【レビュー】聖剣伝説3

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子午線の子供達

聖剣伝説3は学生時代の筆者が長らくやりたくてたまらなかったゲームであった。
聖剣伝説2をプレイし、人生で初めて「ハマった」と言えるほどに好きになったゲームの続編に当たるのだから無理は無いだろう。
しかし、当時はSFC後期の名作ともなれば中古であっても非常に高価であり、小学生や中学生では簡単に手に入る値段では無かったのだ。
筆者が初めて聖剣伝説3を購入してプレイできたのは高校に入ってからだった。
どんなゲームなのかワクワクしながらゲームを始めた事をよく覚えている。

今回は思い出の強い聖剣伝説3をレビューしていく。
なお、今回のレビューで使用するのは聖剣伝説コレクションに収録されている聖剣伝説3となる。予めご了承願いたい。

 

聖剣伝説コレクション - Switch

聖剣伝説コレクション - Switch

  • 発売日: 2017/06/01
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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6人の主人公から3人を選ぶ

本作の最大のセールスポイントは「主人公を選ぶことが出来る」ことだろう。

6人の主人公にうち3人をパーティーメンバーとして選ぶことが可能だが、ストーリーとしては一番最初に選択したキャラクターを中心に展開していく。
残りの2人は言うなれば最初に選んだキャラクターの仲間として登場する形となる。

ストーリーは強大な力を持つ「マナの剣」をめぐった3勢力の争いを描いており、本作の物語は主人公たちとそのいずれかの勢力との因縁が描かれる。
前作では端的に表現して「自然と文明の対立」をストーリー全体の流れでは描いていた。
本作においても大枠ではその構図に違いは無いと言えない事も無いのだが、どちらかと言えば「人類の争いに巻き込まれる自然」と表現した方がしっくりくる内容だ。

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物語の大筋は誰であっても変わらない

ストーリーは導入やキャラクター専用の会話、主人公によりラスボスが変化するなどは存在するものの、全体としての流れ自体は大きく変わる事は無い。
例えば、剣士デュランで開始した場合には全く歯が立たなかった強敵”紅蓮の魔導師”を倒すための旅であり、王女リースであれば占拠された故郷”風の国ローラント”を救うための旅だ。
基本的に大きく違うのはこの物語の導入とラストダンジョン、ラスボスであり、それ以外に関してはほとんど違いは無く、6人存在している主人公を活かし切れているとは言い難い。
このストーリーの淡白さは容量の少ないSFCでメインとなるキャラクターを6人用意した影響かも知れないが、もう少しキャラクター毎のストーリーの違いを強調して欲しいかった所だ。
しかし、決して多くは無いが前述しているキャラクターによりセリフが異なる場面は多少存在している。

ストーリー中にパーティーメンバー同士での絡みなどもほとんど無い点も少々残念に思えるポイントだ。
”パーティーを選択できる”のだが折角パーティーを選択しても特に特別な会話が発生する訳では無いため「想像する余地がある」と言えば聞こえは良いが、想像するにしても材料が少なく物足りない印象を受ける。
キャラクター間の関係性を補完するイベントに関しても用意されていて欲しかったと言えるだろう。

 

システム

聖剣伝説3のシステムについて記載しよう。

 

バトル

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前作とは微妙に異なるバトル

本作のバトルはボタンを押す事によってキャラクターが攻撃モーションを行うものとなっているアクションRPGだ。
大枠としては前作である聖剣伝説2と同じだが、細部には異なる点が多い。

まず、前作では攻撃に関係するゲージが存在していたものの、そのゲージが100%にならずともボタン連打によって(ダメージは激減するが)攻撃を行う事が出来た。
しかし、本作においてはゲージ自体が表示されなくなっており、攻撃から再チャージ完了するまでの期間には攻撃が行えないようになっている。
そのため、前作以上に「ヒット&アウェイ」が重要な戦法・立ち回りとなるように変化している。

また、前作では「必殺技」を発動させるためにはボタン長押しによるチャージが必要であったが、本作ではここにも変更が加えられている。
本作においても前作と同様にチャージが必要な必殺技ゲージが存在するのだが、このゲージをチャージする方法は攻撃のヒット回数に変更されたのだ。
例えば、4回攻撃をヒットさせれば必殺技レベル1が発動可能となる…と言った具合だ。
前作においては通常攻撃を使いたい時には必殺技は出せず、必殺技を出したい時には通常技が出せないと言う同質の機能が競合した状態となっていた。
これが聖剣伝説3においては「通常攻撃を行う事で必殺技が発動できる」と言う直列的な共生関係のあるシステムになった事は非常に良い変更ポイントだ。

良い変更はそれだけでは無い。前作では一般的なRPGと同様にステータスがレベルアップで固定上昇していたが、本作ではレベルアップ時に自分で好きなステータスを1つ追加で上昇させる事が可能になった。
1つのステータスを上げ続ける事は出来ないため、実質的にはステータスの固定上昇と大きく変わりは無いのだが自分で選べる事によって感じる「育て上げた感」は大きく違う。レベルアップさせる事が本作のプレイの楽しみの1つになっているのは間違いないだろう。

しかし、本作では戦闘のバランスは逆に少々悪くなってしまっている。
その主な原因は「反撃確定の敵」の出現だ。
レベル2以上の必殺技や魔法によってダメージを与えると、確定で強烈な反撃を行うボスや一部のザコ敵が多く登場するようになってしまったのだ。
これによって折角の強い必殺技や魔法を覚えたとしても、敵からの反撃があるために使用する事が消極的にならざるを得ない状況になってしまっている。
”強烈”と表現したこの反撃は下手をすれば一撃で全滅するレベルの全体攻撃である場合も多くあり、こちらがいくら強力な必殺技や魔法を放ったとしてもこれでは割に合わない。
そのため、ダメージソースの中心は反撃技が出ない通常攻撃に頼らざるを得ないのだ。
本作では前述の通り主人公を選択する事ができるのだが、魔法攻撃主体のキャラクターではこの影響を特に大きく受けてしまい、中盤以降で活躍する事が困難になってしまっている。
なぜこのようなバランスとなったのか疑問が残る所だ。

疑問に残るポイントはまだある。
前作において問題になりやすかった「(パーティーで行動する事を主眼に置いているにも関わらず)キャラクターが地形に引っ掛かる」「魔法エフェクト中に行動不可」と言った点がそのままにされている点だ。
プレイに支障がある要素であるため改善して欲しい要素ではあるのだが、改善するには容量が不足していたという可能性もある(だから”許す”と言う訳でも無いが)。

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バランスブレイカーとの呼び声高きケヴィン

前述の通り、本作は主人公およびパーティーメンバーを6人の中から3人選択する事が可能だ。

例えばデュランは攻撃力や耐久力において頼もしく、アンジェラは魔法攻撃がメインとなる。
そんな中でもケヴィンはその超火力によりバランスブレイカーと言われる事も多い。
ケヴィンの攻撃は2回攻撃となっており、1回の攻撃で2ヒットさせる事が出来るのが理由の1つだ。
しかし、この特性自体はシーフ系の主人公であるホークアイも同様である。
ケヴィンをバランスブレイカーたらしめている要因は彼が「ウェアウルフ(狼男)」であると言う要素が大きいだろう。
ケヴィンは獣人であり、夜になると戦闘中にウェアウルフに変身する事が可能となる。
ケヴィン自体の攻撃力もそれなりに高いのだが、ウェアウルフとなると更に攻撃力が強化され、前述の2ヒットする攻撃の性質も相まって他の追随を許さない非常に高い火力を誇るキャラクターへと変貌するのだ。

良くも悪くもではあるが、本作は対戦ゲームでは無いためバランスブレイカー的な存在がいたとしてもユーザーに有用ならば、それはそれで楽しめるように思う。

 

リングコマンド

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健在のリングコマンド

本作においてもリングコマンドは健在だ。

リングコマンドではアイテムや魔法と言った要素を視覚的に選択できる。
前作である聖剣伝説2と同様にテキストのみで表現されたアイテムでは無く、アイテムの固有のアイコンが表示される事は非常に嬉しい事だ。
注意点としては前作と同様に独自のシステムであるため、シリーズを初めてプレイすると言うユーザーは慣れるまでは少し戸惑う事もあるかも知れない点だろう。
しかし、視覚的にわかりやすいため重宝する要素となっている。
なお、前作と異なる点としてはシステム系のコマンド(ステータスや装備)はリングコマンドから除外され、Yボタンでシステム画面に遷移するようになっている。

また、本作では「倉庫」と言う要素が追加された。
リングコマンドでは10個のアイテムしかセットできないのだが、倉庫と言うシステムによって持ち切れないアイテムや装備を保管してくれるようになったのだ。
これによって多種多様なアイテムが本作に追加された点は収集癖のあるユーザーからしても嬉しいポイントだ。
特に重宝するのはキャラクターにバフを与える「ウロコ」系のアイテムだろう。
主人公の選択によっては序盤から終盤に至るまでお世話になるアイテムになる事だろう。
敵にデバフを与えるアイテムも存在はするのだが敵からのドロップ品であるため、安定供給させるのはやや難しい。
また、手裏剣を代表に敵にダメージを与えるタイプのアイテムなども複数種類存在している。
このようにバフやデバフなどのアイテムが非常に多く追加されているため、宝箱の中身も前作よりも豪華になっており、宝箱を開ける事が多少なりともワクワクする要素になっている。

 

クラスチェンジ

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最大の醍醐味クラスチェンジ

本作において最も特筆すべき要素は「クラスチェンジ」だ。

クラスチェンジは特定のレベルを超えた際に特定の場所でキャラクターを上位職に変更する事が出来る。
クラスチェンジは光方向と闇方向が存在し、
光方向は回復や味方へのバフなど「味方に効果を発揮する魔法」を習得していく傾向があり、
闇方向は火力向上や敵へのデバフなど「敵に効果を発揮する魔法」を習得していく傾向がある。
クラスチェンジする事で単純にキャラクターが強化される事はもちろん、自分好みのビルドを考える事が出来る点も嬉しい限りだ。

ちなみに筆者の黄金パターンでは、
デュランはアタッカーとタンクとヒーラーを兼ねる「ロード」、
リースはその可愛さに癒されつつ敵にデバフをばら撒く「フェンリルナイト」、
ケヴィンはムーンセイバーを使う凶悪なアタッカーの「デルヴィッシュ」
という構成だ。
筆者が純粋にプレイする場合には毎回このメンバーでばかりプレイしていた。

 

隠しボス

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ブラックラビ

本作には特定の主人公でのみ登場する隠しボス「ブラックラビ」 が存在している。
体力が多く、また体力が減った際に凶悪な連続魔法を放ってくるため準備を整えて倒したい所だ。

なお、ブラックラビは専用のドロップアイテムがあるため入手しておきたい。
倒してもドロップしないケースもありリセットが必要になってきてしまうが、聖剣伝説コレクションなどであればクイックセーブ/クイックロードが可能であるため、それを利用するとリセットマラソンは簡単だ。

 

グラフィック

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自然が美しいグラフィック

本作でも美しいドット表現は健在だ。
中でもやはり草木と言った自然の美しさが前面に出ており、聖剣伝説のコンセプト通りの力の注がれ方だ。

また、本作では昼と夜の概念が存在する。
昼は明るく、夜は暗くなるのはもちろんだが、夕方や明け方などもあるため当時では珍しかった時間帯によって変化するフィールドが楽しめるのも本作の魅力だ。

しかし、残念ながらフィールド上の草刈りなどのインタラクションは出来なくなっているため、少々寂しい所はあるかも知れない。

 

サウンド

筆者が言うのもおこがましいが、聖剣伝説3の音楽も史上に残るような名曲たちばかりだ。

前作の”天使の怖れ”のアレンジでもある「Where Angels Fear To Tread」

物語導入のラストで流れる非常に熱い名曲「Meridian Child」

耳に残るノリノリなフィールド曲「Swivel」

山岳地方の少し不気味なフィールド曲「Different Road」

穏やかで夜のような涼しさを感じる「Powell」

リズムが主体の「Rolling Cradle」

シームレスに三段階に変化するラスボス曲「Sacrifice 1~3」

どの曲も是非ともゲームと共に聴いて頂きたい名曲たちばかりだ。

 

総評

聖剣伝説3はストーリーは少々あっさりとしているが、システム面は大幅に強化された続編だ。

パーティーメンバーを選択できる所から始まり、レベルアップ時の上昇ステータスの選択、魅力的なクラスチェンジ、豊富になったアイテムなどゲームプレイ部分で楽しめる部分が多い。
しかしながら、前作でも存在していた「キャラがフィールドに引っ掛かる」などの問題点は基本的にそのまま棚上げされており、簡単に見つかる改善ポイントであるだけに勿体ないと言う他ない。

 

レビューからは脱線してしまうが、聖剣伝説3は2019年のE3にてリメイクが開発中であると発表された。ファンとしては嬉しい限りだ。

 

外部記事

【インタビュー】Nintendo Switch「聖剣伝説コレクション」インタビュー - GAME Watch