【レビュー】ポケットモンスター ソード/シールド

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剣と盾

ポケットモンスターソード/シールド(以下、ポケモン剣盾)は20年以上の歴史を持つポケットモンスターの本編シリーズが初めて据え置き相当のコンソールに登場した記念すべき作品だ。
映像のクオリティが格段に上がり、ワイルドエリアと言う広いフィールド、レイドバトルも話題を集めた。
また、話題を集めたのはポジティブな方面だけでなかったのも事実だろう。
据え置き相当の品質となった対価として全てのポケモンが登場できないという発表がE3のTree House Liveにて発表されたのだ。
品質を担保するためには、量が犠牲になる事は少なくない。
筆者としては品質を保証した決断に好感を持ったが、世間では必ずしもそうでは無かったようだった。
今回は発売前に嵐が吹き荒れたポケモン剣盾をレビューしてみたい。

なお、筆者はポケットモンスターソードのみプレイしている。
ストーリーやシステムなどに差はないハズだが、その点は留意願いたい。

 

ポケットモンスター ソード -Switch

ポケットモンスター ソード -Switch

  • 発売日:2019/11/15
  • メディア:Video Game
 
ポケットモンスター シールド -Switch

ポケットモンスター シールド -Switch

  • 発売日:2019/11/15
  • メディア:Video Game
 

 

ストーリー

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成長していくキャラクター達

ポケモン剣盾のストーリーは主人公の周囲のキャラクターの成長によって描かれる。
これはシリーズの傾向を受け継いだものと言えるだろう。

挫折したりしながらも真っ直ぐに成長していくホップ。
一見チャラチャラしているが旅をして学者としての知見を広めていくソニア。
他者依存の傾向があるが、自身の在り方を見つめなおしていくビート。
寂れた地元の人達のために戦う中で、自信を付けていくようになるマリィ。
各キャラクターはデザインを含めて非常に魅力があり、その成長していく姿は未来への希望を感じさせる物語になっている。

ストーリーの項で書くべき内容かは微妙だが、気になった点も示しておく。
特に気になるのは「選択肢のデフォルトが未選択状態になっていない」ことだろう。
選択肢を選ばせるようなセリフなどで誤ったものを選択しやすい。
この仕様のせいで筆者は技を思い出させようとして何度も名前を変更しようとしてしまった。
近年は選択肢の選択状態のデフォルトをAでもBでもない「未選択」にするのがユーザーフレンドリーであるため、主流となりつつあるだけに少々検討不足だったように感じる。
ただし、この選択のミスによって致命的な結果となる事は無いと言っても良く、大きなマイナスとまではならない。
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戦闘中に発生するセリフ

本作では戦闘中にもキャラクターのセリフが多数発生するのは本作の特徴だ。
以前の作品にも戦闘中にトレーナーのセリフが挟まるケースは存在したが、本作ではセリフがより充実している。
セリフの発生トリガーは「効果抜群を与えたとき」「急所に当てたとき」「最後の1匹になったとき」など様々だが、各トレーナーのキャラクター性を表現したセリフ内容によってキャラクターがより深く掘り下げる事ができているため面白い。

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クリア後に始まる短めの第二部

本作は大まかに二部構成で物語が構成されている。
第一部はお馴染みとも言えるが主人公を始めとした若い世代がチャンピオンを目指すものとなっており、第二部は伝説のポケモンを捕まえるための物語となっている。

第二部の物語自体はそこまで長いものでは無いが、伝説のポケモンを捕まえるためのストーリーをクリア後(チャンピオンになった後)に用意しているのは特徴的だ。

しかし、個人的にはこのような構成にしたために伝説のポケモンを捕まえるまでの道のりが長すぎるように感じた。
「伝説のポケモンを捕まえるための物語」ではなく、「伝説のポケモンと共に歩む物語」を用意して欲しかった所だ。
伝説のポケモンを捕まえてから始まる「伝説のポケモンとの物語」が用意されていれば伝説のポケモンであるザシアン・ザマゼンタという存在が掘り下げられたように思える。

 

システム

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奥深いバトルと親切になった育成と沼のようなこだわり要素

ポケモン剣盾では戦闘における大きな部分での変更はない。
基本の手持ちは6匹、そして1匹辺りに覚えられる技は4つと言う少ない手札となる。
手札が少ない中で、数多く存在するポケモンをどれだけ仮想敵としてカバーできるかと言う戦術を考える必要があるため、戦闘にはメタ要素も多くゴールの無い奥深いものとなっている点が本作が長続きするシリーズタイトルになっている所以の1つだろう。

過去作も同様であるが、ポケモンシリーズにおいてはチャンピオンになるまでは相手が何のタイプのポケモンを出してくるのかが予想しやすいため、バトルのチュートリアルの延長線上と言えるだろう。
本作のバトルの本質的な奥深さを知るには、クリア後要素である「バトルタワー」あるいは通信による他プレイヤーとの対戦が必須だ。

本作で変わったポイントを挙げるとすれば「育成のしやすさ」が真っ先に来るだろう。
敵から貰える経験値もレベル差によって補正がかかるのはもちろんだが、”けいけんちアメ”と言うものが新たに追加され、それを使用する事で任意のポケモンを簡単にレベルアップさせることが出来る。
それによって「○○タイプのポケモンを手持ちに入れたいが、育成に時間がかかってしまう…」という事はほとんど無くなったと言って良い。
レベルアップが手軽になったためストーリー上のジムリーダー戦で苦戦するような事はほとんど無いだろう。

また、「ハーブ」と言う要素によってポケモンの性格による能力補正を変更できるようになった。
これによりいわゆる「厳選」という作業の重要性は減ったのは素晴らしい反面、簡単に入手できるアイテムでは無いため、捕まえるだけで精一杯と言ったポケモンの場合に使うのが良いのかも知れない。

その他にも、手持ちからそのままボックスにアクセスできるなど、ポケモンの入れ替えもスムーズになっている。
ポケモンは古くからファストトラベルがあった作品だが、本作ではマップからファストトラベル可能になった。
移動にしても自転車にさえ乗っていれば、そのまま水上も走行できるようになるなど様々な点でも利便性が向上している。

初心者に対しての配慮がされているのも良い点だ。
特に最初のポケモン(いわゆる御三家)を手に入れてからの初戦のデザインは素晴らしいチュートリアルだ。
相手はポケモンを2匹持っているのだが、1戦目では手持ちポケモンが行える選択肢が少ないため簡単な戦い方のシーケンスを学ぶことができる。
1匹目の相手に勝つ事でポケモンがレベルアップするのだが、レベルアップするとタイプ一致の技を覚える。
2戦目では覚えたてのタイプ一致技を使いたくなるのは必然で、実際に使用すると効果抜群が発生する。
初心者であってもポケモンのバトルシーケンスと効果抜群など主軸のシステムが大まかに把握できるようになっている。

少々残念に感じるポイントとしては、近年のシリーズではポケモンが多様化した事により見た目から強みや弱みが認識しにくいという点だろう。
ポケモンのデザインがそのまま機能として成立するような域には到達しにくくなっており、最初期の頃と比較すると直感性が犠牲にされていると思わざるを得ない。
本作に限った欠点では無いが、デザインの工夫はもう一声欲しい所だ。

冒頭でも記載しているが、本作において話題になったポイントとして筆頭に上がるのは「全てのポケモンが登場しない」という点だろう。
確かに大好きな特定のポケモンが出ない事は悲しい事かも知れないが、品質と量は天秤にかけざるを得ない問題だ。
量を追い求める余りにグラフィックやアニメーション、レスポンスがチープになってしまうと、逆に印象が非常に悪くなるのは必然なのだ。
もしも簡単にポケモンを登場させられるのであれば、それをしない理由は無く、これが苦渋の決断だった事は明らかだが、量よりも質を優先した事は英断だったと言えるだろう。
なお、アップデートにより登場するポケモン種類が大幅に増える事が告知されている。
特定の大好きなポケモンがいる場合には今後のアップデートに期待したい所だろう。

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ポケモンが生きるワイルドエリア

ポケモン剣盾では従来にはない広いフィールドを歩き回れる「ワイルドエリア」が追加されている。
ワイルドエリアでは今までではあり得なかったような強力なポケモンがいきなり登場(シンボルエンカウント)する事もあり、ある種の生態系の様相を呈している。
また、ワイルドエリアは天候があり、天候によっても登場するポケモンが異なる。
このようにポケモンの強さや天候などでポケモンの生活感をより表現するように変化したのはポケモンと言う存在の厚みに繋がるため非常に良い要素だ。

このワイルドエリアでは様々なポケモンが登場するため、序盤から多様なポケモンを手持ちに加える事も可能になっている。
広いフィールドと言う見た目だけでなく、ゲームのバランスとしても挑戦的なデザインをしていると言えるだろう。

このワイルドエリアと言うフィールドへの要望を強いて挙げるのであれば、ポケモンの日常生活感をもっと感じさせて欲しかったという点だろう。
本作ではポケモンの生態系のようなものは感じ取れるが、食事であったり、昼寝であったりと言った生き生きとした様々な動きも見せてくれれば更に数段上の良さがあったように思える。
しかし、ポケモンと言う巨大なコンテンツにいきなりそこまでのものを要求するのは酷な話でもあるだろう。ここでは次回作に期待するべきものとしておきたい。

ワイルドエリアとは逆に、従来にあったような洞窟といったダンジョン形式のエリアは非常に簡素な構成になっている。
長い迷路のような構成にはなっておらず、成長の手間を軽減させている方向性と同様に冒険する上でストレスとなる要素を極力廃した格好だろう。
とは言え、ストレスが無さ過ぎるために記憶に残るエリアなどが無くなってしまっているのは少々寂しい所とも言えるだろう。
本作においてはワイルドエリアを除いたエリアが後世に語り継がれていくような事は少ないかも知れない。

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変わった前哨戦から始まるジムリーダー戦

ポケモンシリーズでお馴染みのジムリーダー戦ではユニークな前哨戦が用意されている。
前哨戦の内容はジム毎に異なっており、内容としてはパズルやピンボールライクなものなどで、難易度自体は低いものの一風変わった遊びになっている。

そしてジムリーダー戦では本作の新要素であるダイマックスを使用したバトルが展開される。
前述の通り、本作はレベリングなどの育成自体は容易いため、手持ちのパーティーがタイプ相性的に不利なメンツしかいなかったとしても、「有利なポケモンを新たにゲットして育成して…」といった作業は簡単に済ます事ができる。
そのため、本作のジムリーダー戦では苦戦するような事は過去作以上にほとんどないように思える。

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幅と便利さが向上したオンライン

ポケモン剣盾は従来から存在した通信機能の幅と利便性が増している。

まず、ポケモン交換といった通信によるマッチングが非同期にバックグラウンドで行われるようになり、プレイの進行を妨げないのは嬉しい改良ポイントだ。
これによって更に気軽に対戦や交換が行えるようになったと言って良いだろう。

そしてポケモン剣盾では新たにレイド形式のマックスレイドバトルが追加されている。
ポケモン初の協力中心のバトルだが、これは1人プレイ用にCPUが味方として手伝ってくれるものも用意されている。

しかし、このレイド戦は少々手が届ききっていないように見受けられる。

レイド戦では戦闘シーケンスが通常のバトルとはやや異なり、HPが下がるとダメージバリアを張り、バリアの耐久値を削らないとHPに大きなダメージが与えられなくなる。
だが、(自身のダイマックス中の攻撃を除き)全ての攻撃でバリアの耐久値を削る値が変わらないため、事前準備や戦闘中の攻撃による戦術性・戦略性が低い。
また、敵の放つ強力な攻撃にしても単純に自分のポケモンのHPで受け切るという選択肢が中心になってしまっている。
せっかく他プレイヤーとの協力するプレイであるにも関わらず、戦術性が低い単純な消耗戦にしかならないのは勿体ない。
もちろん、パーティー全体を回復する技を持っているポケモンやタンクのように攻撃を引き受ける技を持っているポケモンもいるにはいるが、その数は少なく出番が無いと言っても良い。
レイド戦を意識した攻撃・盾・回復と言ったロールを決定付ける技をもっと多く、そしてもっと多くのポケモンが覚えるようにお膳立てしても良かったのではないだろうか。
もしくはレイド戦に限り、使用可能な技の枠を5~6つに増やし、レイド用の技を設定しやすくするのも手段としては良かったように思える。

また、マックスレイドバトルをオフラインの1人プレイで行おうと思うと更なる問題が出て来る。
1人プレイやレイドの参戦人数が少ない場合には頭数を埋めるためにCPUが参戦する。ところが、このCPUがとにかく頼りなさ過ぎるのだ。
当たり前のようにコイキングなど進化前のポケモンを場に出し、レイドボスの攻撃を受け切れずに一撃死を繰り返す。
確かに友達よりも頼りになるCPUがいても1人でプレイする方が効率が良くなるため困った事にはなるが、これ程までに足を引っ張ってしまうレベルに調整するのはいかがなものかと思えてならない。

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ポケモンと触れ合うキャンプ

ポケモン剣盾ではポケモンと触れ合う新たな要素にポケモンキャンプが追加されている。
ポケモンとはねこじゃらしやボールで遊ぶことができ、そのリアクションはとにかく可愛らしい。

また、キャンプではカレーを作れる。
カレーにはワイルドエリアにて採取した木の実などの食材を入れる事ができ、味付けを決めることが出来る。
カレーは数多くの種類が用意されており、これを全て埋めるだけでもかなり大変な量が用意されている。
出来上がったカレーを観ていると、こちらもカレーを食べたくなってくるのは憎い演出だ。

 

鎧の孤島

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鎧の孤島

「鎧の孤島」はポケットモンスターシリーズ初となるDLCの第一弾として配信された。
ボリュームとしてはストーリーのクリアだけであれば5時間程度のものとなっている。
目玉としてはやはり本編では登場しなかった過去作のポケモン達が多数登場するという点だろう。

 

ストーリー
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素晴らしい新キャラクター達

鎧の孤島ではダンデが修行したと言う道場に入門する事になるという形でストーリーが展開する。
この鎧の孤島にて新たに登場するキャラクター達は非常に濃く、ストーリーを引っ張っている。

筆者はソード版であるためクララがライバル的なポジションで登場したのだが、彼女のキャラクター性は非常に魅力的だ。
クララは強くて可愛い自分を目指し、”どくタイプ”のジムリーダーとなるべく道場へと入門したものの、怠け癖があるようでなかなか成長しきれないでいたようだ。
しかし、主人公という自分よりも強力な存在の登場によって徐々に火が付いていく。
鎧の孤島のストーリーは短いものだが、このクララの変化をしっかりと描いており、無駄なく簡潔でありながらも印象的な構成になっている。

ストーリーでは道場での「修行」という名目で孤島をまんべんなく探索するようになっており、DLCチュートリアルとしても十分に機能しているといえるだろう。

なお、鎧の孤島の難易度は本編をクリアできるだけのポケモンがいればそう難しいと感じる事は無いハズだ。

 

システム

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新たなポケモン、新たな要素

鎧の孤島では本編には登場しなかった新たなポケモンが多数登場する。
完全に新規のポケモンはダクマとガラル地方のヤドンとヤドランとなっている。
なお、これらのDLCで追加されたポケモンは交換やポケモンHOMEなどから連れてくれば、DLC未購入のプレイヤーでもゲットが可能になっている。

鎧の孤島のフィールドはワイルドエリアのような形式になっている。
孤島が舞台になっているためフィールドは水辺(海)が非常に多くなっているのが印象的だ。
また、鎧の孤島のストーリーを進める事で手持ちで先頭になっているポケモンを連れて歩けるようになる。機能としてはポケットモンスターピカチュウやLet's Go ピカチュウ/イーブイを想像するのがわかりやすい。
本編のワイルドエリアではできないのは少々残念なものの、鎧の孤島フィールド内ではどのポケモンも自由に連れ歩ける。
小さなポケモンから大きなポケモンといったスケール感はもちろん、歩き方まで様々であるため面白い。

その他にも育成を手助けしてくれる要素も多く追加されていたり、ヘアスタイルや服も追加される。

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ディグダの捜索

フィールドに散らばったアローラ地方ディグダを探す探索要素も存在する。
このディグダは全部で150匹とかなり大量にいるが、見つけた数に応じてアローラ地方ポケモンを貰う事が可能でだ。
このディグダ探しは見つけようと思わないと通り過ぎてしまう絶妙な難易度になっており、フィールドを目を凝らして探す必要がある。

 

冠の雪原

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冠の雪原

「冠の雪原」はポケモン剣盾のDLC第二段として配信されたコンテンツだ。
追加された内容はストーリーこそ第一弾よりも薄いものの、エンドコンテンツあるいはそれを助けるような要素が多いのが特徴的なものとなっている。

 

ストーリー

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"ポケモン"のストーリー

冠の雪原では豊穣を司る伝説のポケモン「バドレックス」に関しての物語が展開される。
バドレックスはかつては豊穣の力によって信仰されたが、いつしか忘れ去られ信仰も無くなり、おとぎ話として語り継がれる程度となっていた。
長い年月と共にバドレックスは力を失いつつあり、人間の信仰がなくとも生きていきたいと主人公に相談を持ち掛ける。

バドレックスは人間を操る事で主人公と会話をする事になるため「人とポケモンがほとんど直接的にコミュニケーションを行う」というポケモンシリーズでも非常に珍しい設定となっている。
多くの過去シリーズや本作の本編、DLC鎧の孤島などでは「人間(ポケモントレーナー)の成長」が描かれる事が多かったが、冠の雪原ではポケモンを中心としたストーリー構成になっているのは印象的だ。

 

システム

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数多の伝説ポケモン

冠の雪原では本編に登場しなかった過去作のポケモンDLC第一弾から更に追加されているほか、最大の見どころとして「過去作の伝説ポケモン達が数多く登場する」というロマン溢れる要素が追加されている点だろう。
中にはリージョンフォームとなった目新しいファイヤー、サンダー、フリーザーが登場する事も見逃せない。

また、「ダイマックスアドベンチャー」という過去作の伝説ポケモンを捕まえる事ができるコンテンツが追加されている。
ダイマックスアドベンチャーは基本的にはレイド戦(マックスレイドバトル)形式で行われるのだが、特殊なルールも適用される。
レイド戦の連戦であるという点もユニークではあるが、中でも最もユニークなのはポケモンをレンタルして戦う点だろう。
普段は使わないようなポケモンもお試しできる要素になっているため、ポケモンの思いがけない良さを知る機会にも繋がっている。

 

グラフィック

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牧歌的で暖かみのある美しいフィールド

ポケモン剣盾はの鮮やかで美しく、それでいて暖かみのあるフィールドは魅力的だ。
牧歌的な田舎町や近代的な都市部、自然豊かなワイルドエリアは天候によっても表情が変化する美しさを有している。

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可愛らしいキャラクター達

キャラクターやポケモンモデリングも非常に丁寧に出来ている。
キャラクターのアニメーション(モーション)も丁寧で、アバターに関して言えば階段を歩くと専用のモーションが用意されているほか、操作キャラクターの移動方向を反転させると僅かだが専用に振り返りモーションがあり、高速回転させるとクルクル回った後に決めポーズをとる。
天候によっても待機モーションに変化があるなど芸が細かい。
ポケモンに関しては前述した”キャンプ”でみせる可愛らしいモーションなども素晴らしい。

本作でもアバターの着せ替え衣装が用意されているが、ゲーム内メーカーが設定されている点もこだわっているのが感じられる。
スポーツ系のウェアを提供するメーカーなど、メーカー毎の特徴が設定されており世界観に厚みを持たせている。

 

サウンド

ポケモン剣盾はBGMも良く出来ている。
イギリス感のあるバグパイプを使用したBGMも特徴的であるし、バトルBGMはサッカーなどで使用されるようなスポーティーな雰囲気がポップだ。
特にライバル戦やジムリーダー戦のバトルBGMは雰囲気を盛り上げてくれること間違いなしだろう。
特にライバル戦のBGMは物語終盤でアレンジが変更されたものが用意されており、キャラクターの成長を描く役割としても良く出来ている。
また、ジムリーダー戦などでは最後のポケモンになるとBGMに掛け声が追加される演出がシームレスに差し込まれバトルのクライマックス感を演出している。

 

総評

ポケットモンスターソード/シールドは歴史あるシリーズを更なるステップへと押し上げた偉大な一作だ。

丁寧な作り込みは初心者でもプレイしやすく、奥深いバトルによって長く牽引するようになっている。
暖かみのあるフィールドに可愛らしいキャラクターモデリング、こだわりを感じるアニメーションも印象的だ。
ポケモンとの触れ合いも更に充実しているほか、ゲーム内衣料品メーカーも個性を出しており「ポケモン」という世界観に厚みを生み出している。

本作はポケモンシリーズの新たなスタンダードだ。

 

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