
ガールズメイドプディングはKAMITSUBAKI STUDIOが制作し、Kazuhide Oka氏がシナリオを担当する作品である。
筆者はKazuhide Oka氏が制作したナツノカナタ beyondをプレイし、その内容が非常に心に残った事から本作に興味を持ったと言う経緯がある。
今回はガールズメイドプディングのレビューをしていく。
ストーリー

誰にも見られない事で人が消えるようになってしまったと言われる世界でスミビとニコミが宛もなく旅をしていくのが本作のコンセプトだ。
最初は何故二人で旅をしているのかわからないが、タスクをこなして物語を進行させて発生する会話の中で世界に何が起きたのか、それが起きた事で彼女達はどうしたのか、今は何を思っているのかを知っていく事になる。
この設定自体は観測者効果や量子力学における不確定性原理などを彷彿とさせるような設定をベースにした思考実験を人間性の物語に落とし込んだようなテーマである。
本作では大きな世界の謎や陰謀によって物語を牽引するのではなく、あくまでもスミビとニコミの二人旅での会話と感情の機微を中心に描いている。
人がいなくなった世界で二人が絶対に離れるわけにはいかないシチュエーションを設け、またそれを逆説的な側面でも描くことにより人と人の絆とヴァニタス的な儚さが表現されている。
物語自体はそう長いものではないものの、わかりやすい満足感がしっかりと用意されている。
ネタバレとなるため多くは語らないが「退廃的な世界での二人旅」というシチュエーションだけ聴いてビビッと来るものがあるのであればオススメしやすい内容だ。

本作では移動しながら物資を漁りつつ、テキストで表示されるセリフを読み進める形となる。
そのため、移動する操作の方に集中してしまうと発生した会話を見逃すケースも少なくない。
特に会話のセリフ量に限らず一定の移動量で会話が進行してしまうのでうっかり会話を次に進めてしまう事もあるのだ。
この辺りはセリフの文字量に応じてテキストが送られる速度も変更して欲しい所であったし、無茶な注文ではあるがボイスによってセリフを読み上げてくれていればプレイヤーは操作に集中しつつ会話を聴いて進行しやすかっただろう。
とは言え、覚えるべき要素が身について操作に慣れ、ゲームの流れが理解できるようになってくれば、そこまで忙しいゲームではないのでゲーム開始時点程はこの仕様が困ると感じる事はないだろう。
また、会話のログも確認できるので、もしも確認しきれなかった会話があればログから内容を復習しても良いだろう。
この手のゲームの場合にはシチュエーション自体に惹かれてそもそもゲーム自体に慣れていないプレイヤーが手に取る事も想定されるが、移動をオートにする事も可能なので、会話を中心に進めたい場合には活用しても良いだろう。
本作において要望があるとすればクリア後には少し寂しいゲームプレイになってしまう事だろう。
クリア後には専用の追加要素は少しだけあるものの、新しいストーリーがある訳ではない。
そのため、クリア後には会話がなく寂しい旅の雰囲気になってしまうのだ。
この辺りはランダムに話題と会話が発生するような仕組みがあればベストであったが、開発規模的には少し高望みなのかも知れない。
システム



本作のゲームプレイは移動しながら食材や寝床を探していく事になるが、あくまでも世界観と物語を表現するようなものでありゲームとして難しいスキルが要求されるものではない事は予め伝えておきたい。
道中の道路は分岐があったりするが進行に何か大きな影響がある訳ではなく、食材などのリソースを求めて「ストーリー」ともリンクするように宛てもなく移動する事になるのが基本である。
そのように移動する事と連動する形でゲーム内時間も会話も進んでいき、空腹ゲージも減ったりする仕組みになっている。
空腹を解消するためには道中で見つけた食材を利用して料理を作る必要があるが、料理に使用した食材の組み合わせで料理も変化するため、様々な料理を作成してスミビとニコミの色々なリアクションを確認していくのも楽しみになるだろう。
なお、道中では料理のレシピを入手できることもある。レシピなしでも料理は作成可能だが、レシピがあれば目当ての料理が作りやすいだろう。
この料理はストーリー進行のトリガーにもなっている。
ストーリー進行のためには特定の料理を作成する必要があるケースが多いのだ。
しかし、物語進行に必要な料理の食材は入手しやすいように調整されているように感じられ、なかなか目当ての食材が手に入らず進行できないという事はなさそうだ。
空腹などのゲージ類が0になる事でも力尽きてしまいゲームオーバーとなるため両者とも注意は必要である。
また、道中では寝床を探す必要も出てくるが寝床に到達できずに真夜中になってしまうとゲームオーバーとなってしまう。
ただし、注意さえしていればゲームオーバーとなるケースは余りないので、宿になる場所や食料が取れる場所はチェックしておくと良いだろう。
グラフィック


本作は近年増えつつあるニンテンドーDS時代頃のローポリで可愛らしい3Dモデルが印象的なビジュアルスタイルだ。
ローポリであるからこそ脳内補完による雰囲気が感じられる作りである。
プレイヤーが操作する事になるバイクには同行者が増えた場合にサイドカーにしっかりと乗っていたりとしっかりと作られている。
デフォルト状態ではカメラが結構引いた状態なのでキャラクターの3Dモデルが確認しにくいが、オプションからカメラを近くに寄せれば確認しやすい。
とは言え、カメラを近くに寄せすぎると視認性が悪いので、普段操作では少し引いた方が良いだろう。
フィールドの、特に家や車などのオブジェクト関しては一定の法則性を持って自動生成されるようになっているようだ。
これはゲームプレイに影響を及ぼすようなことはないのだが、斜面などでは車体が半分宙に浮いていたりする事もあるので見た目の部分で気になる事はあるかも知れない。
サウンド
BGMは人のいなくなった世界にマッチするチルめのゆったりした少し物悲しいものが多い。
作中のBGMはゲーム内のカセットで再生する事で音楽を流すことも可能だ。
筆者の気に入ったBGMを一部記載する。
爽やかなボーカル曲「二人だけの物語」
温度差に驚くが頭にこびりつくボーカル曲「また旅はネコミミと」
総評
ガールズメイドプディングは退廃的世界の中を女の子2人組が会話をしながら旅をするというコンセプトに興味を持った人にオススメしやすい作品だ。
ストーリーはゲームプレイと一体になっており、その内容もヴァニタス的なコンセプトのニーズに対して「待ってました!」と言えるようなシチュエーションが設けられており非常にわかりやすい満足感があるハズである。
そのため、繰り返すようだが本作のコンセプトに興味を持てる人ならばプレイして損はない作品に仕上がっている。
外部記事