【レビュー】マリオテニスACE

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マリオテニヌACE

ニンテンドー64にて初登場したマリオテニスシリーズ。
筆者はマリオテニスシリーズをプレイするのもマリオテニス64以来だ。
今回は2018年の初頭にNintendo Direct mini(どの辺りがminiだったのか疑問であったが)にて発表されたNintendo Switch用ソフトであるマリオテニスACEについてレビューを行っていこう。

 

マリオテニス エース

 

 

ストーリー

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あるようで無い、無いようであるストーリーはいつもの事だ

マリオテニスACEには1人用のストーリーモードが搭載されている。

マリオシリーズ全般では、その中身自体はあるようで無い、無いようであるストーリーがほとんどだ。本作においてもそれは例外では無い。
ルイージがうっかり邪悪なテニスラケットを手にしてしまう。
するとルイージがラケットに心身共に操られてしまうから、さぁ大変。
何だか色々とヤバそうだからルイージを助けよう(あんまり気は進まないが)。

良くも悪くもゲームプレイが中心であり、ストーリーはあくまでもオマケだ。

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各ステージでちょっとしたストーリーが展開される

基本的にストーリーは紙芝居形式に近い形で展開される。
だがやはりストーリーはそこまで重要ではない。そのステージでどのようなルールで試合を行うのかが説明されると言った事がほとんどだ。
ストーリー上で行われる試合はユニークなものが多く、変わったシチュエーションでの試合ができる事は魅力的だろう。

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チュートリアルも兼ねているストーリー

当然ではあるがストーリーは操作のチュートリアルでもある。
基本的な操作や、本作で追加された新たな操作などを教えてもらえる。
しかし、チュートリアルとしては少々痒い所に手が届いていない。

本作で使用する事になる新しいシステムなどを”強制的に”活用する場面はあれど、プレイヤーが自然にそれを活用するように仕組まれていないため、ストーリーを全てクリアしてもプレイヤー同士での実際の試合との乖離が激しい。
ストーリーを全てクリアしたからと言って試合展開が巧みになる訳ではない。

ストーリーではマリオしか操作できない点も少々不便な点だ。
マリオテニスシリーズではキャラクター毎に性能が異なる(例えば同じパワータイプであっても細部な性能差が存在する)。ストーリーと言うチュートリアル内で各キャラクターの個性やプレイヤー自身の好みが把握できない。

また、ストーリー内のリワードとして獲得したラケットもストーリー内でしか意味を成さない点も勿体ない。
ラケットにまで性能差を付与するかは議論の余地があるが、コスメ的な意味だけでも通常モードにおいても是非とも使用可能にして頂きたかった所だ。

 

システム

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これは我々の知るテニスでは無い。テニスという名の格闘技だ。

マリオテニスACEは「テニス」と名乗った格闘技だ。

強力なショットを放てばラケットが壊れ、試合で使用できるラケットがなくなれば「K.O.」となる。
筆者はテニスゲームで「K.O.」と言う字面を見る事になるとは思わなかった。
しかし、全体的には非常にバランス良く構成されている。
ラケットへのダメージあるいは破壊を狙える強力な”ねらいうち”や”スペシャルショット”。
強力なショットや取れないボールに対して使用する”加速”。前述の強力なショットもジャストタイミングで返す事でラケットにノーダメージで打ち返せるが、加速を使用する事で打ち返しのタイミングが掴みやすくなる。
そしてそれらも決してノーリスクでは無い。
まず、”ねらいうち”や”スペシャルショット”、そして”加速”は通常のラリーで溜まっていくゲージを消費して放つ事になる。
むやみにゲージを消費してしまうと、いざという時に強力なショットを防げなくなってしまう。自分と相手のゲージ量を考慮して、マネージメントしつつ運用する事が重要になるだろう。
また、強力なショット類は大きくジャンプして放つため、相手から打ち返されてしまうと無防備な時間が長く一転してピンチとなる点も注意した方が良いだろう。

更に追加された要素として「テクニカルショット」と言うものが存在する。
テクニカルショットはタイミングよく発動できればゲージを大きく取得できるショット…と言う説明が行われる。
しかし、基本的には手の届かない・普通では追いつけないボールに対してアプローチする手段として活用する事が大半であろう。
これによって足の遅いパワータイプのキャラクターでも多くのボールに対応できるようになっている。
しかし、逆に手元に来たようなボールを打ち返す事は出来ない。
また、タイミングが合っていないと打ち返せても逆にゲージを消費してしまう事もある点がリスクとなっている。

これらの要素はダイナミックであり、カジュアルな要素であるため、大味な要素と感じるかも知れないが、そのバランスは非常に良くまとまっている。
マリオテニスシリーズ自体、(打ち返すだけならば容易であるため)防御がかなり優位であり試合が長引きやすく、またそれ故に単調になりがちであった。
本作でも実力の拮抗した者同士であれば試合が長引く事は変わらないのだが、追加要素によって適度な緊張感の維持と試合を中長期的に考えた戦略を取る事ができるようになっている。

とは言え、テニス自体は良くできているものの、それ以外の面での問題がある。
まずテニスの試合をやる意義が非常に薄い事だ。
試合を数多くこなしてもリワードは何も用意されていないのは問題だ。
テニス自体が楽しい事は嬉しい事だが、それだけでは何回・何十回とプレイするモチベーションには繋がらない。
試合数などに応じてコスメ的なラケットやコスチュームが入手できるなどすれば良かったのだが…。

また、ステージは試合開始時にランダムで決定されるのだが、任意にステージを選択できないのも問題だ。
各ステージではバウンドの性質が変わるため、どのステージでプレイするかは試合における重要な要素の1つである。簡単に選択できない点は不自然だ。
一応、ステージ選択は設定から「ランダム選択の対象から排除する」形で疑似的に決める事はできるのだが不便であることに変わりはない。
そのうえ、例え対象から排除しても一度ゲームを終了してしまうと、その設定は記憶されておらずプレイする度に再設定が必要となるため不便さの二重苦だ。

本作のゲームバランスはシングルスでは良く感じるのだが、ダブルスでは同じようにはいかない。
”ねらいうち”や”加速”、”テクニカルショット”はダブルスでは前衛と後衛の役割を曖昧にしてしまう。そのため、ユーザー同士でダブルスプレイをするのであれば普通のテニスでは一般的では無い陣形を取る方が安定する。
だが、NPCを交えてダブルスをする時にはそうもいかない。
NPCは基本的に前衛時には常に前衛にいようとするし、後衛時には常に後衛で頑張ろうとする。
特に前衛時には困ったもので、後衛が取るべきボールに対してもテクニカルショットを駆使して食らいついてしまう。これによって後衛側のリズムが崩されてしまいプレイフィールに悪影響を及ぼしているのだ。

Joy-Conをラケットに見立てて実際にスイングしてプレイする「スイングモード」は出来が余り良くない。理由は複数ある。
まず一番大きな問題点はユーザーのスイングとキャラクターのスイングが同期しない点だ。マリオやクッパと言ったキャラクターは通常のプレイと同様のスイングをするため、ユーザーがJoy-Conを振った動作とシンクロしていない。
そのため、視覚情報と操作に食い違いが発生しておりタイミングが取りにくくなってしまうのだ。
また、Joy-Conを振った際の判定も曖昧だ。
筆者が十数試合程度プレイした限りでは誤操作・誤認するケースが多く感じた。

 

グラフィック

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彩度が高めのグラフィックは見栄えがある

グラフィックはフォトリアルでは無いため彩度が高めで、コントラストがハッキリしている。
試合中もボールにカラーエフェクトがかかっているため視認性も良い。

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クッパはカッコいい

本作から…と言う訳では無いのだが、クッパのバックハンドショットはオシャレかつカッコいい。スタイリッシュな一撃をブチかまそう。

サウンド

本作ではステージも少なく、ストーリーもそこまで凝っていないため収録楽曲は少なく、印象も薄い。
最も聴き馴染みのある曲となるとメイン画面で流れているメインテーマではないだろうか。

試合中には加速を使用する事でBGMにフィルターがかかったりとインタラクティブな使用のされたかもしている。

 

総評

マリオテニスACEはマリオテニスシリーズ共通のカジュアルさを維持しつつ、ダイナミックな要素を増やしている。
ダブルスでは少々欠点もあるが、全体的なバランスは悪くない。
プレイすれば非常に楽しいテニスゲームを体験できるし、友達とプレイすれば間違いなく熱中する事だろう。
しかし、1人の時にプレイし続けるには余りにも淡泊な内容になっている事は残念だ。

 

外部記事

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