【レビュー】ウマ娘 プリティーダービー

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私の夢は

ウマ娘 プリティーダービーを制作するのは2010年代に群雄割拠したスマートフォンゲーム界で一大勢力へと台頭したCygames、そしてプロデューサーにはアイドルマスターシリーズを手掛けた石原章弘氏という大きな期待を背負う布陣だった(※石原氏は2019年に退任および退職)。
筆者としても石原氏がプロデュースするという事でかなりを期待を持っていたが、競馬関連の知識はと言うと有名な競走馬の名前を知っている程度で完全なニワカだ。

本作はかなり長期間の延期をしたタイトルとしても知られており、かくいう筆者もかなり待たされた。
2018年放送のアニメの放送した年にリリース予定であったと記憶しているので、2021年放送のアニメ第2シーズンに併せる形で配信されたという事はおよそ3年の延期である。
2021年の配信予告の際にはまた延期するのではないかとの不安もあったが、当初からは格段のグレードアップをした姿でリリースされた。

今回はウマ娘 プリティーダービーのレビューをしてみたい。
なお、本レビューはスマートフォン向けアプリとしてレビューを行う。
また、本記事はアップデートに並行して可能な限り加筆・修正を行っていきたいと考えているが、内容に齟齬が発生する可能性がある点はご了承いただきたい。

 

umamusume.jp

 

ストーリー

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歴史上で活躍した競走馬にフォーカスした物語

競馬にて起きた史実をベースとしたストーリーで、競走馬の経歴およびその競走馬に関わった人達の足跡を基に緻密な擬人化を行っており、そして物語として落とし込まれているのが本作の特徴だ。
落とし込み方をかなり大雑把にカテゴライズしようとすれば学園スポーツもの兼アイドルものだと言えるだろう。
参照できるストーリーは大まかに「メインストーリー」、キャラクター毎に用意された「ウマ娘ストーリー」、ゲームプレイパートで展開される「育成シナリオ」が存在する。
「メインストーリー」はゲームのアップデートと共に増えていくストーリーとなっており、各章でフィーチャーされるウマ娘が存在している。そしてフィーチャーされたウマ娘の基となった史実の競走馬や関係者の出来事を巧みに組み込んだ物語となっているのが特徴的だ。
ウマ娘ストーリー」は基本的には既に獲得済みのウマ娘のみが閲覧可能であるが、後述する「ガチャ」でピックアップされているウマ娘に関しては4話まで誰でも参照する事が可能となっている。各ウマ娘は4話分だけでも非常に魅力的に描かれており、観終えた頃にはそのウマ娘を育成したい気持ちにさせるような導線としても見事に成立している。
ゲームプレイパートで展開される「育成シナリオ」はベースラインには共通したシナリオがあるものの、各種テキストは育成するウマ娘専用のものとなっている。
また、史実をベースとしたシチュエーションのシナリオも用意されていたり、レースの勝敗によってテキスト差分があるなど細かい部分も作り込まれている。
その他にも、不定期に開催されるイベント専用のストーリーなどもあり、そちらも品質が非常に高い仕上がりだ。

「メインストーリー」や「ウマ娘ストーリー」では3Dアニメのようなカットシーンもあったり、1枚絵のイラストで魅せるなど演出面がリッチなシーンも多いが、基本的には3Dモデルを使用した紙芝居形式で展開される。
しかしながら、3Dモデルは非常に良く動き、会話していないウマ娘もしっかりとリアクションするため、紙芝居形式ながらも高品質な印象を受けるだろう。
ストーリーを追う上でもありがたいのは「メインストーリー」や「ウマ娘ストーリー」など、1話の次に2話といった形で立て続けにそのまま簡単に観れるようにデザインされておりストーリーを追いやすい作りにもなっている。
また時代も様々な競走馬をモチーフにしたウマ娘達は性格も様々であるため、シナリオの展開もバラエティーに富んでいる。
本作をプレイすれば、最初こそ競馬や競走馬に興味がなかったとしても「実際にはどういう馬だったのだろう」と知りたくなることは間違いない。

ゲームプレイ部分である育成シナリオには上述した通り全てのウマ娘で共通の汎用イベントも存在するのだが、そのテキストや選択肢のテキストはしっかりとキャラクター性にマッチするように書き分けられている見事な仕事だ。
また少し脱線した話題にはなるが、文脈に関係なく乱用される「その時、ふと閃いた」という魔法の言葉は一周回って愛着すら湧くだろう。

この育成シナリオはウマ娘毎に異なるマイルストーンが設定されており、それを達成する事で次に進めるような形式となっている。そして、達成が出来なかった場合には残念ながらそこで育成はそこで終了となってしまう。
この育成部分のストーリーも全体的にはリッチに出来ているのだが、目標が達成できず育成が途中で終了する事になってしまった場合にはそれ専用のテキストが用意されておらずストーリーがブツ切りのようになってしまっているのは勿体ないポイントだ。途中で育成を終える結果となったしても、もう少しソフトランディングになっていれば更にリッチになっていた事だろう。

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細かい部分でも世界観を表現している

細かい部分ではゲーム中には「馬」という文字が少し変更されて使用されている。
これは本作の世界に馬という生き物がおらず、その代わりにウマ娘がいるためだという。
そのため、馬という字も本作のフォントでは下部の点が2つだけで表現されており、ウマは二足歩行であるという事を示している。
世界観をしっかりと持たせる良い演出だ。

スマートフォンに表示される通知に関してもシステム的なメッセージではなく、しっかりとキャラクターのセリフとなって表現されている。
こちらもプレイヤーを興醒めさせないとても良い配慮だ。

また、細かい設定があえて曖昧なままにデザインされている点も世界設定の懐の深さに寄与しているように見受けられる。
ウマ娘達が通う中等部や高等部のある学園はあるがウマ娘が卒業したらどうなるのか、学園に通わないウマ娘達と普通の人間との関係性はどうなっているのか、中等部や高等部で分かれているが何年制なのかも不明で、先輩後輩の関係性が全体で成立するように考えると時空が歪んでいるようにすら感じられる。
また、そもそも本作の世界における歴史はどうなっているのかなどなど冷静に考えてみれば不明な事は多い。
このように曖昧な部分を残す事によって、世代が違ったり、血縁関係だったりと史実と本作とでは設定が異なるが故に発生しかねない違和感を見事にクッションできているように感じる。
そして何より現実では成しえなかった夢の共演を果たせているのはロマンと感慨深さを感じずにはいられないだろう。

 

システム

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どこかで見覚えのあるシステムを見事に落とし込んでいる

本作は実況パワフルプロ野球(以下、パワプロ)のサクセスライクな育成をする事でウマ娘を育てるナラティブ性のあるゲームプレイがメインコンテンツだ。
ウマ娘にはそれぞれ基本となる適性が設定されており、それをベースに後述するスキルや継承、サポートカードを駆使して短所を補ったり、長所を伸ばしたりする事になる。育成はウマ娘の個性に応じて行うのがキーポイントと言って良いだろう。
「ストーリー」の項でも少しだけ触れているが、育成のシナリオではウマ娘毎に異なる目標がマイルストーンとして設定されており、最大でゲーム内時間で3年間、ターン数にして約72ターンの期間で育成を行えるのだが、設定された目標を達成できなければそこで育成が終了してしまう。
特に戦力の整っていない始めたてのタイミングではウマ娘によっては育成を最後までやり遂げるだけでも1つの高いハードルがあるケースも多い。
初心者プレイヤーはまずは育成を最後まで出来るように戦力を整える事を目標にすると良いかも知れない。特にチュートリアルで来てくれるウマ娘達の中には育成しやすいウマ娘が含まれるようにデザインされているため、育成しやすいウマ娘で育成のノウハウを溜めていくと良いだろう。
逆に言えば始めたての初心者プレイヤーでもすぐに達成感や成果を得やすいようなコンテンツは不足しているため、そのつもりである程度は長い目でみてプレイする必要はあるだろう。

ウマ娘を育成する事で伸ばしていく基礎能力はスピード、スタミナ、パワー、根性、賢さの5つだ。
基本的にはスピードとスタミナが重要なのだが、その他のパラメーターが低いとレースでの勝利が安定しなかったりする。平たく言えば全てのパラメーターが重要と言っても差し支えない。
また、レース中に勝てなかった場合にスピード不足なのか、スタミナ不足なのか、それともその他のパラメーターの影響で本領を発揮できなかったのか。
その辺りの詳しい情報が明確な数値ではわからないため、ウマ娘のレース時の挙動をしっかりと把握する事も重要だ。
この辺りは「あえて」数値を表示しない事で曖昧にしてウマ娘である彼女達がシステム的な存在ではない事を、そして二人三脚で歩んでいる事を表現したいのかも知れない。
なお、一応はレースで勝てない時にアドバイスは貰えるのだが、それが適切なアドバイスなのかは疑問が残る所だ。

これらの基礎能力を育成で重視する度合いはウマ娘の適正によっても変化してくる。
先行逃げ切りタイプや最後にごぼう抜きするタイプ、短距離向きのウマ娘もいれば長距離向きのウマ娘もいる。
それらによってもどのステータスをどれくらい伸ばすべきかは変化するので、育成の参考にすると良いだろう。

「スキル」はパワプロで例えてしまうと「特殊能力」に相当するようなもので、特定の条件の場合に発動する。
スキルの発動は条件が整っていれば必ず発動するようなものではなく、基礎能力である賢さが影響しており、この能力値が低いとせっかく覚えたスキルも実戦でなかなか発動しないため注意が必要だ。
習得するスキルに関しても育成しているウマ娘の特徴を捉えて上手く合致するスキルを優先的に取得するのが好ましい。

「サポートカード」は育成開始時に決める事になる育成中のイベントに関連したりするなど育成を強力に補助してくる要素だ。サポートカードは後述する「ガチャ」で主に入手できる。
育成開始時には6枚のサポートカードを選択する事になり、選択したカードのキャラクターが育成を補助してくれるような形となる。
育成中にサポートカードとして設定したキャラクターと絆を深めると「友情トレーニング」が発生して育成効率が更に上昇する仕組みなのだが、これもパワプロのサクセスに類似のシステムがあるため、そちらを想像するとわかりやすい方もいるかも知れない。
サポートカードには基本的には得意なトレーニングが設定されており、育成したいウマ娘との相性を考えて、どのサポートカードを選出するのかを決める必要がある。

実際に育成が始まると上図の真ん中のような形でどの能力を鍛えるのかを選択しながら進行していく事になる。
育成では1ターンを消費して、トレーニングなど何か1つの行動を選択するような形で進行する。
ウマ娘には体力が設定されており、体力が低い状態でトレーニングを行うと失敗してしまう可能性が高まる。そんな時には休養で1ターン消費して体力を回復するのが好ましい。
この辺りの駆け引きもパワプロのサクセスと同様の構造だが、例え失敗してしまったとしてもパワプロのように致命的な結果になる事はないため、その点は安心して良いだろう。
と言っても、トレーニングの失敗は貴重な1ターン無駄にしてしまっている事には変わりないため、トレーニングの成功率を確認しつつ、無理をせずに育成するように心掛けよう。

ウマ娘達の育成の成果が発揮されるのは「レース」だ。
このレースはゲームプレイとして何かを要求される事は全くないのが特徴だ。
スマホゲームが飽和した2020年前後には既に「自動周回」や「放置ゲー」と言われるようなゲームプレイを伴わないスタイルがフィーチャーされる事も多かったが、本作は「放置する事をゲーム体験として落とし込んでいる」のは素晴らしい。
レースが始まるとプレイヤーは応援するしかない。
つまり、自分とウマ娘が共に行ってきた育成の成果を見守るという体験をプレイヤーに与えているのだ。ウマ娘に対して親心を芽生えさせてくれるような体験だと言えるだろう。
これは操作するだけがゲームプレイや体験では無い事を教えてくれる好例だ。

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育成とレースの短いサイクル、継承による長いサイクル

この「育成とレース(成果)」のサイクルは非常にテンポ良く進める事ができる。
育成してウマ娘の能力を高くし、レースで走らせると、「もっと上を目指すぞ」「この能力値が課題だな…」などと思ってしまい、ついつい時間を忘れて次の育成へと手が伸びてしまう中毒性がある。
育成とその成果を確認するレースの一連のサイクルこそ本作において比較的短いスパンで回転する醍醐味の1つだ。

そして「継承」という要素が更に1つ外側のサイクルを生み出している。
このシステムもパワプロのサクセスにも近い概念があったものだが、ウマ娘の育成を開始するタイミングで育成完了済みのウマ娘を選択し、その力を借りて能力や適性などに好影響を発揮する要素となっている。
この手の競走馬には血統が重視される側面もあるため、それを踏襲した要素としても観る事ができる非常に腑に落ちるシステムでもある。
この継承というシステムはウマ娘の育成完了までを1タスクとしているため「育成とレース(成果)」と比較すると比較的長いスパンで回転するサイクルとなっている。
育成完了済みのウマ娘によって別の新しいウマ娘を育成しやすくして、そのウマ娘が更に別のウマ娘を強くしていく…といったような、徐々に強いウマ娘が育成できるようになっていく本作のもう1つのキモとも言えるサイクルとなっている。

これらの構造をまとめたのが上図だ。
育成とレースという短いスパンを積み重ねて育成を完了させ、継承によって別のウマ娘をより強く育てる。
そのウマ娘を再び育成していき、完了すればまた継承によって更に別のウマ娘をより強く育て…と言った相乗効果のあるスパイラルが形成され、より持続性のあるゲーム体験へと繋がっているのだ。

多くの点でパワプロのサクセスと類似した要素やイベントがあるのだが、パワプロほど極端な成果が出るランダムイベントは余り多くない。
特にスキルに関しては”スキルを獲得できる権利”は得られるが、いきなりスキルを獲得できるようなイベントはない。
そのため、継承やサポートカードなど育成開始時に行った選択の時点で、どこまで育成できるかが大まかには決まってしまうと言っても良いだろう。
開始時点でどのような方針で育成するかを決めておくのが非常に大切だ。

なお、育成がメインであるため関連する要素が色々とあり、ちゃんとプレイできるのか不安に思う方もいるかも知れない。
しかし、全体的なチュートリアルもしっかりしているため、ある程度のゲームプレイシーケンスを捉える事は出来るため問題ないだろう。
継承やサポートカードなど、自分で工夫する必要がある場面もあるが、その辺りは最悪でも「おまかせ」で自動設定する事も可能だ。

本作のシステム面で改善して欲しい部分があるとすれば「継承因子の仕様」だろう。
継承は上述した通り、育成が完了したウマ娘の能力を引き継ぐようなシステムになっているのだが、どのような能力を引き継がせる事ができるかは育成完了時にランダムで決定される「因子」による所が大きい。
このランダム性がかなり厳しいものがあるのだ。
簡潔に書くと因子は育成完了時のウマ娘の能力が高ければ良い因子になる”可能性”が生まれる。そう。可能性が生まれるだけなのだ。
その上、因子としては良いものだったとしても、それが欲しかった因子であるかはまた別問題である。
そのため、何回プレイしても一向に因子に恵まれない、欲しい因子が来ないという事は非常に多い。
と言うよりも、理想の因子が来るまでの道のりは果てしなく長いものを覚悟した方が良いだろう。
良い因子を引き当てられないと育成もある程度の水準で頭打ちとなってしまい、プレイヤーとしても同じような育成が続いてしまう事によってより良い育成が出来ているという実感が得られにくくなる。
もちろん、ランダム性を完全に排除してしまうとエンドコンテンツとして問題が生じてくるが、継承する因子の方向性なりをある程度だけ絞り込めるなどしても良かったように思えるのだ。
この辺りの仕組みはもう少しだけ検討して欲しい所だ。

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育成中に発生するミニゲーム

少々細かい部分だが育成中には上図のようなクレーンゲームと言うミニゲームが発生する場合もある。
本編部分以外にも本来ならば無くても問題ないハズのこういった部分の作り込みまで行っているのは見事と言う他ない。

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育成以外のエンドコンテンツには課題あり

育成済みのウマ娘は前述した「継承」の他にもチームで走るレースに参加させる事が出来る。
チーム競技のレースは簡単に書けば育成済みのウマ娘達で競うレーティングバトルだ。
他プレイヤーのウマ娘チームとレースを行ってハイスコアを狙うようなものとなっている。

育成済みのウマ娘でレースを行うためエンドコンテンツのように思われるかも知れないが、このコンテンツをエンドコンテンツと考えた場合には物足りない側面が強い。
なぜならプレイヤーがレースに対して介入できる要素がほとんど何も無いためだ。
育成時には育成とその成果を確認するサイクルが成り立ったが、このチームレースでは追加で育成できるような事は無い。
そのため、プレイヤーが出来る事と言えば消費アイテムを使ってウマ娘の調子を上げたり、天候操作をしたりするくらいになってしまう。
チーム競技レースには階級に応じたリワードが用意されているため「育成時にチーム競技レースに強いウマ娘を作る」という動機にはなるかも知れないが、このコンテンツ自体がプレイしていて楽しいものになっている訳ではないのである。
あくまでも育成済みのウマ娘を活躍させられる”オマケ”の場が用意されている、そして育成の目標を提供してくれているのだと認識した方が良いだろう。

将来的にUGC的な要素と組み合わせ、育成したウマ娘達による掛け算の楽しさが生み出されるエンドコンテンツなど、育成済みのウマ娘が真の意味で活躍し、それ自体にやりがいのある楽しいコンテンツが生み出される事に期待したい所だ。

 

ウイニングライブ

高品質な3Dライブ

レースに勝利するとウイニングランならぬ「ウイニングライブ」というものが用意されている。
上位3名がメインで歌って踊り、1位となったウマ娘がセンターの座を勝ち取る事となる。大切に育てたウマ娘がセンターで輝くその姿には感動を覚えるハズだ。
楽曲は基本的には最初から解禁はされておらず、該当するレースで結果を残していく事で解禁されていくものも多い。
解禁された楽曲に関してはホーム画面から好きなタイミングで、好きなウマ娘で観る事が出来るようになる。

 

エキシビジョン

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自由に自チーム、他プレイヤーと練習ができるエキシビジョン

アップデートにてエキシビジョンという機能が追加された。
これは出走レース、出走条件などを決めて自分が育成したウマ娘、あるいは他プレイヤーのウマ娘とレースができる機能だ。 

ウマ娘には確認できないマスクデータも多数存在するようで、どのように育成すればより強いウマ娘になるのかを研究する手段が暗中模索になりがちだ。
それをもう少し研究しやすくする環境として利用できるのがこの「練習」だ。
自分が育て上げたウマ娘達を編成して、好きなレース条件にて出走させる事が出来る。
強いウマ娘を育成するための研究をするために利用する事も可能だろう。

ルームマッチは他プレイヤーが育成したウマ娘達とレースをする事が出来る。
YouTubeなどでのゲームのライブ配信が前提となっている現代では一緒に盛り上がったり、配信者同士の対戦が行えたりと「配信映え」しやすい要素としても活用できるのも時代に即している。

 

ガチャ

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ガチャ課金形式のオーソドックスなマネタイズ

マネタイズ手法はガチャ課金(ルートボックス)形式のオーソドックスなものだ。
ウマ娘を入手できるガチャとサポートカードを入手できるガチャの2種類が存在する。

入手したウマ娘は育成する事ができるようになるため、興味があるウマ娘がピックアップされているならば狙ってみると良いだろう。
同じウマ娘が排出された場合には端的に書くと育成が有利になるアイテムが貰えるが、一度入手したウマ娘は何度も育成を行えるので、とりあえずは1度引ければ御の字だろう。

サポートカードは前述しているが育成する際に非常に重要だ。
こちらは育成を安定させたいならば多く引いておきたい所だろう。
既に獲得済みのカードを入手した場合には重ねる事が可能だ。重ねる事でこちらも育成をより有利にできる。

本作にはいわゆる「天井」も用意されており、その天井は気持ち低めの設定にはなっている。
しかし、ウマ娘ガチャとサポートカードガチャのそれぞれに天井が設定されており、また両方のガチャはどちらもとても重要であるため、天井が比較的低めだから良心的かというとそれはまた別問題だろう。
とはいえ、本作はPay to Winのようなガチャ至上主義の作品ではなく、無課金や微課金のプレイヤーであっても本作の楽しさを十分に体験できるハズだ。

 

グラフィック

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細かな表情の変化まで表現している

本作はスマホゲームにおいてはハイクオリティなキャラクターモデリングが印象的だ。
モーションキャプチャーによって作られた3Dモデルのアニメーションも絵柄と良くマッチした動きになっており、それでいてキャラクターの表情の変化はアニメらしいデフォルメされたものとなっている。
全員が全く異なるという訳では無いが、各キャラクター毎に走るモーションが微妙に異なるなどの個性も感じられる。
これらによって各キャラクターが非常に活き活きとして動き、本質的な品質の高さを感じさせる。
細かい部分では雨の日のレースでは服に濡れたようなテクスチャーになるなどの変化も見られる。

なお、レースで走る事になる競馬場のモデリングは細部に確認するとやや粗い。
しかし、それが目立たないようにカメラワークやブラーエフェクトによってディティールに視線がいかないように工夫がされており、背景の粗さは全く気にならないと言って良いだろう。

レース中のカメラワークも秀逸だ。
カメラはマニュアルで操作するような形ではなく、展開に応じて自動で切り替わるようなものとなっている。正面から捉えたり、表情が見える程度の側面から捉えたり、アオリ気味に映すようなカメラワークの演出など迫力満点だ。
カメラはレース展開を中心に映すカメラと自身のウマ娘を映すカメラの2種類をシームレスに切り替える事が可能となっている。
願わくば実際の競馬の現地観戦と同じ視点での鑑賞が追加されれば嬉しい限りだ。

レースでは縦画面が基本となるが、アップデートにより横画面でのレースにも対応した。
縦画面では迫力のある演出と共に観戦する事が可能で、横画面ではレース全体を見渡す事が出来るようになっておりテレビなどでの競馬中継に近い感覚になっている。
ただしどちらも一長一短で、前者は特定のウマ娘にフィーチャーして観戦するため演出はリッチだがレース展開はややわかりにくい。
後者に関してはレース全体を俯瞰して確認可能であるため試合展開を把握できる反面、演出面が少々弱い。
状況などに応じて使い分けるのが良いだろう。

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美しい3Dライブ

「システム」の「ウイニングライブ」の項でも前述しているが3Dライブパートは高品質で、キャラクターのモデリングが高品質なだけでなく、カメラワークやシーンの切り替え方、ライティング、各キャラクター達がそれぞれのダンスを踊り、同じ振り付けであっても微妙なズレがあるなどの表現もあるなどリッチだ。
更にライブの後半にはウマ娘が汗をかいているなどの細かい表現も見受けられるなど演出も素晴らしい。

 

サウンド

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3Dライブと言うご褒美

「ストーリー」の項で記載している「メインストーリー」および「ウマ娘ストーリー」はフルボイスとなっているほか、3Dライブシーンでは歌も挿入される。
歌に関してはポジションによる歌い分けも最初から実装されているため、推しが見つかったプレイヤーには非常に嬉しい要素だろう。楽曲面も王道アイドルなものやカッコいいロックなものなどなどが実装されている。
筆者の好きな楽曲の一部を紹介させて欲しい。

何度も空気感の変わるゲーム内では1度だけしか観られない「GIRLS' LEGEND U」

元気溢れる王道なアイドルソング「Make debut!」

戦闘ものアニメが始まりそうな熱さのある「NEXT FRONTIER」

キラキラとした中にやすらぎのある「ENDLESS DREAM!!」

電波ソングの皮をかぶった感動曲「うまぴょい伝説」

脳内を強烈に汚染し、キャラクターの個性も強く感じられる「トレセン音頭」

アニメ2期のメイン曲でもある「ユメヲカケル」

口ずさみたくなる「DRAMATIC JOURNEY」

楽曲自体も映像演出も激しさとかっこよさのある「Ms. VICTORIA」

これらの楽曲はアイドルマスターシリーズが好きならば一度は目にした事のある作詞・作曲者が手掛けている点も感慨深い。

作中のBGMに関してはアニメと共通のものも使用されているため、アニメを観ていた人にとっては嬉しいポイントだ。
また、レース中に流れるBGMは、最終直線で変化したり、ゴールのタイミングに合わせてしっかりと終わるように設計されていたりするようで、インタラクティブミュージック的な活用も見受けられる。
筆者がお気に入りのBGMも紹介したい。

煌びやかな雰囲気を持つ「重賞パドック

ストリングスの旋律が大一番の緊迫感を感じさせる「日本ダービー 有馬記念 URA決勝」

 

総評

ウマ娘 プリティーダービーの育成システムや3Dライブなど、どれも本作が確立したものではないのだが、枯れた技術の水平思考的な取捨選択によって磨き上げられ高い品質を獲得した結果、唯一抜きん出て並ぶもののない新たなるスタンダードへと踏み入っている。

その中でも特に巧みに作り上げられたストーリーやリプレイ性の高い育成などは最高だ。
競走馬の史実をベースとしたストーリーやキャラクター設定によって知的好奇心がくすぐられ、その品質の高さも相俟って開発者側の執念や情熱を感じる仕上がりだ。
そして、ゲームプレイヤーと競馬を、そして競馬ファンとゲームを繋ぐ架け橋となっている点も素晴らしい。

 

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