【レビュー】実況パワフルメジャーリーグ2009

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一球入魂

実況パワフルメジャーリーグ2009(以下、パワメジャ2009)は当たり前だが2009年に発売された実況パワフルプロ野球(以下、パワプロ)シリーズの一作だ。
本作はNPBでは無くMLBにフォーカスしたシリーズ作品の最終作品となっている。

2009年と言えば日本野球界では歴史に名を遺すWBC2009が開催された年のゲームでもある。そのため、本作ではWBCに関する内容も収録された作品でもあるのだ。
筆者はこの頃にメジャーリーグに興味を持ち始めていたため、メジャーリーグ関連のゲームが無いものかと思っていた際に発売された需要と供給がバッチリ噛み合ったゲームであった。

今回はそんな出会いでプレイをしたパワメジャ2009をレビューしよう。

 

実況パワフルメジャーリーグ2009

実況パワフルメジャーリーグ2009

  • 発売日:2009/04/29
  • メディア:Video Game
 
実況パワフルメジャーリーグ2009 - Wii

実況パワフルメジャーリーグ2009 - Wii

  • 発売日:2009/04/29
  • メディア:Video Game
 

 

ストーリー

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サクセスのストーリーは少々物足りない

本作には…と言うよりもパワプロシリーズにはストーリーと呼べる要素が無いためサクセスに関するストーリーを中心に記載していこう。
なお、サクセスのシステム面における内容は後述の「システム」の章に記載する。

パワプロシリーズでは最も人気のあると言っても過言ではないサクセスだが、本作においてはそのストーリー面の内容は歴代でも薄めだ。
全体的に盛り上がるようなイベントに欠けるうえ、各キャラクターを魅力的に印象付けるイベントも少なく、やや淡白な印象だ。
また、恒例となっている”彼女”は本作においても存在しているが、彼女たちの魅力も非常に弱い。
そのため、サクセスだけを中心に楽しさを求める人には肩透かしを喰らうだろう。

 

システム

本項ではパワメジャ2009におけるシステム面について記載する。

と、ここで本命の要素について記載する前に本作の走攻守のパワーバランスを大まかに記載しておこう。
本作の走攻守は「王道戦術こそが輝き、それ以外は日の目を見ない」ことになっている。
では具体的に何が日の目を見ていないのかだが、それは「バント」と「盗塁」と「投手のスタミナ」だ。

バントに関しては後述の”YOMIシステム”で詳しく記載するが、ここで簡単に書いてしまうと本作では普通にバッティングするよりも難易度が高い技術になっている。
これでは容易にバントと言う選択肢をユーザーが取る事は難しいと言わざるを得ない。

次に盗塁だ。
本作は圧倒的に盗塁が難しい。走力Aで捕手の肩力がD程度であっても普通に失敗すると言って良い。(走力はA前提でも)成功率は30%かそれ以下の印象だ。
こうなると下手にランナーを動かすのは危険だ。

そして最後は投手のスタミナだ。
本作のスタミナ消費量はとてつもなく激しい。
スタミナがギリギリAになる程度では100球は投げきれない…どころか70球から80球でバテてるのが平常運転だ。
スタミナが200以上あると90球程度は頑張れるため完投・完封も射程圏内になるが、それでも繊細かつ強気な配球を求められる。

このように小技と言われる手段や若干時代遅れとも言える先発完投などは非常に難しいバランスだ。
本作はあくまでも現代野球の王道である「打って点を取る。継投で点を抑える。」と言う事がシステム側から求められてしまうため、幅広い戦術を色々と楽しみたいユーザーや日本野球の感覚に慣れ親しんでいるユーザーには痒い所に手が届かない印象を与えるだろう。
しかし、逆に言えばMLBを中心とした現代野球の考え方であるならば気になる事はほとんど無いものだろう。

 

YOMIシステム

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YOMIシステムは野球ゲームを”野球”にする

本作の最も特筆するべき要素に「YOMIシステム」がある。
これ無くしてパワメジャ2009を語る事は不可能だ。

YOMIシステムは端的に説明すれば「相手の投球位置を予測する」ものだ。
予測は相手投手の投球位置にミートカーソルが近いか否かとなる。
例えば相手投手がインローに投げようとした場合、ミートカーソルをインローに構えていれば的中、インローから遠い所に構えてしまうと外れだ。
予測の的中度は3段階でミートカーソルが赤>オレンジ>黄色の順となっている。
上のGIF画像を確認してみて欲しい。
左は投球予測に成功しており、右は失敗した時のものだ。

予想が的中した場合に発生するメリットは
「投球位置が素早く表示される」
「選手のパワーに補正がかかる」
となっている。
予想が外れた場合のデメリットは
「投球位置が表示されるのが遅い」
「ミートカーソルを動かすとミートが小さくなっていく」
となっている。
またその他にも
「打席中に同じ球種が続くと投球位置が早く表示される」
と言ったユニークな性質も持っている。
少しわかりにくいかも知れないが、これも上のGIF画像を観ると右側のYOMI失敗パターンでは投球位置を示すポイントが表示されるのが遅い事が確認できるだろう。

では実際にこれを使用するとプレイに対してどのような影響があるのか。
端的に表現してしまうと「圧倒的な投手有利」の環境が出来上がるのだ。
これは予測が外れれば投球位置を示すポインターが表示されるのが遅くなる事が影響として最も大きい。
上の画像を確認した限りでは微妙な差に感じられるかも知れないが、筆者が数多く体感してきた限りでは「ボールが消えた」と感じる事すらあるほどのインパクトだ。
これはパワプロシリーズをプレイした事のあるプレイヤーであれば投球位置を示すポインターが表示されない(表示されるまでにかなりのラグがある)状態でバッティングを行う事を想像すればその難易度の高さは伝わるだろうか。

YOMIシステムによって本作は間違いなく圧倒的な投手有利なゲームとなっている。
しかし、この要素によって本物の野球らしい体験がいくつも実現されている事は見逃してはならない点だ。

まず、パワプロシリーズでは絶好の狙い球となる事が多い4シーム(ストレート)の威力は格段に上昇している。4シームはスイングの入力受付時間とボールへのコンタクト時間が最も短い。つまり、予測が外れていると投球位置のポインターが遅延表示がされる影響により瞬時に判断を行わなくてならないのだ。
これによって例えば高めに大きく外した4シームなどが(素早く振らなければ当てられないという打者心理も相まって)空振りを誘うのに非常に有効となる。

また、逆にチェンジアップやスローカーブと言った遅い変化球も絶妙だ。
前述のとおり、4シームは受付時間などの関係から投球後は比較的素早くスイングボタンを入力する必要がある。しかし、遅い変化球は逆にボールにコンタクトできる時間の開始が遅い。
ここまでは通常のパワプロと同様だが、これがYOMIシステムという瞬時の状況判断を伴うシステムと噛み合う事により「遅い変化球だとわかっているのにスイングボタンを早めに押してしまう状況」となりゴロを生んでしまうのだ。

筆者がプレイしたパワプロシリーズはそう多くは無いが、「4シームが脅威」「遅い球とわかっているのにタイミングが合わない」と感じた事は後にも先にも本作のみだ。
打てないことは悔しくもあるのだが、野球と言うスポーツ自体が好きな筆者からすれば、これがまさしく「野球」なのだ。

ここまでピッチングをメインに話を進めて来たがパワーバランス的には不利ながら打者に関してもデータリテラシーが実際の野球に近い点も興味深い。
ここまで語ってきたように本作のYOMIシステムは明らかに投手有利なシステムだ。
打者からすれば予測が的中しても(体感的には)通常のパワプロ相当のバッティングになるだけであり、言い方を変えれば「減点方式(予想が当たって初めて”従来通り”)」だろう。
そのため、予測が外れるほどにバッティングに対してペナルティが付与される。
とは言え、そのような環境となるとプレイヤーが選択する事になるデータリテラシーは「パワプロ」ではなく「野球」に近似してくる。
顕著な例を2点挙げよう。

1点目は「打席での心構え」だ。
YOMIシステム上では打者は基本的に”打てない”が前提に立つ。
そうなると「打てる球が来るまで無理をしない」心理が働くのだ。
自分の得意なコース、失投など何でも構わない。打てるまで待つのだ。
幸いにも野球はストライクが3回コールされない限りアウトにならないではないか…と。つまり、2ストライクと追い込まれるまでは例え明らかなストライクゾーンであっても打てないと感じるのであれば振らなくて良いのだ。
また、前述の通り「投手有利」「小技の不遇さ」が強く、チマチマとランナーを進めるのは得点効率や得点期待値が非常に低い。
そのため、「追い込まれるまでは長打狙い」が基本となるのだが、長打を狙うためには当然ながらゴロではどんなに強い打球でも内野手に阻まれる可能性が高いため悪手だ。
そこで、数少ない甘い球を確実に長打に出来るようにバッティングでボールの下を叩きやすいフライ狙いのものへとプレイを重ねていくうちに自然淘汰的に選択されていく。

2点目は「ファール」だ。
前述の通り、YOMIシステム上では待ち球戦術が基本であると筆者は考えているのだが、これによって今までのパワプロシリーズでは考えられない程に光り輝くバッティング技術が生まれている。
それが”カット”などと表現されるような”ファール打ち”だ。
2ストライクまで追い込まれてしまうと、次のストライクを取られてしまえば当然アウトになる。
であるならば、追い込まれてからの投球では少しでもヒットになる可能性にかけてスイングする事は必然だ。とは言え、なんでもかんでもスイングするわけにもいかない。
ボール球には手を出したくは無いのだが、予測が外れた際に投球位置が見えない(見えにくい)と言うペナルティーがあるため、投球されたボールがストライクゾーンに来るのかボールゾーンに来るのかの判断が非常に難しい。
そんな時に「ヒットは難しいがバットに当てる事はできるボールをカット(ファール)する」のだ。プレイしたての段階では予測が外れた際にボールがどこに来るのかが全く分からず困惑するが、慣れてくると投球位置のポインターでは無く、投手が投げたボールそのものからインコースorアウトコース / 高めor低めがなんとなく掴めるようになる。
そこからストライクゾーンかボールゾーンかきわどい投球に対して無理矢理当てるようにして(必ずできるとは限らないものの)ファールを狙う事が可能なのだ。
文字では少々伝わりにくいかも知れないが、ギリギリのボールに対して何度もファールを打ち1打席で10球以上も粘れた時の達成感は本作でしか味わえない特殊なものだ。

これらの要素によって2010年代後半にMLBにおいて脚光を浴びるようになったフライボールレボリューション(バレルゾーン)の考え方やピッチトンネルの驚異性を2009年の時点で身をもって体感できたのがパワメジャ2009なのだ。
まさに時代を先取りしたようなゲームだと言えるだろう。

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YOMIシステムの強い輝きは強い影も生み出す

しかし、大きな輝きを見せるYOMIシステムだが、調整不足により影を何点か生み出してしまっている。

まず1つ目は「バント」だ。
このYOMIシステムの特性はバントを行う際にも発揮される訳なのだが、これがバント時に自分が出したバットのせいでボールの投球位置が全く見えない。
これによってバントの成功率…いや、そもそもバントでボールに当てること自体が非常に難しくなっている。
本作のようなバランスの場合にバントと言う戦術は基本的に選択する事は無いとは言え、この難易度ではとてもじゃないがヒットを狙う方が確率が高い。

次に気になるのはやはり「予測的中時のバフ」だ。
本作では予測が的中した際に発生するバフと呼べるものは「パワーに補正」くらいであり、その他の要素は従来のパワプロ相当になるだけなのだ。
これはハッキリ言って割に合わない。
予測が的中した際には少量程度で構わないのだが、ミートにロックオンを付与して更に当たりやすくするようにして初めて予想する事に意味が出てくる。
現状のバランスでは甘い球を待ち、ヒットが難しいボールはカットしてファールする事が主体だ。これ自体は正に野球であり非常に面白い要素となっているのだが、本作のバランスでは逆にこれしか選択できないのは勿体ない。
イチかバチか山を張って本塁打を狙うにしても、高速変化球(ツーシームSFF)などでは予測が当たってもバットに当てる事はまず難しい。
予測が的中した時には打者がかなり有利になり、予測が外れた時には投手がかなり有利になると言った極端なバランスにしても良かったのでは無いかと思う。

ちなみに、これからパワメジャ2009をYOMIシステムを使用して始めたいと考えている人は最初は無理してスイングせず、打てない事を前提に考えて打てると確信したボールのみを確実にヒットにするように心掛ける事を推奨したい。
そうする事で自然と自分のヒットゾーンが徐々に広がっていく事だろう。
なおオススメはしないがYOMIシステム自体はOFFにする事は可能だ。
YOMIシステムを使用しない限り、本作の変化球は全体的にいわゆるキレが余り無く脅威とはならないため打者有利の傾向が強くなる。

 

選手エディット

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国内発売のパワプロ系列では唯一の選手エディット機能

選手エディットはゲーム内に収録されている選手のエディットをほぼ自由に行う事ができるモードだ。
エディットによりオリジナル選手を作成する事は出来ないのは少々残念だが、それでも嬉しい要素だ。
変更可能なのは上図に記載している項目となる。顔パーツの変更は行えないため注意だ。

この選手エディットはオプション的な立ち位置ではあるものの、デフォルトの選手査定が100歩…いや1万歩くらい譲歩したとしてもテキトーと言わざるを得ないため、後述のシーズンなどで選手個人・リーグ全体をまともと言える成績にするためには選手エディットが必須だ。

筆者は有名なFangraphsESPNなどを駆使して収録されている全選手の能力値をエディットした。
これらのサイトを利用したのはパワーなどの基本能力だけでは無く、特殊能力に関しても印象先行の曖昧な査定では無く、データ的に正しいと言えるものを設定したいと言う筆者の思いがあったからだ。
例えば、打撃傾向のプル率からプルヒッターを付けるべきか参考にしたり、P/PAの数値から積極打法・消極打法を設定したり、IsoDと三振率などから選球眼を付けるか参考にしたりしたのだ。
このような調べ方をしながら可能な限り一人一人を調査してエディットを行ったため、1球団分の選手をエディットするのに数時間を要した。

これは良く言えば「エディットがあったからこそ忠実にこだわれた」のだが、悪く言ってしまうと「エディットが無ければ絶望的なまでの選手査定」なのだ。

 

サクセス

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選手作成の自由度は驚異的だ

ここではストーリーではない部分のサクセスについて記載していこう。

本作のサクセスでは大きな特徴がある。
それは「リセットによるデメリットが無い」点だ。
これは恐らくだが選手エディット機能が実装されている事が影響しているものと思われる。

これに加え、もう一つの要素「ギャンブラーチケット」によって本作では「ほとんど自由な選手作成」が可能となっている。
「ギャンブラーチケット」とは取得するのに必要なポイントが1以上あればギャンブラーチケットを消費して確率でその能力が得られると言うものだ。得られるのは基礎能力でも特殊能力でもポイントを消費して得られる能力であれば何でも可能だ。
これを駆使すれば(いわゆる"リセマラ"の嵐にはなってしまうが)尋常ではない選手作成まで可能となる。

また、「継承アイテム」と言うものがあり、バットやグラブ、スパイクなどの基礎能力値に補正をかける装備品アイテムをサクセス選手に所持させないままサクセスを完了すると、次回以降のサクセス選手にそのアイテムを持ち越して購入する事が出来るようになる。
これらのアイテムは専用アイテムによってアイテム自体の効果を強化可能であるため、球速やパワーなどの能力値を簡単に大幅アップできるのだ。
更に、後述する「メジャーライフ」によってサクセスで作成した選手を更に強化する事も可能となっている。

サクセスのオススメは他の追随を許さず「グァヴァ・ストロベリーズ」だ。
ここではGMを追いかける事で定期的に貰える給料が増えていく。
そのため、体力回復をサクセス内のショップアイテム購入(コスパが最高の特製パワリンが良い)で行い、ターンを消費する事なく体力を回復できるようになるため効率良く練習が行える。
また、ギャンブラーチケットもショップ購入品のため特殊能力や変化球をガンガン覚えさせる事も可能だ。
更に前述の継承アイテムの購入も容易となり、基礎能力値は簡単に最大値に到達させる事が出来るのもシステムの恩恵を最大限に活かせている。

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最大限に駆使する事でこれくらいの選手がほぼ確実に作成可能だ

上図の選手はサクセスを最大限に活用したのち、メジャーライフによって追加で能力アップを行った選手だ。
この選手では変化球が全MAX値となっていないがこれは筆者の趣向によるもの故だ。筆者は「全能力MAX」というのがパワプロなどに限らず全てのゲームにおいてキャラクターの個性を潰している気がしてしまうため好んでいない。そのため、やろうと思えばここから更に変化球も全て最大値まで伸ばす事も可能である。
これらは非常に時間はかかるが、逆に言えば時間さえかければほぼ確実にこれくらいの選手が作成可能となる。

注意点として、サクセスでしか獲得できない特殊能力やメジャーライフでは上げる事ができない基礎能力などがあるため事前にサクセスで目指す能力を決めておく事が重要だ。

変化球

以下に変化球のおおよその情報を記載するので、サクセスの際には参考にして欲しい。最高球速は4シームで出せる最高球速から最小で何㎞/h遅いかと言う指標だ(つまり変化球の最大球速と思って貰って良い)。
これは投手の最大球速により若干変動するためおおよそと思って貰いたい。
なお、★は筆者のオススメの球種だ。

4シーム[最高速度 球速±0km/h]
2シーム[最高速度 球速-3km/h]★
ジャイロボール[最高速度 球速±0km/h]

スライダー[最高速度 球速-15km/h]
Hスライダー[最高速度 球速-9km/h]
カットボール[最高速度 球速-5km/h]

カーブ[最高速度 球速-26km/h]
ドロップカーブ[最高速度 球速-31km/h]
スローカーブ[最高速度 球速-45km/h]
スラーブ[最高速度 球速-18km/h]
ナックルカーブ[最高速度 球速-18km/h]★

チェンジアップ[最高速度 球速-24km/h]
サークルチェンジ[最高速度 球速-24km/h]
フォーク[最高速度 球速-19km/h]
SFF[最高速度 球速-12km/h]★
フォッシュ[最高速度 球速-18km/h]
Vスライダー[最高速度 球速-15km/h]
パーム[最高速度 球速-35km/h]
ナックル[最高速度 球速-18km/h]★

シンカー[最高速度 球速-23km/h]
Hシンカー[最高速度 球速-9km/h]
スクリュー[最高球速 球速-20km/h]

シュート[最高速度 球速-10km/h]
Hシュート[最高速度 球速-7km/h]
シンキングF[最高速度 球速-4km/h]

なお、本作においても恒例の「オリジナル変化球」があるのだが、そちらはバグなのか不明だがキレなどがほとんど無くなってしまう。
そのため、ベースとした変化球よりも基本的に弱体化されてしまうため注意が必要だ。
強いて言えば、元々キレなど無いスローカーブやパームと言った変化球との相性は良いため、実用性を考えるならばこれらを選択する事をオススメする。

 

シーズン

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パワプロのペナントに相当するシーズン

シーズンはパワプロシリーズにおいて「ペナント」に相当するモードだ。
プレイヤーはGM(ゼネラルマネージャー)となり、選手やチームと言ったマネージメントを行う。
選手采配や指導も行うため、正確にはGMと言うよりもGM兼監督兼コーチと言う立場になっているような気もするのだが、そこまで言うのは少々野暮だろう。

基本的な流れなどは歴代シリーズと変わらない。チームをトレードやFA選手獲得、ドラフトなどで強くしていき、ワールドシリーズの覇者を目指そう。
また、シーズンではリーグ拡張が可能である。新たな任意の2球団を追加して楽しむ事も可能だ。サクセスなどで作った選手で構成したオリジナル球団を投入してみるのが面白いだろう。

しかしながら、シーズンではバグの存在が少々気になるところだ。
特に問題になるのは「クラッチ逆転バグ」だ。
クラッチとは特殊能力の事でパワプロの「チャンス」に相当するものだ。
シーズンではこの性質が逆転してしまうバグが存在している。
シーズンを自動で進行させると顕著にわかるのだが、ミートが低いにも関わらず高打率を記録している打者は高確率でクラッチヒット1、2(チャンス1、2相当)を取得しており、ミートがいくら高くてもクラッチヒット4、5を取得していると低打率に落ちている。
クラッチヒットと言う特殊能力1つでここまで打撃成績に影響があること自体にも問題があると思うが、性質が逆転しているのは何ともスッキリしない。
筆者の場合にはこの性質のため、選手エディットを行った際に全選手のクラッチヒットを消すように設定を行ったほどだ。
シーズンなどに関係なく、その他にも比較的簡単にわかるバグがちらほら散見され、何故これらが改修されなかったのかが不思議なくらいだ。

 

メジャーライフ

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パワプロのマイライフに相当するメジャーライフ

メジャーライフはパワプロシリーズにおける「マイライフ」に相当するモードだ。
プレイヤーは1人のメジャーリーガー(マイナーリーガー)となり、MLBでの活躍を目指す事となる。
メジャーライフではマイライフ同様に現役の実在選手を操作する事も可能であるが、サクセスで作成したオリジナル選手でプレイする事も可能だ。
また、メジャーライフでは特定条件をクリアした際に取得できるアイテムを使用する事でメジャーライフで鍛え上げた選手をサクセス選手のような形で取得する事もできる。
なお、メジャーライフで取得した選手は再びメジャーライフで活躍させる事ができないため注意が必要だ。

メジャーライフは前述のシーズンと同様のアーキテクチャで組まれている節があり、そのためこちらでも同様のバグが存在している。
プレイヤーが操作する分には正直言って気になる事は無いのだが、シーズン終了時のリーグ全体の選手成績が気に入らないと感じる場合には要エディットとなるだろう。

 

選手カード

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地味ではあるが選手カードと言うやり込み要素もある。

入手方法は様々に用意されているのだが、本作では上図のように選手カードによる選手の写真付きカードが収録されている(一部は写真無し)。
これによってメジャーリーガーの知識を得る事も可能な点は嬉しい所だ。

 

グラフィック

パワプロシリーズ自体、そこまで美麗なグラフィックにこだわっていないため、本作においても劇的な何かがある訳では無いが、メジャーリーグ特有の個性溢れる球場は見物だ。
また、サクセスなどで登場するオリジナル球場においても実に個性的である点も見逃せないポイントだ。

 

サウンド

パワメジャ2009の楽曲はパワプロ系列の楽曲と比較して全体的にクールでカッコいいメロディに仕上がっている。
中でもOP曲やサクセスの「モンモンモンキーズ」における試合BGMは必聴だ。

 

総評

実況パワフルメジャーリーグ2009は、YOMIシステムによる圧倒的な投手有利なゲームとなっているのだが、それによって生み出される打撃の緊張感と達成感、そして現代野球との類似性は筆者が知る限りで間違いなくNo.1の野球ゲームだ。
サクセスにおいても自由度が高く、収録されていないような再現選手作成なども行いやすい点も筆者としては嬉しいポイントである。

しかし、致命的では無いとは言え簡単に見つかるようなバグが多いのも事実だ。
また、バントと盗塁の難易度の高さ、異様に消費の激しい投手のスタミナ、調べもしないで査定したとしか思えないデフォルト選手能力など、100歩譲っても気になる調整になっている事も問題点と言わざるを得ない。

筆者としては最も理想に近い野球ゲームであると言えるのだが、それと同時に至らない所もハッキリと見える作品でもある。