【レビュー】FREDERICA

言葉は希望か、絶望か。

FREDERICAはマーベラスより発売されたローグライクハクスラ型のARPGタイトルである。
豪華な声優陣を起用しながらも言葉を失った世界を舞台にしているという事で非常に独特な世界観が印象的で、ルーンファクトリーシリーズと同じ世界での話でもあるとのことらしくプレイしてみようと思ったタイトルである。

今回はFREDERICAのレビューを行っていく。

 

FREDERICA(フレデリカ) -Switch

FREDERICA(フレデリカ) -Switch

  • 発売日:2023/9/28
  • メディア:Video Game

 

ストーリー

言葉を持たない戦士達

かつて王が過ちを犯し大穴へと逃げたと言われ、その際に世界から「言葉」を奪い去ってしまったという。
隠れた王を探し、王国に何があったのかを知るために魔物が住み着いている大穴へと言葉を持たない7人の戦士達が立ち上がるというのが物語の導入だ。

本作では豪華な声優陣が起用されているのだが、上記の通り「言葉」を喪失しているため特定の進行度に達するまで「エイ!」「やぁ!!」という掛け声だけになっている。
では物語はどのように語られるのかというと亡国の「姫」が代弁してくれる。
この姫はとにかく色々と喋ってくれる。
拠点で色々と作業をしている時はもちろん、立ち止まっている時やインベントリを開いている時にも話しかけてくれるのだ。
言葉を失っていることと対比するようにお喋りであり非常に印象的なデザインとなっている。
そしてプレイヤーが潜る事となるダンジョンでも進行度に応じた場所で過去の出来事を語ってくれており、それが本作の世界で何が起きたのかを知っていく手掛かりとなっていく。
そして、とあるポイントまで進行することができれば7人の戦士達も言葉を取り返す事になり普通に会話ができるようになる。

ストーリーは濃密なドラマが含まれているという訳ではないのだが、ゲームプレイにおける箸休めやフレーバーとしては十分に機能していると言ってもいいだろう。
言い方を変えればストーリーをメインに楽しもうと考えている場合にはミスマッチだ。

演出としてユニークな点を挙げておくとスタッフロールに相当する場面は記載しておきたい。
ネタバレとなるため余り詳細には記載しないが、本作のスタッフロールはそれまで行ってきた事を活用した遊び心が感じられるものとなっており好印象だ。

そして本作は一応、ルーンファクトリーシリーズと同じ世界観であるらしい。
物語として密接に関係するような内容が登場する訳ではないが、ルーンファクトリーと同じ敵が登場するなどファンにはほんの少しだけ嬉しいかも知れない。

気になるところがあるとすれば会話の自動送り設定が引き継がれない事だ。
会話のたびに自動送りを選択しなければならないのはやや不便に思える。

 

システム

面白さの基礎があるローグライクハクスラ

本作のゲームプレイは端的に表現すればランダム生成されるダンジョンの下層を目指していくローグライクな要素と、敵や宝箱からドロップされる武器・防具によってキャラクター強化を行うハクスラ要素のあるARPGとなっている。

ダンジョン攻略は7人の戦士達のうち1人を操作して攻略していく。
戦士達はそれぞれの個性があり、近接で単体火力の高いローグや攻撃範囲が広いウォリアー、遠距離からの攻撃が行えるアーチャーなどがいる。
これらの戦士達はダンジョン内のチェックポイントで入れ替える事も可能であるため、ダンジョン内は回復手段も乏しいことから深く潜る際には操作する戦士を切り替えながら進めていくのも攻略手段の1つだ。
特にダンジョン内の敵は弱点属性によってダメージが大きく上がるため、キャラクター毎に担当する属性を決めておく事も良いかも知れない。
また、キャラクターを切り替えることでバフを得られるため切り替えを積極的に行ってもいいだろう。
とはいえ、切り替えを行わなければ攻略不可能というレベルではないので、あくまでも選択肢の1つとなっている。

このダンジョン内ではキャラクターの装備は変更できず、またローグライクらしくダンジョン内で倒されてしまうと入手した戦利品も一部ロストしてしまう。
チェックポイントではダンジョンから戦利品を持って離脱することも可能なので火力不足などを感じたら無理せずに撤退することも大切だ。

ハクスラらしいサイクル的な育成

ダンジョン内に出現する敵との戦闘は攻撃と回避によって構成されている。
攻撃は回避によっていつでもキャンセルが可能であるため、後隙をキャンセルして安全に立ち回る事ができたりするなどアクション性はある程度のスピード感も出せるものとなっている。
7人の戦士達にはそれぞれレベルとスキルがあり、スキルに関しては再発動までクールタイムとなるリキャスト時間が必要だが非常に強力である。

ダンジョン内にいる敵を倒したり、オブジェクトを壊したり、あるいは宝箱から素材が手に入り新しい武器や防具が作れるような仕組みとなっている。
武器や防具にはランダムで効果が付与されており、攻撃力や攻撃速度がアップしたりする。中にはスキルのダメージが飛躍的に上昇して使い勝手が大きく向上するなど攻略の大きな手助けとなるだろう。
そのため、ダンジョン探索→キャラクター強化→更なるダンジョン探索というシンプルながら面白さを生み出しやすい構造となっている。

なお、敵にはコリジョンが設定されているためすり抜ける事はできず、囲まれてしまうとタコ殴りされてアッサリとやられてしまうので立ち回りには注意が必要だ。

7人も育成するのは厳しい

本作において困るのはキャラクターの育成コストになるだろう。
キャラクターは扱う武器がそれぞれ異なり、それぞれ素材を入手して生産しなくてはならない。
そうでなくとも未操作キャラクターはレベルは上がらず、攻略に必要なレベル帯にする手間もある。
それが7人もいるのは流石に育成コストが高く、現実的に考えるとやり込み要素の域を出ない。
もちろん全員使わなければいけないという事もないのだが、むしろ使いやすい数人だけを重点的に使う傾向が強くなってしまうのは勿体ない。

 

グラフィック

一定の水準がしっかりとあるビジュアル

全体はSDキャラクターによってデザインされている。
ディティールに色々とある訳ではないが、ダンジョンの背景は物語の内容ともリンクしておりそういった部分はしっかりと意図を持って作られている事が伝わる意味のあるものが作られている。

 

サウンド

本作の音声面で特筆するべきなのはボイスが様々な場所で活用されている点だろう。
「ストーリー」の項でも説明した通りだが、メニューやアイテムを閲覧している時にも声をかけてくれるなど様々なポイントでボイスが活用されている。

 

総評

FREDERICAはローグライクハクスラの基本を押さえたARPGだ。

RPGらしいキャラクター自身の蓄積されていく成長要素。
ハクスラらしい敵のドロップ品でどんどん強くなる即自的な成長要素。
それらによって面白さの基礎がしっかりある硬派な作風に仕上がっている。

また、インベントリを開いていても話しかけてくるお喋りな姫様は非常に印象的だ。

 

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