【レビュー】ZOIDS 邪神復活!~ジェノブレイカー編~

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魔装竜降臨

アニメのゾイドが大好きになった筆者はゾイドのゲームが発売されるとの事でワクワクして購入した作品こそ"ゾイド 邪神復活!~ジェノブレイカー編~"であった。何よりも筆者が初めて購入したゾイドゲームでもあった作品だ。
また、初回限定では帝国仕様の赤いコマンドウルフが同梱されるなど嬉しい特典もあった。

 

ゾイド 邪神復活! ジェノブレイカー編

ゾイド 邪神復活! ジェノブレイカー編

  • 発売日:2000/08/04
  • メディア:Video Game
 

 

ストーリー

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バンなどアニメのキャラクターは登場するが味は薄い

まず前提として、本作はアニメの無印ゾイドの1期目が終了した時点の時系列をフィーチャーしているが、矛盾点も多く基本的には別世界線のオリジナルのストーリーとして捉えるのが良いだろう。
また、本作はストーリーとしては薄味であるため、アニメのゾイドファンが期待するようなキャラクター達が活躍するようなものにはなっていない事も知っておくべきだろう。
あくまでも多くのゾイドが登場する事が本作のメインディッシュだ。

主人公はゾイドが好きな少年バン・フライハイトだ。
共和国と帝国の戦争に終止符が打たれ、バンは故郷であるウィンドコロニーへと帰郷していた。
しかし、地元では謎の地震が頻発しており、更に野生化したゾイドがレアヘルツと呼ばれる異常電波の影響によって暴走状態になっているという。
その原因を突き止めようというのが本作のストーリーだ。

本作のストーリーで勿体ないのは味の薄さもあるかも知れないが、それよりも看板に偽りがある点だ。
本作は「ジェノブレイカー編」と銘打っているにも関わらずジェノブレイカーの存在感が空気なのは問題がある。
少々ネタバレを含んだ内容となるが、ジェノブレイカーはストーリーに関わる事は微塵もないうえ、そもそも本作のラスボスですらないのだ。
当時の最新のゾイドであるという政治的な理由以外に、なぜタイトルにジェノブレイカーを冠しているのかが全くわからない状態になってしまっている。
これでは肩透かしのような印象を受けてしまう事もやむを得ない。

 

システム

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登場するゾイドは幅広いラインナップだ

本作には数多くのゾイドが登場し、少しマイナーとも言えるようなゾイドも登場するのが特徴だ。
シールドライガーコマンドウルフ、セイバータイガー、アイアンコングなどのアニメでも活躍した主要なゾイドのほか、キングゴジュラスやギルベイター、ガンギャラドなどのいわゆる旧シリーズのゾイドも多く登場する。アニメのゾイドしか知らない人には「こんなゾイドもいるんだ」と新たな発見があるだろう。
また、ブレードライガーやジェノブレイカーなどの当時としては登場してから、あるいは発表されてから間もないゾイドも一部存在する。
更に珍しいものとしては、種類こそ少ないが機械化される前の野生ゾイドにもお目にかかることが出来る貴重な作品でもある。

本作はポケットモンスター登場後のGB作品に多いポケットモンスターフォロワーとしての側面がある事も忘れてはならないポイントである。
ゾイドと戦って、ゾイドを仲間にして、仲間にしたゾイドを用いて友達と通信対戦や交換が行えるのだ。

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オーソドックスだが歪なバランスの戦闘

戦闘システム自体はターン制を導入したオーソドックスなJRPGだ。
戦闘アニメーションは上図の通りで、GB作品であるためそこまで凝ったものではない。
アニメーションは設定でオフにする事もできるが、オフにしても攻撃エフェクトなどが簡略化されるだけで思ったほどサクサクと進行しない事は注意が必要だ。

本作のRPGらしい成長要素はレベルアップによるステータスアップもあるが、武器からスキルを覚えるようなシステムも存在する。
覚えられるスキルは武器毎に異なり、中には特定の武器でしか覚えられないスキルもあるなどビルドの楽しさはあるのが特徴的だ。
覚えたスキルは武器種が一致しているスキルならば別の武器に換装しても同じスキルを使う事が可能となっている。
ただし、覚えられるスキルの上限数は決まっているので、何を覚えるべきなのかは考慮しなくてはならない。
また、スキルを使用する際にはSPというポイントを消費するが、その消費量は武器によって異なるため、同じスキルでもどの武器で発動させるかも考慮した方が良いだろう。

戦闘はランダムエンカウント、マップはランダム生成されたダンジョンの最下層(最上層)を目指すようなものとなっている。
ダンジョンでは連れているゾイドが特定のスキルを持っていないと進めないようなケースもあるため攻略には注意が必要だ。
特定の階層に到達するとボスゾイドが鎮座しており、それを倒す事で仲間する事が可能なゾイドが増えるような形となる。これが基本のプレイシーケンスだ。
また、ダンジョン内では”ざんがい”というアイテムが入手できる事がある。
これは拠点となるウィンドコロニーのジャンク屋で別アイテムと交換ができるアイテムだ。リセットするだけで交換品が変化するので、有用なアイテムを求めてリセマラするのも良いかも知れない。

戦闘をする上で注意しておくべき点がある。
ゾイドのHPが0になると確率で完全破壊状態になってロストしてしまう場合があるのだ。
本作のセーブはいつでもどこでも可能なので、こまめなセーブを心掛けた方が賢明だろう。

ターン制と言うオーソドックスなJRPGのシステムだが、そのバランスは歪だ。
敵のレベルは自分のゾイドのレベルに応じて上昇するうえ、そのレベル帯も自パーティーの平均レベル相当となるため、ザコ敵が相手でもかなり苦戦する。
戦闘ではSPを消費して攻撃する事になるため、ザコ敵相手に泥仕合をしてしまうと1回のザコ戦でSPが枯渇しかねない。
その上、本作は「数歩歩けば敵にあたる」と言えるくらいにはエンカウント率が高く、逃げられる確率もやや辛めであるため、ダンジョンのボスがいる階層まで到達するのはかなり厳しいものがある。
つまり、戦闘の重みを考慮したエンカウント率(あるいはその逆)が考慮されていないのだ。
そのため、プレイヤーは対策として相手のレベル帯を意図的に下げるために”あえて”低レベルのゾイドをメンバーに加えておくのが安全だ。というよりもそうせざるを得ないだろう。

戦闘が苦戦すると上述したが、その理由の筆頭として感じられるのは攻撃における命中率の低さだ。
命中率はかなり厳しいものがあり、普通にプレイしているだけでは攻撃を当てるのは至難の業と言っても良い。
そのため、ミサイル系の武器から覚えることが出来る「ロックオン」などの命中率を上げる行動を挟むのは必須行動だと断言しても差し支えないバランスとなっている。
つまり、まともに戦闘をしようと思うと最初の1ターンは命中率を上げる行動に費やさねばならず、サクサクと進める事は難しい。

それ以外にも、ダンジョンの階層を移るとランダムでデバフが発生する事が多い点も進行を大きく妨げる。
発生するデバフは戦闘時に自軍が混乱状態から始まるなどかなり厳しい状況に立たされるケースもある。
重ための戦闘が更に重たくなってしまうのだ。
前述しているが、幸いにもセーブはダンジョン内でも可能なので、階層を移る直前にセーブしておくのが安全だ。

 

グラフィック

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GBとしては標準的なグラフィック

本作のマップチップやキャラチップなどはGB作品としては標準的だろう。
特筆すべきポイントは少なくはあるが、逆に言えば目立って悪いと言ったようなポイントもない水準だ。

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ゾイドは比較的良く描かれている

肝心のゾイドのデザインはバランスやパースこそやや狂っているものの、細かく書き込まれており好感が持てる出来栄えだ。
マイナーともいえるゾイドも収録されていたりする点もファンとしては嬉しいポイントだろう。

 

サウンド

GBタイトルであるため音色の幅こそ狭いが、BGMは耳に残るような印象的なものが多い。
拠点となるウィンドコロニーは落ち着いた曲となっており、ダンジョンでは小気味よいリズムのテンポの良い曲もあったりする。

 

総評

ZOIDS 邪神復活!~ジェノブレイカー編~はタイトルに偽りのあるストーリー、胃に重い歪な戦闘バランスなどプレイしていて気になる所が多いタイトルだ。

様々なゾイドが登場する所が本作のポジティブな要素であるため、「ゾイドが好きだ」というスタート地点に立っていないと楽しむハードルは高いかも知れない。