【レビュー】三國志14

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中華全土を染め上げろ

三國志14は歴史シミュレーションタイトルで君主プレイ型の国盗り合戦を主体とした作品だ。
本作は今までのような作風とは異なる「色を塗ること」で領土拡大をするようなものとなると発表され、より戦略的な国盗り合戦が行えるように感じて興味を持っていた。
そしてその後、パワーアップキット版が発売されると聞いてとうとう我慢が出来なくなってしまい購入したのだ。

なお、今回は三國志14 with パワーアップキット(以下、PK)版をベースにレビューを行っていく。

 

三國志14 with パワーアップキット

三國志14 with パワーアップキット

  • 発売日: 2020/12/10
  • メディア: Video Game
 
三國志14 with パワーアップキット

三國志14 with パワーアップキット

  • 発売日: 2020/12/10
  • メディア: Video Game
 

 

ストーリー

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史実と演義の二兎を追った三國志

三國志14では中国の三国時代の要所を演技ベースで体験できる内容となっている。
ストーリーはシリーズ恒例だが、三國志における特定のタイミングのシナリオに準拠した勢力配置で開始される形となっており、三国時代の契機となる「黄巾の乱」や様々な英雄が乱立した「群雄割拠」などの時代を選択してゲームがスタートする。

あくまでも三国志演義ベースのシナリオではあるが、登場する人物などは史実にしか登場しない人物もおり、史実ファンも演義ファンも嬉しい良いとこ取りをしている印象だ。
特に近年の三國志シリーズは徐々にその傾向が強くなっている。

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各種イベントは任意に発生させられる

特定の条件で三國志および三國志演義で有名なイベントが発生する。
イベントは自動で発生するものも存在するが、条件を満たした状態であれば手動でプレイヤーが任意に発生させる事ができるものが大半だ。
そのため、「○○が死亡する」「△△の勢力が強くなる」といったようなイベントをあえて発生させないようなプレイも可能になっている。
エンディングも任意のものが用意されており、大半の都市を支配する事でエンディングになる事も可能で、全ての敵勢力を潰し切る必要は無い。
ただし、全土統一した場合をグッドエンディングとした場合には、それよりは良くないエンディングになってしまうのは注意が必要だ。

 

システム

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面を塗る事が大切な国盗り合戦

三國志14はシリーズ初となるヘックス形式の戦争シミュレーションで、勢力の君主として古代中国全土を統一する事が目的となる。
本作のシステムの大きな特徴として「面を自軍の色で塗る」ことを重視したシステムになっている点が挙げられる。
大雑把に説明すると塗りは各拠点の周囲が拠点を確保している勢力の色に塗られていくほか、部隊が通った道のりもその部隊の勢力の色で塗られる。
この面に塗られている色が意味するのは単純な”勢力圏”というものに留まらず、補給線(兵站)をも意味しており、例えば部隊が自身の色から孤立した領域にいると行動不能に陥ったり、士気がどんどん下降したりしてしまう。
そのため、強力な武将に大量の軍勢を率いさせても、補給線を断たれてしまえば赤子も同然の戦力となってしまうリスクが付きまとうのだ。
どうやって敵の補給線を断ち、自分の補給線を途切れさせないかを意識するのが根幹のゲームプレイとなっている。

筆者のプレイフィールとしては防衛が非常に有利な印象で、なぜなら敵が自領内に入った際に搦手を利用して補給線を断つように動く事で多くの敵を無力化して一方的に叩くことがしやすいためだ。
当然ながら逆に攻めに行くハードルは高めで、敵の色で塗られた領内に入り込む必要があるため、どのように補給線を維持しながら安全に攻めるかを考える必要がある。
また、本作の攻城戦は専用の攻城戦に有利な部隊を用意しなくてはまず落とす事は不可能になっており、その点も注意が必要だ。
迎撃に来た敵部隊に対しての露払いを行う部隊と、敵の城に取り付いて攻め落とす部隊をそれぞれ用意するのが定石となるだろう。
このように戦闘と言う局所的な部分だけのフィーチャーではなく、「どのようなルートを通って拠点に攻め込むか」「どこに待機して敵の補給線を断つか」といった戦闘における過程すらも大切になっている構造のゲームプレイはプレイヤーの創意工夫が試されるため非常に楽しいものとなっている。
また、本作はRTSのような形式ではなく、1ターンが一ヶ月を上旬/中旬/下旬で分割して時間が流れるようなものとなっており、簡潔に書くと1ターン辺りに10日分の指示を事前にまとめて出すようなイメージだ。
そのため、敵の行動や進行ルートに関しても「相手はここを通るだろう」といったような予測を立てて相手の先を読むように指示を出す必要があるため、単純な数字の暴力だけではない戦闘になる点も面白い。

前述の通りだが、本作では一ヶ月を上旬、中旬、下旬の10日単位で時間が流れるため、ゲームのペーシングは歴代でも比較的遅めの印象だ。
しかし、1つ1つの作業がサクサクと進められるため、ついつい次の作業に手が伸びてしまいプレイをやめるタイミングを失ってしまう中毒性がある。
かくいう筆者も「もう少しだけ…」と思いながら、ついつい10時間以上もプレイしてしまっていた。
その中毒性が生み出される要因の1つとして考えられるのは、領土拡大の”戦闘”と自領の拡充を行う”内政”を全て古代中国を表現した1枚マップ上でシームレスに行っている事が挙げられる。
本作のような国盗り主体の君主プレイの場合には「天下統一」というのが最終目標であり、戦闘も内政もその手段でしかない。
つまり、方法が異なるだけで目的が同じ作業を行っているのだ。
もしもそこに「戦闘は専用の別マップで行われる」などのシーンの切れ目を作ってしまったとしたらどうだろうか。
こうなってしまうと戦闘用マップに切り替わったとたんに内政に関する作業をいったん頭の中から忘れなくてはならなくなる。
つまり、「戦闘」と「内政」が隔絶されたものとなってしまい、プレイヤーの熱中度にどこか水を差してしまう。シーンの切れ目が熱中の切れ目にも繋がってしまうのだ。
もちろん、前作のような全武将プレイであれば目標は様々であるためシーンの切れ目があっても良いとは思うのだが、本作のような天下統一という単一の目標の君主プレイのみの体験の場合には1枚マップによるシームレスな体験は非常に相性が良いもののように感じられる。

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シリーズ恒例の問題点は問題点のままだ

時間を忘れて熱中してしまう楽しさがある本作だが、改善して欲しいと思ってしまう点もいくつかある。
しかも、その問題点の多くはシリーズお馴染みのものである点は勿体ない。

まずシリーズお馴染みだが、GUIのわかりにくさは相変わらずで初見ユーザーは困惑する事だろう。
本作に関してはGUIの主張を低くして画面の邪魔にならないような配慮をしているように見受けられるのだが、その方針の影響により各種GUIのアイコンの主張が薄く、最初に何をすれば良いのか、現在どうなっているのかがわかりにくくなっている。
また、全体的にPC版ベースのGUI構成になっているためにコンソール版ではスキルの任意発動などに煩雑な手順が必要で非常に面倒になってしまっており最適化不足感は否めない。
そのためプレイヤーは「習うより慣れろ」の精神でプレイする必要がある。

次もシリーズ恒例の問題点だ。
国盗りゲームとしては十分過ぎるほどの面白さを有した本作であるが、大勢が決まってしまうとやりがいのあることが極端に減ってしまうという従来の問題を引きずったままになっているのは勿体ない。
大きな勢力になった時には「降伏勧告」という要素が選択できるようになったりと無駄な労力を使わずにペーシングを簡略化させるようなものも用意はされているのだが、ハッキリ言って本質的な解決になっていない。
つまり筆者が言いたいのは「大勢が決まった段階で着手できる楽しみ」を用意しておくべきだという事なのだ。
大勢が決まったときに小勢力が逆転できるようにする要素は違うと思うので、そうではなくエンディングをより素晴らしいものにできるやり込みをいれてみて欲しい。
例えば、勢力の総人口や総資産、総兵力などの国力の総合指標が◯◯以上だとAエンド、◯◯ならBエンド、それ以下ならCエンドなどに分岐するイメージで良いだろう。
エンディングに関連した要素や条件を増やすことで大勢が決まったときにこそできる遊びを是非とも入れて欲しいというのはあくまでも一例で、筆者が言いたいのは(繰り返しではあるが)後半になってからこそ楽しめる要素を用意しておくべきだろうという事だ。
 

パワーアップキット

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パワーアップキット

本項ではパワーアップキットにて追加された要素について紹介したい。

「交易」というシステムが追加されている。
ローマやパルティアといった外国と親交を結び、自軍にとっての恩恵を受けるような要素となっている。
交易を実行する際には外国を訪問する武将を選択したり、手土産となる資金や兵糧といったリソースが必要となったりするため、交易が可能であったとしても序盤ではなかなか利用しにくい。
他勢力と差別化を図りたい中盤頃にはコツコツと手を出しても良いかも知れない。

地域に「地の利」という要素が加わり、特定の地域を一定数確保すると自軍に有利な様々な種類のバフが発生するようになる。
前述した交易に関しても地の利の1つだ。
バフの内容は地域によって異なり、それぞれのバフ効果はどれも優秀であるため積極的に領土を確保したいと思わせるようになっている。

烏桓や山越などの「異民族」の勢力が新たに登場している。
しかし、彼らは正直言って影が薄い。
異民族が積極的に出張ってくることが少ないため、意図的に争おうと思わなければ出会う事が少ない。
また、中華統一にあたって異民族を制圧する必要はなく、異民族が保有する兵力も異様に多いため、そもそも制圧する意味も薄い。
それらの影響により、ただ存在しているだけで影が薄い勢力になってしまっているのだ。
やり過ぎれば理不尽過ぎるものになってしまうものではあるが、「高い友好度がないと該当地域で大規模に暴れまわってくる」「友好度が高いと該当地域で積極的に友軍として参戦してくれる」くらいのもう少しインパクトのある存在になっていても良かったのではないだろうか。

各勢力の初期位置をランダムに変更できる「国替」が登場したのは地味に嬉しいポイントだ。
筆者は自分好みな勢力図でプレイしたいと思うことが多かったため、ベストな方法ではないが嬉しい機能だ。
ただし、できれば所属武将など含めて全ての要素を任意に設定できるものが欲しい所だ。

PK版を購入するべきか悩んでいる方もおられるかと思うが、本作のPK版に関しては「追加要素」程度であり、ゲームプレイの拡張や体験の変化がある訳では無いため無理にPK版を選択する必要は無いだろう。
また、後述する編集機能に関しては一部を除いて高額なPK版であってもDLCの購入が必要となってしまう点も注意が必要だ。

 

編集機能

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各種編集機能

本作では歴代のシリーズとは異なりDLC形式で各種編集機能にアクセスする事が出来る。
武将の能力値やスキルを編集できる「武将編集」やイベントを新たに作れる「イベント編集」といった機能がある。
ただし、前述の通り高額なPK版であっても武将編集機能など一部の編集機能を使用する場合にはDLCの購入が必要となるため注意が必要で、この仕様にはガッカリするかも知れない。

なお、イベント編集機能はPK版固有のものとなっており、PK版を購入していればアクセスが可能になっている。

 

グラフィック

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ディティールは粗いが、プレイには問題ない

3Dモデルなどのクオリティはお世辞にも高くはないがプレイには支障はなく、高品質な3Dモデルを期待されているタイトルと言う訳でも無いため大きなマイナスポイントにはならないだろう。

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動きを付けたイラスト

武将のイラストに関してはシリーズ同様に美麗で素晴らしく、今作に関してはイラストに動きを付けるという試みが成されている。
過去作から使いまわされているイラストに関しては動きがややぎこちないものの、本作で新たに書き起こされたイラストに関しては動きも滑らかで雰囲気を醸し出している。

 

サウンド

本作のBGMは一聴惚れするような楽曲がある訳では無いが、内政などの作業中に延々と聴く事になるため耳には残りやすい。
BGMはどこか陽気な雰囲気があり、今までとは趣が異なる印象を受けた。

 

総評

三國志14の高い中毒性のあるゲームプレイは非常に魅力的だ。

戦闘と内政がシームレスな古代中国は君主プレイとの相性が抜群で止め時を失う体験になっている。
ヘックス形式で表現された戦闘に関しても補給線を意識しつつ侵攻/防衛をする必要がありジャイアントキリングも可能な作りになっているため抜群のやりがいだ。

後発の高額なPK版であっても通常版で配信されたDLCは購入が必要となっている点はガッカリしてしまうかも知れない点は今から購入しようという方は注意が必要だ。
また、PK版独自の要素にしても既存機能に追加されている程度であり、体験が大幅に変化/拡張される事は無いため無理に手を出す必要性も薄い。
プレイしたいという場合には自身のニーズと相談してどれを購入するか検討すると良いだろう。

 

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