【レビュー】Dragon's Dogma Ⅱ

その冒険は、英雄譚として刻まれる

Dragon's Dogma Ⅱ(以下、DD2)はCAPCOMより販売されたオープンワールド型のRPGタイトルだ。
オンライン専用タイトルも存在したが、純粋なナンバリングとしては10年以上のブランクがある。
モンスターハンターなどのRPG的要素が含まれるタイトルも存在するが、本格的なRPGタイトルは主戦場ではないだろう。
しかし、Dragon's Dogmaは日本ゲーム界の低迷期にオープンワールドに挑戦した作品でもあり、その作品がナンバリングタイトルとして帰ってくるのは嬉しい限りだ。

 

【PS5】ドラゴンズドグマ2

【PS5】ドラゴンズドグマ2

  • 発売日:2024/3/22
  • メディア:Video Game

 

ストーリー

物語としての説得力は微妙だがライフシム世界としては魅力的だ

ヴェルムントという地域のメルヴェ村にてドラゴンに襲われて心臓を奪われる。そうして主人公は「覚者」という存在になった。
ヴェルムントでは覚者は世界に一人しか誕生せず「覚者王」として敬われる文化があるという。
しかし、長らく覚者が現れず空位時代を過ごす中で利権争いが起きるようになってしまい、その中で公妃派による手引きにより偽の覚者王が擁立されてしまう。
そんな状況を変えたい反公妃派の勢力がおり、その人物と協力して行動していくのが物語導入だ。

本作冒頭のチュートリアルデザインも丁寧に作られている。
プレイヤーキャラクターを選択あるいは作成するシーンもストーリーの延長として機能するようになっているのも良くできていているが、冒頭は牢獄から開始するため行動が制限されておりチュートリアルとして機能させやすいシチュエーションにもなっているのだ。

前作と同様にストーリーとしてもゲームプレイとしても特徴的なのは「従者ポーン」という存在となる。
「システム」の項でも後述するが、ポーンという仲間NPCが随伴する形で物語を進行していく事になるのが基本だ。
ポーンは移動・戦闘・クエストなどの様々なシチュエーションでヒントなどを喋りかけてくれるようになっている。
そのためシングルプレイのRPGでありながら、仲間と一緒に冒険してる感を味わいながらプレイできるように作られているのがストーリー進行における本作独自の色合いだ。

本作で特に知っておくべき内容についても記載したい。
それは本作が「ファンタジー世界ライフシム」のような志向性が強いという点だ。
ゲームプレイ部分にも大きく関わる内容となるが、ライフシム的な側面を強調しているために全体的に進行テンポや利便性を意図的に低くしている部分がある。
例えば、セーブが1つしかないためロードによって以前の状態に戻すことが困難な作りであったり、アップデートにより変更されたが再度ニューゲームを実行する事ができなかったりした。これに関しても「ライフシム(疑似的人生)」である事の強調だ。
そのため、曖昧な言い方だが”ゲームらしい体験”を強く求めている場合にはミスマッチになる可能性がある。
逆に言えば「ファンタジー世界での生活感ある冒険」という側面を体験したいのであれば期待に応えてくれるだろう。

ストーリー自体にももう少し触れたいが、メインとなるストーリーは説得力や納得感がやや欠けている。
例えば、主人公はヴェルムント世界においては正統な覚者王の資格のある唯一の存在であるハズなのだが、そんな主人公に対して反公妃派が依頼してくるクエストがそこらの傭兵や間者が受け持つような内容の危険なものになっているのだ。
もちろん、ゲームとして刺激がなければ面白くない事も理解できるのだが、失敗時の自組織の失脚に関して依頼者が考慮していないように感じられ浅薄に思えてしまう。
また、ネタバレとなるため詳細な記載は控えるが、終盤になると前作にもあったような展開が待ち受けている。
しかし、前作のような円環の物語が因果関係としてしっかりと作られた物語にはなり切れていないため、世界観・世界設定の理解はできるだろうが物語と言う単位での落とし込みまではできていない。
細かな部分にもなるがフルボイスでの会話であるにも関わらずセリフの自動送りがないのも地味に違和感がある。
と言うのも本作はライフシムという志向性を持った作品であり、そんな作品であるのにセリフをボタンを押して送る不自然さを残しているのは思想に一貫性が感じられない。
生活感や生きている感を出すためにもセリフは自動送りさせた方が良かっただろうし、最低限でもオプションがあるべきだ。

サブクエストは豊富になったがNPCのリアクションは物足りない

本作では多くのネームドNPCが登場する。
前作と比較してもNPCのサブクエストが非常に充実しているうえにNPCの存在感を示すためのNPC図鑑も用意されている。
しっかりとストーリーが用意されているのはもちろん、サブクエストが別のサブクエストと関連しているケースもあるなどの関連性が構築されているため充実したコンテンツになっている。
また、移動中には突発でランダム生成されたイベントが発生する事もあるなど、オープンワールドと言う環境を活かせる偶然性に重きを置いたデザインも見受けられる。
本作はライフシム的な側面が強調されており、こういった偶然性もそれを補強するものになっている。
とはいえ、ランダム生成イベントに関しては単純なものであるためちょっとしたタスク程度のものだと考えた方が良いだろう。

そこまでは良く出来ているのだが、広範なNPCのデザインは物足りなさが強い。
何故ならクエスト外でのNPCの対応が機械的であるためだ。
例えば、サブクエストの時には色々と経緯や思いを喋ってくれるのだが、ひとたびクエストが終わってしまうと同じセリフを喋るだけのマシーンと化してしまう。
このギャップの大きさがより機械的に感じる要因と言っても良いだろう。
そもそもNPCに話しかける事ができるようにしているにも関わらず、誰に話しかけても大したセリフを喋ってくれない事も同様だ。
その他にも特定のドレスコードでなければならない場所があるのだが、しっかりと基準を満たしているのに注意をするセリフが発せられプレイヤーを困惑させてしまうといったケースも存在する。
こういったNPCはとにかく物量が多くなってしまう事から作り込むのは大変なのは理解できるが、世界の生活感にも直結する要素でもあるためもう少し配慮して欲しかった部分だ。

 

システム

ここではゲームプレイに関わる要素について記載する。

 

キャラクタービルド

様々な個性を持ったジョブによって立ち回りが大きく異なる

プレイヤーキャラクターと仲間NPC従者ポーン(メインポーン)を一人ずつ作成、ビルドしてゲームプレイを行っていく事になる。
キャラクタークリエイトは単純な外見という意味合いに留めず、身長などの体格によって最大積載重量も変化するような仕組みになっている。
一見するとキャラクター作成方法によって不公平さが生まれてしまうゲームとしては問題ある仕組みだが、それは本作がファンタジー世界ライフシムとしての側面を強調しているがためにあえて採用しているものとなっている。

作ったキャラクターにはジョブが設定される。
ジョブは簡単に書けば剣士や魔法使いなどのキャラクターの戦闘における役割を設定する項目だ。
近接向きや遠距離向き、支援向きなどの特徴があるため、自身が行いたいジョブに応じてポーンは相対的に決定していき、偏った構成にならないようにパーティー編成を考えるのがベターだろう。

プレイヤー自身にもレベルの概念があるが、ジョブにも熟練度の概念が存在する。
ジョブが熟練していく事で新しいアクティブスキルやパッシブスキルを設定できるようになり、特にパッシブスキルに関しては他のジョブであっても付ける事が出来る。
様々なジョブをこなしていって、有用なスキル構成を考えるのも良いだろう。

もちろん、キャラクタービルドには装備類も含まれる。
装備品はジョブに応じたものしか装備不可であり、またいわゆる重ね着・ファッション装備のような「実際の装備と見た目の装備は別」という事が行えないため、見た目にもこだわりたい場合には工夫が必要となる。
特に頭装備を非表示化させることもできないため、装備によってはせっかく作ったキャラクターのご尊顔を拝めなくなってしまう。
この辺りもユーザビリティーよりもライフシム的な側面に準拠したデザインになっており、不便さはあるものの性能と見た目の両立をプレイヤーが工夫する楽しさでもある。

 

戦闘

非常に軽快で相変わらずユニークなアクションが強化されている

DD2はCAPCOMらしい制御性に優れたアクションによるモンスター攻略に重きを置いた戦闘が楽しめるのは大きなポジティブポイントだ。
更に前作の時点で実装されていたユニークな「掴む」を利用したアクションも健在である。
特に大型のモンスターの中には特定の部位が弱点である事も少なくないため、敵に掴まってよじ登り、弱点の部位に対して直接攻撃を仕掛けて大ダメージを与えられるなどの立ち回りの幅が用意されている。
一般にはアクション要素のあるゲームで大型モンスターと対峙すると足元ばかりを攻撃する事になりがちで、せっかくの体格が活かされないような事も多い。
それを解決する手段としても有効に働いている。

HPは前作と同じ仕様で被ダメージによってHPとは別に最大HPも削られる。
前作とは異なり削られた最大HPはキャンプや宿屋でしか回復せず、回復アイテムでは最大HPまでしか回復しなくなっているという変更もある。
また、プレイヤースキルだけで何とかなるという事を極力排除しており、防御や回避などの敵の攻撃を凌ぐ行動は特定のジョブが限られる。
つまり、攻撃によっては被ダメージが避けられないようなケースも存在するという事だ。
これらは回復手段として用意されている宿屋やキャンプと言った生活感や冒険感を演出させる要素達をプレイスキルが高まったとしても有効性を失わないものとして存在できるようにしているのではと思われる。

プレイヤーの攻撃手段は剣などによる近接攻撃の他にも弓や魔法による遠距離攻撃も存在する。
魔法には属性が設定されており、モンスターによっては苦手とする属性が存在するケースもあり、上手く活用する事で効率的な立ち回りが行いやすい。
例えば、空を飛ぶグリフィンは地上に降りてこないと有効な攻撃を行いにくく、相手に好き勝手に立ち回らせてしまうと攻撃機会が減少する事に繋がってしまう。
そんなグリフィンには炎属性を当てられれば体が炎上して落下してくるので、こちらの土俵で戦いやすくなるのだ。
それ以外にもユニークな立ち回りが行えるのは幻術師というジョブだ。
このジョブでは敵にのみ認識される幻の壁や床を生成する事ができたり、敵の攻撃を一手に引き受けられるデコイを生成したりと敵の挙動をハックするようなスキルで構成されている。
幻術師は火力に乏しくパーティー全体のDPSが落ちてしまうため結果としては効率的とは言えないが、プレイヤーの工夫次第で敵を手玉に取るようなゲームプレイができる非常に珍しい個性的な体験ができるだろう。

戦闘において気になる点があるとすればザコ敵のバリエーションの少なさだ。
道中に一番多い頻度で遭遇する小型・中型のザコ敵達も新鮮に感じられる最初のうちは楽しめるが、ゲームプレイに慣れてくればそうではなくなるのは想像に難くない。
これは多くのゲームで共通する事だが、本作の場合には土地が変わっても同じような敵ばかりで構成されているため、ゲームを進めても進めても最初に食べた味と同じ料理を出され続けてしまうのだ。
詳しくは後述するが徒歩以外の移動手段に乏しい本作においては、道中が楽しい事が望ましいがそれが実現できているとは言い難い。
そのためプレイを重ねていく事でしんどさも増してきてしまうだろう。

困った挙動も散見される

敵の攻撃は困った挙動も見受けられる。
特に困るのが敵が攻撃モーションに入ってからターゲットが切り替わるような挙動をするケースがある事だ。
画像を確認して頂ければわかるかと思うが、明らかにこちらを向いてない状態から、正面への飛び掛かりモーションが真横に近い角度で出ている。
もっと見て頂ければモンスターの正面に別のキャラクターがいる事も確認できるだろう。
つまり、元々はそちらをターゲットしていたのではないかと思うのだが、モーションの予備動作をそのままにプレイヤー側に飛び掛かっているのである。
これは流石に予見するのは困難だ。このような行動がまかり通るようではリスク管理を行うことは難しく、プレイヤーの行動を萎縮させかねない。

 

ポーン

攻略を強力に手助けしてくれる仲間NPCポーンが主軸だ

DD2のメインコンテンツと言えるのが従者である「ポーン」だ。
ポーンのイメージしやすい立ち位置は仲間NPCで、自律的に行動してモンスターに攻撃したり、回復を行ったりしてくれるような存在である。
しかし、ただの仲間NPCの域を脱しているのは「ポーンは他プレイヤーの世界で経験を積み、そこで得た情報をプレイヤーにフィードバックできる」という点である。
ポーンはモンスターを倒したり、クエストをクリアする事で経験を積んでいく事が出来る。
そういった経験を得た他プレイヤーのポーンを雇う事で攻略を行いやすくする事が出来るように作られているのだ。

もちろんポーンは自身がクリエイトするメインポーンも同様の事が可能だ。
自身のメインポーンもモンスターやクエストの攻略情報を蓄積して、他プレイヤーの攻略の手助けになるほか、他プレイヤーが自分のポーンを雇った際に行った行動によって攻略情報を逆輸入してくれるような事もある。
このような他プレイヤーとの緩い繋がりを用いているのが本シリーズの特徴であり、それを仲間NPCが攻略の援助と言う形でフィードバックしてくれるのはユニークだ。

このポーンは最大で2名雇う事が可能で、自身のメインポーンも含めて4人パーティーになる。
ポーンにもプレイヤーと同様にジョブが設定されているため、パーティーのバランスを考慮して雇うべきだろう。
例えば、遠距離ジョブに偏ってしまうと敵に近寄られた際の対処が行いにくくなってしまう。

メインコンテンツでもあるポーンだが、このポーンには問題ある仕組みも導入されている。
それは「竜憑き」と言われる稀にポーンが発症する病の事だ。
竜憑きはオンライン上で貸し出しなどが行われた際に低確率で感染するものとされ、潜伏期間があり初期症状としてはポーンは言動や見た目に変化が表れ始める。
これを野放しにしていると街のNPCを大量殺害に至ってしまう事になると言う。
筆者自身はこの竜憑きに遭遇した事はないという上で記載するが、この竜憑きの仕組みはお世辞にも良いとは言えない仕様だ。
まず顕在化する問題として被害が大きすぎるという点が挙げられる。
本作のNPCは希少な専用アイテムを用いる事で復活させることが可能だが、プレイヤーにそういった手間を強いる事になる。
そしてそれがモンスターの襲撃のようなイベントではなく、メインコンテンツであるポーンが行ってしまうのは問題だ。
何故ならメインコンテンツでもあるポーンを利用する事をプレイヤーが委縮してしまう切っ掛けに繋がってしまう可能性があるためだ。
本作の固有の面白さ出すコンテンツであるにも関わらず、それを行いたくない気持ちにさせてしまうのは本末転倒だ。
開発意図としてはそれも含めた偶然性や一回性のライフシム(人生というドラマ)として機能させたいのだろうが、実際にはプレイヤー側には手間と委縮を与えているだけに過ぎない。
プレイヤーに体験して欲しい内容を実現するために余りにも愚直な手段を採用してしまっている。
開発側の意図は汲み取れるだけに、それが機能不全を起こしているのは苦しい部分だ。
なお、この竜憑きに関してはアップデートにより感染が見分けやすく、また感染しにくく調整が行われたようだ。

 

フィールド

フィールドは完全なシームレスに

DD2のフィールドは完全なシームレスなオープンワールドになっている。
フィールド上には中継地点となるようなキャンプ場所が用意されている。
キャンプは旅を演出する要素としての機能はもちろんだが、夜を明かして最大HPも完全に回復できる恩恵も存在する。
特に夜は形骸的な存在ではなく本当に暗く視認性が悪いため積極的に活用したくなるだろう。
そのため基本的なゲームプレイサイクルも「移動→キャンプ→目的地→移動…」というサイクルによって構築されており、旅・冒険を中心とした「ファンタジー世界ライフシム」としてプレイして欲しいという意図が汲み取れるものとなっている。

フィールド上にはモンスターが跋扈しているが、そのモンスターが市街に迷い込んで暴れまわるような事もある。
場合によっては大型のモンスターが入り込むような事もあり、戦闘が長期化したりするとNPCが死亡してしまう可能性もある。
人々の生活圏とモンスターの生態圏が地続きになっているリアル志向な表現だと言えるだろう。

フィールドはシームレスなだけではなく広さに関しても前作よりも広くなったが、ライフシム的な側面を強調したためか移動に関しては前作よりも不便になっている。
まずファストトラベルに関してだが、前作と同じようにファストトラベルを行うためには専用アイテムが必要となる。
しかし、前作と異なりファストトラベル用のアイテムが消費アイテムに変更されている。店売りもされているのだが、かなりの高額であるためホイホイとは買えないものになっている。
更にこれまた前作と同様だが、ファストトラベルを行うためにはファストトラベル先となる目印アイテムを配置する必要がある。
このアイテムは入手が困難な作中で最も希少なアイテムの1つといっても過言ではないものだ。
そのため既知の拠点の再訪が難しいものになっており、それが長距離になると厳しさがより際立ったものとなる。
このような状況を補うために牛車という安価な移動手段が用意されているが、こちらは電車のようなもので行き先が固定であり、結局は徒歩に頼る必要がある。
また、牛車はモンスター襲われる確率が非常に高く、筆者が試した範囲内ではまず間違いなく道中に襲われた。
その上、相手が悪いと牛車を破壊されてしまうため、残りの距離を徒歩で行く必要があるなど移動手段としては欠陥が多いものになっている。

しかし、ここまでの話だけでは問題であると言えるものではない。
どういう事かというと「移動が楽しいなら問題にならない」からである。
だが、残念ながらその本質となる部分もやや影が落ちている。
確かに本作では道中にも小規模ダンジョンがそれなりに用意されており、ダンジョン内では装備品が見つかるなどの嬉しいリワードもある。
問題になるのは積載量となる所持重量制限が存在するという点だ。
所持重量は前作と同様だが段階的に設けられており、重くなればなるほどに徐々に移動速度が遅くなる仕組みになっている。
そのため多くの荷物を持ち過ぎれば苦しい移動がもっと苦しくなってしまうのだ。
もちろん、仲間NPCであるポーンに荷物を預けてパーティー全体で負荷分散を行えばある程度の重量には耐えられるが、ポーンに所持している荷物を渡す際に複数選択が行えないなどの制限や手間が多い。
そこにファストトラベルに制約がある事もあいまって「荷物が重くなると面倒だから探索は最低限に控えたいな…」という心理になってしまうケースが生じる事も無理はない。

移動とは多くのゲームにおいて必ず必要な行為であり、重量制限にしても、ポーンを活用した負荷分散にしても「旅情」という本作の一貫したライフシムの側面だ。
だが、本作が用いている数々の手法はプレイヤーに強制的に時間を使わせる事を強いる”時間強盗”であり、ゲームに慣れていくほどにストレスになっていくだろう。
最初こそ未知の旅路を歩くことに面白さを見出せるものの、ゲームに慣れてきたり既知の土地に行く必要がでてきたりする事によって無意味さが増してしまうのだ。
実現したいコンセプトは痛い程に伝わるが、それを実現する手法が余りにも愚直過ぎるような気がしてならない。
どうにかコンセプトとプレイアビリティーを共に納得できる折衷的な落としどころを見つける事は出来なかったのだろうか。

モンスター同士が争っている事も

ライフシムとしてのファンタジー世界を表現しているDD2の世界ではモンスター同士が争っている事もある。
モンスター達が「プレイヤーを邪魔するだけの機械」として表現されていないため、モンスターと言う存在もまた世界の厚みとして機能している。

キャンプは旅を演出するが、もう少し作り込みが欲しい

既に簡単には記述しているが、フィールド上では野営でキャンプをして休憩する事ができる。
キャンプを行った際には狩った動物などから手に入れた肉などを使って食事を行いステータスにバフを付けられる。
何よりも夜を明かせるのは本作においてはありがたい。
多くのゲームにおいては「夜」といっても視認性はある程度はあるものだが、本作の場合には夜は本当に暗い。
それを解決する手段としても活用したいが、周囲のクリアリングが甘いと寝ている最中に敵襲にあってキャンプ用品が壊されてしまうような事もある。
寝る際には注意が必要だ。

「戦闘」の項で述べた通り前作では最大HPを回復アイテムで回復可能だったが、本作では最大HPを回復するには宿屋かキャンプで休憩する必要がある。
しかし、宿屋の料金も高額とは言わないがバカにできない金額であり、基本的にはキャンプで野営して回復するのが基本になるようにデザインされている。

キャンプは本作のコンセプトである旅情を強く感じさせる要素として機能するが、もう少し作り込みが欲しいと感じるものでもある。
キャンプではポーン達と一緒に休憩するが、全員が全く同じ棒立ちならぬ棒座りでくつろいでいる姿はかなり奇妙な光景なのだ。
旅情もポーンも本作のメインコンテンツであり、そうであるならばもっと作り込みが欲しい。
座っている者、踊っている者、歌っている者、焚き火の番をしているものなどポーンの個性に応じた複数の行動を行って欲しいのだ。
肝心な部分が蔑ろにされているようで非常に勿体ない。

 

グラフィック

美麗に描写された自然と人々

フィールドは草原から森林地帯、荒地の岩山などいくつかのシチュエーションを用意している。
ビジュアル自体は非常に美しく、また前述しているが前作と同じく夜をしっかりと暗く表現しているのも素晴らしい。
そこらに生えている草木に関しては炎によって燃やすことが可能だが、葉先から徐々に燃えていくような表現がされているなどの細かい表現も見受けられる。

キャラクターのアニメーションに関しても細かく作り込まれている。
例えば、階段の昇り降りがしっかりと専用モーションになっていたり、仲間のポーンに対して行う指示出しも自分とポーンとの位置関係によって変化する。
それ以外にも雨天などのシチュエーション別のモーションも作られている。
色々と作り込まれている事には目を見張るのだが、困ったものも存在する。
それは勝利エモートだ。
勝利後にポーンの近くに寄ると一緒に勝利を喜ぶエモートが発生するのだが、最初こそ「おお!こんなものも用意しているのか」と感動するものの、勝利エモートに移行してしまうと途中キャンセルが行えないためプレイを重ねるにつれて邪魔に思えてしまうのだ。
勝利後にポーンの近くに寄ると強制的に発生し、ジョブにもよるが戦闘後にはモンスターの近くにポーンがいる事は少なくない。
モンスターの素材を得ようとモンスターに近寄ろうとしたら、その近くにいたポーンと解除不可の勝利エモートが発生するのは地味にストレスになってしまう。

映像面で気になるのはNPCが描画されるのが、プレイヤーが近くを通った時である事だ。
筆者はPS5の環境でプレイしたが、全体のフレームレートこそ多くの場面で安定しており総じて問題は起きなかった。
しかし、NPCが非常に多い場所では30FPSを明確に切ったような瞬間がたまにあり、近くに行かなければ描画しないようにしているために安定性が実現できているのだろう。
バランスが難しい所だが、色々な部分でプレイフィールを不便にしてまで生活感を感じさせるライフシムを重んじている本作でNPCがヌッっと表示されるのは違和感に繋がる。

痒い所に手が届かないがフォトモードがある

やや簡易的だがフォトモードも存在する。
とはいえ、軸をズラして撮る事ができないなど細かい操作が行えず、こだわったアングルでのスクリーンショットは難しい。

実写映像を使うという荒業

キャンプでは肉を焼くなどの料理が行えるが、なんと実写が使用されている。
現代では余りないような手法であるだけに少し驚くかも知れない。
しかも、ディティールの凝った料理という訳ではないワイルドなリブを焼くだけのシーンを実写映像にしている。
確かにこのシーンのためだけにわざわざ高精細な肉の3Dモデルを起こすよりは、実際に肉を購入して焼くシーンを録画した方が安価で済むうえに効果的な映像が作れるのかも知れない。

 

サウンド

大型モンスターとの戦いでは形成有利になるとBGMが変化するなどの大型タイトルには採用例が多いインタラクティブミュージックが主体である。

一緒に行動するのが基本となるポーンのボイスパターンは前作よりは多くなっているが
しかし、それでもパターンとしてはまだまだ少ないと言わざるを得ない。
ポーンを雇うとき、ポーンに話しかけるとき、ポーンから助言を受けるときなどなど、シチュエーション毎のセリフはあるのだが肝心の喋る内容に変わり映えがない。
ポーンは本作の個性を象徴する存在であるため、もう少し個性といった違いが感じられるものである事が望ましい。

 

総評

Dragon's Dogma Ⅱはファンタジー世界で旅と冒険をするライフシムを全体を通して一貫して、そしてストレートに表現したRPGだ。

しかし、プレイヤーに体験して欲しい「ファンタジー世界ライフシム」という内容に余りにも愚直にアプローチした結果として不便さが際立ってしまっている。
そのため、あらゆる体験が新鮮に感じられる最初のうちは感動が勝るものの、ゲームに慣れてくる頃になるとゲーム側から強要される不便さが目立ちストレスが上回ってくるだろう。
この愚直なアプローチの数々は意図は痛いほど伝わるものの開発側の独り善がりの域を脱しておらず、ライフシム的な側面を可能な限り維持しつつプレイアビリティーを高める折衷案をもう少し検討しても良かったように感じられる。

口を開けばネガティブな部分ばかりを取り上げたくなってしまう本作だが、それでも全体を通してみれば非常に良くできた面白いゲームである事も事実として忘れてはならない。
個性ある戦闘やポーンの仕組みはもちろんだが、嘘をつかない事による不便さによって表現されているライフシムとしての部分も「まさにそれが体験したい」という人にとっては最高の一作になるハズだ。

 

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