【レビュー】テイルズ オブ アライズ

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心の黎明を告げる

テイルズ オブ アライズ(以下、ToArise)はテイルズ オブシリーズの久しぶりとなる新作となっている。
筆者がテイルズ オブシリーズをプレイするのはリマスター版のテイルズ オブ ヴェスペリアぶりであり、新作ともなればとんでもなく久しぶりだ。
今作は新しいユーザー層を得るべく開発された経緯があるとの事で、ビジュアルスタイルからもわかる通りシリーズのステップアップを実現している。

今回はシリーズのリブートともいえるToAriseのレビューをしていこう。
なお、レビューはPS4版のものとなる。

 

【PS4】Tales of ARISE

【PS4】Tales of ARISE

  • 発売日:2021/09/09
  • メディア:Video Game
 
【PS5】Tales of ARISE

【PS5】Tales of ARISE

  • 発売日:2021/09/09
  • メディア:Video Game
 

 

ストーリー

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虐げられる者の逆襲

ToAriseは「ダナ」と「レナ」という2つの星々の対立が物語の主軸だ。
300年前のレナの侵攻によってダナは5分割して統治され植民地のようになってしまったという。
簡潔に書くとレナの王を選定するためと言われる儀式によってダナの民から生命力を吸い取っており、その現状を打破するべく反乱軍として動く事となるのが物語だ。
中盤辺りまではこのような逆襲や復讐のようなモチベーションに繋がりやすい動機を提示して進行している。
そして終盤になると王選定の儀式の真実などレナ文化の謎にも迫るなど、物語の全貌が見え始めてくる事になるような構成となっている。

本作は近年のいわゆる”JRPG”には珍しくないがファンタジーとSFの要素で構成されている。
魔法が存在する事はもちろん、宇宙船と言ったような存在も登場する世界観だ。
ファンタジーやSF作品らしい専門用語もいくつか登場するが、そこまで難解なものではなく、専門用語が乱立するような状況もそう多くないので理解するには問題ないだろう。
ストーリーの進行シーケンスは非常にシンプルで、街⇒ダンジョン⇒ボスという構造の章形式で構成されている。
街ではどのような事が起きているのかを知り、ダンジョンはボスまでのハードルとなり、ボスを倒す事でその章が完結するような形となる。
そのような意味では時代劇のような構成になっているとも捉える事が可能だ。

ストーリーの内容は老若男女問わずに楽しむ事が可能だが、演技の方向性に関しても同様だ。
2010年代以降のアニメトレンドに多い抑揚の少ないナチュラルな演技をベースとした会話が多くなっており、落ち着いたテンションの会話が大半を占めている。
これは映像表現から見ても同様で、本作が過去シリーズからの飛躍と言う形の決別を行った証なのだろう。

本作の主人公は鉄仮面を被り、痛みを感じず、ダナにて奴隷として労働し、更には記憶喪失という設定が盛々になっているアルフェンという青年だ。
その青年が強制労働中にレナ出身の触れただけで相手に激痛を与えるシオンと出会い、彼女もまたとある理由があってダナに展開するレナの体勢を崩壊させようとしていた。
共通の敵と戦うために手を取り合い、共にレナの従属体制を崩しにかかる革命の始まりが物語の導入だ。
その他の仲間キャラクターも魅力的で、物語の進行と共に信頼関係が築かれていく様はキャラクター性を重視するタイトルとして見所だ。
ただし、最終的には比較的都合の良い敵と戦う事となるため、プレイヤーが行っている血を伴った革命が本当に正しい行いなのかは問われないような状況へと流れていってしまうのは少々勿体ない部分であるかも知れない。その辺りは良くも悪くもキャラクターを重視したテイルズ オブシリーズとなっている。

フィールドの探索中にも会話が発生するのだが、これに関しては良いポイントと悪いポイントが併存している。
ボイスによって会話が行われるため、移動中が賑やかで良く、何より移動中にテキストを読む事にならないのでデザインとしても適切でポジティブな印象だ。
しかし、会話の尺とフィールドの大きさが釣り合っておらず、会話が発生してもカットシーンの次のイベントポイントに到達してしまうと会話が途中で終わってしまう事態が起きてしまうのは勿体ない。
また、フィールド上の敵とエンカウントしても会話が終わってしまうが、こちらは根本的にデザインがミスマッチしている。
本作はシステムとして一定の時間内に敵と連戦すればリワードが多く貰えるようなデザインとなっており、急いで次の敵とエンカウントする事が推奨されるデザインになっている。
そのため、探索中の会話を途切れさせる事に拍車をかける事に繋がってしまっており、デザインが噛み合っていないのだ。
フィールド中に会話を差し込むのであれば、それを考慮したデザインにして欲しい所だ。

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恒例のスキット

シリーズ恒例のスキットはマンガのようなコマ割り形式となっている。
スキットではキャラクターや情勢に関しての掘り下げが行われる。
こちらも過去シリーズと比べると全体的にテンションが落ち着いたものが大半となっており、極端なギャグパートのような会話はほとんどなくなっている。

なお、カットシーンやスキットは後から見返す事も可能だ。
読み忘れた時には重宝すると言えば重宝するが、物語が進行した後に読み返すと演出として少々不都合もあり、可能な限り読み忘れに注意した方が望ましい。

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旅先で行うキャンプが冒険感を増す

フィールド上では野営するポイントが用意されており、HPなどのステータスの回復のほか、料理を作ってバフ効果を得る事もできるほか、仲間達と会話をする事も可能だ。
システム上の要素でもあるが、冒険している感を増してくれる要素としても機能している。

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主張の強すぎるDLCはネタバレにもなりかねない

本作にはゲームプレイを有利に進めるためのDLCや衣装を変更するDLCが販売されている。
しかし、メニューを開いたとき、キャンプを行ったときなどの場面でDLCの案内がエクスクラメーションマーク(!マーク)尽きで表示され主張が強いのは考えものだ。
有料のDLCの主張を強くするのはプレイヤーを冷めさせてしまう可能性がある。
また、表示されているDLCの内容を確認してしまうと誰が味方として登場するのかネタバレされてしまうため注意も必要だ。
もちろん、誰が仲間になるのかは公式サイトでも公表されているとは言え、そういう事を恐れて事前情報を一切仕入れないプレイヤーも一定数は存在するハズである。
この辺りはもう少し配慮しても良かったのではないだろうか。

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クオリティは高いが、親和性の悪いアニメパート

テイルズ オブシリーズとしてはお馴染みでもアニメによるカットシーンパートも存在する。
アニメはufotableによって製作されており、色彩や動画は非常に高い完成度となっている。
しかし、本作には気合の入った3Dモデルが存在するせいで少々困った事になってしまった印象だ。
そもそも論になるが、なぜテイルズ オブシリーズはゲーム内にアニメを挿入させたのだろうか。
アニメに対してのリスペクトはもちろんだろうが、それ以外には恐らく補完が目的だった事が考えられる。
昔の作品では様々な問題によって映像表現が省略表現が主体となっていた。その省略された部分を補うためにアニメを挿入してキャラクターや世界のビジュアルイメージをプレイヤーに落とし込み(脳内補完)しやすくしたかったのではないかと推測している。
しかし、本作ではどうだろうか。
本作は立派な3Dモデルがあり、その3Dモデルが全面に渡って演技をすればよかったのではないだろうか。
特に本作の3Dモデルはトゥーン調という訳でもないし、武器を含めた衣装がアニメシーンとゲームプレイとでは食い違いが起きてしまうなどの映像表現の食い違いも発生してしまっている。
つまるところ立派な3Dモデルではなくアニメによってストーリーを描くと言う手法に「隣にいる人に電話で話しかける」ような「わざわざ感」が出てしまっており、アニメパートという存在が代替可能な必要性・必然性が薄いものになっているのだ。

アニメパートを採用すると言う理由が「以前からアニメを使っているから」というもの以外に思い当たらず、演出としては明確なアドバンテージがあるとは言い難い。
「劇中にアニメが挿入される」というだけの活用方法ではなく、3Dモデルをよりトゥーン調にする、3Dモデルのゲームパートとアニメパートがシームレスに切り替わるなど「リッチな3Dモデルを使いつつもアニメを使う明確なメリットあるいは親和性」があるべきで、またプリレンダにならざるを得ないアニメという媒体を活用する前提でのゲームデザインもするべきだ。
それをしないのであればアニメパートを完全に廃する事も選択肢としてアリなのではないだろうか。
これは品質の高い3Dモデルを利用しているからこそ如実に浮き彫りとなってしまった問題だと言えるだろう。
過去シリーズからの脱却を図った本作であるが、この辺りも挑戦的に脱却をしても問題なかったのではないだろうか。

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これは本当に描くべきだったのか

「システム」の項でも少しだけ記載するが本作では家畜を育てる事が出来る。
しかし、これは本作にとっては問題がある題材である。
何故なら、前述の通り本作の物語のテーマは「虐げる者への逆襲」なのだ。
これまた前述した通り、主人公達ダナ人は奴隷としてレナ人に命を吸い取られている。そのような状況を打破するべく反逆というクーデターを行っていた。
そんなテーマや物語を掲げて行動している中で、動物を家畜として育てて食肉にするのは主人公達への最高の皮肉になってしまっている。

このような題材をテーマとしている中で家畜を扱うのは苦笑いしかできないし、むしろ家畜を扱うならそれも含めた部分を物語にして欲しかったのが正直な所だ。
人によっては後味は悪く感じるだろうが、例えば最後は家畜に逆襲されて人類が滅びる(家畜が主人公達と同じ行為をする)など、家畜を描くのであればそこまで描ききらなければいけないのではないだろうか。
そして、それをしないのであれば「家畜」という要素は差し込むべきではなかった。

 

システム

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テンポ良く進行する爽快感あるARPG

ToAriseの戦闘はシンボルエンカウント式のアクション要素の強いARPGとなっている。
エンカウント方式であるがPS4版であってもロード時間は非常に短いため、その点がストレスに感じる事はまずないので安心して大丈夫だ。
とは言え、この品質のビジュアルでシンボルエンカウントなのはプレイしていてやや違和感があり、マイナスとまでは言うつもりはないが理想的にはやはりシームレスな戦闘が望ましかったとは思ってしまうだろう。
アクション要素とRPG要素が絡む本作だが、難易度も選択できるため自分に合ったものを選ぶと良いが、易しい難易度を選択しても圧倒的なレベル差相手に勝てる訳では無い。
また、序盤のレベリング効率が悪く、後述もするが物価も高いため、操作に慣れていない序盤は苦戦しがちになる可能性が高い事も知っておいて良いかも知れない。

戦闘では通常攻撃とスキルや魔法に相当する術技を使いながら立ち回るのが基本戦術だ。
通常攻撃は特定回数まで連続して発動させる事が可能だが、更に地上と空中で別々に回数がカウントされるため上手く駆使する事でより長くコンボを持続させる事が可能になる…というのが戦闘の基礎情報となる。
有効な攻撃にはヒットストップもある程度あるのでアクションの爽快さも感じられる作りだ。

術技はAG(アーツゲージ)を消費して発動可能で、AGは時間経過と共に徐々に回復するが、攻撃中は回復速度が鈍化する性質がある。
このゲージは戦闘中でのみ有効なものとなっているもので、大雑把に説明するならばアクションゲームにおけるスタミナのようなイメージをするのがわかりやすいだろう。
一般的に多い「MP」のようなマネージメントが必要な要素では無いため、戦闘において次の戦闘を気にする必要がない。気兼ねなく全力を出しやすくデザインされているのは純粋に戦闘を楽しむうえでは良い選択になっている。
なお、術技に関してはシリーズ恒例であるが、術技の発動回数によって新たな技を覚えるような仕組みだ。
そのため、少々使いにくいような術技であっても、技を覚えようと思った場合にはある程度は使い込まなくてはならない。
これは真面目にやろうと思うと中々の苦行を伴う事になるので、無理にやろうとせずに自分のモチベーションと相談して行った方が良いだろう。

時間経過や攻撃を命中させる事で発動可能となるキャラクター固有の特殊技「ブーストアタック」は敵をダウン状態にできる。
これは各キャラクターに異なる特性がついており、例えばスーパーアーマー特効効果などがあり、スーパーアーマー状態の敵に対して使う事でスーパーアーマーを無効化するだけでなくダウン状態へと持ち込み、有効な一打となる。敵の特性やその行動に応じた対策が出来るようになっているのだ。
ボス戦では特殊行動に対してQTEのように専用のブーストアタックが発生する事もある。
また、このブーストアタックはAGを回復するため、術技を使用したコンボの繋ぎとしても利用できる。
つまり、通常攻撃や術技を使い、ブーストアタックでダウンさせつつAGを回復して更に術技で追い打ちするような立ち回りが出来るのだ。

このような行動によって攻撃のコンボ数が増えていったり、敵の体力が低下したりすると画面上に「STRIKE」の文字と効果音が発生し「ブーストストライク」が発動可能となる。
ブーストストライクは発動させると敵を一撃で倒せる攻撃で、カッコいい必殺技のような演出であり、そのうえテンポも良く非常に爽快だ。
戦闘の…特にザコ戦においては、このブーストストライクをいかに効率良く発動できるかが戦闘テンポに大きく差を生み出すうえ、後述するCPの余計な消費をしないようにする必要もあるため、可能な限り畳み掛けてサクッと終わらせるのが理想的だろう。
ブーストストライクが出来るようになるとザコ戦における戦闘テンポが格段上がり爽快感が得られるハズだ。

回復やバフの行動はCP(キュアポイント)を消費して使用する事となる。CPはキャラクター毎に設定されているものではなく、パーティーで共有されるポイントとなっている。
また、CPに関してはHPと同様に戦闘後にも数値が引き継がれるため、マネージメントが必要な要素となっている。こちらはMPのようなものだと思うと良いだろう。
これを意識してか店売りの各種回復アイテムは価格帯がかなり高めで、金策に乏しい本作(特に序盤)ではホイホイとは手が出せない。そのような意味ではゲーム内マネーが形骸化する事を防ぐ事にも一役買っていると言えるだろう。
そのような状況下であるため、回復アイテムに関しては敵からドロップしたものをありがたく使わせて貰う事になるのがケースとしては多くなるのではないだろうか。
しかし、ボス戦の直前のポイントでは回復ポイントが用意されているとは言え、過去シリーズ同様に回復アイテムの所持数制限は最大15個と厳しめで、いざ使うにしても気軽にとは言い難い。
その結果、回復関連のマネジメントは比較的タイトにバランスが調整されているという印象だ。
なお、アイテムの所持数制限緩和は有料DLCという形で配信されている。これは購入する事で戦闘バランス面の体験に影響を及ぼす可能性があるので、そういった面が気になる人は注意した方が良いだろう。

基本的には戦闘は楽しいが、複数体の敵がいる場合に死角から攻め立てられるのが少々不快だ。
複数の敵がいる場合に死角から攻撃される…この要素自体は別に構わないとは思うのだが、ヘイト管理のような概念が希薄であるため、横槍に対して対処する方法が用意されていない事が問題であるように感じられる。
横槍に対して理不尽さを感じさせないようなデザインがされていれば更に嬉しかったように思う。

戦闘におけるエフェクトも少々問題が感じられる。
攻撃時のエフェクトは派手でビジュアルとしてのカッコよさはあるものの、派手過ぎて敵が視認できないのだ。
特に標的が小さめだと敵の攻撃モーションも視認できず、機能性にやや問題が生じている。
単純な演出面の調整でも悪くはないが、機能性を損なわないアイデアが欲しかった所だ。

回復アイテム類の価格帯と主人公の性能がミスマッチなのは序盤では気になるかも知れない。
回復アイテムに関しては上述の通り、かなり高価であり有効な金策のない序盤では気軽に買う事は難しい。
しかし、主人公の固有特性は「HPを消費して高火力を生み出す」ような少しピーキーな性能になっているのだ。
これではマネージメントの観点からこの特性を活かして戦うのは心理的に難しいように感じられる。
もう少し固有の特性を使いたくなるようなお膳立てがあっても良いのではないだろうか。

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フィールドの探索要素

フィールド上にはフクロウを探す探索要素がある。
フクロウを見つけていく事でリワードとしてキャラクターの見た目に影響するアクセサリーを入手できる。
フクロウは画面中央にしっかりと捉えないと見つけた判定とはならないので、よくわからないけど見つかったと言ったような事は稀だと思った方が良いだろう。

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冒険を彩るサブ要素

「ストーリー」の項でも少し触れているが、宿屋やキャンプで料理ができる。料理に関してはシリーズ恒例の要素だ。
料理では味方キャラクターに対してバフをかける事ができる。

動物を飼育してアイテムを入手する要素もある。
大したものではないうえ、食肉になる運命であり、動物を撫でたりといったインタラクトができる訳では無い。

釣りはミニゲーム形式だ。
わかりやすくデザインされつつも、しっかりと手応えがあり時間泥棒だ。
魚の種類もそれなり多く、やり込み要素としても十分な内容となっている。
釣った魚の一部は貴重な換金アイテムとなる。

 

グラフィック

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スタイライズドながら独特な色調のビジュアルスタイル

ToAriseは日本では珍しい頭身の高い韓国的なキャラクターデザインと油絵のような色調という表現手法となっている。
また、俯瞰でフィールドを観た時にはジオラマや粘土細工のような空気感を感じさせる。
昼と夜もあり時間帯によってもフィールドの雰囲気が変わり、空を見上げた時に見える星レナの迫力は雄大だ。
そして何より、ゲームプレイに直結する要素としてはファストトラベルが高速である事は嬉しいポイントだろう。

フィールド構成はエリア区切りとなっており、お世辞にもオープンワールドのような開けた空間を想像してはいけない。
とはいえ、ゲームプレイとしてテンポ良く進行しやすいミニマルな広さとなっているとは言えるだろう。
窮屈には感じないとは思うが、マップから各都市などの位置関係がわからないため主人公達がダナ世界のどこにいるのかが具体的にわからない。
その結果として、エリアとエリアの切り替え地点のような「描かれていない距離感」が把握しにくく世界の広さは感じにくくなってしまっているのは勿体ないポイントだろうか。

キャラクターのモデリングやアニメーションも気合が入っている。
崖際で立ち止まると覗き込むようなモーションとボイスが用意されていたり、水に濡れると肌や衣服が光が水で反射するようなテクスチャーになる。
能力値に影響しない見た目専用の装備も可能で、武器もそれぞれに見た目が異なるので好みのものがあれば活用すると良いだろう。

マイナス要素ではないが、フォトモードがないのは勿体ない。
美しいキャラクターモデルやフィールドがあるだけにフォトモードがあれば非常に嬉しかった。

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お馴染みのアニメパート

頻繁に使われる訳では無いが、度々ufotable制作によるアニメパートが挿入される。
筆者の所感としては「ストーリー」の項で述べた通りだが、改めてここで書くとするならばアニメパート自体のクオリティは非常に高い。
それだけにゲームとアニメの親和性をもっと高い次元で成立させて欲しかったと思ってしまう。

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アーティファクトはどこかで見覚えが…。

ゲーム中の収集要素の1つにアーティファクトというものがある。
このアーティファクトバンダイナムコ作品をモチーフとしたものとなっているので知っていれば「あ!これは!」となる事だろう。

 

サウンド

ビジュアルスタイルに相応しい荘厳なBGMが印象的だ。
地下水道などのダンジョンで流れる勇ましさのあるBGMが筆者のお気に入りだ。

テイルズ オブシリーズらしくボイス関連も非常に豊富で、戦闘中や戦闘後には掛け合い、移動中に発生する会話なども多い。
これらのボイスは「ストーリー」の項でも少しだけ記載したが、物語の進行と共にパーティーの関係性が向上していくと共に変化するのも協力関係の演出として嬉しい。
ボイス関連で特に筆者のお気に入りは中田譲治さんが演じるキャラクターだ。
そのキャラクターはテイルズ オブシリーズお馴染みの大技を使い、その技を発動する際には呪文の詠唱があるのだが、それを本作のハイライトの1つとしても過言ではないくらいのカッコよさがある。

 

総評

テイルズ オブ アライズはシリーズの新しい夜明けを見せた良作だ。

演出としていくつかの食い違いがある部分は気になる所だが、老若男女問わずに理解しやすいストーリーは評価に値する。
非常にテンポの良い戦闘は爽快感とやり応えが魅力的で、タイトに設計された回復も悪くない。
JRPGの代表として歴史あるテイルズ オブシリーズの新たな一歩として名を刻んだ一作だと言えるだろう。

 

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