【レビュー】Dorfromantik

フィールド作りパズル

DorfromantikはToukana Interactiveが開発した街や森などが設定されたパネルを配置してフィールドを作っていくパズルゲームである。

筆者が本作に興味を持ったのは任天堂のIndie World(2022/11/10)にて紹介された際に手軽に遊べそうであり、なおかつ没頭して楽しめそうなところに興味を持ち即購入したタイトルだ。

今回はDorfromantikのレビューを書きたい。
なお、今回のタイトル画像に関してはゲームタイトルが丁度良い大きさで表示されるシーンがなかったため、任天堂公式サイトにて使用されている画像を使用している点はご了承いただきたい。

 

toukana.com

 

ストーリー

気が付いたら自分だけの大地が作り上げられている

本作には簡単なチュートリアルは用意されているが、ストーリーと呼べるものはない。
あえてストーリー的なものを取り上げるとするならば、それはプレイヤー毎に、プレイ毎に異なる体験それ自体だろう。

詳しくは「システム」の項で説明するが、本作はパネルに設定されている属性にマッチするように配置するとボーナスが与えられる。
それをより多く生み出せるように工夫して配置するのがセオリーなのだが、それを続けていくうちに自分でも意図しないような大きな大地へと変わっていく。
その大地の中に配置された街並みや森林地帯に対してプレイヤー自身が「ここは住みやすそうだなぁ」「ここにポツンと一軒だけ家があるなぁ」と言ったようなドラマが脳内で補完されていく事だろう。

 

システム

ヘックス型パネルに設定された属性を考えながら配置する

本作ではヘックス型のパネルを隣接に配置していき、大きなフィールドを構築していくゲームプレイとなっている。
ルールはいくつかあり、上手く配置して可能な限り大きなフィールドにするクラシックモード、限られたパネル数でフィールドを作るクイックモード、制限なくフィールド上限まで配置できるクリエイティブモード、ルールをカスタマイズ可能なカスタムモードなどがある。

クラシックモードやクイックモードではゲーム性(駆け引き)もある内容になっており、それを支えているのがパネルに設定されている属性である。
属性とはヘックス型パネルの六辺それぞれに設定されているもので、街や森や畑といったものが設定されている。
その属性と一致したパネルを隣接マスに配置する事によってスコアが加算され、更に六辺全てが同じ属性にする事が出来ればパーフェクトとなりクラシックモードであれば配置可能なパネル数が増える。
そのため、何も考えずに自分の好きな配置でプレイするのももちろん良いのだが、よりハイスコア・広いフィールドにしようと思うとパネルの六辺が何かを考えて可能な限り良い場所に置く配慮が必要になってくる。

それ以外にもクエストが発生して、「○○(街や森)をXX以上にする」といったタスクが出現する事もある。
このタスクには「数値以上に配置するケース」と「数値ピッタリに配置する必要があるケース」の2種類があるため、特に後者の場合にはタスクをクリアする際には注意が必要だ。
このタスクをクリアする事でも配置可能なパネル数が増えていくため、非常に重要な要素となる。

パネルをポンポンと、そして可能な限り良いスコアになる配置を考えることでプレイヤーは知らず知らずのうちにリラックスと没頭の状態へとなっているだろう。
テンポの良さもそれをより手助けしてくれている。
そして、このようなハイスコアを狙う事によってプレイヤーすらも意図しないパネル配置が生まれ、終わった頃には面白いフィールドが生み出されているのだ。
出来上がったフィールドを眺めながら「この街良いなぁ」「ここ寒そうだなぁ」「この土地は水害が起きたら大変そうだなぁ」といったドラマを妄想して楽しむようなパノラマ的な楽しさも魅力的である。

本作においてもしも追加して欲しかった要素を挙げるとするならば「もっと関係のないデータの追加」だろう。
例えば偶然にも生み出された街や森にカーソルを当てると「人口○○の街」「○○が盛んな街」「○○の森」といったゲームプレイには直接的には余り意味のない情報を載せて欲しいのだ。
これらは配置の組み合わせで設定されるものでも良いし、完全なランダムであっても構わない。
「ここにこんな特色の街ができちゃった」という本作の持つ偶然性の一期一会のフィールドをより際立たせ、配置したパネルの結果をより記憶に印象付けるようなテキストが生み出されると筆者としては嬉しい限りだ。

 

グラフィック

鮮やかだがシンプルでわかりやすい

パネルの街や森、湖などは非常に色鮮やかで魅力的だ。
フィールド内では基本的には動くものはほとんどないが、汽車や船などパネルに付属している一部のオブジェクトは動き回ったりする。

フィールドの特に水辺はパネルの隣接状況によって適切に地形がそれらしくなるようにも補正されるため、その辺りもしっかりと作り込んでいるのも伝わるだろう。

 

サウンド

本作にこれといった壮大で感動的なBGMがあるという訳ではないが、小気味の良いSEでポンポンとパネルを配置していくのは気持ちがいい。

 

総評

Dorfromantikは一期一会のフィールド作りが魅力的なタイトルだ。

簡単な操作で自分でも思いもよらない街並みが作り上げられていく面白さがあり、箱庭やパノラマ感の強さが作り上げられた大地に対しての感慨も強くしている。
難しすぎない程度のパネル配置の考慮がテンポが良く続く事で没頭してリラックスできる点も本作の魅力のポイントとなっている。
少し疲れている時にはリフレッシュを求めて本作に没頭するのも良いハズだ。

 

外部記事

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