【レビュー】ZOIDS VS Ⅲ

 

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バトルは常に真剣勝負。手加減はしないぞ。

筆者はロボットものの作品の中ではZOIDSシリーズが一番好きだ(正確にはZOIDSはロボットでは無いのだが)。

筆者がZOIDSに出会ったのは小学生の頃だ。いわゆる無印のZOIDSのアニメを観てその作品が大好きになった(これで大体の年齢はバレるだろう)。
ボーイミーツガールのストーリー。今見ても全く見劣りしないレベルの3Dモデリングで描かれたZOIDSは渋いながらも恐竜や動物をモチーフにしたデザインでどれもが好みだった。
アニメを観てからと言うもの筆者はZOIDSを自分で操作できるゲームが欲しくてたまらなかった。
そんな中で登場したのがZOIDS VSシリーズだったのだ。
今回はそんな筆者の思い出が詰まったシリーズの最終作となった"ZOIDS VS Ⅲ"をレビューしよう。

 

【中古】ZOIDS VS.3

 

 

ストーリー

本作にはオリジナルストーリーが楽しめるミッションモードが搭載されている。

ストーリーはアニメ”ゾイド フューザーズ”をベースに作られており、アニメに登場したキャラクターがシナリオに登場する。
とは言え、ストーリー自体の完成度はそこまで高いものを期待するべきでは無いだろう(ストーリーの完成度はVSシリーズの過去作の方が良かった)。

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チュートリアルがしっかりと入っている

ミッションモードではZOIDSを操作する際のチュートリアルが用意されている。
チュートリアルは飛ばす事も可能なので過去作をプレイしているなら飛ばしても大きな問題にはならない。 

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ストーリーは分岐が存在する

ストーリーには分岐点が存在し、それによってステージなども変更される。
分岐ルートによって解放される機体も存在するため両方ともクリアしておくのが無難だ。

システム

ZOIDS VSシリーズおよびZOIDS VSⅢにて追加されたシステム面を中心にまとめよう。

 

バトル

ZOIDS VSシリーズはバトルフィールド上に存在する敵勢力を全て排除する事が基本的な勝利条件だ(後述するミッションモードでは例外もある)。
自機が撃墜されればリスポーンされる事なく敗北となるかなり古典的なルールだ(そもそも古いため当たり前だが)。

また本作の新要素として”飛行ゾイド”の追加がある。
プテラスやレドラー、ストームソーダーと言った機体がプレイアブルとなっているのが大きな特徴となっている。

しかし、飛行ゾイドが追加された事でも大きな問題が発生している。
それは飛行ゾイド相手では攻撃がなかなか当てられないのだ(とは言え過去作と比べるとミサイル系のホーミングが強くなっている)。
では、飛行ゾイドは圧倒的に有利なのかと言うとそうでもない。
飛行ゾイドの場合、所持できる弾数が少なく弾切れを起こしやすいのだ。
そうなってしまうとお互いに有効な攻撃手段が無くなり、長期戦となる事態になってしまう。
飛行ゾイドにも素晴らしい機体が存在するのは確かだが、ゲームとして落とし込むには至っていないのが現実だ。

弾切れと上述したが、本シリーズでは”弾切れ”が存在する事も欠点としても良いだろう。
ゾイドの射撃武器には弾数制限があり、バトル中にそれを回復する手段は無い。
通常のバトルにおいては滅多に尽きる事は無いのだが、弾数が豊富な事で射撃にしか頼らなくなってしまうし、リコイルも無いため無駄撃ちに対してのデメリットがほとんど無いのだ。
また、ミッションモードの特定のステージにおいては逆に弾切れを起こすケースもある。そうなると今度は途端に攻撃手段が無くなりジリ貧化してしまう。
弾数に関してはリキャスト式(チャージ式)にするか、弾倉を補充する方法を導入した方が良かったのでは無いかと思う。

また、そもそもの大きな問題点として本作のゲームバランスが機体性能に大きく依存している点が挙げられる。
いわゆる”キャラゲー”的な立ち位置にいる本作にとっては重大な欠陥だ。
これは明らかに強くないモルガやカノントータスと言った機体に光が当たる事がほぼ無いという事に直結する。ゾイドと言う”キャラクター”にフォーカスを当てているゲームであるならば、この辺りの設計には工夫が欲しかったところだ。
例えば近年では一般的な「コスト制」にし、
強力なゾイドはコストが高く2回落ちると敗北だが、
貧弱なゾイドだと5回まで落ちても大丈夫
…などだ。
かなり大雑把な表現となってしまったが、これがあるだけでも違うだろう。

ここからは筆者の浅知恵による改善案(妄想&当時としてはオーバーテクノロジー)になって恐縮なのだが、
ゾイドという作品においては機体に明確なロール(役割)が割り当てられている事が多い。
例えば前述したカノントータスなどは良い例だろう。見た目からして近距離戦は不得手だが、遠距離砲撃において絶大なパワーがある事は明らかな機体だ。
このようなロール的な要素をもっと活かした方向性に活路があるように思えるのだ。
そのためゾイドによる対戦を面白くするにはロールが意味を成さない1vs1ではダメであり、最低でも4vs4くらいの規模は必要になると感じる。
機体に対してロールを与える事で差別化がしやすく、またカスタマイズも更に重要度が増すのでは無いかと思う。
また、ルールに関しては多様なロールが共存しやすいタワーディフェンスやMOBA的なアクションゲームにするのが良いのでは無いかと思っているが、ここは議論の余地はあるだろう。
ゾイドではMOBAそのものである「ZOIDS FIELD OF REBELLION」が存在するのだが、筆者としてはゾイドのアクションゲームが出てくれれば嬉しい。

 

ステップ

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回避しながら射撃をするのは必須のテクニックとなる

ステップは主に緊急回避として使用されるアクションだ。
ステップの性能は機体によって異なり、低く短く飛ぶ機体から長い距離を飛ぶ機体まで様々だ。
このステップの性能によって機体の回避性能は全く変わってくる。例え走行速度が遅くともステップ性能が良ければ高い回避能力にも期待ができる。
また、ステップは射撃照準のブレが余り無いため攻撃面でも有用だ。
そのためステップ性能は攻防両面において非常に重要なアクションとなる。

 

スライディングターン

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スライディング中は照準がブレない

スライディングターンはZOIDS VSⅢより導入されたシステムだ。
走行中に進行方向とは逆方向にスティックを倒す事で発動する。
逃げから一転、一気に敵の方に方向転換する事に使用するのが一般的だが、特にライガー系など走行中の上下のブレが激しい機体の場合には射撃を安定させるために使用するケースもあるだろう。

 

格闘

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見栄えのある格闘モーションだが当てにくく、隙も大きく、威力も余り無い

ZOIDS VSシリーズにおいて、ほとんど全ての機体が格闘攻撃は(ある程度のホーミングはしてくれるものの)当てにくく、また隙が大きい。それなのに、威力もたいして無いのだ(一部の機体は凶悪とも言える威力を持っているのだが)。
モーションは基本的にアニメ準拠であったり、機体設定のものを使用しているため好感は持てるのだが、ゲームとしては機能しているとは言い難い。

なお、ジャンプ状態から格闘を発動させる事もできる。
こちらの場合は隙が少なく、またジャンプ距離に応じて攻撃距離も伸ばす事ができるため実戦的な性能に思えるが、残念ながらホーミングが全く無いため地上格闘よりも数十倍は当てにくい。

 

EX

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EXは簡単に言えば必殺技だ

本シリーズにはEX技と言う必殺技のようなものがある。
これはHPゲージが3分の1程になった際に初めて使用可能になる技で、ゾイドによって使用可能な技が異なる。

しかし、このEX技にも問題点は山積みだ。
まず発動させるためにはAボタンとXボタンを同時押ししなくてはならないのだが、それだけでなく「機体が”完全に停止”している状態」で無くてはならないのだ。
少しでも動いていると格闘技が発動したりと誤操作しやすい。戦闘中に安易に発動させるまでに持っていくのは難しい。

また、発動後にも問題がある。
発動中は移動系(走行やステップ)と言った操作しか受け付けない事だ。
例えば対戦中に相手がEXを発動した場合、それはEX以外の技が放たれる可能性が0になる事を意味している。
その上、発動中は機体が発光するため非常にわかりやすい。
これでは読み合いにおいては完全に後手に回ってしまう。

更に発動時にも問題がある。
それは当たり判定や後隙が大きすぎる点だ。
ザウラー系(上図の凱龍輝も同様)などに代表される荷電粒子砲など、EXが射撃攻撃である機体はまだマシな方だが、格闘系のEX技はとにかく当てにくく隙が大きい。
射撃攻撃も隙は大きいのだが、近距離で発動させるような事は無いため問題は無視する事もできる。
しかし、格闘攻撃ともなると敵に接近しなくてはならないため、自然とリスクの度合いが高まるのだ。その上、通常の格闘攻撃にあるようなホーミング補正も全く無いため命中精度も低い。であるにも関わらず後隙は格闘攻撃と最低同程度は存在する。そのためリスクが異様に高い攻撃になってしまうのだ。威力は申し分ないのだが、リスクの方が圧倒的に強い。

これらの要素から言って余程の状況でない限りはEX技を使用する事は実運用上無いと言える。
この辺りの仕様に関しても検討不足と言う他ないだろう。

 

カスタマイズ 

機体数は30ほどあり、装着可能な武装は機体毎に異なる(同じ武装なら共用可能)。
また、パイロットによっても性能が若干ながら変化する。
性能には影響しないがプリセット式ながらカラーリングも変更可能だ。
それらの中から自分好み機体やカスタマイズを見つけていくのは凄く楽しめる。

機体性能では主にHPや速度、装甲、索敵範囲、ロックオン距離などがある。
上述しているがその他にも、走行の仕方やステップ性能が異なるため操作感やカスタマイズは変わるだろう。
なお、リソースの問題と思われるがカラーリングのバリエーションは前作と比べると少なくなってしまっているのは少々残念だ。

パイロット性能では格闘攻撃、射撃攻撃、旋回性能などに補正を与えてくれる。
こちらはオプションに近いが、キャラクターによってはスペックが明らかに弱く、選択する意味がないケースも多い。
パイロットのスペックに差を生み出すのであれば、個性を生み出す工夫が欲しい所だった。それが難しいのであればパイロットのパラメーターを無しにするのもアリとは言えるが…筆者としてはパイロットにも性能がある方が嬉しい所だったりする。

武装性能は威力や弾数だけでなく、射角や弾速などもそれぞれ異なるため色々と試してみるのが良いだろう。

全体的に機体・武装性能のバランスに関しては余り良いとは言えないが、カスタマイズできる以上はバランスを気にしても仕方ない面はあるだろう。
だが、機体によってはカスタマイズが余りできなかったりするケースもある。
全ての機体においてカスタマイズ性がもっと多種多様であったり、ロール(役割)的なカスタマイズが可能であれば更に良かっただろう。

 

愛機

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ケーニッヒウルフ

このタイミングくらいでしか書く事ができない予感がするので書いておこう。

筆者の愛機はケーニッヒウルフだ(カラーリングは赤)。
ケーニッヒウルフはデザイン自体も非常に好みだ(コマンドウルフのいぶし銀なデザインも好きなのだが)。
そうでなくともケーニッヒウルフZOIDS VSシリーズにおいて非常に高性能な機体となっている。
単純に参照できる数値(HPや速度、装甲など)は上の中~上の下といったレベルなのだが、ケーニッヒウルフにおいて特筆すべきなのは「回避能力」だ。
その他の高性能と言えるライガー系、タイガー系、ザウラー系などと比べるとステップの距離が長いため、ホーミング性能のあるミサイルであってもステップ1回で避けきる事が可能だ。
また、ライガー系、タイガー系、ザウラー系などと比べると機体の横幅が小さいため、当たり判定自体が小さいのも回避性能を上げている。

ケーニッヒウルフはやや火力不足な面はあるのだが、
主戦力はデュアルスナイパーライフルorパルスレーザーライフルとなるだろう。
デュアルスナイパーライフルはやや火力は高めだが移動射撃時に照準の上下補正がない。ケーニッヒウルフの走行は比較的上下にはブレる事が無いため使えない事は無い。
ライガー系の場合には上下にブレまくるため、この武装はまず無理だと感じるだろうが。また、スライディング撃ちやステップ撃ちが主体であれば気にならないだろう。
パルスレーザーライフルは上下左右の補正が強力で一切ブレずに照準を合わせてくれるため使用感は非常に良い。しかし、威力と連射速度ではデュアルスナイパーライフルに若干劣る。
オプションパーツで攻撃特化にするのであれば徹甲レーザーバルカンがおススメだ。
サブはウェポンバインダー一択では無いだろか。豊富な弾数、圧倒的なホーミング力を誇るミサイルは魅力的だ。
特にウェポンバインダーのミサイルは特殊な性質を持っている。
通常のミサイルはホーミング圏内に来て初めて有効に作動するが、ウェポンバインダーはロックオンさえ出来ればホーミングする。つまりロックオン距離が延びればそれだけ有効射程の長いミサイルとなるのだ。

 

ミッションモード

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本モード専用のユニークなクリア条件も存在する

ミッションモードは前述したとおり、ストーリーやチュートリアルを備えた登竜門的なモードだ。
しかし、このモードには少々問題点がある。それは難易度だ。
序盤こそ何とかなるものの、中盤辺りから急激に難易度(レベルカーブ)が上がるのだ(前作VSⅡにおいては極一部のステージのみ異様な難易度の高さがあったのだが)。
例えば密集せざるを得ないような狭いフィールドで通常存在しないHPに補正のかかった強力なゾイドが複数登場したりする。そのため、ストーリー内でも色々と機体は用意されるのだが、必然的に貧弱なHP・攻撃のゾイドでは勝機はほぼ無いのだ。
そうなると必然的に一番最初に提供される超強力なレイズタイガーを使用せざるを得ない…と言うのはマイナスだろう。
これは前述のとおり、機体性能に大きく依存しているゲームバランスによって起きている問題でもあるし、またそれを見越した(機体性能に大きく依存している事を考慮した)レベルデザインとなっていない事も問題だ。

 

ゾイドバトル

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機体・装備・オプションなどで自分好みのカスタマイズをしよう

ゾイドバトルでは自分で機体を購入・カスタマイズしてバトルが行える。
購入資金はバトルによって稼ぐ必要があるため、最初はバトルで軍資金を貯めるところからになるだろう。
基本的にプレイヤーが最も遊ぶ事になるのはこのモードだ。
とはいえ、強力なゾイド、強力な武装を獲得するために何週もさせられるのは苦しみを伴う。バトルのバリエーションは多くなく、どれも「敵CPUの排除」でしかないためパターンゲー(覚えゲー)に繋がりやすく飽きやすい。

当時の環境では現実的ではないためアンフェアな意見だが、現代ならばオンライン対戦・協力などで少しは対処できた問題なのだろう。

なお、本モードでカスタマイズした機体はセーブデータからロードさせる事で後述するVSモードで使用することも可能だ。
カスタマイズした機体で友達と対戦できるのは嬉しい要素だ。

 

VSモード

友達やCPUを相手に自分の好きな機体などでバトルを行うことができる。
ゾイドバトル”にてカスタマイズした機体を選択する事も可能である。

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超大型の機体を操作する事も可能だ

VSモードでは、カスタマイズは行えないのだがデスザウラーやマッドサンダーと言った超大型の機体を操作する事ができる。
通常ゾイドからすれば何倍もあるスケール感・超性能を持っているので気晴らしなどで使用してみるのも良いだろう。

個人的にはアニメ版にて驚異的だった重力砲を備えたウルトラザウルスを収録して欲しかった所だ。

 

グラフィック

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ゾイド自体のモデリングやアニメーションは当時としては高水準だ

本作はGCで発売されたソフトウェアとなっているが、
機体のモデリングやアニメーションは当時の水準から考えれば非常に良くできている。 
強いて言うならば、フィールドの構成やモデリング、テクスチャなどは余り凝っていないのは残念な点だろうか。

 

サウンド

サウンド面は1度聴いただけで惚れ込むようなもの余り無いだろう。
筆者はヘビーユーザーであったため思い出にある曲はあるのだが、その補正を排除してしまえば優れた楽曲が収録されているとは言えない。
だが、サウンドテストとしてBGMが聴けるようになっている点はありがたいポイントだろう。

アニメにて登場したキャラクターのボイスが声優を変えることなく収録しているのはファンとしては嬉しいポイントだ(今では禁忌とも言えるが、当時はアニメとゲームで声優が異なる事もまだあったのだ)。

しかし、SEに関してはアニメ版のものを使用できていないのはマイナスだ。
本作でのゾイドの走行音はどれも重量感が無く、アニメ版のようなガシャンガシャンといった機械音に欠けるのはプレイしていて少々物足りない。
また、武装に関しても同様で迫力のあるSEにはなっていない。特に荷電粒子砲のSEは余りにもサッパリ味だ。

 

総評

ゾイドを自分でカスタマイズ・操作できる本作はゾイドファンであれば是非とも手に取るべき1作だ。
しかしシステム面の考慮が甘く、「あのゾイドを使いたいのに弱すぎる(またその対策措置が無い)」と言うのは不満に繋がる残念なポイントだ。
だが、良くできた3Dモデルやアニメーションは特筆すべきものがあり、これがもはや途絶えてしまったシリーズではあるのは残念だ。

…などと書いていた2月。
なんとゾイドシリーズの新プロジェクト「ゾイドワイルド」が始動する事が発表された。玩具はもちろん、アニメ…そしてNintendo Switch向けのゲームが発売されるという。どのような展開になるのか今から楽しみな所だ。

 

余談だが、ZOIDS VSⅢにはやりこみ要素や隠しコマンドによって解放されるキャラクターや機体が存在する。手に入れたい場合にはチェックすると良いだろう。