【レビュー】Echocalypse -緋紅の神約-

ケモノ娘の神殺しRPG

Echocalypseは(以下、エコカリ)は中国のYOOZOO GAMESが提供するスマートフォン向けアプリゲームである。

筆者が本作に興味を持ったのはRPGを中心としたゲームプレイに定評のあるVTuberニュイ・ソシエールさんが紹介しているのを拝見して、動物モチーフの作品との事でプレイしてみようと思ったのだ。

 

www.ekokari.jp

 

ストーリー

ダークな雰囲気のポストアポカリプス

EchocalypseはLive2Dのような動きのあるイラストベースでの紙芝居形式のストーリーとなっている。
これはスマートフォン向けの作品には採用される事の多い表現手法だ。

神話や伝承などのモンスターをモチーフとした「進化体」と呼ばれる獣人達と共に、封印されてしまったプレイヤーである主人公の妹を救うのがメインとなっている。
物理法則を無視して物体を融合させてしまうエコークリスタルという存在が重要となっており、かつて起きた厄災の後にエコークリスタルが空気中にばら撒かれている事がわかる。
細菌が空気中の塵と結合するなど人体への破壊的な影響が出ていたが、エコークリスタルを利用して人間と動物の融合を行う事で耐性を得た「進化体」の誕生に成功する。
また、その融合状態を解除できる”偉大な遺物”というものが存在するという。
現在の世界を救うためには、その偉大な遺物が必要になるという。
世界観はポストアポカリプス的な雰囲気であり、内容としては専門用語が多めで、全体的にシリアスな空気感となっている。
対して定期開催されるイベントで展開されるストーリーに関してはやや明るめの日常的な雰囲気の話が多いのが特徴的だろう。

本作のストーリー面において問題点を挙げるとするならばローカライズだ。
そう多くはないものの所々で日本語の用法で誤りがあったり、改行や句読点などが若干不自然なケースがある場合がある。
意図を察せない程に崩れている事はないものの、パッと見た時に少し気になる事はあるかも知れない。

インタラクションを伴うストーリー進行も

サブストーリーではちょっとしたインタラクションで進行させるような要素もある。
中にはキャラクターに簡素なインタラクションを行うようなものも存在するが、本当に簡素であるため余り凝ったものは想像しない方が良いだろう。

 

システム

事前準備が最も大切である

エコカリは基本的にオート戦闘で楽しむ事が前提のデザインだ。
プレイヤーが介入できる要素はいくらかあるが、戦力を増強させてオート戦闘で最大効率となるように事前準備を行うのが主である。

パーティー構成は最大6人で、キャラクター1人1人の特性はもちろん、前衛と後衛の配置も存在する。
攻撃を行う順番は配置場所によって固定で決定されるため、どこに誰を配置するのかで有用性に変化が生まれる。
例えば、最初の方に攻撃順が回ってくる場所に回復役を配置してしまうと、回復するダメージがそもそもないといった事にもなりかねない。
せっかくの攻撃や回復が無駄うちにならないように工夫した配置が良いだろう。
また、キャラクター固有のスキルによるバフも前衛に効果があったり、後衛に効果があったりと決まっているので、そういった部分も考慮する必要がある。

キャラクターとは別に「古物」というスキルだけを発動するアイテム(アーティファクト)のようなものも存在する。
こちらも古物によって効果が異なるが、オート戦闘させた際には発動順番が固定となるので適切なタイミングで効果が発動しやすくなるように、こちらも配置順番を工夫するのが望ましい。

本作は全体としてオート戦闘を前提として割り切って作られており、戦闘自体ではなく事前準備とサクサクと向上していくパラメータを楽しむように構成されている。
エストの最後には味方と敵のそれぞれのユニットのダメージ量や被ダメージ量などを確認する事が可能で、パーティー構成の最適化の参考にできる部分があるかも知れない。

攻略して報酬を得られるコンテンツがいくつか存在し、上記のパーティー編成によって攻略を目指していくことになる。
やる内容自体は非常に簡素かつ簡潔なものになっているが、そのバランスは歪なものだ。
オート戦闘前提であることもあり攻略自体にはプレイヤーの工夫の余地に乏しく非常に大雑把なのだ。
そのため、「数字での殴り合い」の域を出ず、プレイヤー間での競い合いのようなコンテンツも存在するもののゲームとしては存在するだけでありハリボテに近い。
それ以外のコンテンツにしても状況はほとんど同様であるため「戦力を整えて数字が増えていく」という単純な楽しさに終始している。
コンテンツ自体が「報酬のためにプレイする」以外の理由がなく、「楽しいからプレイする」といった”やりがい”に欠けているのは問題だ。

全ての要素が育成に繋がる構成

エコカリにおける一番の醍醐味はみるみる上昇していく数値のパラメーターという育成面だろう。

キャラクターにはこの手のタイトルに多いいわゆる”凸”の他にもレベルや武装、バッジ、キャラクターの組み合わせなど多くの強化要素が提示されている。
そしてそれぞれに強化項目も複数提示されているため、1人のキャラクターを強化する要素が樹形図のようになっているのだ。

しかし、キャラクター強化のハードルが高いのかというと決してそうではない。
例えば、キャラクターのレベルに関しては他キャラクターと置き換えが可能となっている。
具体的に書くと「このキャラクターを使いたけど、レベリングや強化素材が足りていない」というよくある問題が本作においては事態が発生しない。
メンバーを入れ替えれば育成状態がまるっと入れ替えたキャラクターと置き換えられるため、パーティーの出撃メンバーの変更が行いやすくユーザーフレンドリーである。

上図の右下をご覧いただけると本作にハウジング要素があることが確認できるかと思う。
そう。本作ではハウジングを行ってもキャラクターを強化できる。
とにかく全ての要素がキャラクターの強化へと還元されるようにデザインされており「関連性の薄い趣味的にやるサブコンテンツ」という立ち位置のものがほとんどないのだ。

本作において残念に思えるのは低レア排出キャラクターの働き口がほとんどない点だろう。
現状の全てのコンテンツにおいて高レアキャラクターの方が戦力や効率が良いため、余程戦力が整っていない最序盤でもない限りは低レアキャラクターを起用する意味がない。
それどころか高レアキャラクターであっても戦力が整うと余り日の目を見ない有様だ。
そんな状況下ではプレイヤーが低レアに推しキャラクターがいた場合などは目も当てられないのは火を見るよりも明らかである。
多くのキャラクターを投入する必要のあるコンテンツが一部あるが、この点に関してはもう少し様々なキャラクターに日の光を当てられるシステムの追加に期待したい所だ。

 

グラフィック

簡潔ながら要所を抑えたビジュアル

本作が売りとしているのは恐らく可愛らしい女の子達だと思って良いだろう。
各キャラクターの立ち絵となるLive2D形式のイラストは非常に良く動き品質の良さが伺える。
デザインは全体的にセンシティブな要素が多かったりするので、この辺りでマッチ・ミスマッチがハッキリと分かれそうだ。

一部のキャラクターはスキル発動時に短めのアニメが挿入されるが、本当に一部のキャラクターであり、基本的にはSDキャラクターによる演出アニメーションが挿入される。
フィールドマップなどで活用される背景イラストはフォトリアルなテイストでまとめ上げられており本作のやや暗めの物語のテイストにマッチする方向性にしていると言えるだろう。

しっかりと作ってはいるものの、基本的には立ち絵やSDキャラクターだけで構成されており簡素ではあるものの開発におけるコストパフォーマンスのバランスを取ったデザインにしている。

 

サウンド

BGMはストーリーのやや暗めのテイストと同様に少し大人びた落ち着いたBGMが印象的である。
緊迫感のある戦闘BGMもカッコよく筆者好みである。

 

総評

Echocalypse -緋紅の神約-はオート戦闘がしっかりと前提になったデザインとなっており、育成などの事前準備に重きを置いた作品になっている。

ハイパーカジュアルにも近く、少ない時間でもサクサクと育成に必要な要素に手を出せるため隙間時間に楽しむには悪くない。
ビジュアルにおいては可愛らしい美少女キャラクターがメインとなるため、そういった要素に抵抗がないのであれば気軽にプレイしても良いではないだろうか。