿体ない。
大きな勢力になった時には「降伏勧告」という要素が選択できるようになったりと無駄な労力を使わずにペーシングを簡略化させるようなものも用意はされているのだが、ハッキリ言って本質的な解決になっていない。
つまり筆者が言いたいのは「大勢が決まった段階で着手できる楽しみ」を用意しておくべきだという事なのだ。
大勢が決まったときに小勢力が逆転できるようにする要素は違うと思うので、そうではなくエンディングをより素晴らしいものにできるやり込みをいれてみて欲しい。
例えば、勢力の総人口や総資産、総兵力などの国力の総合指標が◯◯以上だとAエンド、◯◯ならBエンド、それ以下ならCエンドなどに分岐するイメージで良いだろう。
エンディングに関連した要素や条件を増やすことで大勢が決まったときにこそできる遊びを是非とも入れて欲しいというのはあくまでも一例で、筆者が言いたいのは(繰り返しではあるが)後半になってからこそ楽しめる要素を用意しておくべきだろうという事だ。
 

パワーアップキット

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パワーアップキット

本項ではパワーアップキットにて追加された要素について紹介したい。

「交易」というシステムが追加されている。
ローマやパルティアといった外国と親交を結び、自軍にとっての恩恵を受けるような要素となっている。
交易を実行する際には外国を訪問する武将を選択したり、手土産となる資金や兵糧といったリソースが必要となったりするため、交易が可能であったとしても序盤ではなかなか利用しにくい。
他勢力と差別化を図りたい中盤頃にはコツコツと手を出しても良いかも知れない。

地域に「地の利」という要素が加わり、特定の地域を一定数確保すると自軍に有利な様々な種類のバフが発生するようになる。
前述した交易に関しても地の利の1つだ。
バフの内容は地域によって異なり、それぞれのバフ効果はどれも優秀であるため積極的に領土を確保したいと思わせるようになっている。

烏桓や山越などの「異民族」の勢力が新たに登場している。
しかし、彼らは正直言って影が薄い。
異民族が積極的に出張ってくることが少ないため、意図的に争おうと思わなければ出会う事が少ない。
また、中華統一にあたって異民族を制圧する必要はなく、異民族が保有する兵力も異様に多いため、そもそも制圧する意味も薄い。
それらの影響により、ただ存在しているだけで影が薄い勢力になってしまっているのだ。
やり過ぎれば理不尽過ぎるものになってしまうものではあるが、「高い友好度がないと該当地域で大規模に暴れまわってくる」「友好度が高いと該当地域で積極的に友軍として参戦してくれる」くらいのもう少しインパクトのある存在になっていても良かったのではないだろうか。

各勢力の初期位置をランダムに変更できる「国替」が登場したのは地味に嬉しいポイントだ。
筆者は自分好みな勢力図でプレイしたいと思うことが多かったため、ベストな方法ではないが嬉しい機能だ。
ただし、できれば所属武将など含めて全ての要素を任意に設定できるものが欲しい所だ。

PK版を購入するべきか悩んでいる方もおられるかと思うが、本作のPK版に関しては「追加要素」程度であり、ゲームプレイの拡張や体験の変化がある訳では無いため無理にPK版を選択する必要は無いだろう。
また、後述する編集機能に関しては一部を除いて高額なPK版であってもDLCの購入が必要となってしまう点も注意が必要だ。

 

編集機能

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各種編集機能

本作では歴代のシリーズとは異なりDLC形式で各種編集機能にアクセスする事が出来る。
武将の能力値やスキルを編集できる「武将編集」やイベントを新たに作れる「イベント編集」といった機能がある。
ただし、前述の通り高額なPK版であっても武将編集機能など一部の編集機能を使用する場合にはDLCの購入が必要となるため注意が必要で、この仕様にはガッカリするかも知れない。

なお、イベント編集機能はPK版固有のものとなっており、PK版を購入していればアクセスが可能になっている。

 

グラフィック

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ディティールは粗いが、プレイには問題ない

3Dモデルなどのクオリティはお世辞にも高くはないがプレイには支障はなく、高品質な3Dモデルを期待されているタイトルと言う訳でも無いため大きなマイナスポイントにはならないだろう。

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動きを付けたイラスト

武将のイラストに関してはシリーズ同様に美麗で素晴らしく、今作に関してはイラストに動きを付けるという試みが成されている。
過去作から使いまわされているイラストに関しては動きがややぎこちないものの、本作で新たに書き起こされたイラストに関しては動きも滑らかで雰囲気を醸し出している。

 

サウンド

本作のBGMは一聴惚れするような楽曲がある訳では無いが、内政などの作業中に延々と聴く事になるため耳には残りやすい。
BGMはどこか陽気な雰囲気があり、今までとは趣が異なる印象を受けた。

 

総評

三國志14の高い中毒性のあるゲームプレイは非常に魅力的だ。

戦闘と内政がシームレスな古代中国は君主プレイとの相性が抜群で止め時を失う体験になっている。
ヘックス形式で表現された戦闘に関しても補給線を意識しつつ侵攻/防衛をする必要がありジャイアントキリングも可能な作りになっているため抜群のやりがいだ。

後発の高額なPK版であっても通常版で配信されたDLCは購入が必要となっている点はガッカリしてしまうかも知れない点は今から購入しようという方は注意が必要だ。
また、PK版独自の要素にしても既存機能に追加されている程度であり、体験が大幅に変化/拡張される事は無いため無理に手を出す必要性も薄い。
プレイしたいという場合には自身のニーズと相談してどれを購入するか検討すると良いだろう。

 

外部記事

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【レビュー】ウマ娘 プリティーダービー

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キミと夢をかけるよ

ウマ娘 プリティーダービーを制作するのは2010年代に群雄割拠したスマートフォンゲーム界で一大勢力へと台頭したCygames、そしてプロデューサーにはアイドルマスターシリーズを手掛けた石原章弘氏という大きな期待を背負う布陣だった(※石原氏は2019年に退任および退職)。
筆者としても石原氏がプロデュースするという事でかなりを期待を持っていたが、競馬関連の知識はと言うと有名な競走馬の名前を知っている程度で完全なニワカだ。

本作はかなり長期間の延期をしたタイトルとしても知られており、かくいう筆者もかなり待たされた。
2018年放送のアニメの放送した年にリリース予定であったと記憶しているので、2021年放送のアニメ第2シーズンに併せる形で配信されたという事はおよそ3年の延期である。
2021年の配信予告の際にはまた延期するのではないかとの不安もあったが、当初からは格段のグレードアップをした姿でリリースされた。

今回はウマ娘 プリティーダービーのレビューをしてみたい。
なお、本レビューはスマートフォン向けアプリとしてレビューを行う。
また、本記事はアップデートに並行して可能な限り加筆・修正を行っていきたいと考えているが、内容に齟齬が発生する可能性がある点はご了承いただきたい。

 

umamusume.jp

 

ストーリー

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歴史上で活躍した競走馬にフォーカスした物語

競馬にて起きた史実をベースとしたストーリーで、競走馬の経歴およびその競走馬に関わった人達の足跡を基に緻密な擬人化を行っており、そして物語として落とし込まれているのが本作の特徴だ。
落とし込み方をかなり大雑把にカテゴライズしようとすれば学園スポーツもの兼アイドルものだと言えるだろう。
参照できるストーリーは大まかに「メインストーリー」、キャラクター毎に用意された「ウマ娘ストーリー」、ゲームプレイパートで展開される「育成ストーリー」が存在する。
「メインストーリー」はゲームのアップデートと共に増えていくストーリーとなっており、各章でフィーチャーされるウマ娘が存在している。そしてフィーチャーされたウマ娘の基となった史実の競走馬や関係者の出来事を巧みに組み込んだ物語となっているのが特徴的だ。
ウマ娘ストーリー」は基本的には既に獲得済みのウマ娘のみが閲覧可能であるが、後述する「ガチャ」でピックアップされているウマ娘に関しては4話まで誰でも参照する事が可能となっている。各ウマ娘は4話分だけでも非常に魅力的に描かれており、観終えた頃にはそのウマ娘を育成したい気持ちにさせるような導線としても見事に成立している。
ゲームプレイパートで展開されるある「育成ストーリー」はベースラインには共通したシナリオがあるものの、各種テキストは育成するウマ娘専用のものとなっている。
また、史実をベースとしたシチュエーションのシナリオも用意されていたり、レースの勝敗によってテキスト差分があるなど細かい部分も作り込まれている。
その他にも、不定期に開催されるイベント専用のストーリーなどもあり、そちらも品質が非常に高い仕上がりだ。

「メインストーリー」や「ウマ娘ストーリー」では3Dアニメのようなカットシーンもあったり、1枚絵のイラストで魅せるなど演出面がリッチなシーンも多いが、基本的には3Dモデルを使用した紙芝居形式で展開される。
しかしながら、3Dモデルは非常に良く動き、会話していないウマ娘もしっかりとリアクションするため、紙芝居形式ながらも高品質な印象を受けるだろう。
ストーリーを追う上でもありがたいのは「メインストーリー」や「ウマ娘ストーリー」など、1話の次に2話といった形で立て続けにそのまま簡単に観れるようにデザインされておりストーリーを追いやすい作りにもなっている。
また時代も様々な競走馬をモチーフにしたウマ娘達は性格も様々であるため、シナリオの展開もバラエティーに富んでいる。
本作をプレイすれば、最初こそ競馬や競走馬に興味がなかったとしても「実際にはどういう馬だったのだろう」と知りたくなることは間違いない。

ゲームプレイ部分である育成中のストーリーには上述した通り全てのウマ娘で共通の汎用イベントも存在するのだが、そのテキストや選択肢のテキストはしっかりとキャラクター性にマッチするように書き分けられている見事な仕事だ。
また少し脱線した話題にはなるが、文脈に関係なく乱用される「その時、ふと閃いた」という魔法の言葉は一周回って愛着すら湧くだろう。

この育成中のストーリーはウマ娘毎に異なるマイルストーンが設定されており、それを達成する事で次に進めるような形式となっている。そして、達成が出来なかった場合には残念ながらそこで育成はそこで終了となってしまう。
この育成部分のストーリーも全体的にはリッチに出来ているのだが、目標が達成できず育成が途中で終了する事になってしまった場合にはそれ専用のテキストが用意されておらずストーリーがブツ切りのようになってしまっているのは勿体ないポイントだ。途中で育成を終える結果となったしても、もう少しソフトランディングになっていれば更にリッチになっていた事だろう。

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細かい部分でも世界観を表現している

細かい部分ではゲーム中には「馬」という文字が少し変更されて使用されている。
これは本作の世界に馬という生き物がおらず、その代わりにウマ娘がいるためだという。
そのため、馬という字も本作のフォントでは下部の点が2つだけで表現されており、ウマは二足歩行であるという事を示している。
世界観をしっかりと持たせる良い演出だ。

スマートフォンに表示される通知に関してもシステム的なメッセージではなく、しっかりとキャラクターのセリフとなって表現されている。
こちらもプレイヤーを興醒めさせないとても良い配慮だ。

また、細かい設定があえて曖昧なままにデザインされている点も世界設定の懐の深さに寄与しているように見受けられる。
ウマ娘達が通う中等部や高等部のある学園はあるがウマ娘が卒業したらどうなるのか、学園に通わないウマ娘達と普通の人間との関係性はどうなっているのか、中等部や高等部で分かれているが何年制なのかも不明で、先輩後輩の関係性が全体で成立するように考えると時空が歪んでいるようにすら感じられる。
また、そもそも本作の世界における歴史はどうなっているのかなどなど冷静に考えてみれば不明な事は多い。
このように曖昧な部分を残す事によって、世代が違ったり、血縁関係だったりと史実と本作とでは設定が異なるが故に発生しかねない違和感を見事にクッションできているように感じる。
そして何より現実では成しえなかった夢の共演を果たせているのはロマンと感慨深さを感じずにはいられないだろう。

 

システム

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どこかで見覚えのあるシステムを見事に落とし込んでいる

本作は実況パワフルプロ野球(以下、パワプロ)のサクセスライクな育成をする事でウマ娘を育てるナラティブ性のあるゲームプレイがメインコンテンツだ。
ウマ娘にはそれぞれ基本となる適性が設定されており、それをベースに後述するスキルや継承、サポートカードを駆使して短所を補ったり、長所を伸ばしたりする事になる。育成はウマ娘の個性に応じて行うのがキーポイントと言って良いだろう。
「ストーリー」の項でも少しだけ触れているが、育成のシナリオではウマ娘毎に異なる目標がマイルストーンとして設定されており、最大でゲーム内時間で3年間、ターン数にして約72ターンの期間で育成を行えるのだが、設定された目標を達成できなければそこで育成が終了してしまう。
特に戦力の整っていない始めたてのタイミングではウマ娘によっては育成を最後までやり遂げるだけでも1つの高いハードルがあるケースも多い。
初心者プレイヤーはまずは育成を最後まで出来るように戦力を整える事を目標にすると良いかも知れない。特にチュートリアルで来てくれるウマ娘達の中には育成しやすいウマ娘が含まれるようにデザインされているため、育成しやすいウマ娘で育成のノウハウを溜めていくと良いだろう。
逆に言えば始めたての初心者プレイヤーでもすぐに達成感や成果を得やすいようなコンテンツは不足しているため、そのつもりである程度は長い目でみてプレイする必要はあるだろう。

ウマ娘を育成する事で伸ばしていく基礎能力はスピード、スタミナ、パワー、根性、賢さの5つだ。
基本的にはスピードとスタミナが重要なのだが、その他のパラメーターが低いとレースでの勝利が安定しなかったりする。平たく言えば全てのパラメーターが重要と言っても差し支えない。
また、レース中に勝てなかった場合にスピード不足なのか、スタミナ不足なのか、それともその他のパラメーターの影響で本領を発揮できなかったのか。
その辺りの詳しい情報が明確な数値ではわからないため、ウマ娘のレース時の挙動をしっかりと把握する事も重要だ。
この辺りは「あえて」数値を表示しない事で曖昧にしてウマ娘である彼女達がシステム的な存在ではない事を、そして二人三脚で歩んでいる事を表現したいのかも知れない。
なお、一応はレースで勝てない時にアドバイスは貰えるのだが、それが適切なアドバイスなのかは疑問が残る所だ。

これらの基礎能力を育成で重視する度合いはウマ娘の適正によっても変化してくる。
先行逃げ切りタイプや最後にごぼう抜きするタイプ、短距離向きのウマ娘もいれば長距離向きのウマ娘もいる。
それらによってもどのステータスをどれくらい伸ばすべきかは変化するので、育成の参考にすると良いだろう。

「スキル」はパワプロで例えてしまうと「特殊能力」に相当するようなもので、特定の条件の場合に発動する。
スキルの発動は条件が整っていれば必ず発動するようなものではなく、基礎能力である賢さが影響しており、この能力値が低いとせっかく覚えたスキルも実戦でなかなか発動しないため注意が必要だ。
習得するスキルに関しても育成しているウマ娘の特徴を捉えて上手く合致するスキルを優先的に取得するのが好ましい。

「サポートカード」は育成開始時に決める事になる育成中のイベントに関連したりするなど育成を強力に補助してくる要素だ。サポートカードは後述する「ガチャ」で主に入手できる。
育成開始時には6枚のサポートカードを選択する事になり、選択したカードのキャラクターが育成を補助してくれるような形となる。
育成中にサポートカードとして設定したキャラクターと絆を深めると「友情トレーニング」が発生して育成効率が更に上昇する仕組みなのだが、これもパワプロのサクセスに類似のシステムがあるため、そちらを想像するとわかりやすい方もいるかも知れない。
サポートカードには基本的には得意なトレーニングが設定されており、育成したいウマ娘との相性を考えて、どのサポートカードを選出するのかを決める必要がある。

実際に育成が始まると上図の真ん中のような形でどの能力を鍛えるのかを選択しながら進行していく事になる。
育成では1ターンを消費して、トレーニングなど何か1つの行動を選択するような形で進行する。
ウマ娘には体力が設定されており、体力が低い状態でトレーニングを行うと失敗してしまう可能性が高まる。そんな時には休養で1ターン消費して体力を回復するのが好ましい。
この辺りの駆け引きもパワプロのサクセスと同様の構造だが、例え失敗してしまったとしてもパワプロのように致命的な結果になる事はないため、その点は安心して良いだろう。
と言っても、トレーニングの失敗は貴重な1ターン無駄にしてしまっている事には変わりないため、トレーニングの成功率を確認しつつ、無理をせずに育成するように心掛けよう。

ウマ娘達の育成の成果が発揮されるのは「レース」だ。
このレースはゲームプレイとして何かを要求される事は全くないのが特徴だ。
スマホゲームが飽和した2020年前後には既に「自動周回」や「放置ゲー」と言われるようなゲームプレイを伴わないスタイルがフィーチャーされる事も多かったが、本作は「放置する事をゲーム体験として落とし込んでいる」のは素晴らしい。
レースが始まるとプレイヤーは応援するしかない。
つまり、自分とウマ娘が共に行ってきた育成の成果を見守るという体験をプレイヤーに与えているのだ。ウマ娘に対して親心を芽生えさせてくれるような体験だと言えるだろう。
これは操作するだけがゲームプレイや体験では無い事を教えてくれる好例だ。

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育成とレースの短いサイクル、継承による長いサイクル

この「育成とレース(成果)」のサイクルは非常にテンポ良く進める事ができる。
育成してウマ娘の能力を高くし、レースで走らせると、「もっと上を目指すぞ」「この能力値が課題だな…」などと思ってしまい、ついつい時間を忘れて次の育成へと手が伸びてしまう中毒性がある。
育成とその成果を確認するレースの一連のサイクルこそ本作において比較的短いスパンで回転する醍醐味の1つだ。

そして「継承」という要素が更に1つ外側のサイクルを生み出している。
このシステムもパワプロのサクセスにも近い概念があったものだが、ウマ娘の育成を開始するタイミングで育成完了済みのウマ娘を選択し、その力を借りて能力や適性などに好影響を発揮する要素となっている。
この手の競走馬には血統が重視される側面もあるため、それを踏襲した要素としても観る事ができる非常に腑に落ちるシステムでもある。
この継承というシステムはウマ娘の育成完了までを1タスクとしているため「育成とレース(成果)」と比較すると比較的長いスパンで回転するサイクルとなっている。
育成完了済みのウマ娘によって別の新しいウマ娘を育成しやすくして、そのウマ娘が更に別のウマ娘を強くしていく…といったような、徐々に強いウマ娘が育成できるようになっていく本作のもう1つのキモとも言えるサイクルとなっている。

これらの構造をまとめたのが上図だ。
育成とレースという短いスパンを積み重ねて育成を完了させ、継承によって別のウマ娘をより強く育てる。
そのウマ娘を再び育成していき、完了すればまた継承によって更に別のウマ娘をより強く育て…と言った相乗効果のあるスパイラルが形成され、より持続性のあるゲーム体験へと繋がっているのだ。

多くの点でパワプロのサクセスと類似した要素やイベントがあるのだが、パワプロほど極端な成果が出るランダムイベントは余り多くない。
特にスキルに関しては”スキルを獲得できる権利”は得られるが、いきなりスキルを獲得できるようなイベントはない。
そのため、継承やサポートカードなど育成開始時に行った選択の時点で、どこまで育成できるかが大まかには決まってしまうと言っても良いだろう。
開始時点でどのような方針で育成するかを決めておくのが非常に大切だ。

なお、育成がメインであるため関連する要素が色々とあり、ちゃんとプレイできるのか不安に思う方もいるかも知れない。
しかし、全体的なチュートリアルもしっかりしているため、ある程度のゲームプレイシーケンスを捉える事は出来るため問題ないだろう。
継承やサポートカードなど、自分で工夫する必要がある場面もあるが、その辺りは最悪でも「おまかせ」で自動設定する事も可能だ。

本作のシステム面で改善して欲しい部分があるとすれば「継承因子の仕様」だろう。
継承は上述した通り、育成が完了したウマ娘の能力を引き継ぐようなシステムになっているのだが、どのような能力を引き継がせる事ができるかは育成完了時にランダムで決定される「因子」による所が大きい。
このランダム性がかなり厳しいものがあるのだ。
簡潔に書くと因子は育成完了時のウマ娘の能力が高ければ良い因子になる”可能性”が生まれる。そう。可能性が生まれるだけなのだ。
その上、因子としては良いものだったとしても、それが欲しかった因子であるかはまた別問題である。
そのため、何回プレイしても一向に因子に恵まれない、欲しい因子が来ないという事は非常に多い。
と言うよりも、理想の因子が来るまでの道のりは果てしなく長いものを覚悟した方が良いだろう。
良い因子を引き当てられないと育成もある程度の水準で頭打ちとなってしまい、プレイヤーとしても同じような育成が続いてしまう事によってより良い育成が出来ているという実感が得られにくくなる。
もちろん、ランダム性を完全に排除してしまうとエンドコンテンツとして問題が生じてくるが、継承する因子の方向性なりをある程度だけ絞り込めるなどしても良かったように思えるのだ。
この辺りの仕組みはもう少しだけ検討して欲しい所だ。

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育成中に発生するミニゲーム

少々細かい部分だが育成中には上図のようなクレーンゲームと言うミニゲームが発生する場合もある。
本編部分以外にも本来ならば無くても問題ないハズのこういった部分の作り込みまで行っているのは見事と言う他ない。

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育成以外のエンドコンテンツには課題あり

育成済みのウマ娘は前述した「継承」の他にもチームで走るレースに参加させる事が出来る。
チーム競技のレースは簡単に書けば育成済みのウマ娘達で競うレーティングバトルだ。
他プレイヤーのウマ娘チームとレースを行ってハイスコアを狙うようなものとなっている。

育成済みのウマ娘でレースを行うためエンドコンテンツのように思われるかも知れないが、このコンテンツをエンドコンテンツと考えた場合には物足りない側面が強い。
なぜならプレイヤーがレースに対して介入できる要素がほとんど何も無いためだ。
育成時には育成とその成果を確認するサイクルが成り立ったが、このチームレースでは追加で育成できるような事は無い。
そのため、プレイヤーが出来る事と言えば消費アイテムを使ってウマ娘の調子を上げたり、天候操作をしたりするくらいになってしまう。
チーム競技レースには階級に応じたリワードが用意されているため「育成時にチーム競技レースに強いウマ娘を作る」という動機にはなるかも知れないが、このコンテンツ自体がプレイしていて楽しいものになっている訳ではないのである。
あくまでも育成済みのウマ娘を活躍させられる”オマケ”の場が用意されている、そして育成の目標を提供してくれているのだと認識した方が良いだろう。

将来的にUGC的な要素と組み合わせ、育成したウマ娘達による掛け算の楽しさが生み出されるエンドコンテンツなど、育成済みのウマ娘が真の意味で活躍し、やりがいのある楽しいコンテンツが生み出される事に期待したい所だ。

また、単純に育成完了している自身のウマ娘達だけで行う自チーム内レースのようなものを用意しても良いように感じる。
現在はどのように育成すればより強いウマ娘になるのかを確認する手段が暗中模索の状態だ。それをもう少し確認しやすくする環境を整えても良いのかも知れない。

 

ウイニングライブ

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高品質な3Dライブ

レースに勝利するとウイニングランならぬ「ウイニングライブ」というものが用意されている。
上位3名がメインで歌って踊り、1位となったウマ娘がセンターの座を勝ち取る事となる。大切に育てたウマ娘がセンターで輝くその姿には感動を覚えるハズだ。
楽曲は基本的には最初から解禁はされておらず、該当するレースで結果を残していく事で解禁されていくものも多い。
解禁された楽曲に関してはホーム画面から好きなタイミングで、好きなウマ娘で観る事が出来るようになる。

 

ガチャ

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ガチャ課金形式のオーソドックスなマネタイズ

マネタイズ手法はガチャ課金(ルートボックス)形式のオーソドックスなものだ。
ウマ娘を入手できるガチャとサポートカードを入手できるガチャの2種類が存在する。

入手したウマ娘は育成する事ができるようになるため、興味があるウマ娘がピックアップされているならば狙ってみると良いだろう。
同じウマ娘が排出された場合には端的に書くと育成が有利になるアイテムが貰えるが、一度入手したウマ娘は何度も育成を行えるので、とりあえずは1度引ければ御の字だろう。

サポートカードは前述しているが育成する際に非常に重要だ。
こちらは育成を安定させたいならば多く引いておきたい所だろう。
既に獲得済みのカードを入手した場合には重ねる事が可能だ。重ねる事でこちらも育成をより有利にできる。

本作にはいわゆる「天井」も用意されており、その天井は気持ち低めの設定にはなっている。
しかし、ウマ娘ガチャとサポートカードガチャのそれぞれに天井が設定されており、また両方のガチャはどちらもとても重要であるため、天井が比較的低めだから良心的かというとそれはまた別問題だろう。
とはいえ、本作はPay to Winのようなガチャ至上主義の作品ではなく、無課金や微課金のプレイヤーであっても本作の楽しさを十分に体験できるハズだ。

 

グラフィック

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細かな表情の変化まで表現している

本作はスマホゲームにおいてはハイクオリティなキャラクターモデリングが印象的だ。
モーションキャプチャーによって作られた3Dモデルのアニメーションも絵柄と良くマッチした動きになっており、それでいてキャラクターの表情の変化はアニメらしいデフォルメされたものとなっている。
全員が全く異なるという訳では無いが、各キャラクター毎に走るモーションが微妙に異なるなどの個性も感じられる。
これらによって各キャラクターが非常に活き活きとして動き、本質的な品質の高さを感じさせる。
細かい部分では雨の日のレースでは服に濡れたようなテクスチャーになるなどの変化も見られる。

なお、レースで走る事になる競馬場のモデリングは細部に確認するとやや粗い。
しかし、それが目立たないようにカメラワークやブラーエフェクトによってディティールに視線がいかないように工夫がされており、背景の粗さは全く気にならないと言って良いだろう。

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美しい3Dライブ

「システム」の「ウイニングライブ」の項でも前述しているが3Dライブパートは高品質で、キャラクターのモデリングが高品質なだけでなく、カメラワークやシーンの切り替え方、ライティング、各キャラクター達がそれぞれのダンスを踊り、同じ振り付けであっても微妙なズレがあるなどの表現もあるなどリッチだ。
更にライブの後半にはウマ娘が汗をかいているなどの細かい表現も見受けられるなど演出も素晴らしい。

 

サウンド

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3Dライブと言うご褒美

「ストーリー」の項で記載している「メインストーリー」および「ウマ娘ストーリー」はフルボイスとなっているほか、3Dライブシーンでは歌も挿入される。
歌に関してはポジションによる歌い分けも最初から実装されているため、推しが見つかったプレイヤーには非常に嬉しい要素だろう。楽曲面も王道アイドルなものやカッコいいロックなものなどなどが実装されている。
筆者の好きな楽曲の一部を紹介させて欲しい。

何度も空気感の変わるゲーム内では1度だけしか観られない「GIRLS' LEGEND U」

元気溢れる王道なアイドルソング「Make debut!」

戦闘ものアニメが始まりそうな熱さのある「NEXT FRONTIER」

キラキラとした中にやすらぎのある「ENDLESS DREAM!!」

電波ソングの皮をかぶった感動曲「うまぴょい伝説」

アニメ2期のメイン曲でもある「ユメヲカケル」

これらの楽曲はアイドルマスターシリーズが好きならば一度は目にした事のある作詞・作曲者が手掛けている点も感慨深い。
また、作中のBGMに関してはアニメと共通のものも使用されているため、アニメを観ていた人にとっては嬉しいポイントだ。

 

総評

ウマ娘 プリティーダービーの育成システムや3Dライブなど、どれも本作が確立したものではないのだが、枯れた技術の水平思考的な取捨選択によって磨き上げられ高い品質を獲得した結果、唯一抜きん出て並ぶもののない新たなるスタンダードへと踏み入っている。

その中でも特に巧みに作り上げられたストーリーやリプレイ性の高い育成などは最高だ。
競走馬の史実をベースとしたストーリーやキャラクター設定によって知的好奇心がくすぐられ、その品質の高さも相俟って開発者側の執念や情熱を感じる仕上がりだ。
そして、ゲームプレイヤーと競馬を、そして競馬ファンとゲームを繋ぐ架け橋となっている点も素晴らしい。

 

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【レビュー】アイドルマスター ポップリンクス

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英雄集結

筆者は常々思っていた。
アイドルマスターってシリーズを統合させたコンテンツって出さないのかな」と。
そう。それがとうとう実現したタイトルが現れたのだ。
それこそがアイドルマスター ポップリンクス(以下、ポプマス)である。

今回はポプマスのレビューを行っていこうと思うが、今後のアップデートによって内容との齟齬が生まれる可能性がある点は注意願いたい。
なお、アップデートと並行して可能な限り記事の内容も更新したいと考えている。

 

poplinks.idolmaster-official.jp

 

ストーリー

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ストーリー

ポプマスはアイドルマスターシリーズを統合した作品であるが、それを活かしたようなストーリーは全くと言って良い程に無いのは少々残念だ。
シリーズの垣根を超えた夢の共演のようなストーリーが見たかったユーザーは少し肩透かしの印象を覚えてしまうかも知れない。
また、ストーリーがなく、上図のような簡単なテキスト程度しかアイドルの一面を垣間見る要素が用意されていないため、本作からキャラクターを知ろうとするのはハードルが高い。
アイドルマスターシリーズ初心者はアイドルの見た目の好みで”推し”を見つけ出す必要があるだろう。

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細かい部分まで配慮されたテキスト

しかし、細かな部分の配慮は流石はアイドルマスターだ。
例えば、スマホの他アプリでもよくあるがゲーム内の状態に応じて通知がなされる。
しかし、ここで淡白なシステム的なテキストではなく、しっかりとセリフとしてシステムの状態を知らせるようになっているのだ。
ゲーム内世界のアイドル達がしっかりと存在している事を感じさせてくれる素晴らしい演出だといえるだろう。

 

システム

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ツムツムライクなパズルゲームだ

ポプマスは身も蓋もない表現をしてしまえば「"ツムツム"ライクなパズルゲーム」だ。
画面上には数種類に色分けされた音符マークのオブジェクトが配置されており、同色オブジェクトを指でなぞって消していくシステムとなっている。
制限時間は約1分間となっており、その時間内でのアイドルマスターシリーズの任意の楽曲を聴きながらプレイする事が出来る。

アイドルは3人1組のユニットで活動する事になり、それぞれのアイドルにはスキルを設定する事が可能だ。
アイドルの属性と一致しているスキルであれば着脱可能となっており、アイドル間のスキルのシナジーを考慮してスキル選びをするのが良いだろう。
パズルをプレイ中にはアイドルマスターシリーズの様々な楽曲を聴きながらプレイする事ができるようになっている。好きな曲や知らなかった曲を聴きながらプレイ可能だ。
とは言え、アイドルマスターシリーズの楽曲である事によってゲームプレイで何かシナジーが生まれている訳では無いため革新性が低い点は少々勿体ない。
後発のツムツムライクなパズルゲームであれば、アイドルマスターであるからこそ可能なゲームプレイ体験も提供して欲しかった所だ。

しかし、本作が安定した面白さを提供できている事も事実である。
アイドルマスターシリーズが好きで、ツムツムライクパズルゲームにも興味があるのであればプレイして損する事は決してないだろう。

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訴求力の低さが懸念される

本作で最も懸念されるポイントを上げるとすればエンドコンテンツの弱さだろう。
本作にはツムツムライクパズルゲーム以外に何度もプレイして楽しむ要素はない。
定期的に開催されるイベントにしてもパズルゲームを通常通りプレイするしかないためイベントと言えども特別な体験にはならないのだ。
そのため、継続的にプレイし続ける訴求力が弱いと感じざるを得ない。
つまり、本作は一日に何時間もプレイされる事を想定されておらず、スキマ時間に少しだけプレイする事を前提にデザインされているゲームであるという事は知っておいた方が良いだろう。

 

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スキルが整っていなければクリア困難な課題は考えものだ

本作にはプレイヤーのレベルのような概念として「ランク」が存在する。
パズルをプレイする事によって貰える経験値(ファン数)が一定以上になるとパズルの課題に挑戦する権利を獲得でき、課題をクリアする事でレベルが上がる仕組みだ。
しかし、この課題は余り良いとは言えないのが正直な所だ。
初期の数少ないスキルではプレイヤーの熟練度や工夫だけではどうしようもないようなクリア難易度が高い課題や運任せにせざるを得ない課題が登場する事があるのだ。
アイドルに装備できるスキルはガチャによって引くアイドルと一緒に入手できる形となっているため、後述もするがガシャ課金形式の本作のマネタイズの導線としては正しいのだろうが、プレイヤーとしては良い気分ではない。
パズルをする事で入手できるゲーム内マネーを使用しても専用のガチャを行う事は可能で、そちらでもアイドルおよびスキルを入手可能だが、そちらはそちらで何十回、何百回とパズルをこなしていく必要があり時間がかかる。
結局のところ、「Time to Win(時間をかけてクリアする)」か「Pay to Win(金をかけて時短クリアする)」の二択を迫るクラシックなマネタイズ手法なのだ。

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能力値の上昇やジャケットの作成

アイドルを3人1組に編成したユニットはRPGのようなパーク取得のような形でVocal、Dance、Visualの各種能力値を高めることが出来るコーチングと言うものがある。
ここで強化される能力値はユニット単位で上昇するものであるため、アイドル個人には反映されないものである。
ポイントさえあれば左下の限界値まで取得していく事が可能で、限界値に到達すると割合を削ってポイントを獲得する事になる。
そのため、Vocal、Dance、Visualのポイントが高ければ同色の音符を消した際のスコアが伸びたり、Vocal、Dance、Visualの割合に応じてユニットタイプが切り替わりパズル時のバフが強化されたりする。
リリース当初は強化は1つ1つ選択していく必要があるため面倒だったが、約2ヶ月経過した2021年3月末のアップデートにて一気にババっとパーク取得できるように変更されている。

アイドルにはレベルも設定されている。
ガチャによって同じアイドルを入手した場合にはレベル上限を上げる事が可能な一般的に多い方式を採用している。
レベルが上がる事で上述のVocal、Dance、Visualの各種パラメータが少し上昇するため、こちらもパズルゲームにてハイスコアを狙うのであれば大切だ。
レベルを上げるにはパズルゲームなどプレイする事はもちろんだが、「トレーニング」といういわゆる放置ゲー的な要素によって多めに経験値を獲得できる。
ただし、このトレーニングは一括で実施したり、一括で実施結果を確認したりできないのは不便なところだ。

ジャケットの作成では自分が好きなようにアイドルやステッカーを配置してCDジャケットのようなものを作ることが出来る。
カッコよくするもよし、推しアイドルで固めるもよしだ。

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ホーム画面には少しだけ欠陥がある

細かい部分だが地味にフラストレーションになる部分がある。
それはホーム画面だ。
ホーム画面は上図のようにSD化したアイドルなどが街中を歩いているような画面で、ここからパズルを行ったりするハブとしての機能を果たしている。
また、街中にいるアイドルに触れる事で簡単なセリフを参照する事が出来たりする。
これ自体はホーム画面としての機能を果たしているのだが、問題なのはスライド操作をした際にアイドルなどのキャラクターに触れてしまう事なのだ。
画面を横にスクロールしたくてスライドやフリックしているにも関わらず、画面上にいるSDキャラを誤ってタッチしてしまい、本来したいハズの画面スクロールができなくなってしまうのは機能として少しだけ欠陥のあるデザインだ。
特に画面の指で振れやすい部分にSDキャラなどがひしめいていると誤操作する確率が増えてしまう。
一部の機能は「メニュー」のアイコンをタップする事でアクセスが可能だが全てではない。
やりたい事は伝わるのだが、大きなストレスでは無いとは言え本来の機能を損ねてしまうのは本末転倒だ。

 

ガシャ

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ガシャ課金形式でアイドルをスカウトしていく

本作のマネタイズ手法は一般的に多い「ガシャ課金(ルートボックス)形式」のものとなっている。
ガシャではアイドルをスカウトする事が可能で、アイドルをスカウトできると付随したスキルも一緒に入手できる。
同じキャラを引いた場合にはアイドルのレベル上限を伸ばす事が可能になる。

特徴的なものとしては「オファー」というものがある。
これは共通衣装バージョンのアイドルに限り、任意のアイドルをスカウトできるものとなっている。
「推しが絶対に欲しい!」といったような場合にはありがたい機能だろう。
ただし、専用衣装バージョンのアイドルはガシャでのみ獲得可能であるため、共通衣装で良いから絶対に欲しいという場合に使うと良いだろう。

 

グラフィック

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SDキャラがメインに躍動する

強くデフォルメされたアイドルマスターシリーズのアイドル達が特徴的だ。
グラフィック面は全般にリッチと言う訳では無いが、3Dモデルでは無いため年月を経ても古びにくい特徴を有していると言っても良いだろう。

 

サウンド

アイドルマスターシリーズの様々な楽曲を聴く事が出来るのは本作の魅力だ。
筆者もそうなのだが、シリーズの全ての楽曲を知っている訳では無いユーザーも多いであろうだけに、そのきっかけとなれる可能性を秘めている。
前述しているがパズルゲームは1プレイが約1分ほどである。
そのため、曲のループは短めとなっており、サビ部分をかなりの回数聴く事になる。
その単純接触効果によって耳に残る事は間違いない。

 

総評

アイドルマスター ポップリンクスはアイドルマスターシリーズの全アイドルと全楽曲を内包するツムツムライクなパズルゲームだ。

ストーリー面が薄くアイドルの個性を把握しにくいためアイドルマスター初心者が「推し」を見つけ出すのは少しだけハードルが高い気もするが、シリーズ経験者が横の繋がりを見出すにはピッタリだ。
良くも悪くもではあるが短時間で遊びやすいパズルゲームでもあるため、気軽にプレイしやすいタイトルとなっている。

 

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【レビュー】ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~

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ひと夏の冒険再び

ライザのアトリエ2(以下、ライザ2)は2019年に発売したライザのアトリエの続編となるタイトルである。
筆者はシリーズ初心者であるため詳細な部分は知らないが、アトリエシリーズで主人公が続投したケースは異例の事のようだ。

アトリエシリーズ初心者である筆者は前作をプレイして想像以上の好印象であったため、続編の発売は嬉しい事であった。

 

ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~

ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~

  • 発売日: 2020/12/03
  • メディア: Video Game
 
ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~

ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~

  • 発売日: 2020/12/03
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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王都の伝承の謎を紐解く物語

ライザ2の物語は前作から3年後が舞台だ。
主人公ライザリン・シュタウト(ライザ)は相変わらずクーケン島で暮らしていたが、自身の知識や見分を広げて錬金術師としての磨きをかけるために大陸の王都へと向かう事を決意する。
王都では錬金術に関連すると思われる謎の遺跡が複数存在しており、王都に伝わる伝承を頼りに遺跡を調査・探索していく事になる。
そんな中で別途調査を依頼されていた謎の宝玉から生まれた「フィー」という謎の生物が物語に大きく関わっていく。

3年の時を経たことで主人公であるライザはもちろん、クラウディアやタオといった前作で登場したメインのキャラクター達が大人に近付いているのは感慨深いポイントだ。
その他にも前作に登場したサブキャラクターや王都で初めて出会うサブキャラクターも多く登場し、ライザ達と交流していく事となる。
本作ではこれら仲間のキャラクター達にフォーカスしたサブストーリーが豊富に用意されているのが特徴的になっている。

続編と言う事で本作から入っても問題ないか気になる人もいるかも知れない。
だが、前作の出来事が本作に密接に関係している事は余り無いためストーリーを楽しむだけであれば問題ないだろう。
ただし、前作で何があったのか、前作時点でのキャラクターの関係性を詳細に知る事はできないため注意は必要で、100%楽しみたいのであればやはり前作をプレイしておきたい所だ。

サブクエストももちろん用意されており、一般的に多い街の人々から受注するクエストのほかに、前作と同様の仲間が自己研鑽のために設定したパーティーエストも存在する。
パーティーエストは仲間が自身の成長を目指す主体性を感じさせてくれるため、各キャラクターが世界で生きている事を思わせてくれる良い要素だ。
サブクエスト自体も単純な敵を倒す、素材を集めるといったものだけでなく、会話だけで完了するものも多くキャラクターの関係性を補完する意味合いが強い。

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世界設定を知れる謎解き要素

ライザ2は”遺跡の調査”をすることがメインストーリーとして語られるが、それは実際のゲームプレイでも行われる。
フィールドを探索する事で遺跡の情報を発見することができ、上図のように見つけた情報を見比べて組み合わせる事で遺跡がどのような背景をもった建造物なのかを紐解くことが出来るようになっている。
組み合わせはテキストで書かれた情報を確認していけば見つける事が可能になっており、最悪の場合でもブルートフォースアタック的に行う事でも組み合わせを一致させることが出来る。
本要素はゲームの進行には一部必須ではあるものの、全ての組み合わせを見つける必要は無い”やりこみ要素”になっているため、世界設定をより深く知りたい場合や組み合わせを見つけられた際に発生するリワード目的にプレイする事になるだろう。

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物語構成として数々の勿体ない要素

ストーリーは酷いという訳では無いのだが、質として勿体ないと感じてしまうポイントが多々存在するように見受けられる。
ここではそのポイントについても記載しておきたい。

まず、前作と同様の勿体ないポイントについてだ。
カットシーン中にカメラワークなどでの魅せる工夫が少ないのは相変わらず勿体ない。
カメラのパンや煽り、カット割り、シーンの切り替え方など、どれも工夫の余地が大きいのだ。
また、採取可能なアイテムがカットシーン中に明滅するのも勿体ない。
会話をしているキャラクター達ではなく、その後ろで明滅によって悪目立ちしているアイテムが気になってしまうのは必然だ。
この辺りの映像演出の工夫は更に上の品質を目指すためには必要であると思うだけにもう少し頑張って欲しい所だ。

では、本作固有のストーリーの勿体ないポイントも書いていこう。

メインのストーリーでは遺跡に関しての謎がメインに置かれており、遺跡を1つづつ攻略していくような形式となっているのが特徴となっている。
しかし、1つの遺跡をクリアしたところで何かの謎が明確に解決する事がなく、問題を解決したという達成感、物語が進行している感が少ない構造になってしまっているのはゲームプレイにおけるストーリーの立ち位置として勿体ない。
説明が長くなってしまうため詳細な内容は伏せるが、本作では物語が進行しているというよりも、その場しのぎをしているような行き当たりばったりな印象が強いのだ。
そのため、メインストーリーをクリアしていってもそこはかとない消化不良感があり、「続きが気になる」と言ったようなストーリーによってプレイヤーを牽引するようなモチベーションに繋がっていない。
また、最終的なオチにしても事前に伏線が用意されている訳でもなく、進行と共に新たな情報を知るような(該当シーンに突入した際に「実はこういう事だったんだ」と言われるような)展開であり、展開が強引で後付け的な印象を受けてしまうだろう。

メインストーリーでのキャラクターの描き方も勿体ない。
単純に掘り下げが足りていないため、仲間になる際の進行に違和感を感じてしまうケースがあるのだ。
それを補完するために仲間のサブストーリーがあるのだが、それは仲間になってから知る事ができるようになっている。
つまり、本編で描くべきような内容もサブストーリーに回されてしまっているのだ。
「サブストーリーが充実している」と表現すれば聞こえは良いのだが、メインストーリーで触れておくべきような内容もサブストーリーに任せてしまっているため、消化不良のようなどこか違和感のある描き方になってしまっている。

序盤の進行が遅いのも気がかりだ。
本作では名前のあるキャラクターが多くなっている。
その影響からか彼らを紹介するパートが多く差し込まれるため、物語序盤の進行がやや遅い印象になってしまっているのは勿体ない。
特に序盤は「ゲームプレイ部分を触りたい」と思う人も多いであろうだけに勿体なさが増加してしまう。

本作ではセリフの自動送りが実装されたのは筆者にとって嬉しい追加要素だ。
しかし、自動送りの際のセリフとセリフ間のテンポがやや悪いケースも散見されるのは勿体ない。
自動送りを行っている時には出来るだけ自然な会話のテンポになるように工夫して欲しかった。

全般的にではあるが本作のストーリーは達成感であったり、伏線であったりといった”仕込み”が不足している印象だ。
ストーリーに期待されている役割を担いきれておらず、メインとサブのストーリーの役割も曖昧なままに設計されてしまっているような気がしてならない。

 

システム

本項ではライザ2のシステムに関して記載していきたい。

 

錬金術

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前作同様の時間泥棒な錬金術

錬金術は前作同様にフィールドや敵からドロップした素材を使用し、スキルツリー形式で強化していくことでアイテムを作成するものとなっている。
フィールドの探索幅は前作よりも広がっており、高低差が増しているほか、水中なども探索対象になっている。
しかし、行う事が複雑になっているという訳では無いため安心してプレイ可能だ。

錬金で作成できるアイテムを増やすには前作と同様に錬金の派生によって新たな錬金アイテムを作れるようになるが、「スキルツリー」という要素によって増やしていく事もできる。
このスキルツリーは上図の右を参照して欲しいのだが、ここでは「SP」というポイントを消費することで各種ノードを獲得していく事が出来るようになっている。
このノードを獲得する事で錬金で作れるアイテムが増えるのだ。
SPはストーリーの進行やクエストのクリアでも獲得できるポイントになっているのだが、錬金術をする事でもポイントを獲得可能になっている。
そのため、錬金の派生によって錬金可能なアイテムが増えたり、錬金をする事によって獲得できるポイントで錬金可能なアイテムが増えたりと、「錬金する⇒錬金できるアイテムが増える⇒更に錬金する」というスパイラルな構造となっている見事な設計だ。

錬金術自体はついつい時間を忘れて作り込んでしまうような面白さがあるのだが、前作と同様の難点は解決されていない。
特定の素材が欲しい時にそれがどこで入手できたのか詳細にわからないのだ。
どのフィールドで入手可能なのかは調べる事が可能であるため、該当のフィールドを探索すれば良いのだが、具体的なポイントまでは記載していないのだ。
そのため、どこでドロップしたアイテムなのか忘れてしまうと結局はフィールドをくまなく探索する必要が出てきてしまい手間が多い。

また、前述の通り本作のフィールドは探索幅が広がっているのだが、その探索幅の広がりをマップがカバーできていないのも痒い所に手が届いていない。
フィールドは前作よりも高低差があるものが多いのだが、マップではその高低差が全くわからないのだ。
初見のフィールド探索ではマップの使いにくさを感じてしまうだろう。

 

バトル

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よりエレガントになった戦闘

ターン制とリアルタイム性を織り込んだバトルシステムはライザ2でも健在だ。
大雑把に説明すると、昔のファイナルファンタジーATBライクなものと説明すると想像しやすいかも知れない。
敵味方の各キャラクターそれぞれに設定されているウェイト時間が経過するとターンが回ってくるようになっており、自分のターンが来た時に攻撃などの指示出しをすることが出来る仕組みだ。
本作の難易度としては序盤の敵こそ柔らかいが、前作よりも敵が段階的に明らかに強くなっていくため、装備をある程度きちんと整える事が大切になっている印象だ。

では、バトルの構造について分析してみたい。
バトルで登場する各要素の関係性は上図に示しているので参考にしながら読んでみて貰いたい。

まずは「通常攻撃」に関して記載していこう。
バトルでは一貫してこの通常攻撃が基本となっている。
通常攻撃は前作同様に戦闘中のみで有効な「AP」を溜める役割を持っている。
このAPは主にスキル発動に使用するため、通常攻撃でAPを溜めて、APでスキルを発動させるという基本構造は同様だ。

次は「スキル」に関して簡単に説明したい。
スキルはAPを消費する事で発動する事が出来るキャラクター固有の技だ。
本作ではAPが十分に貯まっていればスキルを連続発動が可能になる「スキルチェーン」が新たに実装されている。
スキルチェーンを行う事でダメージ倍率が上昇するボーナスが入る仕組みになっているため、大ダメージを狙うのであればAPを十分に蓄えた状態でスキルチェーンによって畳み掛けるようにスキルを連続発動させるのが良いだろう。

次は本作で関係性が大きく変化した「アイテム」だ。
錬金術で作成したアイテムの中には戦闘専用のものが存在する。
そういったアイテムは戦闘中に使用する事が可能だ。つまりは装備可能なスキルのようなものだと考えるのがわかりやすいだろう。
アイテムを使用するには前作と同様にCC(コアチャージ)というポイントを消費する事で使用できる。
このCCというポイントの構造が本作では改良されており「スキルを使用する事でCCがチャージされる」ように変化しているのは素晴らしい改善点だ。
前作とは異なりCCも戦闘中でのみ有効な次戦闘に引き継がないポイントであるため、代名詞とも言える錬金によって作成したアイテムを気兼ねなく使用しやすくなっている。
このアイテムもスキルと同様にCCが十分にあれば連続発動できるアイテムラッシュが行えるため、一気に攻め立てる場合には多くのCCをストックしておくことが大切である。
なお、戦闘中に使用せずに余ったCCはCCボトルというものにストックされ、非戦闘時の回復などに使用する事が出来る。

上述したアイテムラッシュによって特定の性質のアイテムを複数発動させる事で発生させる事が出来る「コアドライブ」というアイテムを使用した必殺技のようなシステムも存在する。
これは1キャラクターにつき戦闘中に1回だけ発動可能であるため、CCの残量と敵の状態を考えて発動すると良いだろう。
コアドライブはストーリーが進行する事で解禁される装備のような枠で、どのような効果のコアドライブを、どのキャラクターに装備させるかを考えて使う事になる。

このようにスキル発動にはAPを必要とするため通常攻撃をコツコツと行い、アイテムを使用するためにスキル発動もガンガン行い、アイテムを特定の組み合わせで一気に使用する事でコアドライブを発動させる。
すなわち、
「通常攻撃でスキルを発動」させ、
「スキルによってアイテムを使用可能に」し、
「アイテムを使う事でコアドライブを発生」させる。
という各要素が多重的な依存関係になるように構築されており、前作よりもスッキリとまとまったエレガントな構造になっているのは素晴らしい。

共闘感を高めてくれる「アクションオーダー」も健在である事も書いておかねばならない。
アクションオーダーは戦闘中に味方の要望通りの行動をする事で発動する強力な攻撃で、時間経過や敵の強力な攻撃を発動する前兆のタイミングで発生し、発動に成功すると前述のブレイクのゲージを大きく蓄積させる事ができ戦闘を有利に進められる。
仲間と連携して発動する攻撃であるため、仲間との共闘感を演出してくれる良いアクセントになっている要素だ。
オーダーは条件さえ満たしていれば発動するため、仲間がオーダーを出した時にはスキルやアイテムを使用すると良いだろう。

キャラクター固有の必殺技である「フェイタルドライブ」ももちろん存在する。
フェイタルドライブはスキルやオーダーを発動させる事で上昇していくタクティクスレベルというものが最大値となった場合にAPを消費する事で発動する大技だ。
フェイタルドライブは戦闘中に一度だけ使用可能で、使用後はタクティクスレベルが初期値である1に戻ってしまう。
つまり、発動後には味方が実質的な弱体化状態となるため、リスクとリターンを考慮して発動させる必要がある。

前作にあったクイックアクションは「クイックアイテム」に変化している。
クイックアイテムはAPを消費してウェイト時間を待たずにアイテムを使用できるシステムになっている。
満足に発動させるためにはAPとCCの両方のポイントが必要となるため、前作よりも発動にひと手間が必要となる点は注意が必要だ。

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もう一声が欲しい部分もある

本作の完成度でも十分に満足しているし、前作よりもエレガントに昇華したのは間違いないのだが、もう一声あればと思う部分はある。

バトル構造こそ前作よりもエレガントになっているのだが、ATBライクなタイムラインという要素を活かしたようなデザインになりきれていない点は悔やまれる。
自分や敵のタイムライン進行速度を「速く/遅く」して行動を制御するようなバフ/デバフなどを豊富に用意したり、タイミングによって攻撃がカウンター判定になったり、もしくは行動が潰されてキャンセルされてしまったりと行動順序を更に綿密に活かしたような工夫が欲しかった。

また前作と同様の指摘になるが、オーダーと言う要素がユーザーの完全な制御下にない点も少々勿体ない。
発動条件が時間経過だったりするのは戦闘に直接関係の無い要素に紐づいてる事になってしまう。
このオーダーというシステムに関しては「○○を行った時に××を要求する」「△△の状態になった時に□□を要求する」といった条件と要求などを装備形式に自由に組み合わせる事ができれば更に奥深い戦術性のあるものにできたように思える。

 

グラフィック

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光の強いロケーション、可愛らしいキャラクター達

ライザ2は前作同様に強い光によって暑い夏を感じさせる映像演出が特徴的だ。
賑わいのある近代的な王都の雰囲気や高低差が増したフィールドは前作には無い見応えがあるポイントだ。

主要なキャラクターのモデリングも良くできており、待機モーションなど全体的に可愛らしさが前面に押し出されている。
本作では水や雨に濡れた時に服が濡れた感じになるなど細かい部分がリッチになっているのも見逃せない。

仲間キャラクターを好きな位置に配置できるユニークなフォトモードも健在だが、フォトモード時のカメラ操作が少々独特でやりにくいのも健在だ。

映像面で気になった点があるとすればカメラワークだ。
文字だけでは伝わりにくい点かも知れないが、壁や手すりなどの各オブジェクトに対してカメラがオブジェクトの手前に回り込むように動作してしまう。
これ自体は多くのタイトルでも採用される手法ではあるのだが、本作はカメラ位置が変化してしまうオブジェクトや地形が多い事が問題になってしまっている。
普通に移動するだけでガクガクと不快な挙動になってしまうのは移動していてストレスに感じてしまうポイントだろう。
カメラ位置がオブジェクトに回り込んでしまう設計にした事を見越したようなフィールドデザインになりきれていないのは勿体ない。

 

サウンド

ライザ2のBGMは前作を踏襲したものが多く採用されているため、前作に引っ張られ過ぎている感は否めない。
故郷を離れたライザと同様に、もう少し冒険しても良かったように感じる。
とは言え、本作のBGMが記憶に残らない訳ではない。印象に残った楽曲をいくつか紹介したい。

少し大人な雰囲気を感じさせる拠点であるアトリエのBGM「新たなる冒険の拠点」

爽やかな冒険曲「海風を背に受けて」

威圧感のあるフィールド曲「湧いた巡りの地」

前作を踏襲した戦闘BGM「芒種、鼠黐の薫風」

ライザ楽曲のフレーズが一部用いられた感慨深い戦闘BGM「白霧、荻の上風」

ボイス関連は細かい部分が作られている。
待機時にもセリフが用意されていたり、水中ではセリフがくぐもった感じの音声になる。
また、クリア後には出演声優のコメンタリーを聴く事が出来るため、声優ファンは非常に嬉しいご褒美が待っている。

 

総評

ライザのアトリエ2は良い点と悪い点が共に表れてしまった作品だ。

付け焼刃に近いストーリーや前作を意識し過ぎたBGMなどはもう一歩だが、中毒性の高い錬金術や更にエレガントになった戦闘は魅力的だ。

総合的に考えれば十分にプラスの仕上がりではあるのだが、もう一歩に感じてしまう部分も肌で感じてしまうだろう。
特に全体的なストーリーの弱さは本作のゲームプレイ部分の面白さに影を落とし、多くのプレイヤーの記憶に残りにくい作品へと貶めてしまっている。

 

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【レビュー】ゼルダ無双 厄災の黙示録

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あったかも知れない100年前の物語

その発表は衝撃的なものだった。
ゼルダ無双 厄災の黙示録は何の前触れもなく突如として発表されたのだ。
傑作として名高いゼルダの伝説 Breath of the Wildはその絶望的な100年前の出来事や破壊される前の街並みや文化などを巡って様々なファンが考察するなど注目されていた。
その100年前にフォーカスを当てたのが本作であり、しかもそれをサードパーティーであるコーエーテクモゲームスが手掛けるゼルダ無双で実現させるというのだから驚きだ。
原作と比較しても問題ないレベルのモデリングなどは初報の段階で安堵したし、何よりも100年前をどのように描くのかが筆者にとっては非常に興味深いポイントであった。

今回はゼルダ無双 厄災の黙示録をレビューする。

 

ゼルダ無双 厄災の黙示録 -Switch

ゼルダ無双 厄災の黙示録 -Switch

  • 発売日: 2020/11/20
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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ファンとして喜びのあるストーリー

本作は原作であるBreath of the Wildから100年前に起きた大厄災を体験できるゲームになっている。
しかし、原作で紐解かれた過去の出来事を追体験するものではないという事が冒頭のオープニングムービーから示唆される。
そう。本作はBreath of the Wildのifシナリオともいえる内容になっているのだ。
もちろん、原作においてあってであろう戦場での戦闘も用意されているのだが、シチュエーションは原作とは異なるものとなっている。
ストーリーはステージ制で展開されていき、基本的にはステージの始めと終わりに物語のカットシーンが挿入されるような形式だ。
ステージ毎にストーリーが展開されていくため、本編よりもストーリーが充実しているのが特徴的だと言えるだろう。

本作のストーリー内容はBreath of the Wildとは異なる過去改変を行うようなものであるため、原作と比較すると強烈なまでに対比的で、ご都合主義的ですらあるほどの大団円になっている。
Breath of the Wildへと至る絶望的な結末を期待していた人には少し物足りなく感じる事もあるのかも知れない。

しかし、ネタバレ避ける程度に記載するが、本作は夢の共演が実現しているのは魅力的だ。
その夢の共演はBreath of the Wildファンならば必ず熱くなるハズで、原作プレイヤーであればプレイして損はない。

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ファンとしての懸念

Breath of the Wildの100年前を過去改変という形で描いている本作であるが、過去を描くという手法を用いた事で1人のゼルダファンとして懸念を感じざるを得ない。

まず、登場する敵が非常に小物の印象を受けてしまうのは残念でならない。
原作であるBreath of the Wildで感じた100年前といえば悲しく絶望的なものであった。
しかし、そんな100年前を描いた本作で暗躍している敵が薄っぺらい小物な悪役になっているのは非常に残念だ。
この小物の悪役は本作だけで暗躍しているのか、原作の100年前でも暗躍していた人物なのかは不明だが、何にせよもう少し厚みのある設定を用意して欲しかったと言わざるを得ない。
このような小物が絶望的な大厄災で暗躍しているのかと思ってしまうと、原作にあった物語の重みを貶めてしまっている。

また、Breath of the Wildの過去を知りたかったファンとしては本作の受け止め方は困惑するかも知れない。
原作の100年前を描いている本作だが、前述の通り冒頭から100年前には起きえなかった事象が発生する。
そのため、ほとんど完全なifストーリーの様相なのだ。
作中の会話や戦いなど、どこまでを原作でも発生した事象として受け止めれば良いのかは非常に困惑するだろう。
本作によってBreath of the Wildの事象を紐解こうと考えていたゼルダファンは「こういう可能性もあったかも知れない」程度に留めておいた方が良いのかも知れない。

本作が過去を改変するというifシナリオである事それ自体にも懸念がある。
以前のゼルダシリーズは「時のオカリナ」を契機として世界線が分岐しており、新規プレイヤーにはややわかりにくく、制作においても制約の多いものとなっていた。
それがBreath of the Wildによって半ば統合され、ゼルダシリーズのシナリオ的なわかりやすさや作りやすさが広がったと思うのだ。
しかし、本作では再び時のオカリナのような「勇者の勝利(本作)」と「勇者の敗北(原作)」の世界線で分岐をさせてしまっているのだ。
今後、本作の時間軸でのストーリーが展開されるかは疑問があるが、せっかくシンプルな構造へと回帰したにも関わらず、今回のような分岐ルートを作ってしまったのはシリーズの今後を考えた時に心配だ。

 

システム

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Breath of the Wildの無双アクション

Breath of the Wildの要素を多く踏襲した爽快な無双アクションが特徴的だ。
拠点の制圧であったり、強敵はウィークポイントゲージを削って倒すなど、前作にもあたるゼルダ無双のシステムも多く踏襲している。

登場するプレイアブルキャラクターには、扱いやすいオーソドックスなリンクや影分身のような技でスタイリッシュに攻めるインパ、空中戦ができるリーバルなどストーリーの進行と共にBreath of the Wildでも登場した有名なキャラクター達がアンロックされていく。
その他、特定の条件を満たす事で解禁される隠しプレイアブルキャラも存在する。
プレイアブルキャラクターはそれなりに多いが、メインストーリーを中心にプレイするという場合には育成するキャラクターはある程度は絞らなくてはならないのは注意点だ。

原作を踏襲した要素はキャラクター以外にも多く存在する。
攻撃をギリギリで回避する事でラッシュ攻撃を行う事が可能になっている。
回避は攻撃モーションをある程度キャンセルして発動させる事ができるためスピーディーな戦闘が行える。
盾を装備しているキャラクターであればパリィも可能だ。
パリィによってガーディアンのレーザーを打ち返す事ももちろん可能だ。
その他、草刈りや木こりもしっかりとできるなどフィールド上のオブジェクトに対してのインタラクト要素もある。
また、フィールド上にはコログが隠れているため、ちょっとした探索要素も用意されている。
原作をプレイしていたプレイヤーは思わず「こんな要素も取り込んでくれているのか」と感心するばかりだ。

ボス敵や中ボスなどの強敵は前作ゼルダ無双と同様に特定の攻撃の後などに発生する「ウィークポイントゲージ」を削って倒すのが基本になっている。
原作であるBreath of the Wildにおいてアイコン的な存在感を持っていたシーカーストーンの「爆弾」や「アイスメーカー」などのツール群もこのウィークポイントゲージと関連して使用する事になる。
例えば、敵の突進攻撃の際にはアイスメーカーのアイコンが表示され、実際に使用すると敵が氷柱にぶつかってスタンし、ウィークポイントゲージを削るチャンスが発生するのだ。
無双アレンジの使い方ではあるが、原作で印象的だったツールを使用可能になっているのは嬉しいポイントだ。
また前作も同様であったのだが、この要素の存在によって無双シリーズの「強敵との戦闘に不向き」という欠点を小さくする役割も担えているのは大きい。
まず、敵が攻撃するターンと自分が攻撃するターンが明確になる事で疑似的なターン制ともいえるものになるのはプレイのメリハリとなる。
そして、ゲージを削り切ればカッコいいモーションで中ボス程度なら大半が倒せてしまうほどの大ダメージを与えつつ周囲の敵も巻き込める攻撃を行うため、「無双」という一騎当千を主体としたゲームのテンポを落とし切らずに済むのだ。

原作Breath of the Wildや前作ゼルダ無双の要素を多く踏襲している本作だが、FE無双の要素も取り込まれている。
操作キャラクターをフィールド上にいるキャラクターにリアルタイムに変更可能なのだ。
操作していないキャラクターには指示だしが可能で、例えばリンクを操作している最中にインパには別の拠点に移動するように指示を出しておくといった事ができる。
本作は無双としては比較的広いフィールドが用意されているため、フィールドを1キャラクターだけで攻略するのは少しだけ大変だ。
そのため、操作していないキャラクターには事前に移動指示を出しておくことで、キャラクターの作業が完了したら別のキャラクターに操作を変更する…と言ったプレイが出来るようになっている。

戦闘では無双らしい爽快なアクションが楽しめるが、残念なポイントもある。
それは中ボスのような相手を複数体相手にしなければならないケースだ。
複数のボス敵はまるでまともに制御されているようにはみえず、バラバラに攻撃してくるため、こちらの攻撃タイミングが非常にわかりにくい。
制御できないのであれば、このようなケースは極力作らないでいただきたい。

ロード時間が長めであるという点も気になるかも知れない。
メインストーリーのステージでは開始時に経緯のようなものを喋ってくれるちょっとした物語があり、その裏でロードを行っているためロード時間が気にならないようにする工夫をしている。
しかし、それ以外のサブのやり込み要素ではそういった要素が無いため、読み込み時間がプレイヤーにダイレクトアタックしてしまうのだ。

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神獣を操作するダイナミックなパートも

巨大な神獣を操作できる圧巻のパートも存在する。
このパートではステージによっては10,000体以上の敵を撃破することが出来たりと、正に桁違いの規模の戦闘を行うことが出来る。
神獣の圧倒的な強さを目の当たりにするともはやどっちが厄災なのかわからなくなってくるだろう。

 

グラフィック

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原作では見られなかった風景

オープンワールドであったBreath of the Wildとは異なり、従来の無双系タイトルと同様のステージ制になっている。
しかし、戦場となるステージはそれなりに広く設定されている印象だ。
また、原作では見る事の出来ない生きている街並みを拝むことが出来るのは原作ファンにとって嬉しい限りだ。
絵作りに関しては原作と比較した場合、細かい部分ではディティールの粗さを感じるものの、ほとんどBreath of the Wildを踏襲したグラフィックに出来ている点も魅力的だ。

各キャラクターのモーションも良く作り込まれている。
待機モーションがしっかりと用意されているだけでなく、そのモーションにしても原作をプレイしていればニヤリと出来るようなものになっているのだ。

その他、ロード画面ではちょっとした操作で遊ぶことが出来る遊び心も用意されている。

 

サウンド

原作のBGMを印象を崩すことなくアレンジした戦闘曲になっている。
原作プレイヤーであれば感慨深い気持ちになる事は間違いないだろう。

キャラクターのボイス関連に関しても記載しておきたい。
ストーリーが原作よりもしっかりとあるため、ボイスも十分に用意されている。
また、パーティーメンバー選択時やフィールド上でのキャラクター切り替え時には組み合わせによって専用の掛け合いがあるなど、原作よりもボイスを良く使えている印象だ。

 

総評

ゼルダ無双 厄災の黙示録は傑作ゼルダの伝説 Breath of the Wildの世界観を無双アクションに落とし込んだ爽快なアクションRPGだ。

キモとなる無双アクションは欠点を最小限に抑えつつ、原作の要素を多く踏襲しており、そして尚且つ敵をザクザクと倒せる爽快感を実現している。
原作の雰囲気を壊さない程度に戦闘曲としてアレンジされたBGMも良い完成度だ。

しかし、原作とは対照的なまでの大団円となるストーリーは陳腐な印象も受けてしまう。
なによりも原作のような絶望的な世界観を望んでいたプレイヤーには少し刺激の足りないストーリーに映るであろう点は注意すべきだろう。

 

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【レビュー】Assassin's Creed Valhalla

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生きるための侵略

Assassin's Creed Valhalla(以下、アサクリヴァルハラ)はヴァイキング時代をモチーフとした作品だ。
Assassin's Creed Origins(以下、アサクリオリジンズ)と同様のアクションRPG路線のオープンワールド型タイトルとなっている。

ヴァイキングと言えば西暦800~1100年頃の西洋を震撼させた集団として有名だろう。
本作はそんなヴァイキングをプレイヤー側が操作してイングランドの各地を侵略していくという何とも血生臭い設定だ。
筆者としてはアサクリオリジンズぶりのアサシンクリードシリーズである事もあり、ヴァイキングとして暴れまわってみたいという衝動がわき購入に至った次第だ。

 

アサシン クリード ヴァルハラ -PS4

アサシン クリード ヴァルハラ -PS4

  • 発売日: 2020/11/10
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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偽りなき侵略

アサシンクリードシリーズと言えば歴史上の特定の時代を舞台にしている事が特徴的なシリーズである。
本作の舞台は9世紀中頃の欧州だ。
主人公であるエイヴォルはヴァイキングの一員の子供として生まれ、ある時に別のヴァイキング襲撃によって両親を亡くしてしまう。
物語はエイヴォルの復讐によって幕を上げるが、それはあくまでも導入だ。
チュートリアル的な最序盤でその復讐は果たされるのだが、エイヴォルの所属する戦士団の長はヴァイキング同士での争いを無くすために別勢力(ハーラル一世)の軍門へと下ってしまう。
それを良しとしない戦士団の長の息子シグルドは自分達が自分達の信念をもって生きていける地を求めてイングランドを目指し、シグルドを兄と慕うエイヴォルもそれに付き従う。
よそ者であるエイヴォル達はイングランドで生きていくために土地の様々な者たちと協力していく事になり、その中でアサシン教団の敵である古き結社とも対立していく事になる。
しかし、敬愛していたシグルドとの会話が次第に要領を得ないものになり、エイヴォルと噛み合わなくなっていく…。

アサクリヴァルハラは物語の冒頭こそ復讐を題材としているが、イングランドへの移住後の侵略に関しては暴力への免罪符を用いていない点は興味深い。
この手のタイトルには「敵が襲ってきた」「敵が大切な人を殺した」などの「侵略に対しての正当性(免罪符)」を主張するようにストーリー構成をするのが一般的に多い。
何故なら、このようなゲームにおいてはプレイヤーである主人公は殺人などの明確な犯罪行為を行うためだ。その免罪符として事前に何かを喪失し、その犯罪行為の正当性を明確に描くようにしているのだ。
しかし、本作においてはそこを免罪符によって変に包み隠すことなく純粋な自分達の生存競争のために略奪を行っていく。
その姿は野蛮さもあるものの、素直な描き方には好感が持てるだろう。

また、本作の主人公はアサシン教団として始まらないため、象徴的な様々なスキルを身に付けていない状態で開始する。
特にイーグルダイブを教わるまでは飛び込むモーションが異なるものになっている。
アサシン教団の信念を微塵も知らずに生きてきたエイヴォルと言う主人公像はアサシンクリード4のエドワードとも通ずる点があると言っても良いだろう。

サブクエストも様子のおかしいバラエティーに富んだものが多い。
時に斧が頭に刺さった男と会話をし、時には裸族の指示で赤の他人の服を盗むものもある。
サブクエストの1つ1つは非常に短いものになっているため、タスクが積み重なるような事もなくサクッと開始して、サクッとクリアする事ができる。
プレイしていてテンポが良いものとなっているのは好印象だ。

全体的には悪くないのだが、ローカライズによるものと思われる問題点が度々あるのは勿体ない。
ローカライズ自体の質は決して悪くは無いのだが、セリフと字幕が食い違っているケースが稀にあるように見受けられたり、セリフが終わりきっていないのに次のセリフが始まってしまったりという事がままあるのは勿体ないと感じてしまう。

また、本作にはストーリーの進行において致命的な問題点も度々顔を覗かせる。
それはバグだ。
筆者の場合にはメインストーリーやサブ要素などのイベント時に次に進行しなくなるバグに度々遭遇し、再ロードをして直前のセーブデータからやり直したケースが数回あった。
仕舞には完全に進行不可となる状態にまで陥ってしまったケースもある。
その他、2~3時間プレイしていれば1回ほどはエラーによってアプリケーションが落ちてしまうなど、合計回数にして両手の指の数では足りないくらいはエラー落ちしたハズだ。
このように、とにかく不安定なリリースとなってしまっている印象を受けたのは残念でならない。
現代においてはソフトウェアのアップデートによってバグ修正が行われるのが当たり前の環境ではあるとは言え、ここまで不安定な挙動では流石に笑顔になる事は難しいと言わざるを得ない。

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北欧神話の世界

アサクリヴァルハラの物語の特徴的な面をもう1つ紹介しておきたい。
それは本作が二本構成とも言えるものになっている点だ。
1つは前述の通りヴァイキングの物語だが、もう1つが北欧神話の物語となっている。
そう本作は北欧神話を舞台にした専用の物語が用意されているのだ。
フィールドには「アースガルズ」などの北欧神話に登場する舞台となり、トールやロキ、フレイヤといった高名な神々が登場する。
歴史を疑似体験できる作品とは少し離れた、神話を疑似体験するような内容も提供されている点はユニークだといえる。
神話は顕在的にも潜在的にもその言語の文化の根本部分に影響を与えており、その一端を知るという上でも重要な要素だ。

なお、本作では主人公の性別が選択可能であるのだが、選択肢の中には「アニムス(システム)に委ねる」というものも存在する。
アニムスに委ねた場合、ヴァイキング時代を女性、神話時代を男性としてプレイする事になるようだ。
性別はいつでもどこでも変更が可能であるため自分の好みはもちろんだが、気分で変えてみるのも面白いだろう。

 

システム

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バトルデザインは悪く無いが欠点も多い

アサクリヴァルハラはアサクリオリジンズの系譜となるアクションRPGベースのシステムだ。
キャラクターにはレベルがあり、敵を倒したり、クエストをクリアする事でレベルが上がっていく。
レベルが上がるとポイントが与えられ、そのポイントを消費して能力値や新しいスキルをパーク形式で獲得するようなものとなっている。
パークの割り振りはいつでもデメリットなしに振り直しが可能であるため、プレイスタイルと違うと思った際には気軽に変更可能だ。
パークの各ノードはアサクリオリジンズと比較してもかなり多く用意されているが、レベルアップも比較的早い頻度であるため、早いサイクルでどんどん成長していく事になりついつい長くプレイしてしまう構造だ。

本作の戦闘ではスタミナを主軸に置いているようだ。
スタミナは回避や防御といった行動のほか、攻撃を外しても消費する。
スタミナが切れてしまうと攻撃スピードが落ちてしまうなど、戦闘においてのデメリットが発生してしまう。
このスタミナは時間経過でも回復するのだが、その他にも弱攻撃をヒットさせることでも回復可能となっている。
そのため、スタミナ回復のために攻撃するという事にも繋がり、アグレッシブな戦闘にしやすいのは好感触だ。

白兵戦において重要な行動は敵の攻撃を弾くパリィだろう。
敵の攻撃をジャストタイミングで防御する事で発生するが、その判定は比較的長めに設定されているため決して難しいものではなく、積極的に気軽に狙うと良いだろう。
パリィに成功すると相手のスタミナゲージに対して大きなダメージを与え、敵のスタミナを枯渇させれば強力な一撃を叩き込むことが出来る。
この一撃はザコ敵であれば一撃必殺で、ボス敵に対しては大ダメージを与えることが出来る。
ただし、ボス敵に関してはスタミナを削り大ダメージを与えた後は普通に殴りあう事しかできなってしまうため、パリィなどのスタミナ削りの行動が腐ってしまう。
この点に関しては戦闘システムの検討不足に感じるポイントだ。

アサクリオリジンズにおいて問題点となっていた「アサシンブレードの存在感がない問題」が本作では解消されている点は大変喜ばしいポイントと言えるだろう。
アサシンクリードシリーズの象徴的武器アサシンブレード(本作での呼称はヒドゥンブレードだが便宜上アサシンブレードとする)は今作では特定のパークを取得する事で、格上の相手にも通用するようになったのだ。
「見つからない遠距離から敵を排除する」というコンセプトで運用される弓には真似が出来ない、「見つかる危険を冒して格上の相手を一撃で葬れる」というリスクとリターンの個性が用意された。
これによってアサシンブレードという伝説的な武器の設定が説得力を持って活かされるようになったといえるのは嬉しい限りだ。

本作ではアサクリオリジンズと比較すると武器の入手頻度や総数自体は減っているのだが、武器の個性が明確に区別されるような構造に変更されている。
アサクリオリジンズには無かった要素として防具が追加されている。
防具は鎧や兜などでヴァイキングらしい装備やアサシンらしい装備などが用意されている。
防具はシリーズを一式で装備する事で特殊な効果が出る事もあり、好きな見た目で構成するだけだと恩恵を得られないこともある点は注意が必要だ。
入手できる武器や防具は数こそ少ないものの鍛冶場で強化する事が可能で、好みの装備を強力に出来るほか、アップグレードする事で見た目が豪華になっていくものが多い。
また、これらの装備にはスロットが用意されており、探索によって発見したルーンというアイテムを装着する事で性能をカスタマイズする事も可能だ。

アクションRPGらしい要素によって中毒性のある楽しさを提供できている本作であるが、戦闘においての問題点も記載しておきたい。
まず、乱戦の質は余り良いとは言えない。
従来のアサシンクリードシリーズであれば「そもそも乱戦になってはいけない」という側面が強かったのだが、本作の主人公はヴァイキングだ。
そのため、必然的に集団戦になる事も多い。
しかし、乱戦時の敵の挙動はほとんど制御されているようには感じないのはプレイフィールに悪影響がある。
敵はさながら車懸りの陣のように断続的に攻撃してくる事も多いため、プレイヤーのダメージリアクション中に敵の集団が連続して攻撃してきてしまいハメ殺されかけるようなケースもある。
また、起き攻めような陰湿なタイミングでの攻撃なども平気で行ってくる事も多い。
集団戦があるにも関わらず、それを意識したAIの挙動になっているようには感じない本作の敵は少々残念と言わざるを得ない。

では1対1での戦いは良く出来ているのかというと、そちらはそちらで設計に問題がある。
前述の通り、ボス敵のような相手はスタミナを削り切った後に殴り合いにしかならない点も問題なのだが、それ以上に気になるのは敵の攻撃デザインだ。
敵が行ってくる「ガード可能な攻撃」と「ガード不能な攻撃」のモーションや攻撃速度などの設定が明らかに一般的なそれではないのだ。
一般にはガードが行える通常の攻撃には被ダメージこそ並ながら攻撃速度はそこそこ速く、ガード不能の攻撃はそれと見分けられるように前隙が長めに設定されている事が多いかと思う。これは駆け引き(リスクとリターン)の観点からも理にかなっているハズだ。
しかし、本作の敵はそれとは全く逆のケースがあるのだ。
つまり、「ガード可能な攻撃の予備動作が長く」「ガード不能の攻撃の方が速いorほぼ同程度の速度」のように感じるのだ。
これでは防御と回避の判断がしにくく、プレイしていて余り気持ちの良いものではない。
全ての敵がこのようになっている訳ではないにしても、もう少し駆け引きを考慮した設計にして欲しかった所だ。

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フィールドの探索、拠点のアップグレード

アサクリヴァルハラはフィールドの探索要素もそれなりに用意されている。
道中に落ちているアイテムなどはそれほど種類が多い訳では無いものの、装備を強化するための素材や体力を回復するための食料(木の実)が落ちている。

村などでは鍵のかかっている家がある事があり、ちょっとした謎解きをしてその扉を開けたりする。
そのような家には素材などのアイテムが宝箱に入っていたりする事が多いので、積極的に奪っていきたい所だ。
大した話ではないのだが、この鍵のかかった家で気になる事もある。
それは「かんぬき形式」のロックがされている家だ。
かんぬき式のドアしか無いも関わらず、室内には誰もいないという「完全な密室」になってしまっているケースがあるのだ。
もちろん窓の隙間からかんぬきを弓矢で壊すなど、ちょっとした謎解きをすれば室内に入れるためゲームとしては全く問題はないのだが、「え?これってどうやってかんぬきをかけて外に出たの?」と思わずツッコミを入れてしまう事が度々あった。
フラストレーションに繋がるようなものではないためマイナスのポイントではないものの、フォットリアルなゲームともなるともう少し説得力のある構造にして欲しかったように思える。

このような村などは自身のヴァイキング集団を率いて襲撃をする事ができる。
襲撃をする事で貴重な資材を入手できるため、こちらも積極的に行っていきたい。
また、その襲撃の際に松明を用いて家を燃やす事ができるのは面白い要素になっている。
燃えている家の付近では煤が舞い散り煙たい感じが再現される。
焼かれた家は崩壊するまでには至らないが、ジワジワと燃焼していく家は襲撃していることを強く感じさせる。
ただし、家は燃やせるが野焼きはできないのは少々残念だ。

村を襲撃したりする事で得られる資材を活用する事で自身の拠点をアップグレードしていく事ができる。
アップグレードする事でどんどん集落になっていくだけでなく、様々な施設が利用できるようになる。

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様々なミニゲームも用意されている

本作では様々なミニゲームも用意されている。

最も印象的なミニゲームとしてラップバトルがある。
相手の言葉に対して相応しい”言葉の応酬”をする事で評価を勝ち取るようなものとなっており、言葉遊びをゲームに取り込んでいる点は非常にワクワクするユニークな要素だ。
日本語ローカライズは非常に頑張っている事は伝わるものの、中には日本語ローカライズでは韻がふめていないように感じるものも散見され、どれが好ましい返答かわかりにくくなってしまっているのは勿体ない。

石積はいくつかの石を好きなように積み上げて、崩さないように一定の高さにまでするようなミニゲームで、筆者の感覚ではこれが最もフレストレーションが溜まりやすいミニゲームのように感じた。
これは動物タワーバトルのようなものを3次元にやろうとしているせいで、視認性や操作性が悪く、要求される高度も高いため積み上げの自由度も低くなっている印象で、正に「賽の河原の石積み」をするような苦行になってしまっている。

この他にも酒の早飲みバトルや釣り、数字と決められた役で遊ぶボードゲーム的なものもあるなど、寄り道できる要素は豊富だと言って良いだろう。

 

グラフィック

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ノルウェーイングランド、そして神話世界の欲張りセット

アサクリヴァルハラで訪れる大地は緑豊かな土地や沼地、降雪地帯のほか、ストーリーの項でも説明しているが北欧神話の舞台が登場するなど、かなり欲張り構成だと言えるだろう。
フォトモード搭載が搭載されている事も非常に嬉しいポイントだ。

オブジェクトの激しい動作に対しては躍動感を与えるためのブラーがかかるなどの工夫もしっかりとされている。
また、いくらかマイルドになっている部分こそあるものの、日本版であっても人体の切断表現はそのまま適用されているため、ヴァイキングの残虐性をしっかりと映像で表現できている点も好印象だ。

システムの項で記載しているが、キャラクターカスタマイズには防具がある。
しかし、兜などで顔が見えにくいのはイヤといったような場合には、特定の部位の防具を非表示にする事もできるなどしっかりと配慮されている。

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動物とのインタラク

動物とのインタラクトもあり、何かリワードが用意されているものではないが犬や猫を撫でたりできるのは嬉しいポイントだ。

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伝説の武器たち

本作にはエクスカリバーを筆頭に伝説の武器、神話上の武器が登場する。
しかし、そのデザインは余り良いとは思えないのは残念なポイントだ。
アサシンクリードシリーズはSF作品でもあるため、伝説や神話の世界をSFと紐づけたものなのだろうが光るように加工された鉄パイプのような見た目は素直にチープな印象になってしまっている。

また、ヴァイキングといえば…とも言える剣「ウルフバート」と思われる刀剣がないのも少々残念だ。

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相変わらず炎のエフェクトが粗い

アサクリオリジンズの時よりはいくらかマシになっているのだが、炎のエフェクト(松明の燃えている部分など)はやや粗いのは少々気になる所だ。
PS4ProやPS5版ともなればエフェクトがエンハンスドされるのかも知れないが、筆者の環境である通常のPS4では違和感を感じた。

 

サウンド

アサクリヴァルハラではオープンワールド型のタイトルに多い環境音、インタラクティブミュージック的なBGMの活用が主体となっている。
そのため、アサクリオリジンズも同様であったが記憶に残るような1曲はほとんど無いように思える。

 

総評

Assassin's Creed Valhallaは過去シリーズ全般と同様に抜きん出た面白さや革新性こそ無いものの、大きく外れる事の無い安定感ある楽しさを提供できており、初心者から上級者まで幅広いプレイヤーにオススメできる作品に仕上がっている。

免罪符を用いずに侵略を行っていく姿は好感が持て、進行テンポや成長テンポが早いゲームプレイもついつい長くプレイしてしまう中毒性がある。
極寒のノルウェーと鮮やかなイングランド、そして神秘的な北欧神話の世界を1本で体験できる本作はかなりの欲張りセットだといえるだろう。

しかし、リリースから1ヶ月以上経てもなお頻発するエラーの数々は本作の素晴らしい部分のほとんど全てに影を落としてしまっている。
製品としてのこの品質の悪さは残念でならない。

 

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