
ポケモン レジェンズ Z-A(以下、ポケモンZA)はポケモン レジェンズシリーズの第二作目となる作品である。
前作ポケモン レジェンズ アルセウスでは、本編シリーズとは様々な点で異なる体験を実現した事で人気を博し、「この一作で終わるには惜しい」と感じていたユーザーも少なくなかっただろう。
それがポケモン レジェンズシリーズとして継続し、最新作として発表されたのが本作だ。
前作では本編において余り具体的な描写が描き切れていなかった伝説ポケモンのアルセウスを中心にしており、本作ポケモンZAにおいても同様の傾向があったジガルデがフィーチャーされている事に筆者は注目していたことを記憶している。
Pokémon LEGENDS Z-A(ポケモン レジェンズ ゼットエー) -Switch
- 発売日:2025/10/16
- メディア:Video Game
Pokémon LEGENDS Z-A Nintendo Switch 2 Edition(ポケモン レジェンズ ゼットエー) -Switch2
- 発売日:2025/10/16
- メディア:Video Game
ストーリー

カロス地方のミアレシティでは人とポケモンの共存を目指しワイルドエリアと言われる区画が設けられるという都市計画の施策が実行されていた。
しかし、どうやらミアレシティでは何らかの問題を抱えているようであり、それを解決するためにメガシンカを巧みに使えるトレーナーを探しているようである。
それはそれとして主人公はこのミアレシティに観光に来たのだが、観光客の荷物を狙った犯罪に巻き込まれ、それを解決してくれたガイという青年の勧めでエムゼット団というチームに所属してミアレシティで開催されているZAロワイヤルというランク制のポケモンバトル大会に参加することになる。
そこからミアレシティの人々と交流していく事になり、ミアレシティが抱える問題にも直面する事になっていく。
本作では人と人、人とポケモン(自然)の共存をテーマとして描かれている。
公にしていないミアレシティの問題が根幹の理由としてあるものの、街中にポケモンが生活できる環境を設けいく施策を展開している状態である。
しかし、この施策に関しては疑問を持つ人も少なくいようで、反対派のデモ集団が抗議をしている姿も登場する。
これらは動物が人里に降りてきてしまい人的にも物的にも被害が及んでしまう近年より顕著になっている問題を想起させる題材であるが、何よりもこれは1つの街の中に多様な価値観の人が暮らしている事を意味しており、その誰もが地元の街の事を想っているが故の行動であるのだ。
これは現代の国や地域の縮図でもあり、近年では思想が両極化している事が指摘されているが、それらも根源的な目的は同一ながらそこに至るまでに描いている道程が異なるに過ぎない事が大半である。
本作ではそういった出身も職業も立場も考え方も異なる人達を垣間見て、問題解決に向けて力を合わせていく事になる。
特に本編シリーズにおけるジムリーダー的なボス的立ち位置となるキャラクター達も登場するのだが、それらと比較すると定期的に登場する頻度が多くなっており出会った人々の人間性が理解できるようにも作られているのだ。
人々がミアレシティでどのように生まれ、どのように生きていて、どのように最期を迎えようとして、どのように命を繋げていくのかを感じることが出来るだろう。
シリーズファンにとっては本作ではポケットモンスターXYから数年後を舞台としているため見知った人物の成長した姿が見られる嬉しいポイントとなるハズだ。
もちろん、XY世代では語り切れなかったジガルデに大きくスポットライトが当たっている事も注目されるポイントである。
加えて、XY以外のシリーズの人物・地域の話も関連性を持って明確に出てくるためファンサービスも非常に盛りだくさんである。
致命的なものではないがストーリー関連で少し気になるとすれば移動中に発生する会話である。
メインストーリーの一部では移動中にテキストによる会話が発生するのだが、ボイスが存在しない事から内容を確認するためには文章を読む必要が出てきてしまう。
しかし、移動しながら文章を読むという行為はやりにくく、文章を読むために足を止めてしまっては本末転倒である。
繰り返すがこれは全体の一部に差し込まれるものであり、なおかつ読んでいなかったとしても大きな問題になる事はないものではあるが、作りとしては勿体ない部分ではあるだろう。



メインストーリー部分だけでも様々な価値観の人と交流するのだが、サブクエストでは更に個性的な様々な人々と出会う事になる。
サブクエストでは必須ではないテクニックに関してのチュートリアルを担っているケースもあるが、ポケモン世界におけるポケモンと人との関係性の解像度を上げるような内容が盛り込まれている。
例えば、ポケモン関連の悩みを聞いたり、あるいはポケモン自身の悩みを解決してあげたり、人の生活の中に生きるポケモンを感じさせるような内容になっており、ポケモン世界の解像度が上がるようなものも少なくないのは魅力的だ。

ここではネタバレを含むため気になる人は「システム」の項まで読み飛ばすことを推奨する。
本作では社会問題に踏み込んだ内容として事件を起こした組織の家族、いわゆる「二世」の問題をも取り扱っている。
特に日本においては2022年に宗教二世の問題が大きく取り上げられた事件が起きたため、記憶している人はかなり多いだろう。
大きな事件を引き起こした事は確かに許し難いことではあるが、直接的にも間接的にも関係のない親族などが大きな生きづらさを抱える社会生活というのは想像に難くない…いや想像に余りある程だろう。
そういった問題に一夜にして解決できる現実解がある訳ではなく、本作でも決して全てが解決したような姿が描かれない事によってプレイヤーに対して問題提起として「こういった人々も生きている」ことを伝えているだろうし、実際にそのような立場で生きている人にとっての勇気づけとなる事を願っているのだろう。
システム

ポケモンZAの戦闘システムはリアルタイムコマンドバトル方式に変化している。
前作も本編シリーズとは異なるシステムが採用されていたが、そこから更に大きく変化している。
共通している要素としてはポケモンには「タイプ」があり、そのタイプによって相性に違いがあるという点と、技は最大4つまで覚えることが出来るという点になるだろう。
逆に言えばそれ以外の部分はほとんど異なる仕組みになっている。
まず、戦闘はリアルタイムになっており、相手ポケモンをロックオンする事で自分のポケモンに技のコマンドを選択して指示を出すことが出来るという仕組みとなっている。
ターンを待たずに技を発動させることは可能だが、その代わりに各種技を使うと技のリキャスト(クールタイム)が発生するようになっている。
リキャスト自体は技単位で発生するので「技Aのリキャスト中に技Bを使う」といった運用方法が基本となっていくだろう。
また、技にはそれぞれ特性がある。
例えば、「みずでっぽう」や「かえんほうしゃ」のような直線状に攻撃するような技の場合には目の前に岩などの遮蔽物があると当たらない。
そのため、そのような地形がある場合にはポケモンの位置取りにも注意して技を使う必要が出てくる。
ポケモンはプレイヤーが動くことで一緒に移動してくれるため、それを利用して位置調整をすることになる。
つまり、これは「技には攻撃範囲がある」という事でもある。
技によっては広範囲にダメージ判定があるものもあり、複数のポケモンとの乱戦になった場合に多く巻き込むようなことも可能だ。
逆に技の範囲がある事を利用して相手の攻撃をスカす事も無理ではない。
「ふきとばし」のような技では相手の位置を大きくノックバックさせる効果があるため、特に近くに寄ってきた相手を吹き飛ばして攻撃をスカしてチャンスを作れるのだ。
それ以外でも「そらをとぶ」や「あなをほる」「ドラゴンダイブ」などのその場から消えるような攻撃手段も存在するので、それらを駆使すれば攻撃をスカしながら攻撃する事が可能だ。
技において気を付けたいのは仕様はまだあり、発動位置や発動モーションがある点である。
近接技であれば相手に近寄って攻撃をする必要があるし、技によっても発生が早い/遅いが異なる。
例えば、本編シリーズでは先制技として広く活用される「でんこうせっか」は発生となる発動時間が非常に速い技として設定されている。
そのため、他の攻撃でダメージを与えた後に「でんこうせっか」を追い打ちとして選択すれば半ば連続攻撃のようにダメージを与えやすいといった使う順序の工夫も可能だ。
このように技自体の特性はもちろんだが、攻撃モーションや攻撃位置の差異も考慮して攻略できるアクション性が取り入れられているのは新しい試みだろう。

しかし、こういった技の攻撃範囲や発動時間等の技自体の特性を活用した立ち回りは機能しきれていないのが実態だろう。
例えば、前述した「ふきとばし」や「そらをとぶ」にしても確かにそのような効果はあるものの、現実的にスカす事を狙ってできるようなレベルなのかというとそれはハードルが高い。
何故なら「ふきとばし」や「そらをとぶ」といった技自体の発動時間…いわゆる「発生」があるうえに、それは相手の攻撃の発生時間との兼ね合いにもなるため、自分と相手の攻撃タイミングが重なりあうことで初めてスカしが成立するため偶発性が高いものであるのだ。
イメージしやすいような例としては、こちらの技の発生の前に相手の攻撃が発生してしまうケースや、こちらの技が発動し終わった時に相手の攻撃が発生するケースもあるという状況であり、相手の技構成を知っていたとしても「狙って出来る」という意味での確実性は低いだろう。
そのうえ、ポケモン自体の素早さのステータスによって技の発生やリキャストにも極僅かに影響があるため狙ってタイミングを合わせることは困難だ。
そのため、本気で相手の技を本気で無力化することを狙うならば「まもる」「みきり」などの確実性の高い選択肢の方が好ましいのだろうが、それでも実態としては「そらをとぶ」や「ドラゴンダイブ」などのその場から消えつつ、相手の技を無力化する可能性がある攻撃手段を乱発する方が有利である。
何故なら「狙って行うのは困難でも無力化できる可能性がある技を高頻度で繰り出した方が一方的に攻撃できる確率が高まる」という統計的な期待値が理由である。
このような「無敵技」や相手位置変更技、突進技等々の技それぞれの個性となる特性において問題となるのは結局のところ「狙って出来る訳ではない」という点に帰結するといって良いだろう。
「技の特性が機能する事をお祈りして適当に技を振っているだけ」であり、別の言い方をすれば勝った or 負けたのが「自分が上手い/下手だったから」なのか「相手が上手い/ミスだった」のかというどこまで実力でどこまで運なのかが判断できないため、プレイヤーのスキルによって相手を倒せたという実感が薄く効力感に欠けているのだ。
また、「そらをとぶ」「あなをほる」「ドラゴンダイブ」などの無敵技の有用性を高めてしまっているのが「その場に相手がいないと行動自体を選択できない」という点となる。
行動は相手をロックオンすることで初めて選択可能になるのだが、その場から消えてしまう「そらをとぶ」のような技の場合では相手が飛んでから後手で出来る事が何もなくなってしまう。
そのため「まもる」のような相手の攻撃を完全防御できる手段を持っていたとしても相手が消えてしまっては選択できない訳である。
この辺りは相手がいなくても指示が出せるような仕組みにしておくべきだっただろう。
総合的には新しい試みによってポケモンシリーズとしては新しい面白さが生み出されている事は間違いないが、全体を通してプレイヤーが効力感を実感できるようなバランスは不足気味である。
もう少し言い換えればポケモンに非同期的でアクション性のあるコマンドバトルを導入するにあたって、今までのポケモンバトルにおける技イメージを本作に落とし込んだに過ぎず、本作のメカニクス用には調整がしきれていない状況であり将来性は感じさせてくれるがまだまだ各要素が整理しきれていない粗削りな印象なのだ。
これには本編シリーズと同様に弱点タイプの攻撃ならば1~2発で倒せてしまうというのも立ち回りが上手くいったのかを実感しにくくしている要因として作用してしまっているだろう。
ただし、「とりあえず技を出したら何かが起きる」という歪なバランスも評価するべき忘れてはいけない視点として「プレイヤーがスキルが如実に反映される高度なメカニクスではゲーム自体の難易度が上昇してしまう可能性も高まる」という事である。
本作のメカニクスで駆け引きが高まる事は要求される知識量とアクション性(瞬発力と判断力)が強まる事でもあるため、そうなってくるとポケモンシリーズがターゲットにしている老若男女の幅広い層が理解して楽しむレベルにするのは制作の難易度が非常に高くなるハズである。
そのため誰にでもとりあえず遊べる形として、今のような「ボタンが押せて偉い」というバランスに着地したという側面もあるだろう。


ポケモンZAが舞台とするミアレシティでは昼と夜が時間と共に切り替わるが、昼と夜はそれぞれで役割が異なっている。
特にその役割を決定づけているのは夜であり、夜にはZAロワイアルというトレーナーとのバトルが開催される。
このバトルをすることで昇格戦に挑戦できるようになったり、お金を貰えたりできる仕組みになっている。
そのため、夜間には基本的にはZAロワイアルに勤しむことになり、新しいポケモンを捕まえたり、サブクエストをこなしたりといった事は昼間にやる事になるのだ。
なお、これらはあくまでも推奨されているだけであり、夜にポケモンを捕まえたり、サブクエストが進行できないという意味ではない事は留意されたい。
このように昼と夜で明確にやるべき事が分離されているのはわかりやすい遊びやすさに繋がっている。
ZAロワイアルの仕組みで気になるところとしては変化に乏しい点である。
ZAロワイアルは繰り返し挑戦する事になるゲームの根幹になる遊びになるのだが、ゲーム序盤と終盤で異なるのは昇格戦の挑戦権を得られるまでのポイント量程度であり根本的な仕組みには変化がない。
この辺りにはもう少しダイナミックなランダムイベントがあっても良かったハズだ。
例えば、レイドボス的なイベントが発生する事があったり、チーム戦になるイベントが発生する事があったりと、繰り返しに耐えうるスパイスは少しだけでも取り入れて良かったハズである。

ミアレシティにはいくらかの探索要素も設けられている。
フィールド上にはアイテムが落ちているため、見つけた時にはついつい寄り道してしまうような作りである。
中には3Dプラットフォーマー的な遊びも設けられている。プレイヤーの基本機能を活用して攻略できるようになっているやや強引な作りのプラットフォーマーではあるが、リワードとして重要なアイテムがゲットできるため見つけた際には攻略しておきたいものでもある。
また、ランダムポップするアイテムに関しては通過するだけで入手できるようになっているため、ボタンを押して誤ってNPCなどにインタラクトしてしまうという事態を避けている。
特に本作ではミアレシティという街が舞台であるため、常に様々な場所に人がいることが前提である土地であるため良い配慮である。
ただし、これらの探索要素は導線がやや弱いのは気になるところである。
道中で拾うランダムポップのアイテムはまだしも、3Dプラットフォーマー的な場所で入手できるより重要度の高いアイテムなどが遠い距離から確認する事ができず、ある程度の距離まで近寄らなければそこにアイテムがある事がわからない。
そのため、例えば高所の建物の上に登った際に「あ!あそこに良いアイテムがある」といったようなプレイヤーを惹きつける誘導が効かず、歩き回っている時に偶然に見つけるような場当たり的な状況になりやすい作りになってしまっているのだ。
せっかく探索要素を作るのであれば、そこに至るまでの導線を設けることでプレイヤーが道中で継続的に興味を持てる構造が生み出せたハズである。
もう一点、フィールド周りの仕様で気になるのはマップには記載されない機能がある点だ。
具体的な内容はネタバレとなるため伏せるが、特定のアイテムを購入できる出店のようなものであったり、サブクエストなどをクリアすることで何らかの固有機能を持ったNPCがアンロックされたりするのだが、それらがマップ上に記載されないのだ。
そのため、「アレどこにあったかなぁ…」と思うと自分で調べる必要が出てきてしまう。
何よりもマップ上に記載しない合理的な理由自体も考えにくく、何故このように不便なのかは疑問に思うところである。

このように多くの新しい試みを導入した本作であるが、何よりもプレイしていて勿体なく感じてしまうポイントはシームレスさを徹底しきれておらず要所でゲームの手を止めてしまうタイミングが訪れる事である。
例えば、夜になれば上の画像のようにZAロワイアル開幕の案内演出が挿入され、朝になるとZAロワイアルが終了して最終収入報告の演出が挿入される。
このタイミングでは毎回強制的に演出画面へと切り替わってしまうため、何らかの作業をしていた場合にゲームの操作が一時的に停止してしまうのは煩わしいと感じるだろう。
ZAロワイアルは街中にバトルゾーンと言われる専用区画がランダムに設けられる作りであるが、これも工夫すれば演出画面の挿入なしにシームレスに導入させることは十分可能だったハズである。
また、些細なものではありながらももっと頻度が高く操作が止まってしまう瞬間としてはポケモンの出し入れだ。
走りながらポケモンを出したり戻したりする事ができず、実行する旅に毎回立ち止まってしまうのである。
これで操作が止まる1回辺りの時間は確かに僅かな時間ではあるものの、この操作は非常に数多くアクセスする事になるためこちらも煩わしさを感じるだろう。
M次元ラッシュ

M次元ラッシュはポケモンZAのDLCだ。
配信前の時点から新しいメガシンカがこのDLCで確認されており、どれくらい未知のメガシンカが登場するのか注目されていた。
ストーリー

まず前提としてこのDLCのストーリーは本編クリア後を描いており、ミアレシティに新たに発生した問題を仲間達を解決するような物語だ。
本編クリア後、あちこちに生まれた異次元の歪みの空間ではミアレシティ付近では本来は生息していないハズのポケモンが確認されるようになった。
異次元に生息したポケモンがミアレシティに来てしまう可能性もあり、発生した異次元をアンシュとフーパ、そしてコルニと協力して調査する事になるのがDLCのストーリーだ。
DLCのストーリーは新しいキャラクターが介入するのは魅力があるが物語としてはやや単調と言わざるを得ない。
何故そのように感じてしまうのかというと、物語を進行させても進行させても「原因を探るためには情報が足りない。また異次元を調査してくれ。」と言われ続けてしまう事が最大の要因だと言えるだろう。
つまり、物語的な変化に乏しいためにプレイヤーが感じる効力感が薄く、作業感だけが残る仕上がりになってしまっているのだ。
確かに新たに登場するアンシュやコルニと言ったキャラクターには魅力があるものの、特にコルニにはそれを活かしきれるだけの背景やシチュエーションを描き切れていない点も素材を活かしきれていないように感じられるだろう。
なお、DLCではサブクエスト関連も多数追加されている。
本編で出会ったNPCと関連するサブクエストもあるなど、こちらは比較的バラエティー豊かに作られている。
システム


DLCであるM次元ラッシュでは本編では登場しなかったポケモンがゲットできるようになることに加えて、完全新規のメガシンカも多く登場する事も魅力になるが、ゲームプレイとしては探索する事になる異次元のミアレにおいて通常では考えられないレベル100を優に超える野生ポケモンとの戦闘になるのが特徴だ。
圧倒的なレベル差になるため普通に戦うのは困難になるのだが、そこで活用できるのがアンシャの作るドーナツだ。
ドーナツによってポケモンのレベルを上限を超えて追加で上昇させることが可能になり戦いやすくなるのである。
ドーナツは「きのみ」を消費する事で作れるのだが、異次元ミアレで入手できる「異次元きのみ」を使用すれば更に効果の高いドーナツを作成できるようになるため、「異次元ミアレを探索→異次元きのみを入手→更に難易度の高い異次元ミアレを探索→…」といったサイクルを生み出している。
このサイクルはクリア後のコンテンツであるため手持ちが強くなっている事を見越したうえでのデザインとして考案されたものなのだろう。
クリア後を見据えたゲームサイクルを考慮したのは良い点であると言えるのだが、このゲームプレイは根幹の部分としてやや問題が感じられる。
それは「やってる事の本質が本編と変化していない」という点である。
本編では「ZAロワイアルでランクアップ」が物語進行の手順となっていたが、それがDLCでは「異次元ミアレの調査」に丸々置き換わっただけなのだ。
そのうえ、探索する事になる異次元ミアレも本編の地形を再利用している側面が強く、目新しさがない事も痛手である。
そのため名前だけが違う同じ料理を出されているだけになってしまっており、もう少し根本的なゲームプレイの変化を生み出すことはできなかったのかと感じざるを得ない。
グラフィック












近代と現代が融合した街(人工物)とそこに住むポケモン(自然)をも融和しているのはサステナビリティを謳う現代の姿が繁栄されている。
その街並みは思わずポケモンと一緒にスクリーンショットを撮りたくなってしまう場所が多いのは魅力的である。
またポケモンの生態描写も強化されており、街中にいるヤヤコマの集団に近寄ると飛んでいったり、ゴミ箱にはヤブクロンがいたり、人通りの少なそうな薄暗い裏路地にはミネズミがたむろしていたりとポケモンに応じた生活圏と生態をより感じさせてくれる作りになっている。
キャラクターモデルに関しても3Dモデル自体が驚くほどの高水準という訳ではないが、現代を一歩先を行く魅力的なデザインも見事である。
全体のビジュアルの表面的な印象として感じられる作りは美しいものの、そのディティールはまだまだ進化の余地が多い。
まず、建物の外観も扉や窓のフレームなどがテクスチャーによってのみ表現されており立体さ欠けているのはやや勿体なく感じる。
例えば、バルコニーがある…ように見えても近くに寄るとテクスチャーでそれっぽく見えるようにしているだけであり実際には平面の3Dモデルでしかないのだ。
また、室内から見える外の景色に関してもどこも同じ景観になっている事もやや違和感がある作りである。
Nintendo Switchの他の作品から考えても、この辺りはもう少し頑張れた部分があるように思えてならない。


フォトモードも用意されており、自分とポケモンを一緒に撮る事が出来ることはもちろん、疑似的な一人称視点として活用する事も可能だ。
美しい景観で様々な写真を撮影していく事も本作の醍醐味だといって良いだろう。
サウンド
ミアレシティが舞台という事もあり、ポケモンXY時代のミアレシティのBGMがアレンジされて使用されているなど音楽でのファンサービスも用意されている。
戦闘BGMもオシャレで印象的なものが少なくなく、古典ゲーム音楽的な文脈を感じさせつつも現代的に仕上げた「カナリィ戦BGM」やエレクトロスウィングジャズ様式を思わせる「ユカリ戦BGM」は特に筆者が気に入っている。
BGMは草むらに隠れるとくぐもったフィルターがかかるようにもなっており、使い方に関しても工夫が見て取れる。
総評
ポケモン レジェンズ Z-Aは前作から更に独自の路線へと進化している。
ストーリーでは伝説枠ながら今まで存在感が少し薄かったジガルデをフィーチャーしているだけでなく、過去作のその後を描いている事によって現代社会の課題にも触れられる作りにしており、様々な人々がこの世界で生きている事を改めて認識させられるのは視点を提供する題材として素晴らしい。
戦闘システムはリアルタイム性のコマンドバトルへと変化しており、ポケモンの新しい一歩を感じさせるメカニクスへと進化している。
しかし、今までのポケモンイメージをそのままリアルタイムコマンドバトルへと落とし込んだにすぎず、本作のメカニクスにした事による全体の様々な要素の相互関係性を整理しきれておらずメガシンカと言える程には至っていない。
現段階でも確かに面白さはある程度は感じられるものの、まだまだ進化の余地を残していると言えるだろう。