【レビュー】三國志13

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濃密なる三國志ライフ

筆者は三國志シリーズのプレイ経験は8からであるため、それほど長くは無い付き合いだと思う。
しかし、それでも筆者の好みはわかるようになった。
三國志シリーズではいわゆる君主プレイと全武将プレイの2パターンあるが、筆者は全武将プレイである方が趣向に合っていたのだ。
しかし、全武将プレイは10を最後に登場する事はなく、筆者としては若干の消化不良感を覚えながらシリーズをプレイしていた。
今回は久しぶりに登場した全武将プレイである三國志13をレビューする。

なお、本レビューは「三國志13 with パワーアップキット」のレビューとなる。

 

Switch 三國志13 with パワーアップキット

 

三國志13 with パワーアップキット PS4版

 

 

 

ストーリー

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ベースとなる時代を選んで進めるが気にする必要は無い

三國志シリーズは基本的に三国志演義をベースとしている。
シナリオは各時代から開始する事が可能で、例えば「黄巾の乱」であったり「赤壁の戦い直前」などの時代から好みの武将(正確には武官や文官)を選択して三国志演義の世界を追体験するような形となる。
三國志シリーズは三国志演義に沿ってプレイするのも良いし、自分好みのプレイをしても良い。

本作は全武将プレイだ。
全武将プレイとは三国志演義(三國志13)に登場する全ての人物でゲームをプレイできるという事だ。

また、登録武将といわれるプレイヤーが作成する事ができるオリジナルの武将でプレイする事も可能だ。

 

システム

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チュートリアルなども存在する

本作では「英傑伝」と言うシステムが用意されており、そこで本編の操作方法を学ぶことが可能だ。
三國志シリーズは総じて最初のとっつきにくさが強烈であるため、不安がある場合にはここを少しだけでもプレイしてから本編に行くと良いだろう。

 

本編

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様々な三國志ライフを堪能できる

三國志13は全武将プレイで様々な武官・文官(便宜上、一律で武将と記載する)あるいはオリジナルの人物になって三國志世界を楽しむ事が可能だ。
そのため、軍団全体を率いる君主でプレイしたり、軍団の中にいる一人の武官あるいは文官としてプレイしたり、あるいは何もしないニートのような在野の雄としてもプレイできる。
そう。本作のゲームプレイでは何をしても良い。そして、何もしなくても良いのだ。
これは全武将プレイの大きな特徴だろう。
筆者は「気ままな在野になってどの勢力が伸びるのか静観する」なんてプレイも良くやるのだが、疑似神視点のようなプレイが出来るのは個人的に非常に嬉しい。

そんな中にあって三國志13のパワーアップキットにて新たに登場した概念「威名」はロールプレイを更に強化している。
君主や将軍として中華統一というエンディングだけではなく、例え在野であっても商人などで特定条件をクリアすればエンディングを見る事が可能になっているのだ。
これによって非常に幅広いロールプレイを実現している。

では、前述の商人プレイを例に説明しよう。
商人は単純に物品・兵糧売買の差額によって儲けを得る事が基本的なプレイとなるが、商人として名声を得ていくと懇意の勢力に対して兵糧や兵士を出資できるようになる。
そして、その見返りとして多くの資金を貰ったり、勢力に対して要望(「特定の勢力を潰してくれ」など)を出したりする裏世界を牛耳るようなプレイが可能になるのだ。
なお、商人では一定の金額まで資金を貯める事ができればエンディングを迎える事も出来る(エンディングを延期して、そのままプレイする事も可能だ)。
そのため、例えどの勢力にも仕官していない在野の士であってもエンディングに到達する事ができるのだ。
その他にも将軍や侠客と言った威名(ロール)が存在しており、それぞれ様々な特有のコマンドが用意されておりプレイの幅を強化しているのは全武将プレイとの相性が非常に良いと感じた。
また、制約はあるもののこれらのロールはいつでも変更が可能であり、状況に応じて自分に有利な威名を名乗る事も良いだろう。

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初見プレイヤーには不安しか与えないGUI

とは言うものの三國志13…いや、三國志シリーズにはわかりやすい大きな問題を抱えたままだ。
それはそのコマンドの多さだ。これはもう上の画像を観て頂ければそれだけで伝わるだろう。
シリーズ未プレイのユーザーがこのような画面を目の当たりにした際に、その情報量の多さに尻込みをしてしまう絵が容易に想像できる。
この辺りのとっつきやすいGUIデザインは是非とも検討して頂きたい限りだ。
また、本作のコンソール版は恐らくPC版ベースに微調整を行っている程度であると思われ、操作性においてやや最適化が不足している。
コンソール版でも操作しやすいデザインも併せて検討願いたい所だ。

もしも初めて三國志シリーズをプレイし、それをこの三國時13にすると言う人は一番最初は選択肢(やるべきこと・やれること)の多い君主は選択せずに、操作感や雰囲気を掴むために気ままにまったりとプレイできる武官や文官を、パワーアップキット版であれば在野の商人としてプレイすることをオススメする。
また、通常版・パワーアップキット版共に最初にプレイするのであれば能力の高い人物を選択するのが良いだろう。

また君主として中華統一を目指した場合には、この手のゲームにありがちな序盤~中盤までは面白いものの、そこを脱してしまうと大勢が決してしまうため「もはや勝負にならない」状態になりダレてしまう(飽きてしまう)事が多い。
歴史シムであるため、下手な要素を付け加えるのは雰囲気を壊してしまうが、大勢が決したからこそ楽しめるようになる要素を追加するなど何か工夫を考えて欲しい所だ。

 

戦闘

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RTS的な戦闘システムは戦術性・戦略性もあり面白い

三國志13の戦闘システムは三國志12を改良したリアルタイムに動作する形となっている。

リアルタイムに変化する戦場で有利になるように立ち回る事で例え相手の兵数を下回っていても勝利する事が可能だ。

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戦法により味方にバフ、敵にデバフを仕掛けよう

戦闘において重要な要素の1つは「戦法」だ。

戦法は戦闘中に溜まっていくゲージを消費する事で味方にバフをかけたり、敵にデバフをかける事も可能だ。もちろん敵に大ダメージを与えるものも多く存在する。

また、戦場で親密度の高い武将がいる場合には効果量や効果時間上昇などの追加効果が発生する事もあり、普段からの交友関係も大事だ。

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ジャイアントキリングを狙うならば挟撃は欠かせない

自軍よりも強大な敵を相手にする場合に欠かせないのは「挟撃」だ。

上の画像では若干わかりにくいかと思うが、挟撃は敵軍勢を複数の方向から同時に攻撃する事で発生する。
挟撃が発生した部隊は士気が下がるため攻撃力も防御力も落ちる。
更に士気が落ち切った部隊は混乱状態に陥り反撃不可の状態にまでなる。
ここまで来てしまえば相手の部隊を壊滅させるのは容易いだろう。
この挟撃は2部隊だけで発生させる事が可能であるため、強力な敵部隊を上手く誘引して各個撃破狙うのも良い戦術となるだろう。

しかし、この挟撃は当然ながら自軍に発生するケースも考えられる。
自軍が挟撃されないように立ち回るのはもちろんだが、挟撃されてしまった場合には士気が無くならないように戦法などでカバーする必要もあるだろう。

劣勢の戦場で自分の軍勢の采配によって獲得した勝利には代え難い達成感があり、自分だけのストーリーを紡ぎだしている感覚が得られるだろう。

 

エディット

パワーアップキット版のみではあるが、エディット機能が搭載されている。
エディット機能では既存武将の設定値変更やアイテムの設定値変更、戦闘で使用する戦法エディット、そしてイベント編集などが存在する。
ここからはエディット機能に関する内容を記載していこう。

このエディット機能において残念だと言える部分があるとすれば、任意の勢力に任意の武将を配下にした状態でゲームを開始できるような機能が未だに実装されていない点だろう。
ゲームプレイをユニークな設定で開始したいユーザーは筆者だけでは無いハズだ。

 

史実武将編集

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自分好みの能力値に編集できる

三國志シリーズのパワーアップキット版ではもはやお馴染みであるが、史実武将の能力値に関して編集が可能だ。
シミュレーションゲームである三國志は基本的に三国志演義をベースに査定が行われている所があり、これに納得のいかないユーザーは史実に近い能力設定にする事も可能だ。もちろん自分好みに設定するのも面白いだろう。

また、オリジナルの武将を作成する「登録武将」ももちろん存在する。
こちらではゲーム内で登場しない武将を再現したり、自分好みの武将を作成したり好きに作成させる事が可能だ。
なお、登録武将に関してはパワーアップキットで無くても搭載されている機能だ。

 

史実名品編集

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ゲーム内で登場するアイテムの追加や編集も可能だ

パワーアップキット版では名品編集ではゲーム中に登場する名品(アイテム)に関して編集する事が可能だ。
能力値の上昇量や武将の特技への補正なども編集できるため、自分の考える値に変化してみても良いだろう。

また、登録武将と同様に名品に関してもオリジナルの名品を設定する事も可能だ。

 

史実戦法編集

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戦闘で活躍する戦法の追加・編集も可能だ

パワーアップキット版では戦場で使用する事になる戦法に関しても編集する事が可能だ。

ただし戦法の編集の効果に関して自由に設定する事はできず、あくまでもベースとなっている戦法の効果量を上下させる事が可能な形となっている。
例えば上図の戦法であれば「防御力アップの能力を追加・変更」は行えないが、「機動力の上昇量を+90に変更」は可能だ。

こちらに関してもオリジナルの戦法が登録可能となっているが、編集時と同様にベースを設定して変更する形式であるため自由な戦法作りは行えない。
痒い所に手が届いていないため、再現武将の再現戦法を作りたい…なんて時には丁度いいベースとなる戦法が無く困る事もあるかも知れない。

 

イベント編集

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ゲーム内で発生するイベントを自作可能だ

三國志13のパワーアップキット版で最もインパクトがある追加要素がこの「イベント編集」だろう。

自分で指定した条件の時に、自分で作成したイベントを発生させられるものとなっている。
ゲーム内で登場しない三國志関連のイベントを自分で再現して作成したり、全く関係ないハチャメチャなイベントを作ったりすることも可能だ。
なお、イベントにはサイズ制限があり余りにも長大なイベントを作成する事はできない。

イベント編集は非常にロマン溢れる内容になっており、面白い可能性を大いに秘めているものの、1つのイベントを作成するだけでもそこそこの時間が必要であるため、その事を念頭に置いてじっくりと取り掛かると良いだろう。
また、何でもかんでも自由なイベント作成できる…とまではいかない点も注意または工夫が必要だ。

 

その他の編集
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ゲーム中にも編集は可能だ

ゲームプレイ中であっても編集可能だ。
ゲームプレイ中に武将の能力値を弄ったり、名品の持ち主を変更したりもできる。

一部はゲームプレイ中にのみ編集可能な要素もある。
都市編集では都市の発展状況など、勢力編集では同盟などの状況に関して編集が可能だ。
また、都市を繋ぐ関所のような「集落」と呼ばれるものがあり、そこの設定を変更する事もできる。

 

グラフィック

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各武将のイラストは迫力満点だ

三國志シリーズではお馴染みではあるが、各武将のイラストは迫力満点だ。
また、今作では全員では無いものの内政時と戦闘時でイラストが変化したり、年齢によっても変化したりする武将も存在する。

また、武将名鑑ではシリーズ過去作の顔グラフィックも確認する事ができるようになっている。

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都市とフィールドがシームレスに切り替わるのは嬉しい

ゲームプレイ中には都市を移す内政用の画面と中華の広範囲を見渡すための画面が用意されているが、それらは全てシームレスに表示される。
グラフィック自体はそこまで精細とは言えないものの、都市で内政をやりつつ、外部で行われている戦闘の状況を確認すると言った機能性が良い。
何よりも都市と都市が地続きであると実感できるため見せ方としては非常に良いポイントだ。 

 

サウンド

BGM変更機能からゲーム内BGMが視聴可能だ。
BGM変更機能ではシチュエーション別に流れるBGMを変更する事が可能となっている。
本作のBGMは三國志11の”破竹”ほどインパクトの強い曲は無いが、BGMは盛り上がるもの・落ち着くものなど良いものが揃っている。

壮大な野望を感じさせる「曹操のテーマ」

安らぎのある「孫権のテーマ」

雄大な「皇帝のテーマ」

勢いのある戦闘を感じる「戦闘(優勢)」

頼もしさを感じる「勇壮」

この辺りが筆者のお気に入りだ。

 

総評

三國志13は筆者待望の全武将でプレイ可能な三國志シムだ。

リアルタイムに変化する戦場は面白く、例え在野であっても面白い形で世界に介入できる。
正に全武将プレイは三國志の世界を自由に体験できるのだ。

しかし、そのコマンドの多さによって圧迫感のあるGUIは初心者にとっては致命的なほどの苦痛に感じる事だろう。
メーカーにはここに何かしらの対処を行って欲しい所だ。

ユーザーはGUIの複雑さを理由に毛嫌いするのではなく、自分が出来る事を徐々に増やす事でその面白さに気が付くハズだ。

 

外部記事

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